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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第22話 木材集めに九州へ
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「…………うぅん~」
簡単に寝ぼけた頭を覚醒させても、はっきりした変化は起こらない。
まあ、同じようなゲームもやったことはなくはないため、現実停止なら2年間ぶっ続けで活動可能。
その分、代償が大きくなるけど、回復時間に5分もあれば充分足りる。
山梨、岐阜、三重、奈良。大阪、兵庫。四国上空を通り過ぎ、九州に到着。
加速状態で片道30分。MAXで往復10分程だろう。WWM世界の九州は県境が見えないくらいの密林。
どこを見ても木々で生い茂って、枝が動ける範囲を制限する。
場所を選び地上に降りて、木の硬さを肌で感じた。VRとは思えない、皮のザラザラした部分。
少し剥がれたすべすべの、時々引っかかるささくれ。幹の再現度の高さに不思議と思う懐かしさ。
1日、1分、1秒でも早くリアルに戻り、ファミリーファームで遊びたい。
「んじゃ、取り掛かっていくか。寝みぃけど………ふぁ~ぅ…………」
あくびをしながら、運搬用の入れものを作り始めた。まずは、魔剣で木を26本。
切った木材を地面に14本、周りに3本ずつ置き、無言詠唱で錬成魔法を唱える。
「これでよし!!」
丸太1本を半分に切れば、500万個は入りそうな、元のサイズより50倍大きい運搬用空中船が完成。
早く休みたい脳の訴えがあったが、剣に意識を集中。
VWDLのような赤いライトエフェクトは出ないのに、振り抜くとビームスラッシュで複数切り倒す。
だが、先に半分にするのを忘れてしまった。……という時に役立つのが魔法である。
切断魔法。練習回数が少なくて無言詠唱は100万本を切れるか否か。
「………………。…………。Zzz………」
うっかり寝てしまう、ルグアだった。
◇◇◇◇◇◇
短い眠りから覚め、木材集めに戻った私は、いつの間にか、1つ増えた運搬用空中船に驚く。
運搬船の中には、横並びに揃った大量の木材。
――ガサガサ……。
どこからか、人の気配がした。種族は彼女と同じエルフ。
「ルグア先輩おはよう。努さんと彰さんから聞きました」
耳をすまし聴こえたのは、私の兄の声。わざわざ、ログアウト不可というゲームにインするとは。
この場合、どう対応すればいいのだろうか………。PNで呼んでるからゲーム内?
いや、2人だけだからリアル? 混乱状態になりかけたその時。
「私もいますよ。ルグアさんお久しぶり、いえ、7日ぶりですね」
ガイアも大量の木材を抱えて顔を出す。なぜ、入ってきたのか気になるが、仕事が先。
でも、重い運搬船を運べるのは私だけ。理由は、現実と重さの基準が違うかもしれないからだ。
私はもうひとつ錬成し、魔剣で木を切る。一瞬で溢れかえる運搬船。そこで、
「ルクス、ガイア。収集は2人に任せる。今貯まってるやつは、持っていってもいいよな?」
確認すると、兄と友人は頷いて、すでに入っている船に追加。
満杯になったので持ち上げると、一直線で村に戻った。村の入り口に置くと、大工がどんどん消費して、あっという間に空っぽに。
再び、九州に行き中身がある運搬船を村へ、何も入ってない運搬船を九州へ。
これを約500万回繰り返した。私は休憩したことで疲れ知らず。けれども、ガイアとルクスはヘトヘトで、後半は私1人で作業。
男性陣が休んで少女が働く。違和感を感じる出来事、そのゲーム生活の長さがよくわかった。
「ルグアさん、ルクスさんにガイアさん、お手伝いありがとうございます」
努が、感謝の言葉を述べる。彰も同じように、
「セレスさんとガロンさんも、助かりました」
まさかまさかの、親友まで来ていた。
「お仕事ドンと来いです!! ね? アーサーさん、モードレさん」
ガロンが、細い力こぶをトンと叩く。セレスも真似して、
「ガロンの言う通りです。まだまだ働きますよ!!」
と、意気込みを語った。ワイワイ話が盛り上がって、私もこれまでの行動を伝えた。
約1時間のやり取りが終わると、そこへ、
〖よお、ルグア殿。セレス殿やガロン殿のもお揃いで、ルクス殿とガイア殿も無事で何より〗
VWDLにいるはずのクリムが、真紅の剣と手紙を持ってやってきた。
「クリム、なんでルクスとガイアを知ってるんだ?」
〖それはじゃな、我がルグア殿のメールアドレスで知らせたんじゃ。勝手に使ってしまったことは、誠に申し訳ない。これを、そなたに〗
クリムが咥えている〈クリムゾンブレード〉を離し、私の前に置く。
久しぶりに持つその剣は、強化がされているようで、初めて手にした時より重くなっていた。
手紙を開くとそこは、
〈巣籠明理様、いつもご協力をいただきありがとうございます〉
審査会社からのメール。
〈明理様のおかげで、VWDLの審査が無事に完了いたしました〉
「よかったですね」
ガロンが喜ぶ。まだ続きがあって、
〈今現在、プレイしていただいている『WWM』が、審査を通っていないことが判明しましたので、お知らせします〉
ここで、言葉が切れていた。しかし、クリムは手紙の裏も見てもらえないかと、身体を横回転させる。
裏には、別の誰かの筆跡。それは、沖縄からの知らせだった。
簡単に寝ぼけた頭を覚醒させても、はっきりした変化は起こらない。
まあ、同じようなゲームもやったことはなくはないため、現実停止なら2年間ぶっ続けで活動可能。
その分、代償が大きくなるけど、回復時間に5分もあれば充分足りる。
山梨、岐阜、三重、奈良。大阪、兵庫。四国上空を通り過ぎ、九州に到着。
加速状態で片道30分。MAXで往復10分程だろう。WWM世界の九州は県境が見えないくらいの密林。
どこを見ても木々で生い茂って、枝が動ける範囲を制限する。
場所を選び地上に降りて、木の硬さを肌で感じた。VRとは思えない、皮のザラザラした部分。
少し剥がれたすべすべの、時々引っかかるささくれ。幹の再現度の高さに不思議と思う懐かしさ。
1日、1分、1秒でも早くリアルに戻り、ファミリーファームで遊びたい。
「んじゃ、取り掛かっていくか。寝みぃけど………ふぁ~ぅ…………」
あくびをしながら、運搬用の入れものを作り始めた。まずは、魔剣で木を26本。
切った木材を地面に14本、周りに3本ずつ置き、無言詠唱で錬成魔法を唱える。
「これでよし!!」
丸太1本を半分に切れば、500万個は入りそうな、元のサイズより50倍大きい運搬用空中船が完成。
早く休みたい脳の訴えがあったが、剣に意識を集中。
VWDLのような赤いライトエフェクトは出ないのに、振り抜くとビームスラッシュで複数切り倒す。
だが、先に半分にするのを忘れてしまった。……という時に役立つのが魔法である。
切断魔法。練習回数が少なくて無言詠唱は100万本を切れるか否か。
「………………。…………。Zzz………」
うっかり寝てしまう、ルグアだった。
◇◇◇◇◇◇
短い眠りから覚め、木材集めに戻った私は、いつの間にか、1つ増えた運搬用空中船に驚く。
運搬船の中には、横並びに揃った大量の木材。
――ガサガサ……。
どこからか、人の気配がした。種族は彼女と同じエルフ。
「ルグア先輩おはよう。努さんと彰さんから聞きました」
耳をすまし聴こえたのは、私の兄の声。わざわざ、ログアウト不可というゲームにインするとは。
この場合、どう対応すればいいのだろうか………。PNで呼んでるからゲーム内?
いや、2人だけだからリアル? 混乱状態になりかけたその時。
「私もいますよ。ルグアさんお久しぶり、いえ、7日ぶりですね」
ガイアも大量の木材を抱えて顔を出す。なぜ、入ってきたのか気になるが、仕事が先。
でも、重い運搬船を運べるのは私だけ。理由は、現実と重さの基準が違うかもしれないからだ。
私はもうひとつ錬成し、魔剣で木を切る。一瞬で溢れかえる運搬船。そこで、
「ルクス、ガイア。収集は2人に任せる。今貯まってるやつは、持っていってもいいよな?」
確認すると、兄と友人は頷いて、すでに入っている船に追加。
満杯になったので持ち上げると、一直線で村に戻った。村の入り口に置くと、大工がどんどん消費して、あっという間に空っぽに。
再び、九州に行き中身がある運搬船を村へ、何も入ってない運搬船を九州へ。
これを約500万回繰り返した。私は休憩したことで疲れ知らず。けれども、ガイアとルクスはヘトヘトで、後半は私1人で作業。
男性陣が休んで少女が働く。違和感を感じる出来事、そのゲーム生活の長さがよくわかった。
「ルグアさん、ルクスさんにガイアさん、お手伝いありがとうございます」
努が、感謝の言葉を述べる。彰も同じように、
「セレスさんとガロンさんも、助かりました」
まさかまさかの、親友まで来ていた。
「お仕事ドンと来いです!! ね? アーサーさん、モードレさん」
ガロンが、細い力こぶをトンと叩く。セレスも真似して、
「ガロンの言う通りです。まだまだ働きますよ!!」
と、意気込みを語った。ワイワイ話が盛り上がって、私もこれまでの行動を伝えた。
約1時間のやり取りが終わると、そこへ、
〖よお、ルグア殿。セレス殿やガロン殿のもお揃いで、ルクス殿とガイア殿も無事で何より〗
VWDLにいるはずのクリムが、真紅の剣と手紙を持ってやってきた。
「クリム、なんでルクスとガイアを知ってるんだ?」
〖それはじゃな、我がルグア殿のメールアドレスで知らせたんじゃ。勝手に使ってしまったことは、誠に申し訳ない。これを、そなたに〗
クリムが咥えている〈クリムゾンブレード〉を離し、私の前に置く。
久しぶりに持つその剣は、強化がされているようで、初めて手にした時より重くなっていた。
手紙を開くとそこは、
〈巣籠明理様、いつもご協力をいただきありがとうございます〉
審査会社からのメール。
〈明理様のおかげで、VWDLの審査が無事に完了いたしました〉
「よかったですね」
ガロンが喜ぶ。まだ続きがあって、
〈今現在、プレイしていただいている『WWM』が、審査を通っていないことが判明しましたので、お知らせします〉
ここで、言葉が切れていた。しかし、クリムは手紙の裏も見てもらえないかと、身体を横回転させる。
裏には、別の誰かの筆跡。それは、沖縄からの知らせだった。
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