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ラビリンス・ランデブー

走りなさい

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僕は何をしたいのだろうかと、
僕は何をしているのだろうかと、
思う事がある。

僕は何を求めて、
ここに存在しているのだろう。

何もわからない。

何も考えたくない。

そんな時、
僕は貴方の言葉をふと思い出すんです。


「何も考えたくないのなら、
   考えなければ良い。
   
   何をしていいかわからないのならば、
   ただひたすら走れば良い。
  
   決して振り向いてはなりません。
   
   前だと思ったところが前なのです。
   
   何も考えず、
   がむしゃらに気が済むまで、
   走りなさい。」


「はい。」


僕は一体
何に向かって走っているのだろう。


前は一体どこなのだろう。


そんなこと、今はどうでもいい。


僕はただ、走るだけだ。

あの人がそう言ってくれたように、
僕にも誰かに同じことが言えるように
なれるのだろうか。

行き先なんて知らない。


帰る場所なんて知らない。


寄り道なんて知らない。


辛い現実にぶち当たったとき、
僕はまた、貴方の言葉を思い出す。


ただ、それだけだ。
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