メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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3.魔法の森

7.川沿いの渓谷

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 森の中を進んでいると、少し開けた場所に出てきた。太陽の光を全身に浴びるようにコストイラが伸びをする。すでに森の中で1週間が経過しており、野宿が習慣になっていた。とはいえ、ずっとしていると体が固くなる。



「水の匂いがするな」



 アシドが声を弾ませて言う。昨日の夜は水が見つからず体を洗えずに日を跨いでしまったので、水があるだけで少し嬉しい。



 鼻に集中してみると、確かに水の匂いがする。近くに水源か、川かがあるのだろう。綺麗な水を求めて向かうことにした。



「久しぶりに海に出てェなァ」



 アシドは昔を思い出すように少し上を向いて発言する。すごくしみじみとしている。何か未練があるのだろうか。



「行ったことあるんですか?」



「当たり前だろ。オレは漁師の家系だぜ。何度も入っている」



 アレンはアシドの発言を聞き、少し考える。



「どうした?」



「いえ。僕たちは互いに何も知らないですね」



 アシドも世襲制の第1産業出身だったなんて知らなかった。いや、そもそも皆の出自を知らない。同じ村のシキですらどんなことをして育ったのかを知らない。



「確かにな。オレもコストイラもアストロもどっちの過去も知らねェ。会ってからのあいつらしか知らねェな」



「互いに知っていた方が良いメリットってなんだ」



「連携がとりやすくなると思うんですよね」



「あぁ、成る程。知ってんのと知らんのじゃ大違いか」



 アレンの呟きに自らの見解を加え、納得する。



 がさりと叢が鳴る。



「そんな時間はないようだな」



 草の陰から現れたのはヴァイパー。威嚇音を出しながら近付いてくる。アストロはその姿を見て溜め息を吐く。



「ねぇ。目的地までの迂回路ってないの?」



 アストロが聞いてくる気持ちも分かる。しかし、回り道をしようとすると、一度森を出るところまで戻らなければならない。1週間もまたかけるのは避けたい。迷子を覚悟で横道に逸れるのを容認するのなら迂回路は開拓できるが。それは非常に現実的ではない。



 ゆえに、目の前の海蛇の海を抜けていかなければならない。よく見るとヴァイパーだけでなく、エルダーサーペントもいた。



「前に進むしか道はねェってことだな」



 コストイラは刀を抜き、1匹のヴァイパーを斬る。そして、アストロの炎柱によって戦いが始まりを告げた。















 何匹かの焼き蛇ができていくが構わず噛みついてくる。数が多いため、長引かせると不利なのはこっちだ。一回の攻撃で確実に一匹以上を倒さなければ数に押されてしまう。



 コストイラ、アシド、シキは前線で海蛇たちを斬り続ける。アストロは遠くから魔術を撃ち数を減らしていく。アレンも矢を放つが一切当たらない。何で?レイドは後衛の前に立ち、前線から抜けてきたヴァイパーを仕留めていく。エンドローゼは細かく傷を作っていく前線3人を中心に癒していく。



 コストイラの左腕に噛みついたヴァイパーをアシドが斬り、アシドに噛みついたヴァイパーをコストイラが斬る。



「圧倒的不条理。絶望的理不尽。確定的逆境。良いね。燃えてくるぜっ!」



「あっつ!」



 物理的に燃え始めたコストイラの火に当てられ、アシドが暑がる。



 シキはどこ吹く風だ。



 エルダーサーペント。ヴァイパーだけであったなら一撃必殺を続けていられただろう。しかし、エルダーサーペントは硬かった。体の3分の1が斬られてもまだ動いてる。



 しかし、前線を下げるわけにはいかない。だから――――。



「後ろ、頼んだ」



「任せろ!」



 頼ることにした。



 戦っているのは自分だけではない。大剣が大蛇の首を斬り飛ばしてみせ、返答する。
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