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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第28話 本領発揮
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私しかできない、プレイスタイルの一つ。レベリング無しで強者とやり合えること。
素早さ、反射速度、回避率、秒間攻撃回数、判断力、実行・反映速度。
全ての条件が正常の場合、一撃が緩やかに、不安定の場合は、力強く視認不可能になる。
今は暴走のせいか、時々意識が朦朧としているので、威力は測定できない値のはずだ。
「わかった。その試練ってやつ、乗ってやる。報酬はあるんだろ? 強化段階追加とかさ。クリムゾンブレードの」
冗談混じりではあるが、一応本心からの希望でもあった。クリムは、その答えを待っていたかのように、承諾。
〖ならば、900000段階まで追加してやろう。保証はないがな〗
ここからが、本当の真っ向勝負。私は大地を踏みしめ蹴り飛ばす。彼女の加速は、秒速を超え、音速も光速も超えて。波紋すら残さず姿を消した。
駆け抜ける疾走感。吹き付ける強風で起こる無重力感。そして、二つの現象を受けながら、絶え間無く振り続ける1本の剣。
私は、桁違いの敵を前に心を躍らせて、身体を右に捻ると、後を追いかける左手が、敵陣を一掃していく。
恐怖の声は全て消え、楽しみながら戦う姿に笑みをこぼすと、相手のレベルに対応する形で、手合わせを行い、本人次第で倒す。
勝敗では私の勝ちだが、満足度は天秤にかけても、その差はほぼ0に近い。
すなわち、【WIN・WIN】という結果を常に出し続けているのだ。
実際にやってみると、ものすごく難しい。人によって、能力も技術も、バトル経験もバラバラ。
手加減しすぎると物足りなかったり、逆に本気で戦えば、悪循環が生まれてしまう。
(それにしても、どんだけいるんだよ!! 全然減らねぇんだけど!! 次は……、このくらいでやれば!!)
力みすぎた肩を軽くし、敵のモーションを予想。タイミングよく刀身を交え受け流す。
「アンゲーマー、もう少しお願いします」
地味だが、いつの間にかこのようなあだ名で呼ばれていた。呼び方は好き勝手でいいものの、少々歯がゆい。
「了解!! えーと、武器はそのまんまでも大丈夫か? 今なら無料錬成で新武器か、私の装備変更してやるぜ?」
すると、目の前の青年が言ったのは、
「では、アンゲーマーが一度も使ったことのない武器でお願いします。ハンデ付きです」
というリクエスト。今までに使ったことのない武器。他のゲームでほとんど触っているため、なかなかのものだ。
(そういえば、格闘武器使ってねぇな。んじゃそれにすっか)
〈クリムゾン・ブレード〉をストレージの中へ移動すると、無言詠唱で〈ナックル〉を両手に装着。
周りの観戦者は、歓声と拍手で2人を見守る。ルグアは、王道格闘ゲームのプレイアブルキャラのように、手前に構え前後に動く。
時々、シャドウパンチで威嚇すると、外国人プレイヤー達は声量を上げた。
(やっぱ人気なのか、日本の2Dゲームは……。eスポでも有名だもんな……。ほんの少ししかやってないけど)
まるで、2Dゲームをフルダイブを使った、360°ファイトなのではないか、そう思えてきた。
なぜか相手も、ナックルを装備している。どうやら、拳でぶつかりたいのだろう。
(ってことは……。まずは一礼……と)
青年も、頭を下げて持ち上げる。
『Lady……Fight!!』
第三者の掛け声で、地面を蹴り飛ばし、急接近。殴り合いが始まった。
真っ先に動いたのは、青年の右ストレート。ルグアは利きが反対なので、左下に屈んで避ける。
回り込み、遅れてパンチを繰り出したものの、ワンテンポ早いアッパーをくらってしまった。
もしかすると、この青年は若手のボクサーという可能性が、脳裏に浮かぶ。
フルダイブ版の格闘ゲームは、近年話題になっており、非公式eスポーツ大会ナンバーにも選ばれているくらいだ。
元々は、未知のウイルスで野外活動がなくなった後、フルダイブ技術が普及。
リングを使った勝負の代替として、非接触型フルダイブ版格闘ゲームが誕生した。
やがて年代は、老若男女問わず人気を集め、今に至る。
心理戦が頭脳戦に変わった分、認知症患者の減少にも繋がっていた。
そうしているうちに、攻撃の種類を青年の行動パターンから学び、立ち止まる。
1つ目は、最初に青年が放ったストレート。身体を半分捻り勢いをつけて真っ直ぐ突き出す。
欠点として、斜め下に回避エリアができる。ただし、連携技回避は難易度が高い。
2つ目は、ジャブ。青年が時々説明してくれた技、その1。利き手とは逆の手で、細かく突き出す技で、回避エリアはあまりない。
3つ目は、フック。側面、多分脇腹のところを、弧を描くように狙うのだろう。
拳の軌道と同じ方向に回転回避すれば、問題ない。
最後は、アッパー。一言で表すと、突き上げ攻撃である。
回避は、溜めの時点で後方に移動した方がいいのかもしれない。
これらを習得したからには、魂の高揚が弾けるほど、優位になる。
「お前、名前は?」
「ぼくですか? ぼくはルナ・フランク。呼ぶ時はルナでお願いします」
「わかった、フレンド申請送ったから。あとで処理頼む。こっからは、本気で行くぜ!!」
――ビュウォン!!
加速音とともに消えたルグア。ルナも同様に加速しデットヒートを始める。
滞空状態からの、見る目を疑う高速ジャブ。するりと抜けて、双方の拳がぶつかるストレート。
ルナのアッパーに合わせ、真っ直ぐ上に身を翻すルグア。着地直前に、再び近づき硬直を狙う少女の左フック。
それを予想し青年は、バックステップからの左ジャブ・右ストレート、ジャブフェイント直後にアッパー。
もちろん、ルグアも負けていない。全て回避し、左右逆の同じ攻撃でダメージを与えていく。
基本の動きだけで、バトルが成立するのは、面白い。互いにHPを削り、ともに汗を流した、その時。
『ルナ、そこで何をしている!!』
聞き覚えのある声。振り向くと、少年の姿が目に入った。
「お前は、元【アーサーラウンダー/ベディヴィア】のゼアン!!」
彼女が知ったのは、裏切りの司令官の存在。怒りの炎が込み上げる。最終決戦が始まるのは……、まだまだ先。
素早さ、反射速度、回避率、秒間攻撃回数、判断力、実行・反映速度。
全ての条件が正常の場合、一撃が緩やかに、不安定の場合は、力強く視認不可能になる。
今は暴走のせいか、時々意識が朦朧としているので、威力は測定できない値のはずだ。
「わかった。その試練ってやつ、乗ってやる。報酬はあるんだろ? 強化段階追加とかさ。クリムゾンブレードの」
冗談混じりではあるが、一応本心からの希望でもあった。クリムは、その答えを待っていたかのように、承諾。
〖ならば、900000段階まで追加してやろう。保証はないがな〗
ここからが、本当の真っ向勝負。私は大地を踏みしめ蹴り飛ばす。彼女の加速は、秒速を超え、音速も光速も超えて。波紋すら残さず姿を消した。
駆け抜ける疾走感。吹き付ける強風で起こる無重力感。そして、二つの現象を受けながら、絶え間無く振り続ける1本の剣。
私は、桁違いの敵を前に心を躍らせて、身体を右に捻ると、後を追いかける左手が、敵陣を一掃していく。
恐怖の声は全て消え、楽しみながら戦う姿に笑みをこぼすと、相手のレベルに対応する形で、手合わせを行い、本人次第で倒す。
勝敗では私の勝ちだが、満足度は天秤にかけても、その差はほぼ0に近い。
すなわち、【WIN・WIN】という結果を常に出し続けているのだ。
実際にやってみると、ものすごく難しい。人によって、能力も技術も、バトル経験もバラバラ。
手加減しすぎると物足りなかったり、逆に本気で戦えば、悪循環が生まれてしまう。
(それにしても、どんだけいるんだよ!! 全然減らねぇんだけど!! 次は……、このくらいでやれば!!)
力みすぎた肩を軽くし、敵のモーションを予想。タイミングよく刀身を交え受け流す。
「アンゲーマー、もう少しお願いします」
地味だが、いつの間にかこのようなあだ名で呼ばれていた。呼び方は好き勝手でいいものの、少々歯がゆい。
「了解!! えーと、武器はそのまんまでも大丈夫か? 今なら無料錬成で新武器か、私の装備変更してやるぜ?」
すると、目の前の青年が言ったのは、
「では、アンゲーマーが一度も使ったことのない武器でお願いします。ハンデ付きです」
というリクエスト。今までに使ったことのない武器。他のゲームでほとんど触っているため、なかなかのものだ。
(そういえば、格闘武器使ってねぇな。んじゃそれにすっか)
〈クリムゾン・ブレード〉をストレージの中へ移動すると、無言詠唱で〈ナックル〉を両手に装着。
周りの観戦者は、歓声と拍手で2人を見守る。ルグアは、王道格闘ゲームのプレイアブルキャラのように、手前に構え前後に動く。
時々、シャドウパンチで威嚇すると、外国人プレイヤー達は声量を上げた。
(やっぱ人気なのか、日本の2Dゲームは……。eスポでも有名だもんな……。ほんの少ししかやってないけど)
まるで、2Dゲームをフルダイブを使った、360°ファイトなのではないか、そう思えてきた。
なぜか相手も、ナックルを装備している。どうやら、拳でぶつかりたいのだろう。
(ってことは……。まずは一礼……と)
青年も、頭を下げて持ち上げる。
『Lady……Fight!!』
第三者の掛け声で、地面を蹴り飛ばし、急接近。殴り合いが始まった。
真っ先に動いたのは、青年の右ストレート。ルグアは利きが反対なので、左下に屈んで避ける。
回り込み、遅れてパンチを繰り出したものの、ワンテンポ早いアッパーをくらってしまった。
もしかすると、この青年は若手のボクサーという可能性が、脳裏に浮かぶ。
フルダイブ版の格闘ゲームは、近年話題になっており、非公式eスポーツ大会ナンバーにも選ばれているくらいだ。
元々は、未知のウイルスで野外活動がなくなった後、フルダイブ技術が普及。
リングを使った勝負の代替として、非接触型フルダイブ版格闘ゲームが誕生した。
やがて年代は、老若男女問わず人気を集め、今に至る。
心理戦が頭脳戦に変わった分、認知症患者の減少にも繋がっていた。
そうしているうちに、攻撃の種類を青年の行動パターンから学び、立ち止まる。
1つ目は、最初に青年が放ったストレート。身体を半分捻り勢いをつけて真っ直ぐ突き出す。
欠点として、斜め下に回避エリアができる。ただし、連携技回避は難易度が高い。
2つ目は、ジャブ。青年が時々説明してくれた技、その1。利き手とは逆の手で、細かく突き出す技で、回避エリアはあまりない。
3つ目は、フック。側面、多分脇腹のところを、弧を描くように狙うのだろう。
拳の軌道と同じ方向に回転回避すれば、問題ない。
最後は、アッパー。一言で表すと、突き上げ攻撃である。
回避は、溜めの時点で後方に移動した方がいいのかもしれない。
これらを習得したからには、魂の高揚が弾けるほど、優位になる。
「お前、名前は?」
「ぼくですか? ぼくはルナ・フランク。呼ぶ時はルナでお願いします」
「わかった、フレンド申請送ったから。あとで処理頼む。こっからは、本気で行くぜ!!」
――ビュウォン!!
加速音とともに消えたルグア。ルナも同様に加速しデットヒートを始める。
滞空状態からの、見る目を疑う高速ジャブ。するりと抜けて、双方の拳がぶつかるストレート。
ルナのアッパーに合わせ、真っ直ぐ上に身を翻すルグア。着地直前に、再び近づき硬直を狙う少女の左フック。
それを予想し青年は、バックステップからの左ジャブ・右ストレート、ジャブフェイント直後にアッパー。
もちろん、ルグアも負けていない。全て回避し、左右逆の同じ攻撃でダメージを与えていく。
基本の動きだけで、バトルが成立するのは、面白い。互いにHPを削り、ともに汗を流した、その時。
『ルナ、そこで何をしている!!』
聞き覚えのある声。振り向くと、少年の姿が目に入った。
「お前は、元【アーサーラウンダー/ベディヴィア】のゼアン!!」
彼女が知ったのは、裏切りの司令官の存在。怒りの炎が込み上げる。最終決戦が始まるのは……、まだまだ先。
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