メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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8.魔王インサーニアを討て

27.山巌の塔

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 巨巌。そう巨巌だ。8メートルはある岩のようなものがゴロゴロ転がっている。地の塔と呼ぶのにふさわしい庭だ。そしてそのことが気にならないほどの敵が目の前にいた。



 グラントプスだ。岩と同じ色をしているため、気付くのが遅れてしまった。しかし、向こうが仕掛けてこない。こちらをずっと窺っていた。グラントプスは硬い。それに攻撃力もある。無策で仕掛けられるほど、簡単ではない。その証拠にコストイラでさえ特攻せずに動きを窺っている。



『フルルルルル』



 低く唸るとグラントプスはゆっくりと足を前に出す。ゴクリと唾をのむ。体が動かない。気迫に身を固めたわけではない。どう動けばいいのか分からないのだ。グラントプスから感じられるのは敵意でも殺意でもない。なぜか怯え、そして恐怖。しかもそれらの感情がこちらに向いていない。



 倒すべきなのか。いや、相手は魔物だ。倒さなければならない。問題はこちらがどう動くかだ。どのタイミングで動くかだ。



 グラントプスは罠だ。無理やり向かわせられているからこそ怯えているのだろう。ならば、仕掛けないほうが得策か。



 グラントプスの横にある岩の上がきらりと光った。次の瞬間、グラントプスの首が飛んだ。斧だ。斧が首を絶ったのだ。斧は鋼の部分だけでもレイドの身長ほどはある。地面は罅割れており、強力な一撃だったことが物語られている。



 ズゴリと斧が地面から解放される。



『ブフォオオオ』



 一歩ごとに地面が揺れる。身長は5メートルほどだが、威圧感があり、体感では8メートルはあるように見える。見るからに筋骨隆々で斬りづらさがありありと示されている。浮き出ている血管がさらに力強さを増させていた。



『フシューー』



 牛頭人体の魔物が立ちはだかった。

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