60 / 407
4.ナカウへの道
4.遺跡の秘宝
しおりを挟む
「げへっげほっげは!」
口の中に砂が入り、目を覚ます。何度も唾を吐くが口の中にある砂の感覚が消えない。顔中、いや体中が砂だらけでうんざりする。いくら払っても砂が付き纏っている。体中が痛みを発している。
「他のみんなは?」
ようやく体が動くようになりゆっくりとだが、立ち上がる。自分に覆い被さっていた砂が分かれていく。乗っていた砂が重く、どかしただけでも相当力を要した。
未だに砂が頭上から滝のように流れ落ちてきている。というか、あそこから落ちたのか。高さにして7メートルはあるか。よく無事だったな。
アレンは自身の瞳に魔力を込める。
「皆さんは…………あ、いた」
見えるステータスが5人。手やら脚やらが飛び出しているので見つけることができた。一人だけ見つけられない。誰だ?コストイラか。アレンはコストイラを見つける前に見つけた5人を起こしていく。アストロを引っ張り出していると、アシドとシキが自力で脱出してくる。そのまま、レイドも引っ張り出すと、エンドローゼも引っ張り出す。エンドローゼは気絶しているので、砂山に凭れさせておく。
「コストイラがまだ砂の中?」
「はい」
「手分けして探すしかねェか」
手掛かりのない状態で探すのはさすがに困難を極める。
「くっそ。あいつどこ行ったんだよ」
「迷惑かけやがって」
幼馴染の2人は悪態をつきながら砂を掘る。
コツと何かが手に当たる。掘り起こしてみるとステンノ―が装備していた楯だ。あの崩落ではアレン達だけではなく魔物達も落ちてきていたようだ。もしかしたらまだ生きている魔物を見つけるかもしれない。皆に伝えなければ。
アレンが身を起こそうとすると、アシドの声が響く。
「誰だ?」
アレン達が落ちてきた空間には、天井の崩落跡以外に出入口は一つしか存在しない。その出入り口に一つの影があった。
それは僧侶のような法衣を身に纏い、165センチメートルほどの身長をした紫色の骸骨だ。確か、この魔物の名前はスカルプリーストだったか。スカルプリーストのような人型の魔物は遺跡や史跡のような場所に出やすい。ということはここは何かの施設か何かなのだろうか。
足場を安定させるために一時的に砂山を降りる。
『グゥオ』
スカルプリーストは似合わぬ野太い声を出し、右手を差し出す。
何か来る。アレン達が身構えると、アレン達の後ろから何かが飛んでくる。それは見事にスカルプリーストの右手を切断する。
『ヌゥウウウウウンッ!!』
スカルプリーストは悶え、蹲るが、シキが止めを刺す。スカルプリーストの右手を飛ぼしたのは斧。その斧を投げた犯人は砂の山の上にいた。ボロボロで、血を流し、それでもなお生きようとするステンノ―がいた。
『フゥ、フゥ、フゥ』
興奮した様子のステンノ―は砂にまみれた斧を引き抜く。
ここは足元の悪い砂山。敵の元へ駆けて行こうにも足が取られ、滑らせ、格好の的になってしまう。ここは一発、遠距離射撃が有効か?
アレンは頭をフル回転させていると、ステンノ―の足元の砂がモコリと盛り上がる。
「だ~らっしゃああぁ―――!!!!」
炎を纏い、突き上げた刀にステンノ―を串刺しにしながら燃える男、コストイラが帰還する。
「太陽は死なない。再び昇るのだな」
レイドが何か宗教的なことを言っているが、レイドはエリオ教なのだろうか。
コストイラを治療すると、移動を始める。
「なんていうか、人の手が入っているな」
アシドの抱いた感想に皆が賛同する。綺麗に並べられた石。自然には形成されない不自然な通路。そして、目の前の宝箱。
「何が入ってんだろうな」
コストイラが近付いていく。アレンが何となく瞳に魔力を込め、宝箱を見てみる。もしかしたら中身が見えるかもしれない。
「え?コストイラさん、危ない!」
「は?」
アレンは制止を促したが時すでに遅し。コストイラは箱を開けてしまった。
『ハァアア』
中から勢いよく半透明の幽霊のような魔物が飛び出す。コストイラは居合で応戦しようとするが、間に合わない。しかし、ミミック側も完全なるアンブッシュに成功したわけではない。ミミックの攻撃をコストイラは偶然にも右腕でガードすることに成功する。
「すみません。もう少し早く止められていれば」
「むしろありがとよ。言われたから反応できた」
アレンの謝罪に優しく返すコストイラは抜いた刀をミミックに向け構える。
「よくも騙してくれやがったな」
コストイラが今一度ミミックを見ると、ミミックは燃えていた。
「あれェ~~~~???」
「全面的にアンタが悪い」
コストイラはまたしても活躍を奪われたのだ。コストイラは悲しそうな顔をするが、こんなことではめげない。次がある。そんなことを思いながら刀を収めた。こめかみや口の端をひくつかせながら。
口の中に砂が入り、目を覚ます。何度も唾を吐くが口の中にある砂の感覚が消えない。顔中、いや体中が砂だらけでうんざりする。いくら払っても砂が付き纏っている。体中が痛みを発している。
「他のみんなは?」
ようやく体が動くようになりゆっくりとだが、立ち上がる。自分に覆い被さっていた砂が分かれていく。乗っていた砂が重く、どかしただけでも相当力を要した。
未だに砂が頭上から滝のように流れ落ちてきている。というか、あそこから落ちたのか。高さにして7メートルはあるか。よく無事だったな。
アレンは自身の瞳に魔力を込める。
「皆さんは…………あ、いた」
見えるステータスが5人。手やら脚やらが飛び出しているので見つけることができた。一人だけ見つけられない。誰だ?コストイラか。アレンはコストイラを見つける前に見つけた5人を起こしていく。アストロを引っ張り出していると、アシドとシキが自力で脱出してくる。そのまま、レイドも引っ張り出すと、エンドローゼも引っ張り出す。エンドローゼは気絶しているので、砂山に凭れさせておく。
「コストイラがまだ砂の中?」
「はい」
「手分けして探すしかねェか」
手掛かりのない状態で探すのはさすがに困難を極める。
「くっそ。あいつどこ行ったんだよ」
「迷惑かけやがって」
幼馴染の2人は悪態をつきながら砂を掘る。
コツと何かが手に当たる。掘り起こしてみるとステンノ―が装備していた楯だ。あの崩落ではアレン達だけではなく魔物達も落ちてきていたようだ。もしかしたらまだ生きている魔物を見つけるかもしれない。皆に伝えなければ。
アレンが身を起こそうとすると、アシドの声が響く。
「誰だ?」
アレン達が落ちてきた空間には、天井の崩落跡以外に出入口は一つしか存在しない。その出入り口に一つの影があった。
それは僧侶のような法衣を身に纏い、165センチメートルほどの身長をした紫色の骸骨だ。確か、この魔物の名前はスカルプリーストだったか。スカルプリーストのような人型の魔物は遺跡や史跡のような場所に出やすい。ということはここは何かの施設か何かなのだろうか。
足場を安定させるために一時的に砂山を降りる。
『グゥオ』
スカルプリーストは似合わぬ野太い声を出し、右手を差し出す。
何か来る。アレン達が身構えると、アレン達の後ろから何かが飛んでくる。それは見事にスカルプリーストの右手を切断する。
『ヌゥウウウウウンッ!!』
スカルプリーストは悶え、蹲るが、シキが止めを刺す。スカルプリーストの右手を飛ぼしたのは斧。その斧を投げた犯人は砂の山の上にいた。ボロボロで、血を流し、それでもなお生きようとするステンノ―がいた。
『フゥ、フゥ、フゥ』
興奮した様子のステンノ―は砂にまみれた斧を引き抜く。
ここは足元の悪い砂山。敵の元へ駆けて行こうにも足が取られ、滑らせ、格好の的になってしまう。ここは一発、遠距離射撃が有効か?
アレンは頭をフル回転させていると、ステンノ―の足元の砂がモコリと盛り上がる。
「だ~らっしゃああぁ―――!!!!」
炎を纏い、突き上げた刀にステンノ―を串刺しにしながら燃える男、コストイラが帰還する。
「太陽は死なない。再び昇るのだな」
レイドが何か宗教的なことを言っているが、レイドはエリオ教なのだろうか。
コストイラを治療すると、移動を始める。
「なんていうか、人の手が入っているな」
アシドの抱いた感想に皆が賛同する。綺麗に並べられた石。自然には形成されない不自然な通路。そして、目の前の宝箱。
「何が入ってんだろうな」
コストイラが近付いていく。アレンが何となく瞳に魔力を込め、宝箱を見てみる。もしかしたら中身が見えるかもしれない。
「え?コストイラさん、危ない!」
「は?」
アレンは制止を促したが時すでに遅し。コストイラは箱を開けてしまった。
『ハァアア』
中から勢いよく半透明の幽霊のような魔物が飛び出す。コストイラは居合で応戦しようとするが、間に合わない。しかし、ミミック側も完全なるアンブッシュに成功したわけではない。ミミックの攻撃をコストイラは偶然にも右腕でガードすることに成功する。
「すみません。もう少し早く止められていれば」
「むしろありがとよ。言われたから反応できた」
アレンの謝罪に優しく返すコストイラは抜いた刀をミミックに向け構える。
「よくも騙してくれやがったな」
コストイラが今一度ミミックを見ると、ミミックは燃えていた。
「あれェ~~~~???」
「全面的にアンタが悪い」
コストイラはまたしても活躍を奪われたのだ。コストイラは悲しそうな顔をするが、こんなことではめげない。次がある。そんなことを思いながら刀を収めた。こめかみや口の端をひくつかせながら。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる