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8.魔王インサーニアを討て
2.死神が屯する湿原
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アレン達は山道を歩いていた。
下り道は登り道以上に注意しなければならない。つんのめった時、転ぶだけではなく転げ落ちてしまうのだ。ゆえに一人一人が慎重に、確実に下っていた。山の中腹に来たあたりで湿原が広がっていた。
この山は人里側は斜め状になっているが、魔王領側は段々になっているらしい。そんな上から数えて一段目は湿原のようだ。入り口からでも浮遊している数匹の魔物が見えた。バランスボールほどの大きさの顔からそれぞれ一対に翼と腕が生えていた。足は存在していない。完璧な一頭身である。
ホロゴーストのような霊魂ではなく、どうやらあれで実体らしい。大鎌を両手に携える幽霊擬きはいまだ攻撃してこない。こちらに気付いているようだが、縄張りに入っていないからか、様子を窺うだけで向かってこない。
遠距離攻撃がどれほど有効なのか分からないが、試してみる価値はある。アレンはアストロに目配せする。アストロも意図を察したようで魔力を指先に集めていく。幽霊擬きは攻撃の兆しを察知し、警戒態勢を取る。こちらに近付く意思はないようだ。それならば都合がいい。十分に集中し、十分に狙いを定める。
矢は真っ直ぐに幽霊擬きへ向かい、そして弾かれる。うん、そうだよね。レベルは10ほども違うもんな。そんな情けないフォローを自分にしていると、レベルのそう変わらないアストロの炎の柱が直撃して大ダメージを与えていく。目が合う。どやぁ。何とも言えない敗北感が来なかった。受け入れたからだろうか。
「よっしゃ、いくぜ」
アシド達が湿原に足を踏み入れる。幽霊擬きたちは一斉にこちらに振り向く。縄張り意識が強すぎる気がする。幽霊擬きことグリムリーパーは前述のとおり脚がない。ゆえに湿原でも移動は早く、戦闘が通常とは異なる。ゆらゆらと揺れるがため相手にしづらいが、そんなのお構いなしにコストイラは突っ込む。首を狩ろうとする大鎌を斬り、そのままの勢いで回り始める。
刃の先に灯る炎は回転に合わせ渦を作っていく。グリムリーパーたちは炎を嫌がり遠ざかる。2匹はそのまま炎に両断される。逃げるのに必死で周りが見えない。
「残念」
後ろから槍で串刺しにされる。周りが槍の根元を見ようと振り返ると、額にナイフが刺さる。見事な早業であった。
湿原を越えると、下りの山道が再び姿を現す。先には森が見え、その先もまだまだありそうだ。ここまで下りると、塔の先端が見えなくなる。もう一つ、こちらは山ではなく峠があり、それが塔を隠していた。上り坂があるのは確実か。見ていると、一頭の魔物と眼があった気がした。鷲の頭に獅子の体。有名な魔物、グリフォンだ。しかし、そこから動く気配がない。大丈夫だろうか。
アレン達は山道を下る。
下り道は登り道以上に注意しなければならない。つんのめった時、転ぶだけではなく転げ落ちてしまうのだ。ゆえに一人一人が慎重に、確実に下っていた。山の中腹に来たあたりで湿原が広がっていた。
この山は人里側は斜め状になっているが、魔王領側は段々になっているらしい。そんな上から数えて一段目は湿原のようだ。入り口からでも浮遊している数匹の魔物が見えた。バランスボールほどの大きさの顔からそれぞれ一対に翼と腕が生えていた。足は存在していない。完璧な一頭身である。
ホロゴーストのような霊魂ではなく、どうやらあれで実体らしい。大鎌を両手に携える幽霊擬きはいまだ攻撃してこない。こちらに気付いているようだが、縄張りに入っていないからか、様子を窺うだけで向かってこない。
遠距離攻撃がどれほど有効なのか分からないが、試してみる価値はある。アレンはアストロに目配せする。アストロも意図を察したようで魔力を指先に集めていく。幽霊擬きは攻撃の兆しを察知し、警戒態勢を取る。こちらに近付く意思はないようだ。それならば都合がいい。十分に集中し、十分に狙いを定める。
矢は真っ直ぐに幽霊擬きへ向かい、そして弾かれる。うん、そうだよね。レベルは10ほども違うもんな。そんな情けないフォローを自分にしていると、レベルのそう変わらないアストロの炎の柱が直撃して大ダメージを与えていく。目が合う。どやぁ。何とも言えない敗北感が来なかった。受け入れたからだろうか。
「よっしゃ、いくぜ」
アシド達が湿原に足を踏み入れる。幽霊擬きたちは一斉にこちらに振り向く。縄張り意識が強すぎる気がする。幽霊擬きことグリムリーパーは前述のとおり脚がない。ゆえに湿原でも移動は早く、戦闘が通常とは異なる。ゆらゆらと揺れるがため相手にしづらいが、そんなのお構いなしにコストイラは突っ込む。首を狩ろうとする大鎌を斬り、そのままの勢いで回り始める。
刃の先に灯る炎は回転に合わせ渦を作っていく。グリムリーパーたちは炎を嫌がり遠ざかる。2匹はそのまま炎に両断される。逃げるのに必死で周りが見えない。
「残念」
後ろから槍で串刺しにされる。周りが槍の根元を見ようと振り返ると、額にナイフが刺さる。見事な早業であった。
湿原を越えると、下りの山道が再び姿を現す。先には森が見え、その先もまだまだありそうだ。ここまで下りると、塔の先端が見えなくなる。もう一つ、こちらは山ではなく峠があり、それが塔を隠していた。上り坂があるのは確実か。見ていると、一頭の魔物と眼があった気がした。鷲の頭に獅子の体。有名な魔物、グリフォンだ。しかし、そこから動く気配がない。大丈夫だろうか。
アレン達は山道を下る。
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