メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

文字の大きさ
上 下
256 / 424
15.奈落

1.奈落の口

しおりを挟む
 アンデッキの葬儀の翌日。ホキトタシタはドウェハ山の頂点にいた。朝早く、気温が低いので息が白い。ホキトタシタの腕の中にはアンデッキの死体があった。
 冥界の葬式は宴会で終わりではない。翌日の朝に死体をスマンの谷底に投げ入れて、初めて葬式が完了する。

 その死体が自衛隊員だった時、投げ入れる役目はいつも隊長と決まっていた。何か取り決めがあったわけではなく、ただの暗黙の了解である。
 今回もそうだった。スマンの谷の前はぺデストリが立っていた。

「葬式は中止させないぞ。というかここは立ち入り禁止だぞ」
「分かっています」

 ホキトタシタが横を通り過ぎ、ドウェハの淵からスマンを谷底に向けアンデッキを投げ入れた。

「知っていますか?」
「何だ?」

 投げ入れた姿勢のままぺデストリに返す。ぺデストリもホキトタシタの姿は見ていない。

「アンデッキは貴方に憧れて自衛隊に入ってきたんですよ」
「知ってる」

 ぺデストリは拳を握り身を震わせるが、振り返ることはしない。

「アンデッキは」
「ん?」
「貴方のことが好きでした」
「知っている」
「隊長としてではありません」

 ぺデストリが声を荒らげる。しかし、ホキトタシタはどこ吹く風だ。きっとぺデストリからやってくる次のセリフが想像できるからだろう。

「彼は、貴方を恋愛対象として見ていたんですよ!」
「……知ってる」

 ぺデストリの呼吸が浅くなった。キレているが、理性で押さえつけているのだ。こんな時にまで律義な奴だ。本能のままに襲ってくればいいのに。

「ホキトタシタさん」
「どうした」

 ぺデストリは握っていた拳を解いた。

「私はアンデッキを追います」
「そうか」
「私はアンデッキと、出来る限り同じ形で死にたい」

 ぺデストリは振り返り、強くホキトタシタを見ていた。

「月が見ている前で罪を犯せって? 止めてくれよ」
「貴方はトッテム教なのですか?」

 ぺデストリの視線を受け、ホキトタシタ悩んでしまう。そういえば、自分は何教なのだろう。

 ホキトタシタの視線はぺデストリを通り越し、木々の隙間を見ている。一切表情の見えない狐の面の少女がいた。ぺデストリは気付いていない。
 正直な話をすれば、シュルメに連れていかれたという話をされた段階で嘘だと見抜いていた。シュルメの嘘など分かりやすすぎる。

 フォンが親指をばっちり上げた。良いのかよ。
 ホキトタシタがデカい溜息を吐く。

「どうかされたのですか?」
「……分かった。斬ってやろう」
「どうして。先ほどはしないとおっしゃっていたのに」
「月が許可を出したんだよ」

 ホキトタシタは剣を半ばまで抜く。ぺデストリは剣帯を外し、ホキトタシタを相対した。

「お願いします」

 ホキトタシタは何も言わず、目を瞑り居合でぺデストリを切り飛ばす。地面と抱き着く上半身を見下ろす。

『美しい愛を見た気がするよ。嫌な三角関係だけどね』
「いや~、耳が痛い」

 フォンは面で顔を見せないまま、ぺデストリの上半身に近づく。

『この子は私が落としてあげよう。良いものを見せてもらいましたよ、へっへっ。シュルメに口止めした甲斐があったぜ、めっちゃバレてたけど』
「月に帰らなくていいんですか?」

 ピタリとフォンが動きを止める。

『か、帰るよ~。これが終わったら帰るよ~。うんうん』

 ホキトタシタは半眼を向ける。フォンはきっと何も言わずここにいるのだろう。後でディーノイに連行され長時間のお説教をされることだろう。ホキトタシタがすべきことはきっと足止めだろう。自身の剣の師であるディーノイならそう命を出してくるだろう。

『それじゃあ、私は帰るよ。シュルメちゃんによろしくね』

 手をひらひらとさせ立ち去ろうとするフォンの前に立ち塞がる。フォンは目を丸くし、すぐにニヤリと口を曲げる。

『ま、ディーノイなら君にそう言うだろうね。良いよ。相手してあげよう』

 狐の面の奥、紫の眼を怪しく光らせる魔王の前に、仲間の血に濡らした剣を持った冥界最強の騎士が相対した。







 最初に動いたのはホキトタシタの方だった。勇者一行の前では一度も見せていない本気の疾駆。本気の抜剣。本気の一撃。握っている剣も氷の魔剣だ。レイドやコストイラでさえ反応できても対処できない一閃に、フォンは至極冷静に対処する。
 フォンが手にしているのはどこから取り出したのかどころか、どこに隠し持っていたのかさえ不明なほどの剣だ。エンドローゼと同じ淡い紫色をした剣身は明らかに長大で、フォンの身長とほとんど同じだ。明らかに筋肉はないのに持っていかれず振れるのは神力を通わせているからだろう。

 神力とは魔力が発現した500年前よりももっと前からあった力だ。フォンだけではなく、グレイソレア、シュルメ、ガレット、それにホキトタシタなどだ。

 レベル120とレベル120の戦いは超次元的だった。速すぎる移動速度、高すぎる攻撃力。異次元の反応速度でそれらを対処する。
 氷の魔剣で足止めや遠距離も含めて多才な技の数々をぶつけていく。しかし、長大な見た目に反して素早く振られ、すべてに対応される。

 全ての攻防が5秒以内に行われ、勇者シキでさえすべてを見極めることができないだろう。

 ホキトタシタにはすでに汗が数粒浮かんでいるが、フォンには浮かんでいない。レベル120にも差がある。ガラエム教に存在するレベル測定器ではレベル120が限界であり、それよりも上を測ることができない。そのため、レベル120内でも序列が存在している。その中で言えばフォンは上位寄りの中堅であり、ホキトタシタは下位寄りの中堅である。これを覆そうものならば、単純な努力など何の役にも立たない。必要なのは、圧倒的な運のみだ。

 特段運がいいわけではないホキトタシタには勝ち目がない。だからこそ、足止めなのであり、時間稼ぎなのだ。

 もしここに両者間の力量差を知らぬ者が見たなら、この戦いを最終決戦だとかラスボスに挑む勇者だとか形容しただろう。しかし、原初グレイソレアなら戯れと笑っただろう。

 フォンは攻めていない。ホキトタシタも遊ばれているのは分かっている。
 ホキトタシタは神力を魔剣に流し、氷を爆発させた。






 ズズンと地面が揺れた。

「ふわっ!?」

 酒を飲んで深く眠っていたアレンが震動によって目覚めさせられる。飛び起きたアレンは目元を擦りながら周りを確認する。

 コストイラが窓の外を見ていた。アシドとレイドが武器を持って備えている。もしかして最後に起きたのはアレン?

「何があったんですか?」
「分からん。でも、この魔力は水の魔力だと思うぞ」
「水の魔力?」

 アレンの知る限り、水の魔力を扱う敵はもう倒したはずだ。あと残っているのは、ホキトタシタの氷の魔剣か。もしそうならば誰、いや何と戦っているのだろうか。

「起きてる!?」

 勇者一行男部屋にアストロが飛び込んでくる。

「何か分かったか!?」

 未知の敵に焦りながらも分析しようとするコストイラに、アストロが首を振った。

「分からないわ。ただ、この魔力は覚えがあるわ」
「覚え? やっぱホキトタシタか?」
「あまり詳しくは覚えてないけど、多分魔王城の炎の塔よ」

 コストイラが何かを思い出すように少し上を向く。

「情報野郎のところか」
「えぇ」

 男達はうんうん悩むが、一向に思い出せない。そもそも、あの時に魔力の探知ができたのはアストロぐらいだ。

「シキとエンドローゼはどうした。まだ眠ってるなんてことはないだろう」
「いちゃいちゃしてるわ」
「何で?」

 コストイラが間抜けた声を出し、アストロを見つめる。アストロは肩を竦め、理由を知らないという風にアピールする。

「どうしたの? 何にそんな興奮しているの?」
「こ、こ、これはきっと、お、お、お月様が、ごーーご覧になってい、いらっしゃっているのです!」

 興奮するエンドローゼに困惑しながら、何にそんな興奮しているのかを聞き出そうとする。どう頑張ってもシキにはお月様しか引き出せない。

 エンドローゼは興奮のままにシキに抱き着く。ふわふわした淡い紫の髪をシキの首元に擦りつけている。こんな興奮しているエンドローゼは初めて見た。
 シキはこれまでに感じたことのない感情を自覚し、エンドローゼの背中を撫でる。

「ほら、2人ともいちゃついてないで、行くわよ」
「ん」
「あ、はい」

 エンドローゼは自分のしていたことに自覚したのか、顔を赤くしてシキから離れる。シキは少し残念な気持ちになったが気持ちを切り替える。

 建物の入り口に着く頃には男子組と合流する。

「よし、行くぞ」

 コストイラが言って顔を上げると、視線の先に龍の面をした女の霊がいた。女は首を振っている。行くなということなのだろうか。しかし、コストイラは勇者である。コストイラはエンブレムと面に手を添え、立ち去った。

『やっぱり。もう行っちゃうのね』

 シュルメはどこか寂しいやら嬉しいやら、よくわからないままに声を出し、龍の面を外した。






『ピーン! 受信したぞ!』

 フォンが唐突に声を出し、ホキトタシタを弾き飛ばした。

「受信、ですか?」

 額から血を流し、視界の半分を赤く染めているホキトタシタはさらなる時間稼ぎを目論む。とても上機嫌なフォンはしなくてもいいのに説明してくれた。

『私の信者が、いや、まどろっこしい言い方はよそう。私のエンドローゼちゃんが私の神力を感じ取ったことを、私は感じ取ったのさ』

 私のエンドローゼちゃんという言い方に眉を顰めつつ、息を整え終える。フォンは急にピタリと止まり、ぶつぶつと何かを言い始めた。もう終わりは近いだろう。おそらく次が最後の攻防だ。

 ホキトタシタが静かに息を吐きながら腰を落とす。フォンも同じ空気を感じ取ったのか、真っ直ぐにホキトタシタを見る。
 爆発的な踏み込みから繰り出される神速の横薙ぎは、それを上回る速度の振り下ろしで対応される。意図的に剣身に振り下ろされたそれは、ホキトタシタに苦い顔をさせるのに十分だった。

 ホキトタシタの腰が耐えるように落ちていく。

 フォンは狐の面の向こうでどんな表情なのか分からないが、平坦な声で告げた。

『じゃ、終わりにしようか』

 その瞬間、激しい音と莫大な威力で山を削りながら、ホキトタシタの意識が途絶えた。

 フォンは魔剣を空気にしまうと、ホキトタシタに背を向けて悪戯っぽい笑みを浮かべた。

『あんなにエンドローゼちゃんがはしゃぐってことは、私が仕事しているところを見たらもっと惚れちゃうんじゃないかッ!!?』

 フォンはディーノイが来る前に月面に帰って行った。
 フォンがいなくなって40分後、ホキトタシタが目を開けると、頭の横に剣を佩いた男がズボンのポケットに手を突っ込んだ姿勢で立っていた。

『見ればわかる。凄い戦いだったのだろうことはな。剣の師として聞こう。どのくらい持った?』
「キツイな。10分もいっていないかもしれませんね」
『もっと研鑽を積め』
「それだけですか?」

 立ち去ろうとするディーノイがホキトタシタに呼び止められ振り返る。

『何だ。餓鬼のように称えてほしいのか。あほくさい』
「違ェよ。起こしてくれよ」

 ホキトタシタが願いを言うと、鉢状にくりぬかれた地にいた隊長の顔に粘性の低い液体がかかる。舌で舐め取ると甘い味がするとともに、全身から痛みが引いていく。回復薬か。

『お前、早く戻った方がいいぞ』
「?」
『今、冥界は大変なことになっているぞ』






 フォンがエンドローゼの受信を感じ取っていたその時、アレン達はすでにドウェハ山にいた。

 毎度のように山登りの際に言われることがある。エンドローゼの体力だ。必ずと言っていいほど、一番に体力が尽き、最後尾でヒーコラヒーコラ言いながら付いてくる。
 しかし、今回は違った。真っ先に尽きかけているのはアレンとアストロの2名だった。傾斜のキツイ山道と、横に見える底の見えない大穴が、肉体的にも精神的にも体力を削っていた。

 アレンは両手を膝に着け、休憩を所望する。

「わ、わ、分かりました。お、お、お月様がいなくならないうちに、た、ただ、たど、た、辿り着きたいんですけどね」

 珍しくエンドローゼが意見を通そうとしている。滅多にないことなので叶えてあげたいが、アレンの体は拒否している。体を鍛えているつもりなんだが。それにしても、エンドローゼが先頭にいるなんて珍しい。

 そう思った瞬間、背筋が凍った。ドウェハ山の山頂付近にあった魔力が爆発的に膨れ上がったのだ。魔力感知に長けたアストロだけでなく、乏しいレイドやアレンですら、離れた葬式会場で眠っていた者さえも感じ取った。その瞬間、誰もが死を覚悟し、生にしがみつこうと焦った。シュルメは別の意味で焦った。

 コストイラは死の覚悟と共に戦いたいという意欲さえ湧いてきた。
 エンドローゼには死の意識は芽生えなかった。それどころかこっちに来いという歓迎の温かみさえ感じ取った。

 エンドローゼが一歩踏み出した。

 その瞬間、地面が揺れた。大きな揺れだ。立っていられないほどに。シキやコストイラ達、近接タイプの者達は腰を落として辺りを見渡す。アレンは片膝片手を地面につけ、アストロとエンドローゼは木にしがみつく。

 揺れは一瞬だった。巨大な魔物が一歩踏み出したようなそんな揺れであり、シキたちは魔物を警戒した。
 エンドローゼはお月様を感じ、山頂に近づく。
 その瞬間、地面が割れた。エンドローゼの横から、稲妻のようにゴゴッと走っていく。

「ふぇ?」

 エンドローゼの間抜けな声と裏腹に、事態は深刻だ。シキやアシドならば即座に安全圏まで移動できるだろう。しかし、エンドローゼやアストロには無理だ。

 どうする。その迷いが結果を生んだ。

 足に力を入れた瞬間、足場が崩れた。足に入れていた力は行方不明になり、視線が下へ向く。露出した木の根に鼻を打ち、血が噴き出る。
 エンドローゼは頭を腕で守りながら、背を丸め、コロコロと斜面を転がった。
 コストイラ達は止まることもできたが、先に落ちた後衛達を追って大穴へと落ちていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...