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事実は小説より奇なり

サイコパス

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連続殺人犯を追う。

交番勤務早三年、
巡査部長となった僕は、
世間を騒がせている連続殺人犯の
詳しい調査をするべく、
毎日のように足を動かしている。

被害はこれで五件目。


一件目の被害者、34歳男性。
一人暮らしで未婚。
大企業の社長で、
裏社会との繋がりが見られる女と
交際をはじめたばかりだった。
死因は転落死。
崖から自殺したと見られていたが、
目撃者の証言から殺人と判明。
現場には転落死した被害者の血痕と、
地面にめり込まれた鋭い木の枝が発見された。
確かに、
自殺にしては不可解な点が多く見られた現場であった。
目撃者はそれから行方不明となっている。
犯人、未だ逃亡中。


二件目の被害者、40歳男性とその妻39歳、
娘16歳、ペットの柴犬。
一家殺害。
40歳男性は公務員。
企業や地域、役所内から、
多く恨みを買っている人物故に、
犯人探しは難航している。
現場調査の結果、犯人は午後7時の犯行後、
朝方まで潜伏していたと見られる。
食卓には冷めきった夕食が並べられており、
調査員であれど、
見ていられない心苦しい現場であった。
犯人、未だ逃亡中。


三件目の被害者、56歳男性。
タクシーの運転手。
都内の公園の茂みから遺体が発見された。
死因は毒死。
地域に馴染んだドライバーで人当たりも良く、
明るい人柄だったという。
ドライバーの使用していたタクシーは現場から600m離れた山奥で焼却されており、
犯人を示す手がかりは一切見つかっていない。
犯人、未だ逃走中。


四件目の被害者、33歳男性。
一件目の現場の目撃者。
自宅から離れたマンションの一室にて発見された。
死因は出血死。
鋭利な刃物で身体中を刺され、
目がくり抜かれており、
後頭部を鈍器で殴られた痕が発見された。
詳しい調査の結果、
犯人は右利きだということと、
男性であることが分かった。
犯人、未だ逃走中。


五件目の被害者、21歳女性。
四件目の被害者の向かいのマンションに住む大学生。
四件目の現場を目撃、
そして口封じの為殺害されたと見られている。
周囲の聞き込み調査の結果、
被害者は基本的だらしない生活をしており、
部屋からの異臭や、
ゴミのクレームが絶えなかったそうだ。
被害者の友人の証言によると、
部屋の中も足の踏み場もないほど散らかっていたと言う。
しかし、
現場は非常にきれいに整理整頓されており、
聞き込みとは正反対の印象を受けた。
死因は絞死。
素手で首を絞められたと見られる。
犯人、未だ逃亡中。


以上が、連続殺人事件の内容である。

































































































































完璧だ。
捕まるはずがない。

僕はまだ、ここにいるのだから。
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