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君を守りたい

言霊

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ある時思った。


「なぁ、何で僕って
   何にも出来ねぇのかなぁ?」


そう友人に訪ねた。


そしたら友人は答えた。


「生きてるじゃねぇか。」



その言葉にはっとした。


そうだ。僕は生きてる。



友人は続けて言った。


「すげぇでけぇ事なんざ、
   直ぐに出来なくてもいいんだよ。
   生きてりゃそのうち
   出来るようになるんだから。」


僕はその言葉に笑った。


馬鹿にした訳ではない。


ただただ、その言葉に感動したからだ。


そして、その言葉が
そいつに似合わなかったからだ。


普段はふざけた事ばかり言う癖に、
今はまともに考えてくれたのが
嬉しかったからだ。



僕は、


泣きそうになったのだろうか。


面白かったのだろうか。


照れたのだろうか。



気まぐれな君の言葉が、
僕の中に木霊する。


「重っ。」



君が友人で良かった。



次君が何かに溺れそうになった時、
今度は僕が、君を助ける。


約束しよう。永遠に。
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