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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第42話 受注クエスト:半壊住宅街復興作業
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「ガデルさん、今日は執筆しなくて大丈夫なんですか?」
隣のセレスが、私に声をかけてきた。
「はい!! 実は、ある程度物語が進んでいるので……。クエストの依頼をこなしながら、新しいネタを探そうかと、思ったんです」
今、作者の私とセレスは、奈良県のとある住宅街に訪れていた。
ただの住宅街ではない。そのほとんどが、生活不可能な半壊住宅。
依頼内容は、この住宅街の復興作業だ。私も、主人公のルグアほどではないが、復興作業なら手伝える。
「作業に取り掛かりますか」
「ですね。私は北東をするので、ガデルさんは、南西をお願いします」
「わかりました。では、終わり次第、この場所で落ち合いましょう」
「了解です」
◇◇◇ルグアの自宅◇◇◇
「ここが、ガデっちの部屋だよぉ~。で、あそこの机のとなりの棚の右から3番目に、まだ書いてない、白紙の普通のノートがあるから、それ使って。許可はもらってるから」
説明になっているのか、いないのか、藍が楓を案内する。楓は言われた通りに、1冊のノートを手に取った。
ガデルの机から筆を借りて、何かを書き込む。内容は、決戦日と決戦場の建設日、決戦場の規模や耐久性などについてだ。
「お姉ちゃん、決戦日とか場所は、りんりんと相談した方がいいんじゃないかな~?」
「そうね。確かに勝手に決めても、書き込んだばかりの〈レコード・ノート〉は、すぐに効果を発揮しない。お互いに情報交換した方が確実ね」
「でしょ、でしょ~♡ そろそろ帰ってくるから、こっちで事前の考えとこ~!!」
「わかりました」
◇◇◇奈良県◇◇◇
「これでよし!! セレスさん、南西の方の修復が完了しました。そちらは、どうですか?」
住宅街の復興作業が、一段落ついた私は、点検を兼ねて集合場所に向かう。
なぜ、問いかけるような発言をしたかというと、声がよく響くので、離れていても相手に聞こえるからだ。
だが、返答が来ない。不審に思った私は、北東へ向かって走る。
しばらくして、セレスが担当しているであろう場所に辿り着く。
すると、
「…………。ガ…………デル……さん。助けて……ください」
くさびのような突起がある、縄に絡まったセレスだった。これがモンスターで子なら、どこかに親がいるはず。
「ちょっと待っていてください」
(もし、これがルグアだったら…………。きっと、『子を切っても意味はねぇよ』とか言うと思う。それなら…………)
{おーい、ガデル聞こえてるか? ルグアだ。昆虫駆除終わったぜ。ルナも……。アイツもすげぇ強くなった}
「お疲れ様です。私は、住宅街の復興に勤しんでいます。ですが、異常事態がはっ…………」
{セレスが捕まったんだろ? 事情は全て把握済みだ!!
今お前がいるとこから、北に100km行くと親玉がいる。私は、セレスが全損しないよう、遠隔魔法で支援すっから、ガデルは北へ向かってくれ!!}
「ありがとうございます」
私は、ルグアに感謝して、今度は北へ、住宅街を駆け抜ける。
だが、その親玉は作者の私でも、想像を絶するものだった。
(あと少し先に、親玉がいるはずなんだけど……)
――シャァー!!
「ひぃっ?!」
目の前に現れたのは、胴だけでも直径1kmはありそうな、巨大な蛇。
{ガデル!! そいつが親玉だ!! あとは頼んだぜ!!}
(と言われても、私、蛇苦手。でも、知らないよね)
「が、頑張って……みます」
震える声で私は、ルグアに作ってもらった短剣〈ナイト・スラッシュ〉を、右に装備。
盾は使わない。ルグア曰く。盾は、守る時は便利だが、攻撃する時は、自身の動きを妨害してしまうらしい。
ならば、スピードで勝負。私は、ルグアほど速くはないが、加速を使い、細かい動きで肉薄。
縦・横・斜め、切り上げからの振り下ろし。回転をかけて、螺旋状に切れ込みを入れ、ダメージを与える。
時々、絞蛇特有の、締め付け攻撃を掻い潜りながら、斬撃を続けるが、相手はビクともしない。
プレイヤーはHPが表示されるが、モンスターはHPが表示されないため、どこまで削ったかがわからない。
ルグアは、それが面白いらしく、最近は、設定でプレイヤーHPも非表示にするくらいだ。
すると、
{おーい、どうやら手こずってるみたいだが、今なら直接助太刀可能だ!!}
ルグアからの、無言通信魔法による連絡がきた。
「よろしくお願いします。あと少しで倒せそうなんですけど。お願いします!!」
{わかった、今東京にいるが、5秒で向かう。ってか、もう着いた}
(はや!!)
{からの~}
――ジャッジメント・フロル・ラビリンス!!
ルグアの技名発声で、辺り一面強風が吹き荒れる。建物は全て倒壊して、さら地に変わった。
はずだったのだが、コンマ1秒。ルグアといえばの速さで、建物が復活する。
「終わったぜ!! なあ、ガデル。こういうことだろ?」
「は、はい」
主人公に助けられるのは、これで2回目。でも、私も活躍はできた気がした。
資材を集め補強を行い、劣化対策も施す。その後、点検をして次の場所へ。
それに新しいネタも増え、執筆を再開するのが楽しみになった。
ルグアの送迎で家に帰ると、私は自室へ直行。筆を取り、書き進める。
隣のセレスが、私に声をかけてきた。
「はい!! 実は、ある程度物語が進んでいるので……。クエストの依頼をこなしながら、新しいネタを探そうかと、思ったんです」
今、作者の私とセレスは、奈良県のとある住宅街に訪れていた。
ただの住宅街ではない。そのほとんどが、生活不可能な半壊住宅。
依頼内容は、この住宅街の復興作業だ。私も、主人公のルグアほどではないが、復興作業なら手伝える。
「作業に取り掛かりますか」
「ですね。私は北東をするので、ガデルさんは、南西をお願いします」
「わかりました。では、終わり次第、この場所で落ち合いましょう」
「了解です」
◇◇◇ルグアの自宅◇◇◇
「ここが、ガデっちの部屋だよぉ~。で、あそこの机のとなりの棚の右から3番目に、まだ書いてない、白紙の普通のノートがあるから、それ使って。許可はもらってるから」
説明になっているのか、いないのか、藍が楓を案内する。楓は言われた通りに、1冊のノートを手に取った。
ガデルの机から筆を借りて、何かを書き込む。内容は、決戦日と決戦場の建設日、決戦場の規模や耐久性などについてだ。
「お姉ちゃん、決戦日とか場所は、りんりんと相談した方がいいんじゃないかな~?」
「そうね。確かに勝手に決めても、書き込んだばかりの〈レコード・ノート〉は、すぐに効果を発揮しない。お互いに情報交換した方が確実ね」
「でしょ、でしょ~♡ そろそろ帰ってくるから、こっちで事前の考えとこ~!!」
「わかりました」
◇◇◇奈良県◇◇◇
「これでよし!! セレスさん、南西の方の修復が完了しました。そちらは、どうですか?」
住宅街の復興作業が、一段落ついた私は、点検を兼ねて集合場所に向かう。
なぜ、問いかけるような発言をしたかというと、声がよく響くので、離れていても相手に聞こえるからだ。
だが、返答が来ない。不審に思った私は、北東へ向かって走る。
しばらくして、セレスが担当しているであろう場所に辿り着く。
すると、
「…………。ガ…………デル……さん。助けて……ください」
くさびのような突起がある、縄に絡まったセレスだった。これがモンスターで子なら、どこかに親がいるはず。
「ちょっと待っていてください」
(もし、これがルグアだったら…………。きっと、『子を切っても意味はねぇよ』とか言うと思う。それなら…………)
{おーい、ガデル聞こえてるか? ルグアだ。昆虫駆除終わったぜ。ルナも……。アイツもすげぇ強くなった}
「お疲れ様です。私は、住宅街の復興に勤しんでいます。ですが、異常事態がはっ…………」
{セレスが捕まったんだろ? 事情は全て把握済みだ!!
今お前がいるとこから、北に100km行くと親玉がいる。私は、セレスが全損しないよう、遠隔魔法で支援すっから、ガデルは北へ向かってくれ!!}
「ありがとうございます」
私は、ルグアに感謝して、今度は北へ、住宅街を駆け抜ける。
だが、その親玉は作者の私でも、想像を絶するものだった。
(あと少し先に、親玉がいるはずなんだけど……)
――シャァー!!
「ひぃっ?!」
目の前に現れたのは、胴だけでも直径1kmはありそうな、巨大な蛇。
{ガデル!! そいつが親玉だ!! あとは頼んだぜ!!}
(と言われても、私、蛇苦手。でも、知らないよね)
「が、頑張って……みます」
震える声で私は、ルグアに作ってもらった短剣〈ナイト・スラッシュ〉を、右に装備。
盾は使わない。ルグア曰く。盾は、守る時は便利だが、攻撃する時は、自身の動きを妨害してしまうらしい。
ならば、スピードで勝負。私は、ルグアほど速くはないが、加速を使い、細かい動きで肉薄。
縦・横・斜め、切り上げからの振り下ろし。回転をかけて、螺旋状に切れ込みを入れ、ダメージを与える。
時々、絞蛇特有の、締め付け攻撃を掻い潜りながら、斬撃を続けるが、相手はビクともしない。
プレイヤーはHPが表示されるが、モンスターはHPが表示されないため、どこまで削ったかがわからない。
ルグアは、それが面白いらしく、最近は、設定でプレイヤーHPも非表示にするくらいだ。
すると、
{おーい、どうやら手こずってるみたいだが、今なら直接助太刀可能だ!!}
ルグアからの、無言通信魔法による連絡がきた。
「よろしくお願いします。あと少しで倒せそうなんですけど。お願いします!!」
{わかった、今東京にいるが、5秒で向かう。ってか、もう着いた}
(はや!!)
{からの~}
――ジャッジメント・フロル・ラビリンス!!
ルグアの技名発声で、辺り一面強風が吹き荒れる。建物は全て倒壊して、さら地に変わった。
はずだったのだが、コンマ1秒。ルグアといえばの速さで、建物が復活する。
「終わったぜ!! なあ、ガデル。こういうことだろ?」
「は、はい」
主人公に助けられるのは、これで2回目。でも、私も活躍はできた気がした。
資材を集め補強を行い、劣化対策も施す。その後、点検をして次の場所へ。
それに新しいネタも増え、執筆を再開するのが楽しみになった。
ルグアの送迎で家に帰ると、私は自室へ直行。筆を取り、書き進める。
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