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6.紅い館
4.湖を見下ろす塔
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人工の道は意外にも短く、終着点にはすぐに着くこととなった。そこには一つの塔があった。苔がところどころに生えた石造りの塔は見下ろすように佇んでいた。休めるような場所かどうか微妙な施設のせいでアレンは殴られるかどうかの瀬戸際に追い込まれドキドキが止まらず、アストロに関しては嬉しそうに拳を撫で始めた。アストロは殴るかどうかの判断を中の状態に任せることにして中に入っていった。
塔の中は狭かった。古びた絨毯が石の床にどこまでも敷かれ、通路の壁には埃を被った絵画や破れた地図までかけられていた。まるで貴族の所属している軍隊が使う監視塔に迷い込んだかのようだ。
螺旋階段を上りながら左右にときどき現れる扉を開け、中を確認する。何もない。正確に言えば家具や金が見えるが人の気配がない。そしてアレンにとって一番の問題が、家具が壊れていることだ。部屋はあるのに休めそうにない。このままでは殴られてしまうかもしれない。アレンの後ろでは殴れそうな雰囲気だからか、アストロの機嫌がいい。
めぼしいものが見つからないまま、アレン達は頂上に着いてしまう。
まずい。休める場所と言い張るには弱すぎる証拠しかない。アストロの拳は避けなければなるまい。何がここまでの恐怖を生むのかといえば、その指輪だ。指輪を嵌めているので拳は凶器だ。アストロはとてもいい笑顔で拳のアピールしている。
『キィエエエエ!!』
このやりとりを遮ったのは魔物の甲高い声だった。上から降り注ぐ声の正体は鷲のような見た目をしていた。炯炯と輝くオレンジの眼は正しく弱者の姿を見極めていた。
『キュウイ』
エンドローゼに攻撃することを決めたアックスビークは一度鳴き声を出すと、後方に一回転する。そして、その場で高速に回転し始め、ドリルのように突進する。エンドローゼは恐怖で身を固くする。レイドはエンドローゼの前に立ち、攻撃を楯で防ごうとする。しかし、その威力は楯を貫通してレイドの腹筋に辿り着くほどである。
アシドが槍で突く前に、大鷲は羽ばたき、空へと逃げる。
レイドは腹を押さえながら膝をついた。楯を見るが、楯は壊れていない。何の攻撃が当たったのか?レイドは傷む体で考える。
アックスビークは旋回しながら次の攻撃の機会を窺う。アレンが矢を射るが、アックスビークは悠々と躱していく。そして、再びドリルのように回転し始める。レイドは一度腹を撫で楯を構える。アックスビークは一気に速度をつけ、突進してくる。アックスビークの嘴が楯に当たるのと同時にレイドは横に跳ぶ。
支えを失った楯は大鷲と共に地を滑り、石畳の出っ張りに突っかかり大鷲は体勢を崩す。羽を大きく動かし、体勢を戻そうとするが、その前にアシドが翼を叩く。大きく対称性を失ったアックスビークはうまく空へ飛び立てない。石畳に爪を立てるが、よろめいてしまう。
大鷲は前傾姿勢になっており、コストイラは介錯待ちの罪人に見立て、その首に刀を振り下ろす。アストロは血で汚れた石畳を見つめて口角を歪める。悪い笑みのままアレンを見る。
「分かってるわよね」
「や、休めますよ?」
誰もが二度見をするほどにいい笑顔に変わったアストロが怖いことを言ってくるが、アレンはめげずに上擦った声で難を逃れようとする。どうにかして拳を回避しようと強引の論法の説得で押し切ろうとするが、アストロにはそんな小手先通用しない。笑顔のまま近付いてくるアストロに、アレンは説得を諦めた。
「最初っから素直に殴られておけばいいのよ」
「優しくお願いしますね」
「あんまり殴ったことないから手加減が分からないわ」
指輪は頬にめり込み、切り裂いた。
塔の中は狭かった。古びた絨毯が石の床にどこまでも敷かれ、通路の壁には埃を被った絵画や破れた地図までかけられていた。まるで貴族の所属している軍隊が使う監視塔に迷い込んだかのようだ。
螺旋階段を上りながら左右にときどき現れる扉を開け、中を確認する。何もない。正確に言えば家具や金が見えるが人の気配がない。そしてアレンにとって一番の問題が、家具が壊れていることだ。部屋はあるのに休めそうにない。このままでは殴られてしまうかもしれない。アレンの後ろでは殴れそうな雰囲気だからか、アストロの機嫌がいい。
めぼしいものが見つからないまま、アレン達は頂上に着いてしまう。
まずい。休める場所と言い張るには弱すぎる証拠しかない。アストロの拳は避けなければなるまい。何がここまでの恐怖を生むのかといえば、その指輪だ。指輪を嵌めているので拳は凶器だ。アストロはとてもいい笑顔で拳のアピールしている。
『キィエエエエ!!』
このやりとりを遮ったのは魔物の甲高い声だった。上から降り注ぐ声の正体は鷲のような見た目をしていた。炯炯と輝くオレンジの眼は正しく弱者の姿を見極めていた。
『キュウイ』
エンドローゼに攻撃することを決めたアックスビークは一度鳴き声を出すと、後方に一回転する。そして、その場で高速に回転し始め、ドリルのように突進する。エンドローゼは恐怖で身を固くする。レイドはエンドローゼの前に立ち、攻撃を楯で防ごうとする。しかし、その威力は楯を貫通してレイドの腹筋に辿り着くほどである。
アシドが槍で突く前に、大鷲は羽ばたき、空へと逃げる。
レイドは腹を押さえながら膝をついた。楯を見るが、楯は壊れていない。何の攻撃が当たったのか?レイドは傷む体で考える。
アックスビークは旋回しながら次の攻撃の機会を窺う。アレンが矢を射るが、アックスビークは悠々と躱していく。そして、再びドリルのように回転し始める。レイドは一度腹を撫で楯を構える。アックスビークは一気に速度をつけ、突進してくる。アックスビークの嘴が楯に当たるのと同時にレイドは横に跳ぶ。
支えを失った楯は大鷲と共に地を滑り、石畳の出っ張りに突っかかり大鷲は体勢を崩す。羽を大きく動かし、体勢を戻そうとするが、その前にアシドが翼を叩く。大きく対称性を失ったアックスビークはうまく空へ飛び立てない。石畳に爪を立てるが、よろめいてしまう。
大鷲は前傾姿勢になっており、コストイラは介錯待ちの罪人に見立て、その首に刀を振り下ろす。アストロは血で汚れた石畳を見つめて口角を歪める。悪い笑みのままアレンを見る。
「分かってるわよね」
「や、休めますよ?」
誰もが二度見をするほどにいい笑顔に変わったアストロが怖いことを言ってくるが、アレンはめげずに上擦った声で難を逃れようとする。どうにかして拳を回避しようと強引の論法の説得で押し切ろうとするが、アストロにはそんな小手先通用しない。笑顔のまま近付いてくるアストロに、アレンは説得を諦めた。
「最初っから素直に殴られておけばいいのよ」
「優しくお願いしますね」
「あんまり殴ったことないから手加減が分からないわ」
指輪は頬にめり込み、切り裂いた。
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