メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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17.彼岸

3.太陽の塔

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 コストイラが両手を合わせて背を伸ばす。バキバキ鳴っている。

「大丈夫ですか? 疲れですか?」
「かもなァ。ずっと戦ってばっかだったからなァ。つか、これからもか」

 コストイラが洞窟の出口を見て溜息を吐いた。いくら戦闘狂なコストイラでも連戦は流石に応えるのだろう。かくいうアレンも熱を出しそうなほど疲れている。

「どこかで休憩を挟みたいわね。戦闘を一切しない休憩が」

 アストロも文句を言うが、誰も休憩を確約しない。アストロは怒る気力がなく、肩を落とした。

「僕も休みたいので、今日一日休みますか?」
「良いわね、それ」
「見張りはほどほどに仕事してやるよ」

 コストイラは出口に近いところを陣取り、座って休み始めた。エンドローゼはおずおずとアストロの側に近づいて行く。
 アレンが岩肌に背を凭れさせると、すぐに眠れてしまった。それほど疲れてしまっていたかと後から反省している。

 この1日に何か特別なことが一切起きなかった。これは喜ばしいことなのだが、いつもの流れ的にこの後に酷い戦いが待っているようにしか思えなくなっている。もはや病気かもしれない。

 洞窟の外は鬱蒼とした森が広がっていた。確信した。これは面倒事が始まる予兆だ。森を構成する木々の隙間から頭が見えている。少し遠くに見えるが、ぼろくて罅が入っているように見える。

 上を見ていると前から叢を掻き分けて魔物が現れた。殻で覆われた泥人形、マイトゴーレムだ。拳に炎を纏わせた泥人形がパンチを繰り出してくる。コストイラは半歩だけ後ろに下がり、上体だけさらに後ろに下げ、拳を回避する。

 あまり慣れない体勢のまま居合斬りをする。マイトゴーレムの体が殻ごと斬られ、灼熱の泥が溢れだす。
 コストイラは両足で跳び、マイトゴーレムの顔を蹴り飛ばす。切り傷からオレンジと黒の混じった煙が噴き出す。

「超万全」
「一人で盛り上がっとんなァ!」

 左で力こぶを作り、コストイラがドヤ顔をする。振り向き様というのも相まって、ウザさマックスだ。なのでアストロはとりあえず頭を叩いておくことにした。






 ボロボロの塔の上に、7人を見下ろす影が2つあった。

 1つは左手に滅茶苦茶大きいクレイモアをロングソードのように持ち、右手には円形の楯が携えられている。見た目からして女のように見える。

 もう1つの影は、その女の横で丸くなっている。見た目は羽毛のある蛇といった感じだ。蛇は7人に興味がないのか、首を擡げることすらしようとしない。
 女が右手で蛇を撫でると、目を合わせてくる。無言の時間が流れる。両者の間にどのようなやり取りがあったのか分からないが、蛇は目を閉じ、再び丸くなった。

 女は剣を握りなおすと、塔から下りた。






 7人の前に1体の魔物が現れた。5m近い身長を見て、大型の魔物って5mが多いなと思いつつ、武器を構える。

 敵の武器は滅茶苦茶大きいクレイモアなのだが、敵の身長が高いので普通のロングソードに見える。クレイモアを豪快に振り回し、木を薙ぎ倒して更地にしていく。一撃一撃が致死性を有しているため、迂闊に飛び込むことができない。

 シキはイフリータの懐に計画的に飛び込んでいく。低い位置をクレイモアが通るが、シキは更に低い位置を走る。シロガネから貰ったナイフに魔力を流しながら股下を通り過ぎる。イフリータの足元から血が噴き出す。
 進む方向を変え、シキがナイフを振るうが、イフリータは楯で防ぐ。楯を貫き、イフリータの腕までナイフが届くが、楯で体を殴られて飛ばされる。
 コストイラが刀を振るう。イフリータが気付き、剣を合わせようと左腕を振るうが、間に合わない。左手首が切り飛ばされる。滅茶苦茶大きいクレイモアは重すぎるため、すぐに落ちてくる。

『アァアアアアアア!!』

 イフリータが痛みに絶叫する。その見つめている断面が炎に包まれた。
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