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兎と狼
第3話 バトルポンコツ×
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「ソルダムを出る前に、カケル。メニュー開いて」
「わかった」
俺はケイに言われた通りにメニューを開く。そこのメールには、武器が届いていた。ページを出して受け取りを確定する。
よく見たら、これはボクシンググローブだ。俺に拳で戦えと? そんなのできっこない。俺は剣派なんだ。
「まあいいから装備して」
「あ、ああ……」
そうして言われるがままに俺はボクシンググローブを身につけた。なんとなくだけどしっくりくる。
ソルダムを後にした俺たち6人は、ゴブリンの森を歩いていた。ここはゴブリンだけが暮らす場所らしい。
このゲームはネーミングセンスがあるのかないのか? プラムのソルダムにメロンのアンデス。次来るとしたらアンデスの姉妹国のマスクか?
果物の名前の数だけ街や国があるのはすごいかもだけど、それを名前に採用していいのかわからない。
すると、ケイが突然立ち止まった。
「カケル。僕と勝負しない?」
「え?」
「そのアバターで勝負したことないよね?」
「ないけど……」
「じゃ、やろう。模擬戦模擬戦♪」
とても唐突だった。たしかに俺はボクシングの経験はないけど、要領を使えばそれなりにできるだろう。
俺とケイは互いを見る。審判はラミアだ。俺は両手をすぐ手前に持ってきて、戦闘態勢に。対して、狼の姿をしているケイは爪を出して臨戦態勢。
俺を引っ掻く気か? どう考えても、ケイの方が年上だぞ! 手加減っていうのはないのか!? 手加減!!
「行くよ!」
「え!?」
俺が瞬きした時には、ケイはすぐ目の前にいた。俺はそれをスレスレで避ける。しかし、完全に避け切れず、真っ白な毛が飛び散る。
よく見たらパンツ一丁だ。今更すぎて泣けてくる。と言ってもケイもパンツ一丁。フォルテもパンツ一丁。バレンもパンツ一丁。
服を着ているのは、女子部のラミアとファリナだけ。そこはプライバシーでセクシャルなのだろう。
「カケル。手が止まってるよ!」
「あ、ああ……」
さっきから『ああ』しか言ってないよ。頭回ってない。やっぱり、インフルエンザのせいか? ゲームせずに安静してれば……。でも、暇なのは真っ平御免だ。
ここは集中。体調不良で動かない脳を動かせ……。とにかくケイに一撃を与える。それができれば問題ない。
殴る時は外側から内側に弧を描くのをイメージして。俺はしっかりケイの動きを見る。
「目付き変わったね……。じゃ、本気で行かせてもらうよ!」
――ザシュッ!!
ケイの尖爪が俺の腹部を抉る。かなり痛い。インフルエンザを患った時の頭痛よりも痛い。だけど、喉の痛みよりはマシ。
だけど、ケイは不満そうな顔をしていた。
一見仲間割れにも見えるが、そうじゃない。俺は、強くなりたいんだ。ケイみたいに強く。
「君にいい方法を教えてあげるよ」
「何?」
「兎はね。回避能力に優れているんだ。だから、それを活かして戦ってみて」
なるほど。そういう事か。俺は真正面から突っ込もうとしてたから、ダメだったのかもしれない。となると。
「カケルさん。回復しますね」
「ファリナありがとう」
「いえいえ……」
可愛い女の子にゃんこが癒してくれる。めちゃくちゃ嬉しい……。それよりも、なんか別の状況が生まれてるんだけどなんで?
俺の周りに大量のゴブリン。どうしてこうなった!? 俺人気者!? 兎って人気者なの!?
「やあアリス。元気してた?」
「はいおかげさまで。アーサーラウンダーの皆さんの治療でだいぶ良くなりました」
「ケイ。このゴブリンは?」
俺の言葉にニシシとニヤけるケイ。嫌だ。似合わなすぎる。狼が嫌味顔すると、イメージぶっ壊れる。巨大化するよりも怖い。
そう考えると、バレンが同じ顔したらどうなるんだろう? それを考えただけで身震いしてしまう。
「カケル。よりいっそう顔が白くなってるよ」
「俺が白うさぎだからだって」
「たしかにそうだね……」
だけど、このアリスっていうゴブリン。何気に豪華なドレスを着ている。ホワイトゴブリンなので、色は白いが耳の位置は頭の上で、一般的なゴブリンと同じ。
どうやら俺たちを敵対する気はなさそうなので、このまま彼女らに付いていくことになった。
「アリス様はお姫様?」
「はい。わたしはホワイトゴブリンの長の娘なので」
なにこれ返答が可愛い。俺の花嫁にしたい。こんな可愛い人を迎え入れたら最高すぎる。俺は思わずグヘヘと笑ってしまった。思考速度完全復活! しかし、それはすぐにぶち壊される。
「残念だけど、アリスはAIだよ」
アリスがAI――人工知能。クッソぉぉぉぉぉぉ!! せっかく人間関係を築く練習ができると思ったのに。交友関係を築けると思ったのに。アリスがAIだとぉぉぉぉぉぉ!!
「ごめんね。カケルさん」
「アリス様……」
つまりだよ? このゲームは基本プレイヤーが選択できるのは、現実世界にもいる動物の擬人化のみ。亜人とか異人種は全部NPCかAIということ?
なるほど。だんだんわかってきた。そうしていくうちに俺たちは中規模程度の集落に到着した。
「ようこそ、集落プルーンへ」
「わかった」
俺はケイに言われた通りにメニューを開く。そこのメールには、武器が届いていた。ページを出して受け取りを確定する。
よく見たら、これはボクシンググローブだ。俺に拳で戦えと? そんなのできっこない。俺は剣派なんだ。
「まあいいから装備して」
「あ、ああ……」
そうして言われるがままに俺はボクシンググローブを身につけた。なんとなくだけどしっくりくる。
ソルダムを後にした俺たち6人は、ゴブリンの森を歩いていた。ここはゴブリンだけが暮らす場所らしい。
このゲームはネーミングセンスがあるのかないのか? プラムのソルダムにメロンのアンデス。次来るとしたらアンデスの姉妹国のマスクか?
果物の名前の数だけ街や国があるのはすごいかもだけど、それを名前に採用していいのかわからない。
すると、ケイが突然立ち止まった。
「カケル。僕と勝負しない?」
「え?」
「そのアバターで勝負したことないよね?」
「ないけど……」
「じゃ、やろう。模擬戦模擬戦♪」
とても唐突だった。たしかに俺はボクシングの経験はないけど、要領を使えばそれなりにできるだろう。
俺とケイは互いを見る。審判はラミアだ。俺は両手をすぐ手前に持ってきて、戦闘態勢に。対して、狼の姿をしているケイは爪を出して臨戦態勢。
俺を引っ掻く気か? どう考えても、ケイの方が年上だぞ! 手加減っていうのはないのか!? 手加減!!
「行くよ!」
「え!?」
俺が瞬きした時には、ケイはすぐ目の前にいた。俺はそれをスレスレで避ける。しかし、完全に避け切れず、真っ白な毛が飛び散る。
よく見たらパンツ一丁だ。今更すぎて泣けてくる。と言ってもケイもパンツ一丁。フォルテもパンツ一丁。バレンもパンツ一丁。
服を着ているのは、女子部のラミアとファリナだけ。そこはプライバシーでセクシャルなのだろう。
「カケル。手が止まってるよ!」
「あ、ああ……」
さっきから『ああ』しか言ってないよ。頭回ってない。やっぱり、インフルエンザのせいか? ゲームせずに安静してれば……。でも、暇なのは真っ平御免だ。
ここは集中。体調不良で動かない脳を動かせ……。とにかくケイに一撃を与える。それができれば問題ない。
殴る時は外側から内側に弧を描くのをイメージして。俺はしっかりケイの動きを見る。
「目付き変わったね……。じゃ、本気で行かせてもらうよ!」
――ザシュッ!!
ケイの尖爪が俺の腹部を抉る。かなり痛い。インフルエンザを患った時の頭痛よりも痛い。だけど、喉の痛みよりはマシ。
だけど、ケイは不満そうな顔をしていた。
一見仲間割れにも見えるが、そうじゃない。俺は、強くなりたいんだ。ケイみたいに強く。
「君にいい方法を教えてあげるよ」
「何?」
「兎はね。回避能力に優れているんだ。だから、それを活かして戦ってみて」
なるほど。そういう事か。俺は真正面から突っ込もうとしてたから、ダメだったのかもしれない。となると。
「カケルさん。回復しますね」
「ファリナありがとう」
「いえいえ……」
可愛い女の子にゃんこが癒してくれる。めちゃくちゃ嬉しい……。それよりも、なんか別の状況が生まれてるんだけどなんで?
俺の周りに大量のゴブリン。どうしてこうなった!? 俺人気者!? 兎って人気者なの!?
「やあアリス。元気してた?」
「はいおかげさまで。アーサーラウンダーの皆さんの治療でだいぶ良くなりました」
「ケイ。このゴブリンは?」
俺の言葉にニシシとニヤけるケイ。嫌だ。似合わなすぎる。狼が嫌味顔すると、イメージぶっ壊れる。巨大化するよりも怖い。
そう考えると、バレンが同じ顔したらどうなるんだろう? それを考えただけで身震いしてしまう。
「カケル。よりいっそう顔が白くなってるよ」
「俺が白うさぎだからだって」
「たしかにそうだね……」
だけど、このアリスっていうゴブリン。何気に豪華なドレスを着ている。ホワイトゴブリンなので、色は白いが耳の位置は頭の上で、一般的なゴブリンと同じ。
どうやら俺たちを敵対する気はなさそうなので、このまま彼女らに付いていくことになった。
「アリス様はお姫様?」
「はい。わたしはホワイトゴブリンの長の娘なので」
なにこれ返答が可愛い。俺の花嫁にしたい。こんな可愛い人を迎え入れたら最高すぎる。俺は思わずグヘヘと笑ってしまった。思考速度完全復活! しかし、それはすぐにぶち壊される。
「残念だけど、アリスはAIだよ」
アリスがAI――人工知能。クッソぉぉぉぉぉぉ!! せっかく人間関係を築く練習ができると思ったのに。交友関係を築けると思ったのに。アリスがAIだとぉぉぉぉぉぉ!!
「ごめんね。カケルさん」
「アリス様……」
つまりだよ? このゲームは基本プレイヤーが選択できるのは、現実世界にもいる動物の擬人化のみ。亜人とか異人種は全部NPCかAIということ?
なるほど。だんだんわかってきた。そうしていくうちに俺たちは中規模程度の集落に到着した。
「ようこそ、集落プルーンへ」
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