インステニート 〜インフレ・ステータスじゃなくても規格外のニート少女で、ぶっきらぼうに話す私は異世界からの転生者でした

八ッ坂千鶴

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第3章 150年の月日

第44話 地下洞窟にて(WWM30年)

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「…………あ~」

 努の声が洞窟の中で響き渡る。

「おいおい、いくら洞窟だからって、遊ぶなよ……。私より歳上だろ?」

「別にいいじゃないですか!! 男の子のロマンですよ。ロ・マ・ン!! これに電車が走っていたら。もう、最高です!!」

「…………ほんと、やれやれだぜ」

 地下拠点を拡張するために、洞窟を視察に来た私と努。空洞はとても広く、トンネルに近い。

 整備されていないせいか、至る所がでこぼこだ。私が魔法を使い、整備を一括で終わらせるのもいいが、久しぶりに作業ゲーがやりたくなった。

 ツルハシを持って振り下ろす。何度も何度も繰り返す。持ち上げては振り下ろす。持ち上げては振り下ろす。

 しばらくすると道ができて、コウモリ型モンスターが立ちはだかるが、私はノールックの無言詠唱で撃退。さらに掘り進める。


 ◇◇◇2時間後◇◇◇


「この洞窟、一体どこまであんだよ!! デカすぎだろ?」

 掘っても掘っても終わらない。洞窟が広すぎる。だんだん、めんどくさくなってきた。

「………………やっほー」


 ――やっほー……。やっほー……。やっほー……。…………。


「だから、遊んでいねぇで仕事しろ!! さっきから、私一人でやってんだぞ!!」

「魔法でやればいいじゃないですかぁ~。魔法でぇ~。おーい…………」


 ――おーい……ーい……。……。

「困ったやつだ…………」

 私は、努をほったらかしにして、ひたすら作業を続ける。進めば進むほど、洞窟は暗くなっていく。

 家を建てるには天井が低いため、どうやら魔法は、嫌でも必要らしい。

 あとは、どの魔法を使うか。爆破魔法は、藍が得意としている〈ワイドグレネード〉と〈メテオグレネード〉。

 他には、〈ブラストグレネード〉、〈サテライトボム〉がある。〈サテライトボム〉は、時限式の爆弾で、世界大戦の時に藍が使った魔法は、〈メテオグレネード〉。

 そして、私が使ったのは、〈ワールドグレネード〉と言って、1つ間違えれば、世界を破壊できるほどの威力がある。

 私は、どの魔法も使用可能だが、それぞれ用途が違うため、悩んでいる。

 〈ワイドグレネード〉は、広範囲魔法で、工夫次第で整地可能。

 〈メテオグレネード〉は、ボーリング…………、掘削くっさくができる。ここで、少しだけずれるが、似た言葉で”ボウリング”がある。

 ボウリングは、ボールを投げてピンを倒す競技、ボーリングは、さっき言ったように、掘削という意味で、掘削機は、ボーリングマシンという。では、話を戻そう。

 〈ブラストグレネード〉。これは、グレネードというよりは、原子力爆弾に近い。なぜなら、爆発時に猛毒デバフを付与させることができるからだ。

 〈サテライトボム〉は、時限爆弾と説明したが、他にも投下指定が可能。

 ってことで、私は〈ワイドグレネード〉を使うことにした。とは言ったものの、全体的に説明が多くなってしまった。
 魔法は、詠唱と無詠唱があるがめんどくさいの割愛。

「爆発するから気をつけろぉ‼」
『わかってますよぉ~』

 ――よぉ~。ぉ~。…………。

「いつまで、楽しんでんだよ」
『別にロマンなんだからいいじゃないですかぁ~』

 ――かぁ~。ぁ~……。…………。

「いちいち反響させるな‼」


 ◇◇◇5時間後◇◇◇


「努。終わったぞ!!」
「ありがとうございます。助かりました」

(お前なんもやってねぇだろ!!)

 私にとってお荷物でしかない、努の笑みだった。
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