メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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14.冥界

9.高台に建つ祠

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 冥界に存在する高台は、そのほとんどが津波や洪水などの水害対策らしい。そこには必ず大人数が収容できる巨大な施設とシュルメ・フォンの両名を模った像のある祠が設置されているのだとか。

「なぜフォン様もって顔だな」
「え、あ、いえ」

 そんなに顔に出ていたのだろうか。アレンは自身の顔を摘まむ。ホキトタシタは微笑みながらアレンを見つめ、聞いてもいないのに答え出した。

「簡単な答えだよ。シュルメ様はトッテム教の信者のようなところがあるからな」
「それは大丈夫なのか?」
「あまり知られていないからな。というよりシュルメ様は神格化され都合のいい解釈をされているしな」
「本当に大丈夫かよ」

 コストイラはげんなりしながらホキトタシタを見るが、肩を竦めるだけで済まされた。ここまでの内部事情を知っているとなるとホキトタシタの役職である自衛隊長とは相当偉い立場のようだ。しかし、そんな人がここにいても大丈夫なのだろうか。

 高台へと続く道は緩やかな登り坂になっており、エンドローゼでも苦労なく進んでいた。しかし、道は長かった。真っ直ぐに進めばすぐに頂上まで着けそうなものだが、この道はぐるぐると回るようにして上まで続いていた。

「ぐあっ!」

 上から声が聞こえたかと思えば、その上から青白い肌の魔族が降ってきた。体には風穴があいており、すでに絶命していることが見て取れた。

 エンドローゼが悲しい顔をする。もしかしたら救えたかもしれないという気持ちが去来したのだろう。レイドはエンドローゼの背を叩く。エンドローゼの顔は覚悟に満ちていた。

「大変です。ドライアドです。ホキトタシタ様」
「え?」

 風穴のあいた魔族は上体を起こす。ホキトタシタは驚くこともなく、高台を見る。エンドローゼは目を丸くして魔族を見る。

「そいつは不死魔族だ。この程度じゃ死にはしない。回復は逆効果だからやめてくれよ」
「そんな種族が存在するのか」
「痛いことには痛いですからね」

 風穴のあいた不死魔族が自身の胸を撫でて、ホキトタシタに目で訴える。ホキトタシタは一切受け入れず、高台に向かう。
 ホキトタシタはわざと魔眼を開き、ドライアドの注意を引き付ける。坂から蔦が出現してホキトタシタを貫こうとする。ホキトタシタは蔦を足場に、ショートカットする。
 続こうとして成功したのはアシドとコストイラとシキの3人だけだった。アンデッキからは蔦が折れ、顔面着地していた。

「おい、アンデッキ。寝てないで行くぞ」

 穴の塞ぎかけている不死魔族に言われ、アンデッキはハイと素直に返事をし、追いかける。ぺデストリが補足してくれる。

「あの2人は直属の上司と部下の関係なんですよ」
「ぺデストリさんは違うんですか?」
「私は違います。ちなみにさっきのダークマージやゾンビフェアリ―も、アンデッキと同じ部隊です」
「エンドローゼ」

 上から声がしたかと思うと、シキが直線で下りてきた。エンドローゼが不思議そうにシキを見ていると、シキは何も言わずにお姫様抱っこをしてエンドローゼを連れ去って行った。ポカンと上を向いて見送っていたが、ハッとして戻ってくると、すぐに頂上を目指す。

「大丈夫そうですね」

 アレン達が頂上に着くと、ドライアドは下半身の植物だけになっていた。その近くには3人の魔族が寝かされている。

「ザンバイ。お前の他はこの3人でいいか?」
「は、はい」
「そうか。下でレジスト達がお前の帰りを待っていた。早く帰ってやれ」
「はい。分かりました」

 恭しく礼をするザンバイの肩を叩く、植物だけになったドライアドに近づく。剣を鋭く一振りすると、植物の体が爆発して、オレンジと黒の混じった煙が勢いよく噴き出る。ホキトタシタはその煙を避けるように後方に跳ぶ。

 上半身が消し飛ぶほどの威力の技とは、いったい何をしていたのだろうか。
 コストイラが刀を収めながら、こちらに歩いてくる。

「オレ達が着いた時にはすでに上半身が吹き飛んでいた。アイツ相当強さを隠しているぞ」
「何ででしょうね」
「オレ達を騙すためかもな。もしかしてオレ達に倒させたいのかもしれねェけどよ」
「警戒しておいた方がよさそうですね」
「あぁ」

 コストイラとアレンはホキトタシタの背を見つける。ホキトタシタは気付いていながら何も指摘せず、見えない角度で口角を上げた。
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