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戯言はお言葉

ブーメラン

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「竹馬やろう」

そう言って、背の低い竹馬を持ってきた。

「出来るかなぁ、久しぶりにやるから出来ないかもなぁ」

僕もまあまあ背の高い膝上くらいの高さの竹馬を持ってきた。

もう何年も、竹馬なんて乗ってない。
やり方とか、乗り方とか、忘れてしまっているんじゃないか。

「よっと……おお、意外とできる」
「乗れるじゃん!」
「ははは、そうだね……背が高い。キリンになった気分だよ」
「すごーい!」

僕は竹馬を降りて、その子がここまで竹馬に乗ってくるのを待っている。

「昔はもっと高いのにも乗れたものだけどね」
「もっと?」
「そう、常に挑戦するんだよ、だんだん高くしていって、出来ていくとと気持ちがいい。常にチャレンジャーだったんだよ」
「チャレンジャーだったの?ふぅん……」

しばらく竹馬で遊んだ後、
その子の得意だという鉄棒をして遊ぶことになった。

「だるま出来る?だるま!」
「だるま?聞いた事ないな、鉄棒はあまりやらなかったから」
「こうやるの!これ!やってみて!」
「ええ……なかなか大変な技だな……お腹痛くなりそう」

そう渋る僕に、
その子は一発言ったのだ。

「常にチャレンジャーなんでしょ?」

自分で言ったことだ。

「ははは……それを言われると痛いなぁ」

子供はよく覚えている。
人から言われたこと、されたこと。
特に、懐いている人のことは。

その子は僕を気に入ってくれているらしいと、誰かから聞いたことがあった。

「よし、じゃあやってみるか」

案の定、お腹は痛かった。

しかしこれもまた、自業自得。

その子と遊んだ、かけがえのない時間なのだ。

「全く、下手なこと言えないなぁ……」


僕は翌日、筋肉痛になった。
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