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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第32話 受注クエスト:薬草収集
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(……なんでこうなるんだよ!!)
攻略メンバーの5人は、日本列島の上空を北上中。けれども、当の本人は、不満でいっぱいだった。
なぜなら、彼女が作った薬草用の巨大運搬船の中に、4人が入ってくつろぐのに対し、ルグアはそれを真下で支え、飛んでいるのだから。
東京から北海道まで、直線距離1000Km。手ぶらならまだしも、荷物持ちかつ、遠距離移動なので、速度制限がかかる。
ましてや、人×4が乗っている分、疲労が溜まりやすい。まあ、彼女には、関係ない……はずだったのだが…………。
「言っとくが、私はお前らの乗り物じゃねぇからな!! それだけは、しっかり…………」
「わぁ~、皆さん、ここの隙間から外が覗けそうです。とても綺麗ですよ~。ほら、藍さんも、こっちです!!」
「すっご~い。ガロンちゃんの言うと~り~。りんりん、もう少し眺めさせてよ~」
「たしかに、ガロンの発言は間違えでは無さそうね。こんな景色は、久しぶりに見たわ、『コスモスレーシング』以来かしら?」
まず聴こえたのは、運搬船内の女性陣。ルグアは、残るたった1人の男性に期待していると……、
「ほらほら、ノアンさんも!!」
「本当に、美しい景色。特に海がとても澄んでいます」
「おい!! 少しは人の話を聞きやがれ!! 私は、風景を楽しむ暇はないんだよ!! 気持ちを考えろ!!」
期待していたのが、悪かった。仲間は満喫、私は苦労が募るばかり。
まあ、楽しんでくれるのは、嬉しいこととして、捉えることにして、10mほど高度をあげる。
それが長く続かないのは、ルグアと藍だけが、知っていた。つまり、他3人は地獄に…………。
◇◇◇北海道・南◇◇◇
「さ、寒い……」「寒いです~」
「今にも、凍え死んでしまいそうだわ」
飲まれてしまったのである。この場所では、〈かくれ雪草〉が採れるエリアが存在。
ただし、名前に”かくれ”という言葉入っているように、見つけるのは容易ではない。
それにも関わらず、見つけてしまうのが、【アンゲームブラスター】ルグアだった。
――ズボッ!!
積もった雪は柔らかく、気付けば至る所に、かまくらやら雪だるまやらが増えていく。
改めて説明するが、この場所に"遊び"に来たのではない、クエストの依頼に応えるために来たのだ。
結局、ルグア1人に人任せ。黒髪の少女は、メンバー選びに後悔しながら、勘で決めた場所を、ただただ掘り進める。
雪深い穴は、暖かいが、掴んだ雪は外に放り出す。登るとたまにずり落ちるものの、気にせず作業に集中。
騒がしい仲間の声を、BGMにして…………。
◇◇◇数分後◇◇◇
「おっ!? これか?」
ルグアは、手探りで握りしめた、真っ白な草を引っこ抜く。アイテムステータスを確認すると、〈かくれ雪草〉の文字。
{みんな、聞こえるか? 例のやつ見つけたぜ}
無言通信魔法で、思念だけを仲間に送る。返事は無かったが、飛行魔法で穴から脱出。
手伝ってくれる気配は0だったので、追加で50箇所掘り返す。
途中めんどくさくなり、掘った穴の途中に身体を突っ込み、雪にまみれて軽く2時間睡眠。
起きると、運良く密集地に出会い、片っ端から採取。合計で200本ゲットしたが、目標まで遠い。
「りんりん、見っけ!! はいこれ、ウチも取ったよ~。それと、魔法で増殖させればいいんじゃなーい?」
(その手があったか!!)
「サンキュー、藍。さて、ここからは本気でやる!!」
雪草を、運搬船に持っていき、床に置くと、無言詠唱の倍化魔法を最大出力で発動。
あっという間に雪草が増え、運搬船は満杯になった。いくつかをストレージの中に入れ、運搬船の空調設定を極寒に変更。
重い船を浮遊魔法で浮かばせ、真下に潜り、両手で支えて魔法を解除。飛行魔法で離陸。
さっきから、エルフの羽根ではなく、飛行魔法を使っているのは、離着陸速度が速いからである。
加速を全開にさせて、拠点エレベーターで、地下拠点に置く。北海道へ戻る時に、木材を集めて新しい運搬船生成して運ぶ。
着陸すると、ストレージに入れていた雪草を、再び運搬船の中に入れ、魔法を唱え増殖。
極寒に設定して東京の街に移動させること、5時間。ようやく、3000億個の〈かくれ雪草〉が集まった。
だが、これで終わりではなかった。まだ〈万能カタワレ草〉と〈悪魔花〉が残っているのだから。
◇◇◇◇◇◇
「ってことで、ダイジェストでお送りしま~す。語りは、藍だよ~」
◇◇◇◇◇◇
北海道から帰り、ルグアの送迎で、香川県へ。ゲームでは熱帯夜の地域で、黄昏時しか視認できない〈万能カタワレ草〉を発見!!
早速、採集したのですが、日没が近づくにつれて枯れ草に……!?
”てんてこ舞い”の”てんやわんや”で、”てんてん”と場所を変えながら、ルグアの勘が冴えまくり。
日中は元気な〈万能カタワレ草〉を回収し、裏技加工で枯れ草防止を施すと、ハイスピードで、高速提供!!
(だんだん、わけわからなくなってきたな。 by.ルグア)
そんなこんなで、3000億個の〈万能カタワレ草〉を地下拠点に運び入れ、今度は鳥取県!!
〈悪魔花〉は真夜中にしか咲かない花で、〈万能カタワレ草〉とは真逆の日出で枯れ草に変化。
暗所にある状態で日が昇ると枯れないことを知り、〈悪魔花〉の密集地に巨大栽培所を丸2日で、ルグアが建設!! すごいよね? すごいよね?
(褒められても全然嬉しくねぇー。 by.ルグア)
けれども、他の薬草が腐ってしまい、全てが振り出しに戻っちゃった~!!
さあどうしましょ、どうしましょ? と思ったら、〈悪魔花〉と〈万能カタワレ草〉と〈かくれ雪草〉を揃えて、なぜか街に帰還?!
ルグアがゴソゴソとたった1人で籠り、翌日になると3000億個の新鮮な薬草たちで、溢れかえっていたのです!! ほんと凄すぎぃ~!!
みんなも褒めようよ~♡
(遠慮します。 by.ノアン)
(わたしもガウェインと一緒です。 by.ガロン)
(わたくしも、却下するわ。 by.レーナ)
(反対ですね。 by.ゼアン)
(ゼアンさんに賛成!! by.セレス)
(興味無いので……はい。 by.ルクス)
(同じくです。 by.ガイア)
(我もじゃ。 by.クリム)
(本人が嫌がっているようなので、おすすめできませんね。 by.努)
(たしかに。 by.彰)
(みなさんのその気持ちわかります。 by.ルナ)
(アタイはノーコメント~。 by.ノンノ)
えー、なんでー?
(助かったぜ…………。 by.ルグア)
◇◇◇◇◇◇
「ってことで、依頼クリアだ。ダイジェスト、ご苦労だった。やりすぎ感しかなかったが…………」
「どもども、みんな伝わったかな~?」
――シーン…………。
人気者のルグアへの好感度が急上昇し、藍の好感度が急降下したのだった。
「ルグア先輩。また依頼来てますよ。今度はモンスターが雪崩のように、襲ってきている場所からです」
「わかった、そこは私1人で行こう(あんま、役立たなかったし)」
攻略メンバーの5人は、日本列島の上空を北上中。けれども、当の本人は、不満でいっぱいだった。
なぜなら、彼女が作った薬草用の巨大運搬船の中に、4人が入ってくつろぐのに対し、ルグアはそれを真下で支え、飛んでいるのだから。
東京から北海道まで、直線距離1000Km。手ぶらならまだしも、荷物持ちかつ、遠距離移動なので、速度制限がかかる。
ましてや、人×4が乗っている分、疲労が溜まりやすい。まあ、彼女には、関係ない……はずだったのだが…………。
「言っとくが、私はお前らの乗り物じゃねぇからな!! それだけは、しっかり…………」
「わぁ~、皆さん、ここの隙間から外が覗けそうです。とても綺麗ですよ~。ほら、藍さんも、こっちです!!」
「すっご~い。ガロンちゃんの言うと~り~。りんりん、もう少し眺めさせてよ~」
「たしかに、ガロンの発言は間違えでは無さそうね。こんな景色は、久しぶりに見たわ、『コスモスレーシング』以来かしら?」
まず聴こえたのは、運搬船内の女性陣。ルグアは、残るたった1人の男性に期待していると……、
「ほらほら、ノアンさんも!!」
「本当に、美しい景色。特に海がとても澄んでいます」
「おい!! 少しは人の話を聞きやがれ!! 私は、風景を楽しむ暇はないんだよ!! 気持ちを考えろ!!」
期待していたのが、悪かった。仲間は満喫、私は苦労が募るばかり。
まあ、楽しんでくれるのは、嬉しいこととして、捉えることにして、10mほど高度をあげる。
それが長く続かないのは、ルグアと藍だけが、知っていた。つまり、他3人は地獄に…………。
◇◇◇北海道・南◇◇◇
「さ、寒い……」「寒いです~」
「今にも、凍え死んでしまいそうだわ」
飲まれてしまったのである。この場所では、〈かくれ雪草〉が採れるエリアが存在。
ただし、名前に”かくれ”という言葉入っているように、見つけるのは容易ではない。
それにも関わらず、見つけてしまうのが、【アンゲームブラスター】ルグアだった。
――ズボッ!!
積もった雪は柔らかく、気付けば至る所に、かまくらやら雪だるまやらが増えていく。
改めて説明するが、この場所に"遊び"に来たのではない、クエストの依頼に応えるために来たのだ。
結局、ルグア1人に人任せ。黒髪の少女は、メンバー選びに後悔しながら、勘で決めた場所を、ただただ掘り進める。
雪深い穴は、暖かいが、掴んだ雪は外に放り出す。登るとたまにずり落ちるものの、気にせず作業に集中。
騒がしい仲間の声を、BGMにして…………。
◇◇◇数分後◇◇◇
「おっ!? これか?」
ルグアは、手探りで握りしめた、真っ白な草を引っこ抜く。アイテムステータスを確認すると、〈かくれ雪草〉の文字。
{みんな、聞こえるか? 例のやつ見つけたぜ}
無言通信魔法で、思念だけを仲間に送る。返事は無かったが、飛行魔法で穴から脱出。
手伝ってくれる気配は0だったので、追加で50箇所掘り返す。
途中めんどくさくなり、掘った穴の途中に身体を突っ込み、雪にまみれて軽く2時間睡眠。
起きると、運良く密集地に出会い、片っ端から採取。合計で200本ゲットしたが、目標まで遠い。
「りんりん、見っけ!! はいこれ、ウチも取ったよ~。それと、魔法で増殖させればいいんじゃなーい?」
(その手があったか!!)
「サンキュー、藍。さて、ここからは本気でやる!!」
雪草を、運搬船に持っていき、床に置くと、無言詠唱の倍化魔法を最大出力で発動。
あっという間に雪草が増え、運搬船は満杯になった。いくつかをストレージの中に入れ、運搬船の空調設定を極寒に変更。
重い船を浮遊魔法で浮かばせ、真下に潜り、両手で支えて魔法を解除。飛行魔法で離陸。
さっきから、エルフの羽根ではなく、飛行魔法を使っているのは、離着陸速度が速いからである。
加速を全開にさせて、拠点エレベーターで、地下拠点に置く。北海道へ戻る時に、木材を集めて新しい運搬船生成して運ぶ。
着陸すると、ストレージに入れていた雪草を、再び運搬船の中に入れ、魔法を唱え増殖。
極寒に設定して東京の街に移動させること、5時間。ようやく、3000億個の〈かくれ雪草〉が集まった。
だが、これで終わりではなかった。まだ〈万能カタワレ草〉と〈悪魔花〉が残っているのだから。
◇◇◇◇◇◇
「ってことで、ダイジェストでお送りしま~す。語りは、藍だよ~」
◇◇◇◇◇◇
北海道から帰り、ルグアの送迎で、香川県へ。ゲームでは熱帯夜の地域で、黄昏時しか視認できない〈万能カタワレ草〉を発見!!
早速、採集したのですが、日没が近づくにつれて枯れ草に……!?
”てんてこ舞い”の”てんやわんや”で、”てんてん”と場所を変えながら、ルグアの勘が冴えまくり。
日中は元気な〈万能カタワレ草〉を回収し、裏技加工で枯れ草防止を施すと、ハイスピードで、高速提供!!
(だんだん、わけわからなくなってきたな。 by.ルグア)
そんなこんなで、3000億個の〈万能カタワレ草〉を地下拠点に運び入れ、今度は鳥取県!!
〈悪魔花〉は真夜中にしか咲かない花で、〈万能カタワレ草〉とは真逆の日出で枯れ草に変化。
暗所にある状態で日が昇ると枯れないことを知り、〈悪魔花〉の密集地に巨大栽培所を丸2日で、ルグアが建設!! すごいよね? すごいよね?
(褒められても全然嬉しくねぇー。 by.ルグア)
けれども、他の薬草が腐ってしまい、全てが振り出しに戻っちゃった~!!
さあどうしましょ、どうしましょ? と思ったら、〈悪魔花〉と〈万能カタワレ草〉と〈かくれ雪草〉を揃えて、なぜか街に帰還?!
ルグアがゴソゴソとたった1人で籠り、翌日になると3000億個の新鮮な薬草たちで、溢れかえっていたのです!! ほんと凄すぎぃ~!!
みんなも褒めようよ~♡
(遠慮します。 by.ノアン)
(わたしもガウェインと一緒です。 by.ガロン)
(わたくしも、却下するわ。 by.レーナ)
(反対ですね。 by.ゼアン)
(ゼアンさんに賛成!! by.セレス)
(興味無いので……はい。 by.ルクス)
(同じくです。 by.ガイア)
(我もじゃ。 by.クリム)
(本人が嫌がっているようなので、おすすめできませんね。 by.努)
(たしかに。 by.彰)
(みなさんのその気持ちわかります。 by.ルナ)
(アタイはノーコメント~。 by.ノンノ)
えー、なんでー?
(助かったぜ…………。 by.ルグア)
◇◇◇◇◇◇
「ってことで、依頼クリアだ。ダイジェスト、ご苦労だった。やりすぎ感しかなかったが…………」
「どもども、みんな伝わったかな~?」
――シーン…………。
人気者のルグアへの好感度が急上昇し、藍の好感度が急降下したのだった。
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