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2.癒院
9.不法投棄物
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「祠ですか?」
アレンはオレリアから指名依頼を受け取っていた。依頼主は知らない名前だったが、このあたりでは名の知れた行商人らしい。どうやら依頼にある祠が行商を行うのに邪魔だということだ。それだけで、とも思ったが、怪しい道だからという理由で通りたがらない行商人が増えて治癒院は赤字になりかけているらしい。
「何をすればいいんですか?」
「調査をして、危険があれば排除してください」
「成る程。分かりました」
アレンは羊皮紙を懐に入れる。
「それではよろしくお願いいたします」
アレンはオレリアに見送られ、ギルドを出て行く。
街道に出るまでの間に多くの文句を頂戴した。アレンは少し肩を落としている。エンドローゼはアレンになんて声を掛けていいのか分からず、オタオタしてしまう。
「なぁ」
コストイラが街道の途中で立ち止まる。
「変な臭いしねェか?」
言われて、皆がすんすんと鼻を鳴らす。確かに変な臭いだ。というより嫌な臭いだ。生ごみのような、何かが腐ったようなそんな臭いが鼻を支配する。
「誰かがごみでも捨てたのか?」
コストイラが叢に近付き、掻き分け覗き込む。
首を横に振る。何もないようだ。どこから臭いがしているのだろう。コストイラはさらに奥に進む。
「おい、コストイラ。深追いすんなよ?って聞こえてないや」
アシドが呼び止めようとするが、止まらない。仕方ないとばかりにアレン達はコストイラに追従する。
暫く歩くと臭いの原因に辿り着く。魔物の死体だ。それも適切な処理のされていない死体だ。通常、死体は埋めるか燃やすかして処理をする。悪臭のもとになり、さらに魔物の餌になりもしかしたら数を増やす原因になってしまうかもしれない。冒険者になると、受付嬢から真っ先に教えられることの一つだ。
しかし、この魔物は木に吊るされていた。
何かを呼ぶ餌なのか、何かを呼ぶ儀式なのか、その真相は分からないが、木に蔓で吊るされていた。
「気味が悪ィな。下ろすか?」
「何かの怒りを買いそうですし、そのままにしませんか?」
コストイラは下ろそうとしたが、アレンは怖くなり止める。他の者も2択で割れ、多数決でアレンの意見が採用される。コストイラ達はその場を後にした。
がさり。
『危なイトコろだっタ。下ロサれズニスンで良かった』
鉤のように先端の曲がった杖を持った魔物はそっと呟いた。
街道に戻ると、レイドが呟く。
「あんなところに水溜まりなんてあったか?」
見ると、向こう側に水溜まりがあった。昨日は雨が降っていたとはいえ、来るときに水溜まりがあった記憶はない。
「臭いに気を取られているから気付かなかったんじゃね」
コストイラの回答に皆が納得しようとする。先へ進もうとするコストイラに急襲が来る。すんでのところでコストイラは刀を抜き、弾き飛ばす。攻撃方法には水溜まりから体を出したルサールカがいた。花弁のような袖状の手を振るうと泡が出現し、発射される。エンドローゼやレイドなどの鈍足組は簡単に泡の餌食になる。
シキとアシドが疾走し始めると、ルサールカは泡の時とは反対の手を天へ向け、水飛沫を出す。その飛沫は噴水のようにルサールカの体の周りに落ちる。水のヴェールはそれ単体でも攻撃力があり、この運用方法であれば楯にもなれる。
しかし、アシドには関係ない。
槍はヴェールを貫き、ルサールカの体も貫く。水のヴェールが消えると、シキはナイフでルサールカの頭と胴を斬り分かつ。
シキが着地しようと地へ足を伸ばした時、シキの体が何かに弾き飛ばされた。
三面の仮面だ。
嬉、怒、哀の3つの感情を彫り刻まれた仮面が宙に浮いていた。
「シキさんっ」
エンドローゼが駆け寄る。その前をレイドが楯で守り固める。
「妙だな。この道って闇属性っていたのか?」
「出るなんて聞いてないですね」
「特異か変異か、はてまた怪異か。どうでもいいが変わんねェのは敵ってことだな」
「闇ってことは属性が効果覿面、有利なのは光か」
4人は三面仮面に立ち向かう。仮面の頭上から、晴れているにもかかわらず雷が落ちる。雷を含め、電気は光属性である。仮面は強者の面持ちであっさり退場した。
「嘘だろ」
コストイラは両膝を地に着けた。
「あれ?オレの出番は?」
「ねェよ」
コストイラはアシドに慰められるが肩を落とした。
アレンはオレリアから指名依頼を受け取っていた。依頼主は知らない名前だったが、このあたりでは名の知れた行商人らしい。どうやら依頼にある祠が行商を行うのに邪魔だということだ。それだけで、とも思ったが、怪しい道だからという理由で通りたがらない行商人が増えて治癒院は赤字になりかけているらしい。
「何をすればいいんですか?」
「調査をして、危険があれば排除してください」
「成る程。分かりました」
アレンは羊皮紙を懐に入れる。
「それではよろしくお願いいたします」
アレンはオレリアに見送られ、ギルドを出て行く。
街道に出るまでの間に多くの文句を頂戴した。アレンは少し肩を落としている。エンドローゼはアレンになんて声を掛けていいのか分からず、オタオタしてしまう。
「なぁ」
コストイラが街道の途中で立ち止まる。
「変な臭いしねェか?」
言われて、皆がすんすんと鼻を鳴らす。確かに変な臭いだ。というより嫌な臭いだ。生ごみのような、何かが腐ったようなそんな臭いが鼻を支配する。
「誰かがごみでも捨てたのか?」
コストイラが叢に近付き、掻き分け覗き込む。
首を横に振る。何もないようだ。どこから臭いがしているのだろう。コストイラはさらに奥に進む。
「おい、コストイラ。深追いすんなよ?って聞こえてないや」
アシドが呼び止めようとするが、止まらない。仕方ないとばかりにアレン達はコストイラに追従する。
暫く歩くと臭いの原因に辿り着く。魔物の死体だ。それも適切な処理のされていない死体だ。通常、死体は埋めるか燃やすかして処理をする。悪臭のもとになり、さらに魔物の餌になりもしかしたら数を増やす原因になってしまうかもしれない。冒険者になると、受付嬢から真っ先に教えられることの一つだ。
しかし、この魔物は木に吊るされていた。
何かを呼ぶ餌なのか、何かを呼ぶ儀式なのか、その真相は分からないが、木に蔓で吊るされていた。
「気味が悪ィな。下ろすか?」
「何かの怒りを買いそうですし、そのままにしませんか?」
コストイラは下ろそうとしたが、アレンは怖くなり止める。他の者も2択で割れ、多数決でアレンの意見が採用される。コストイラ達はその場を後にした。
がさり。
『危なイトコろだっタ。下ロサれズニスンで良かった』
鉤のように先端の曲がった杖を持った魔物はそっと呟いた。
街道に戻ると、レイドが呟く。
「あんなところに水溜まりなんてあったか?」
見ると、向こう側に水溜まりがあった。昨日は雨が降っていたとはいえ、来るときに水溜まりがあった記憶はない。
「臭いに気を取られているから気付かなかったんじゃね」
コストイラの回答に皆が納得しようとする。先へ進もうとするコストイラに急襲が来る。すんでのところでコストイラは刀を抜き、弾き飛ばす。攻撃方法には水溜まりから体を出したルサールカがいた。花弁のような袖状の手を振るうと泡が出現し、発射される。エンドローゼやレイドなどの鈍足組は簡単に泡の餌食になる。
シキとアシドが疾走し始めると、ルサールカは泡の時とは反対の手を天へ向け、水飛沫を出す。その飛沫は噴水のようにルサールカの体の周りに落ちる。水のヴェールはそれ単体でも攻撃力があり、この運用方法であれば楯にもなれる。
しかし、アシドには関係ない。
槍はヴェールを貫き、ルサールカの体も貫く。水のヴェールが消えると、シキはナイフでルサールカの頭と胴を斬り分かつ。
シキが着地しようと地へ足を伸ばした時、シキの体が何かに弾き飛ばされた。
三面の仮面だ。
嬉、怒、哀の3つの感情を彫り刻まれた仮面が宙に浮いていた。
「シキさんっ」
エンドローゼが駆け寄る。その前をレイドが楯で守り固める。
「妙だな。この道って闇属性っていたのか?」
「出るなんて聞いてないですね」
「特異か変異か、はてまた怪異か。どうでもいいが変わんねェのは敵ってことだな」
「闇ってことは属性が効果覿面、有利なのは光か」
4人は三面仮面に立ち向かう。仮面の頭上から、晴れているにもかかわらず雷が落ちる。雷を含め、電気は光属性である。仮面は強者の面持ちであっさり退場した。
「嘘だろ」
コストイラは両膝を地に着けた。
「あれ?オレの出番は?」
「ねェよ」
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