メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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2.癒院

2.老獪な樹木

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 森はすでに暗くなってきていた。夜の森を歩くのは危険だ。これ以上進むのは厳しいだろう。



「今日はこのあたりで野宿しましょう」



「最近野宿ばっかね。治癒院まではあとどれくらいなの?」



「2,3日くらいですかね」



 この先、宿泊できる場所があるとも限らない。野宿が多くなるのだから今のうちから慣れておくべきだろう。



「とりあえず、寝れそうで休めそうな場所を探すか」



 コストイラの誘導で皆は移動を始める。



「どぅえっ!」



 アレンは唐突にド派手に転ぶ。



「どうした?」



「は。大丈夫か、アレン。めっちゃ派手に転んだけどよ」



 レイドが顔を覗き込んでくる。アレンの顔には泥や土がこびり付いている。拭おうとごしごしと拭くが、伸ばすだけで拭き取れない。アシドは面白くて堪らないという風に笑みを浮かべている。声は必死に我慢している。心配の声は少し震えている。失礼だと思ったが、逆の立場なら笑ってしまうかもしれないから何も言えない。



「鼻からいったので鼻血が出ていますし、頭もグワングワンしていますが、大丈夫です。歩けます。ところで、僕は何に転ばされたんですか?」



「あぁ、正体ならあれだぜ」



 アシドが槍で指す先には、コケ石のようなものがシキに刺されている光景が見えた。石をナイフで貫いていることにも驚いたが、もう一つ驚くことがある。



「え、瞬殺ですか?」



「まぁ、動かねェしな」



 アレンが驚愕するが、アシドはさも当然であるかのように返す。



「これ、石じゃない」



 シキにはアレンのもう一つの疑問などお見通しのようだ。



「石じゃないんですか?」



「これも魔物の体っぽいぞ」



 今度はコストイラが答える。コストイラは魔物の体を一部切り取り、見せてくる。石の外見に見せて、内面は肉肉しく、血が滴っている。プルプルしているので本当に柔らかそうだ。



「さ、野営の準備をしよう」



 コストイラは、肉片を燃やし、立ち上がり野営の準備を再開させる。















 森は静けさを取り戻す。



 アレン達は焚き火の周りで思い思いの場所に腰を落ち着け、寝ようとする。というか、アストロはもう寝ている。



「キャアアアアアッ!!」



 が!!寝かせてくれない。



 アストロは寝起きが悪いのか、表情が悪い。ぶちぎれている。



「今の誰?」



 顔の片方を覆いながら、アストロが低い声で尋ねる。アストロの安眠を妨害したのはエンドローゼの悲鳴だ。



 気持ちの荒れているアストロと共に向かうと、エンドローゼが木に逆さまに吊るされていた。必死にスカートを押さえながら、木を杖で叩いている。こっちからはどうすればいいのか。蔦を斬ればいいのだろうか。



 安眠を邪魔をするとは、許すまじダークトレント。アストロが血管を引くつかせている。



 ダークトレントは蔦をしならせ、鞭のように叩く。当てられたレイドは目をちかちかさせ、背中を押さえて、身を丸める。レイドの肉が削れている。



「これでどうだ!」



 コストイラが炎を纏った刀で斬り、蔦を燃やす。



 どさりと地面に落ち、エンドローゼは頭を抱え、ジタバタする。



「明かりはこれでいいか?」



 蔦が燃え、簡易的な灯りになる。闇夜の戦いに一点の光が灯る。



 これで見える。



 再びダークトレントは鞭のように蔦をしならせる。



 コッ。ダークトレントの蔦の根元に、小気味良い音と共にナイフが刺さる。少しだけ軌道がズレる。その少しで、コストイラは十分だった。



 蔦の下を通り抜け、炎を纏う刀はダークトレントに届く。



『ゴォオオオオオッッ!!』



 ダークトレントが叫ぶ。見事なまでに燃えながら。

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