メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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16.天界

3.天上へと至る道

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 山を下りて行き、そのまま2つ目の山を登り始める。山を下りる時には魔物が出なかった。天国みたいな、と形容されているからこそ魔物が出ないのかもしれない。

 そんなこと思っていると、アルミラージが大量に遭遇した。最初の頃は角を折ることができなかったが、コストイラやシキが簡単に折っていく。

 ちなみにこれは大量発生ではなく、ただの縄張りだった。
 何とかアルミラージの群れを抜けると、2つ目の山も中盤まで来ていた。

「すまない。アレンがきつそうなのだ。休憩しないか?」
「体力ねェなぁ。お前樵の家系で、庭みたいに山を駆けまわってたんだろ?」
「ご、ごめんなさい」

 レイドの提案に、コストイラが肩を竦めてアレンを見る。アレンは両手を膝に当てて、肩で息をしている。アレンも反省している。
 アレンの体力は去年に比べて上がっているのは確かだ。しかし、周りの6人の方が体力が上がってしまったため、ついていけない差が生まれてしまった。
 座って休んでいると、向かおうとしている先でキラリと何かが光った。

「ん?」
「どうした」

 ガササ。

 アシドが目を細めて光の方を見つめると、レイドが気付いた時、答えは向こうからやって来た。誰がどう見ても鎧姿をした存在が、叢から出てきた。身長は100㎝程でかなり小柄。しかし、重厚な鎧でも動けるほどには筋肉があり、横幅がかなりある。丸く光沢のある楯をこちらに構え、モーニングスターを溜めている。中身はエルフだろうか。
 もう一人出てきた。圧倒的な高身長でこちらを見下ろしている。赤いマントが羽織られており、中は分からないが隙間からは銀が見えるので鎧だろう。ロングの金髪も端正な顔立ちも外気に晒しており、顔に装備をしていない。白銀のロングブーツに白のアームカバー、左手には背丈にあった長さのサーベルが抜身の状態だ。
 考えたくない話だが、2名ともこちらと敵対している。無言でこちらの様子を窺い、静かに腰を落としていく。こちらも敵対するように武器を構えていく。何かこの先に行かせたくない理由でもあるのだろうか。

 まず動いたのはコストイラとヴァルキリーだった。ヴァルキリーは長いサーベルで根こそぎ薙ぐのではなく、真上から振り下ろしてきた。一瞬不思議に思ったが、木々への配慮だとすぐに思い至った。

 ヴァルキリーのサーベルをレイドが受け止める。レイドが動く前に全員動きだしたので、押し潰される心配もない。コストイラの一振りはロイヤルガードが受け止める。硬い。コストイラは素直にそう感じた。今までに戦ってきた敵の中でトップクラスの硬度だ。ちなみにコストイラの思うトップはガレットだ。アイツは未だに切れる気がしない。

 じぃんと手に痺れを残しながら、コストイラはひとまず距離を取る。ロイヤルガードは逃がさないと追ってくるが、異常なまでに足が遅い。重厚な鎧に身を包んでいるので当たり前といえば当たり前なのだが、それでも遅い。

 ヴァルキリーは剣をレイドの楯から剥がし、軽やかに後ろへと下がる。着地と同時にサーベルを後ろへと引き溜める。一気にサーベルを前に突き出すと、威力が解放される。威力は突きの延長線上を通り抜け、貫いていく。
 伸ばされている腕に、アシドが槍を叩き込む。しかし、アームカバーに何か仕込まれていたのか、手応えが硬すぎる。ヴァルキリーの腕が少し下がるが、傷一つついていない。
 左手からサーベルを手放し、右手で受け取り、アシドに向かい振るう。槍で防ごうとするが、地に足を着けていないので、吹き飛ばされてしまう。一瞬にしてアシドが豆粒のように小さくなる。

「アシドなら大丈夫でしょ。今は目の前の敵に集中しましょう」

 心配しながらも、アストロはヴァルキリーに魔術を放つ。5mの巨体には似つかわしくない速度で対応する。

 レイドが足を折ろうと大剣を振るうが、ヴァルキリーはジャンプをして躱す。着地の瞬間を狙おうとするが、下りてこない。

 ヴァルキリーの背には純白な翼が生えていた。
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