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13.魔界
4.財宝のある湖岸
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「おい、お前ら、冒険者かっ!?」
冒険者よりもいかつく、タトゥーだらけの男が呼び止める。
「何でしょうか?」
「実はこの先にある湖によく娘とピクニックに行くんだが、そこでいつも変な声が聞こえるんだ。調査してほしい」
「えっと」
「頼むよっ!」
男が両手を合わせ、お願いしてくる。
「どうしますか?」
「う、受けましょう」
「む、娘が恐がっているんだ。頼むよ」
コストイラが困った顔で頬を搔き、アストロを見る。
「娘のために?」
「あぁ」
「そう。愛された子なのね」
「あ?」
どこか、アストロの中に闇が垣間見えた気がした。しかし、奥にまで突っ込む勇気がないので胸にしまい込んでおく。
「受けましょう」
「ありがとう」
膝をついた状態で、男がアストロの手を掴み、お礼を言う。アストロは手を払おうとしないが、男を半眼で見つめていた。男は気付かず、頻りにお礼を言っている。どう助けたものかと考えていると、アストロが手を払った。男はまさかの行動に驚愕で目を見張る。
「その湖にもう行きたいから良いかしら?」
「あ、ああ。それもそうだな。留めちまって済まなかった」
「いいえ」
アストロは手をひらひらとして返し、自身の荷物を手に取る。
「オレはあの酒場にいる。調査が終わったら、来てくれ」
「分かりました」
アレン達は予定していた南側ではなく、西側の門から外に出た。
アシドが何か毒々しい色をしたドリンクの入ったが手にしながらアストロに疑問をぶつける。
「何で受けたんだ? お前ってあぁいうので心動くタイプだったっけ」
「あら、私は乙女よ。愛って素敵じゃない?」
「コプロさんか?」
「止めなさい」
コストイラが誰かの名前を言うと、食い気味に言葉を遮る。アストロはコストイラを睨んでおり、その視線は人が殺せるほどだ。コプロが誰かは分からないが、質問ができる雰囲気ではない。
「悪かったよ」
「次は無言で魔術を撃つわ」
コストイラが両手を挙げ、降参のポーズをとると、アストロは左の人差し指でコストイラの額を叩く。
『これ、どうする?』
『得ればすごいお金になるよ』
『金属があればいい武器が作れるよ』
『おぉ! なるほど!』
湖に着くと確かに声が聞こえてきた。
「何というか気の抜けてくる会話ね」
「も、もっと怖いのを想像してました」
アストロは一筋の汗を流し、エンドローゼは自身の髪の先の白くなっている部分を触る。アシドが草を掻き分け、声の主を早速見つける。
「やっぱ精霊だな」
「こういう時はやっぱ精霊の仕業だよな」
『ウゲ』『見つかった』
精霊が2匹慌てて手にしていたものを離し、木の上に隠れる。
『あ、ヤベ』
『それは私達のだ。盗るなよ』
木の上から精霊が命令してくる。そもそもこれは何だ? アレンが白く大きな平べったい何かに触れる。冷たくて硬い。表面はつるつるしている。何だろう、何かの皮か鱗だろうか。
『盗るなっ!』
ザシュ。アレンの左手を矢が貫いた。
「ああっ!!!!?」
アレンは尻餅をつき、手首を強く握る。
「ま、ま、まだ抜かないでください! 止血、し、し、止血用の布と、し、し、縛るための紐! え、あ、は、早く!」
「アンタが焦るな。ほら、アレン。手首縛るわ」
「ぐ、う、はい」
アストロとエンドローゼは必死に治療に当たる。レイドは3人を守るように間に入る。コストイラとアシドは精霊に武器を向ける。向けはするが、敵対しているのかは分からない。理由は精霊側の様子だ。
『あ、あた、た、あ、当た、当た、あ、アたぁああ!!?』
『ちょ、何してんの!!?』
『だって、アイツら鱗を盗ろうとするかr、私だって威嚇のつもr、え、え、どう、え!!?』
『触れて調べてただけで盗ろうとしてなかったっぽいよ!!』
『えっっ!!!!?』
精霊たちも焦っていた。むしろあっちの方が焦っている。直情的に動いたらしい。精霊とはその程度だ。深いことを考えずに動く。稀に永く生きた精霊は相当な賢さを持つというが、これはそれに当てはまらない。一般的な馬鹿だ。
「あの鱗は何?」
『『うきゃああああああっっ!!?』』
いつの間にか精霊たちの隣にいたシキが質問すると、精霊たちは驚きのあまり木から落ち頭で着地する。
『あ』『え?』
落ちた場所が悪かった。精霊たちはアレン達が作る輪の中心にいた。精霊たちは互いに抱き合い、アレン達を震えながら見上げる。
『た、食べないでぇ……』
『りょ、凌辱しないでぇ……』
「りょ、凌辱……」
「しないけどよォ」
精霊たちの反応にさしものコストイラも困り顔を見せる。精霊たちは、状況を分かっているのか分かってないのか談笑している。凌辱って何って話をしている。2匹とも知らないとなると何で今の場面で言おうと思ったのか問い質したくなるな。
ザバリと湖から何かが出てきた。
『グルゥ』
龍が力なく鳴いた。コストイラが抜こうとして止める。この龍には見覚えがあった。
その龍には頭部から見えている体まで傷がついている。おそらく、見えていない尾の方にまで続いているだろう。
このホーリードラゴンは魔王軍の元で出会った個体だ。
冒険者よりもいかつく、タトゥーだらけの男が呼び止める。
「何でしょうか?」
「実はこの先にある湖によく娘とピクニックに行くんだが、そこでいつも変な声が聞こえるんだ。調査してほしい」
「えっと」
「頼むよっ!」
男が両手を合わせ、お願いしてくる。
「どうしますか?」
「う、受けましょう」
「む、娘が恐がっているんだ。頼むよ」
コストイラが困った顔で頬を搔き、アストロを見る。
「娘のために?」
「あぁ」
「そう。愛された子なのね」
「あ?」
どこか、アストロの中に闇が垣間見えた気がした。しかし、奥にまで突っ込む勇気がないので胸にしまい込んでおく。
「受けましょう」
「ありがとう」
膝をついた状態で、男がアストロの手を掴み、お礼を言う。アストロは手を払おうとしないが、男を半眼で見つめていた。男は気付かず、頻りにお礼を言っている。どう助けたものかと考えていると、アストロが手を払った。男はまさかの行動に驚愕で目を見張る。
「その湖にもう行きたいから良いかしら?」
「あ、ああ。それもそうだな。留めちまって済まなかった」
「いいえ」
アストロは手をひらひらとして返し、自身の荷物を手に取る。
「オレはあの酒場にいる。調査が終わったら、来てくれ」
「分かりました」
アレン達は予定していた南側ではなく、西側の門から外に出た。
アシドが何か毒々しい色をしたドリンクの入ったが手にしながらアストロに疑問をぶつける。
「何で受けたんだ? お前ってあぁいうので心動くタイプだったっけ」
「あら、私は乙女よ。愛って素敵じゃない?」
「コプロさんか?」
「止めなさい」
コストイラが誰かの名前を言うと、食い気味に言葉を遮る。アストロはコストイラを睨んでおり、その視線は人が殺せるほどだ。コプロが誰かは分からないが、質問ができる雰囲気ではない。
「悪かったよ」
「次は無言で魔術を撃つわ」
コストイラが両手を挙げ、降参のポーズをとると、アストロは左の人差し指でコストイラの額を叩く。
『これ、どうする?』
『得ればすごいお金になるよ』
『金属があればいい武器が作れるよ』
『おぉ! なるほど!』
湖に着くと確かに声が聞こえてきた。
「何というか気の抜けてくる会話ね」
「も、もっと怖いのを想像してました」
アストロは一筋の汗を流し、エンドローゼは自身の髪の先の白くなっている部分を触る。アシドが草を掻き分け、声の主を早速見つける。
「やっぱ精霊だな」
「こういう時はやっぱ精霊の仕業だよな」
『ウゲ』『見つかった』
精霊が2匹慌てて手にしていたものを離し、木の上に隠れる。
『あ、ヤベ』
『それは私達のだ。盗るなよ』
木の上から精霊が命令してくる。そもそもこれは何だ? アレンが白く大きな平べったい何かに触れる。冷たくて硬い。表面はつるつるしている。何だろう、何かの皮か鱗だろうか。
『盗るなっ!』
ザシュ。アレンの左手を矢が貫いた。
「ああっ!!!!?」
アレンは尻餅をつき、手首を強く握る。
「ま、ま、まだ抜かないでください! 止血、し、し、止血用の布と、し、し、縛るための紐! え、あ、は、早く!」
「アンタが焦るな。ほら、アレン。手首縛るわ」
「ぐ、う、はい」
アストロとエンドローゼは必死に治療に当たる。レイドは3人を守るように間に入る。コストイラとアシドは精霊に武器を向ける。向けはするが、敵対しているのかは分からない。理由は精霊側の様子だ。
『あ、あた、た、あ、当た、当た、あ、アたぁああ!!?』
『ちょ、何してんの!!?』
『だって、アイツら鱗を盗ろうとするかr、私だって威嚇のつもr、え、え、どう、え!!?』
『触れて調べてただけで盗ろうとしてなかったっぽいよ!!』
『えっっ!!!!?』
精霊たちも焦っていた。むしろあっちの方が焦っている。直情的に動いたらしい。精霊とはその程度だ。深いことを考えずに動く。稀に永く生きた精霊は相当な賢さを持つというが、これはそれに当てはまらない。一般的な馬鹿だ。
「あの鱗は何?」
『『うきゃああああああっっ!!?』』
いつの間にか精霊たちの隣にいたシキが質問すると、精霊たちは驚きのあまり木から落ち頭で着地する。
『あ』『え?』
落ちた場所が悪かった。精霊たちはアレン達が作る輪の中心にいた。精霊たちは互いに抱き合い、アレン達を震えながら見上げる。
『た、食べないでぇ……』
『りょ、凌辱しないでぇ……』
「りょ、凌辱……」
「しないけどよォ」
精霊たちの反応にさしものコストイラも困り顔を見せる。精霊たちは、状況を分かっているのか分かってないのか談笑している。凌辱って何って話をしている。2匹とも知らないとなると何で今の場面で言おうと思ったのか問い質したくなるな。
ザバリと湖から何かが出てきた。
『グルゥ』
龍が力なく鳴いた。コストイラが抜こうとして止める。この龍には見覚えがあった。
その龍には頭部から見えている体まで傷がついている。おそらく、見えていない尾の方にまで続いているだろう。
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