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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第31話 戦争後の帰り道 ギルド再結成
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「……うっ!? うぅ~、頭が……痛い……………………」
ノアンこと田室井綾人が手配した飛行船の一室で、ベッドに横たわる黒髪の少女が目を覚ました。
彼女は、思考の限界を超えた脳への刺激に耐え切れず、寝そべったまま、悶絶して動き回る。
「ルグアさん、今はゆっくり眠って休んでいてください。いくら長時間のゲーム慣れをしていても、あんなに、激しく動いて戦うのは…………」
声をかけたのは、ノアンだ。髪の毛は、明るいスカイブルー。男性にしては大人しく、落ち着いた印象を感じる。
「そうですよ、ルグアさん。あなたは、あまり運動しないし体力も…………。フルダイブでも必要でしたっけ?」
次に聞こえたのは、セレス。髪の毛は、ノアンよりも白が強いパステルブルーのショートボブ。
そんな2人に、痛みが気にならなくなり、起き上がったルグアは、
「…………多分な。詳しくはわからねぇけど、私がこうなったわけだから、可能性はあるんじゃないか?」
と、意見を述べる。
「大丈夫なんですか? 無理は禁物だと思いますよ。まだ、13分しか経っていませんし」
「あぁ……それか? 問題ねぇよ。それ以上寝たら、いつ起きるかわからないからな。ゲーム内では長い方だ」
相変わらずの変わった俺口調のゲーム節に、ノアンとセレスは苦笑した。
状況が不明瞭なルグアは、ポカンとした顔で約1分間フリーズすると、立ち上がって部屋の外へ向かう。
――ヒュゥー……………………。
頬を撫でる柔らかな風の歌声。心を洗われる清涼感に浸りながら、少女は歩を進める。
「モルっち、おは~。もう平気なの? アタイ心配。よーく調べたんだけど、モルっちのゲームアカってめちゃくちゃだよね~、アハハ」
ノンノがおふざけ半分で、くすくすと笑っているのが、目に入った。
「うんうん、確かにりんりんのステータスは珍しいくらいに、最強!! 羨ましいよぉ~、アカ交換できないの超悔しいぃ~」
隣で地団駄を踏む藍に、申し訳ないと、頭を下げてうつむき、通り過ぎ、床板のない場所で足を止める。
無言詠唱の飛行魔法で軽く浮いている状態のまま、ルグアは、船の後方へ移動。
中の通路を介さずに、大回りで着地すると、ルクスとガイア、レーナにガロン、努、彰、ゼアン、クリム、ルナといった乗員たちが会話中。
ここは、一旦退こうと背を向けて、黒髪の少女は飛行船の推進力を上昇させると、30分で日本に到着した。
花を咲かせる仲間を船に残し、自宅へ向かう。村は知らぬ間に街になり、明るい住民の声で賑わっている。
街の中央にある階段を降りて、地下拠点の家が顔を出し、1人のNPCが手を振って出迎えてくれた。
「ただいま、フェンリル。武器強化の件、また頼むぜ」
「おかえり、ルグアさん。そして、おまかせください!!」
◇◇◇◇◇◇
久しぶりのプレイヤーホームに入ったルグアは、綺麗に整頓された室内に寂しさを抱いていた。
それでも、1つ嬉しかったのは、ゲーム内専用のベッドと、真新しいクローゼット。
屋内での寝袋睡眠が終わったことに、安堵と虚しさがミキサーで、混ぜこぜになった不思議な感じがしてしまう。
すると、
「おっ邪魔っしまーす!! …………」
突然入ってきた、藍の声。
藍の将来の夢が、”お笑い芸人”で、たまに芸人のモノマネをするが、使い方を間違うこともしばしば。
ただやってる風でしかないため、苦笑してしまうが、恥ずかしいので聞き流す。
その間にも、ズラズラと入ってくる、仲間たち。今はあっという間に人で増えていった。
「なあ、みんな。なぜ、私の家に来たんだ?」
知らず知らず登っていた階段から、眼下の仲間に問いかける。
「そういえば、ルグア先輩には話していませんでしたね。俺たちここにいるメンバー全員で攻略組を作ることになったんです。【新生アーサーラウンダー】として」
「攻略組って、あの攻略組か? あと、なんでお前の先輩なんだよ!! ルクス。私の兄なんだから、必要ねぇだろ?」
黒髪の少女の発言に、
「いやぁ~、リアルと出で立ちが違うから、つい……。ルグアと明理が表裏一体なのはわかっているんだけど」
ルグアは、1番めちゃくちゃなのが、自分のステータスではなく、自分の性格の差だと確信した。
「モードレさん、早速依頼のお便りです。皆さんも聞いてほしいです」
ガロンが手紙を取り出しながら、注目を集める。
「この街在住のNPC、レグルさんからのお便りです。読み上げます。『最近、この街で疫病が流行り始め、薬草を取りに行くのですが、現地に魔物が増え、取りに行けない状況が続いています。どうかよろしくお願いします』とのことです」
本文を読み終わり、さらに続ける。
「納品内容は〈かくれ雪草〉と〈万能カタワレ草〉、〈悪魔花〉の3つを、それぞれ3000億個?! だ……そうです」
驚いた表情で固まったガロン。まあ、この数は途方もない依頼になりそうだ。
顔を見合わせる、藍とセレス。愕然とするルクスと彰。ぼんやり突っ立っている、努とノアン。
残りのクリム、ゼアン、ルナ、ガイア、レーナ、ノンノは、話を聴いているのかいないのか……、別の話題で盛り上がっている。
「よし!! じゃあ、行くメンバーが私の中で完成したから、発表するぞ!!」
大声でルグアは、少し騒がしい沈黙の空間を破る。一斉に、振り向く仲間の視線を確認すると、
「行くメンバーは、私とレーナ、藍、ノアン、ガロンの5人。他は、治療の手伝いに回ってくれ!!」
「「了解しました!!」」
こうして、最初のクエスト攻略が始まった。
ノアンこと田室井綾人が手配した飛行船の一室で、ベッドに横たわる黒髪の少女が目を覚ました。
彼女は、思考の限界を超えた脳への刺激に耐え切れず、寝そべったまま、悶絶して動き回る。
「ルグアさん、今はゆっくり眠って休んでいてください。いくら長時間のゲーム慣れをしていても、あんなに、激しく動いて戦うのは…………」
声をかけたのは、ノアンだ。髪の毛は、明るいスカイブルー。男性にしては大人しく、落ち着いた印象を感じる。
「そうですよ、ルグアさん。あなたは、あまり運動しないし体力も…………。フルダイブでも必要でしたっけ?」
次に聞こえたのは、セレス。髪の毛は、ノアンよりも白が強いパステルブルーのショートボブ。
そんな2人に、痛みが気にならなくなり、起き上がったルグアは、
「…………多分な。詳しくはわからねぇけど、私がこうなったわけだから、可能性はあるんじゃないか?」
と、意見を述べる。
「大丈夫なんですか? 無理は禁物だと思いますよ。まだ、13分しか経っていませんし」
「あぁ……それか? 問題ねぇよ。それ以上寝たら、いつ起きるかわからないからな。ゲーム内では長い方だ」
相変わらずの変わった俺口調のゲーム節に、ノアンとセレスは苦笑した。
状況が不明瞭なルグアは、ポカンとした顔で約1分間フリーズすると、立ち上がって部屋の外へ向かう。
――ヒュゥー……………………。
頬を撫でる柔らかな風の歌声。心を洗われる清涼感に浸りながら、少女は歩を進める。
「モルっち、おは~。もう平気なの? アタイ心配。よーく調べたんだけど、モルっちのゲームアカってめちゃくちゃだよね~、アハハ」
ノンノがおふざけ半分で、くすくすと笑っているのが、目に入った。
「うんうん、確かにりんりんのステータスは珍しいくらいに、最強!! 羨ましいよぉ~、アカ交換できないの超悔しいぃ~」
隣で地団駄を踏む藍に、申し訳ないと、頭を下げてうつむき、通り過ぎ、床板のない場所で足を止める。
無言詠唱の飛行魔法で軽く浮いている状態のまま、ルグアは、船の後方へ移動。
中の通路を介さずに、大回りで着地すると、ルクスとガイア、レーナにガロン、努、彰、ゼアン、クリム、ルナといった乗員たちが会話中。
ここは、一旦退こうと背を向けて、黒髪の少女は飛行船の推進力を上昇させると、30分で日本に到着した。
花を咲かせる仲間を船に残し、自宅へ向かう。村は知らぬ間に街になり、明るい住民の声で賑わっている。
街の中央にある階段を降りて、地下拠点の家が顔を出し、1人のNPCが手を振って出迎えてくれた。
「ただいま、フェンリル。武器強化の件、また頼むぜ」
「おかえり、ルグアさん。そして、おまかせください!!」
◇◇◇◇◇◇
久しぶりのプレイヤーホームに入ったルグアは、綺麗に整頓された室内に寂しさを抱いていた。
それでも、1つ嬉しかったのは、ゲーム内専用のベッドと、真新しいクローゼット。
屋内での寝袋睡眠が終わったことに、安堵と虚しさがミキサーで、混ぜこぜになった不思議な感じがしてしまう。
すると、
「おっ邪魔っしまーす!! …………」
突然入ってきた、藍の声。
藍の将来の夢が、”お笑い芸人”で、たまに芸人のモノマネをするが、使い方を間違うこともしばしば。
ただやってる風でしかないため、苦笑してしまうが、恥ずかしいので聞き流す。
その間にも、ズラズラと入ってくる、仲間たち。今はあっという間に人で増えていった。
「なあ、みんな。なぜ、私の家に来たんだ?」
知らず知らず登っていた階段から、眼下の仲間に問いかける。
「そういえば、ルグア先輩には話していませんでしたね。俺たちここにいるメンバー全員で攻略組を作ることになったんです。【新生アーサーラウンダー】として」
「攻略組って、あの攻略組か? あと、なんでお前の先輩なんだよ!! ルクス。私の兄なんだから、必要ねぇだろ?」
黒髪の少女の発言に、
「いやぁ~、リアルと出で立ちが違うから、つい……。ルグアと明理が表裏一体なのはわかっているんだけど」
ルグアは、1番めちゃくちゃなのが、自分のステータスではなく、自分の性格の差だと確信した。
「モードレさん、早速依頼のお便りです。皆さんも聞いてほしいです」
ガロンが手紙を取り出しながら、注目を集める。
「この街在住のNPC、レグルさんからのお便りです。読み上げます。『最近、この街で疫病が流行り始め、薬草を取りに行くのですが、現地に魔物が増え、取りに行けない状況が続いています。どうかよろしくお願いします』とのことです」
本文を読み終わり、さらに続ける。
「納品内容は〈かくれ雪草〉と〈万能カタワレ草〉、〈悪魔花〉の3つを、それぞれ3000億個?! だ……そうです」
驚いた表情で固まったガロン。まあ、この数は途方もない依頼になりそうだ。
顔を見合わせる、藍とセレス。愕然とするルクスと彰。ぼんやり突っ立っている、努とノアン。
残りのクリム、ゼアン、ルナ、ガイア、レーナ、ノンノは、話を聴いているのかいないのか……、別の話題で盛り上がっている。
「よし!! じゃあ、行くメンバーが私の中で完成したから、発表するぞ!!」
大声でルグアは、少し騒がしい沈黙の空間を破る。一斉に、振り向く仲間の視線を確認すると、
「行くメンバーは、私とレーナ、藍、ノアン、ガロンの5人。他は、治療の手伝いに回ってくれ!!」
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