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17.彼岸
8.爆発的な出来事
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植物系の魔物にとって炎は天敵である。
今目の前には炎を渦のように纏う男がいる。しかもこの男は炎だけでなく、反応速度まで超一流だ。死角から迫る蔓まで反応してくる。
ドライアドが蔓を束ねて一つの棍棒のようにして振り下ろす。コストイラはそれに気付き、即座にその場を離れた。棍棒が太すぎて燃やしたり、切ったりする前に攻撃が完了してしまうと判断したからだ。斬ることは出来たかもしれないが、その間に周りのアルラウネが何をしてくるか分かったものじゃない。
すでに敵の数が多く減ってきており、コストイラの高い実力が窺えた。しかし、それでも限界は来る。
魔物の個体数は減っているのに、蔓の物量が増えた。コストイラは避けたり切ったりと半分以上を対処したが、そこから先は押し負けた。
腕がかち上げられ、足元に蔓が巻き付いた。足が引っ張られ一本足立ちになってしまうが、足に炎を纏わせて焼き切る。体勢を整えようとする側から、腕に蔓が巻き付く。面倒だから全身に炎を纏ったが、魔力の消費や魔素の枯渇が危険視されてしまう。
クイーンアルラウネがギリギリに保たれている均衡を崩そうとする。しかし、崩すきっかけとなろうとしたクイーンアルラウネは、崩す側ではなく崩される側だった。
クイーンアルラウネの豊かな胸元、魔物として核がある場所から槍の穂先が生えた。植物の体も含めた、全体まで補う心臓の血管が2本、斬れた。
体内で血管が踊り狂い、血漿が暴れまわる。クイーンアルラウネの口や目からオレンジの液体が溢れ出る。
『ゴボ?』
アシドが勢いよく槍を引き抜くと、体をビクンと揺らし、クイーンアルラウネが倒れた。
ドライアドがアシドを睨みつけ、蔓を振るおうとする。しかし、そこにコストイラはいた。
目を逸らしてしまっていた隙に、コストイラがドライアドの懐に潜り込んだ。そして、軽々と首を切り飛ばしていった。
学舎の教授の爆破事件があってから一年が経った頃、事件のことなど当事者でさえ忘れかけていた。
ムラセンはいつものように学長室で論文に目を通していた。
ホイットニーの爆破のことがあり、少し学舎に勤める教授のための寮が変わったが、些細な事過ぎて酒の肴でしか使われない。
そのことをふと思い出したムラセンは、ホイットニーを誘って酒でも飲もうと考えた。もふもふとした鬚を撫でながら、ニコニコと笑顔になる。
しかし、今は仕事中だ。いったん落ち着こう。
ムラセンが落ち着くために葉巻の箱を取り出す。愛煙家であるムラセンは、葉巻を吸えば一気に集中モードになれる。
パカリと箱を開けると、中が空だった。
「中にない、だと」
ムラセンは分かりやすく落ち込むが、先ほど新しい葉巻の箱が届いているのを思い出した。
「確かこっちに置いたな」
ムラセンが書類の上に置いていた新しい葉巻の箱を手に取る。新品であることを示す紐を切り、ナイフを置く。紐をゴミ箱に入れると、両手で葉巻の箱を持つ。
すでに神聖な儀式となっている箱開けがフィナーレを迎える。
これから至福の時が待っていると思うと、ワクワクして仕方ない。
蓋を開けようとすると、パキと何か抵抗があったが、全く気にならなかった。しかし、その抵抗は、かつてホイットニーが経験した、荷物の箱の蓋と同じ抵抗だった。
そして、新しくなった学舎教員寮は二度目の爆破を迎えた。
今目の前には炎を渦のように纏う男がいる。しかもこの男は炎だけでなく、反応速度まで超一流だ。死角から迫る蔓まで反応してくる。
ドライアドが蔓を束ねて一つの棍棒のようにして振り下ろす。コストイラはそれに気付き、即座にその場を離れた。棍棒が太すぎて燃やしたり、切ったりする前に攻撃が完了してしまうと判断したからだ。斬ることは出来たかもしれないが、その間に周りのアルラウネが何をしてくるか分かったものじゃない。
すでに敵の数が多く減ってきており、コストイラの高い実力が窺えた。しかし、それでも限界は来る。
魔物の個体数は減っているのに、蔓の物量が増えた。コストイラは避けたり切ったりと半分以上を対処したが、そこから先は押し負けた。
腕がかち上げられ、足元に蔓が巻き付いた。足が引っ張られ一本足立ちになってしまうが、足に炎を纏わせて焼き切る。体勢を整えようとする側から、腕に蔓が巻き付く。面倒だから全身に炎を纏ったが、魔力の消費や魔素の枯渇が危険視されてしまう。
クイーンアルラウネがギリギリに保たれている均衡を崩そうとする。しかし、崩すきっかけとなろうとしたクイーンアルラウネは、崩す側ではなく崩される側だった。
クイーンアルラウネの豊かな胸元、魔物として核がある場所から槍の穂先が生えた。植物の体も含めた、全体まで補う心臓の血管が2本、斬れた。
体内で血管が踊り狂い、血漿が暴れまわる。クイーンアルラウネの口や目からオレンジの液体が溢れ出る。
『ゴボ?』
アシドが勢いよく槍を引き抜くと、体をビクンと揺らし、クイーンアルラウネが倒れた。
ドライアドがアシドを睨みつけ、蔓を振るおうとする。しかし、そこにコストイラはいた。
目を逸らしてしまっていた隙に、コストイラがドライアドの懐に潜り込んだ。そして、軽々と首を切り飛ばしていった。
学舎の教授の爆破事件があってから一年が経った頃、事件のことなど当事者でさえ忘れかけていた。
ムラセンはいつものように学長室で論文に目を通していた。
ホイットニーの爆破のことがあり、少し学舎に勤める教授のための寮が変わったが、些細な事過ぎて酒の肴でしか使われない。
そのことをふと思い出したムラセンは、ホイットニーを誘って酒でも飲もうと考えた。もふもふとした鬚を撫でながら、ニコニコと笑顔になる。
しかし、今は仕事中だ。いったん落ち着こう。
ムラセンが落ち着くために葉巻の箱を取り出す。愛煙家であるムラセンは、葉巻を吸えば一気に集中モードになれる。
パカリと箱を開けると、中が空だった。
「中にない、だと」
ムラセンは分かりやすく落ち込むが、先ほど新しい葉巻の箱が届いているのを思い出した。
「確かこっちに置いたな」
ムラセンが書類の上に置いていた新しい葉巻の箱を手に取る。新品であることを示す紐を切り、ナイフを置く。紐をゴミ箱に入れると、両手で葉巻の箱を持つ。
すでに神聖な儀式となっている箱開けがフィナーレを迎える。
これから至福の時が待っていると思うと、ワクワクして仕方ない。
蓋を開けようとすると、パキと何か抵抗があったが、全く気にならなかった。しかし、その抵抗は、かつてホイットニーが経験した、荷物の箱の蓋と同じ抵抗だった。
そして、新しくなった学舎教員寮は二度目の爆破を迎えた。
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