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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第18話 黄金城と村の少年
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黄金城の中庭に着陸した2人は、ガーディアンに囲まれていた。重そうな鎧を擦って鳴らし、今か今かと素振りをしている。
敵はさらに増え、スポーンと集合を何度も重ね、あっという間に数100体。
「なぁ努。このダンジョン、ソロでやってもいいか?」
私のわがまま……ではなく犠牲者削減の判断。努は、メニューからステータスを表示して、
「レベリングのお零れを頂けるなら」
EXPオーブのことだろう。前のダンジョンでもオーブが落ちていた。
「わかった、けど無理すんなよ? えーとステータスは…………」
プレイヤー名:須田 努
Lv.75
性別:Man 種族:人族
ジョブ:勇者
国民番号:000001177
HP:34,275 ATK:15,375
DEF:11,850 MAT:14,775
MDE:12,000
まあ、問題ないだろう。私は敵陣の中心に立つように指示。
距離が離れたところで、加速させる。2倍、5倍、10倍。これでもまだ序の口。
20倍、50倍、100倍、巧妙に作り上げられた疑似痛覚に、皮膚をえぐられる。
それは、やがて光の速さを超え、暗闇の城より激しくなった。しっかり攻撃できているのかな? そう思う人が多いかもしれない。
確かにこの速度では、剣閃を見ることすら不可能。だが、
――ウォーン……
次々とガーディアンが、オオカミのような悲鳴を残し、ズサズサと横倒しになる。
ダメージは与えていることがわかったが、不思議なことに中心を一度も通ってない。通らないように、移動する。
努のところに接近しても、直角に曲り、次の敵へ。
私は、減る気配のない大群を1人で相手し、約3時間でガーディアンを全滅させた。
◇◇◇◇◇◇
「はぁ~、疲れた……………」
「ルグアさんは、一体何者なんですか?」
光のダンジョン、黄金城でのバトルから2時間後。戦いを終え、とある場所の芝生で休んでいた。
獲得した大量の物資を空輸した私は、努の活動拠点である村にお邪魔しているのだ。
澄み切った空、生き生きとした植物、目の前は賑やかな声がする。
「努さん、お疲れ様です。あれ? 入村希望者ですか?」
努と変わらない背丈の男子が、食材の入ったバスケットを両手で持ち、走ってくる。
「違うよ、彰。この方は僕の仕事を手伝ってくれたんだ。で、休憩のために案内したから」
彰という少年には、プレイヤーカーソルがない。NPC? けど、名前が漢字だ。
ファンタジー系のゲームNPCのほとんどはカタカナか英語表記。
漢字は、戦国系で多い――織田信長とか、豊臣秀吉とか――ので、気にしてしまう。
「ゲーム界で有名なルグアさんです」
努が私の代わりに紹介してくれた。次に、彰の方を指し、
「ルグアさん、井出彰さんです。双子の別宇宙? ……から、召喚された人で、扱いはNPCと同じです」
やっぱりそうか。消えたパズルピースがはまり解決する。
その後、努と彰は村の隅々まで、説明してくれた。広い住宅街、たくさんの住民。
産まれたばかりの赤子NPC。開拓途中の地下拠点。敷地の大きさに、1人で行けば迷子になりそうだ。
私は、エンディングを見るまでの間、この村で生活することにした。
◇◇◇◇◇◇
努の村に来てから2週間。現実世界の時は止まったまま、ゲーム内の日付が変わっていた。
私たちは、多くの依頼を攻略。報酬をもらって、村のみんなに分け与える。拠点本部に集まると、
「今日も働きましたね。お疲れ様です。もうすぐ、モンスターレベル調整が始まるので、寝ましょうか」
彰がそう言って、自宅に向かう。私も2人に「おやすみ」と伝えると外に出た。
現在、明理の家は建築している真っ最中。男の家に泊まるのは嫌なので、野宿をしている。
よく、昼休憩で使っている、丘の芝生に設置した簡易テント。ここでの生活は慣れていた。
前にも、ソロで遊んでいる時、ダンジョン内にテントを張り、敵と一緒に寝たことがあるからだ。
もちろん、起床後はバトルになり、ウォーミングアップの日課になっていた。
「今夜も、星が綺麗だな……」
丘の頂上で見上げた空は、光り輝く小さな宝石たちで溢れている。まるで、会話をしているように、光っては消えまた顔を出す宝石。
その時、空の星々は光度が増して、私のところへ降り注ぎ、魔剣に吸収され形状が変化。
閃光とともに姿を現したのは、歪ではなく、まっすぐな大剣。
色は、赤紫。ステータスは、ATK:50000と表示されている。きっとこれは進化演出だ。魔剣は、強くなっている。武器は、一生の相棒。
剣を持ちテントの中に入ると、枕元に立てかける。
(私も、レベリング頑張らないとだな)
私はまだレベル1。先を越された魔剣に、微かな嫉妬を抱いた。
敵はさらに増え、スポーンと集合を何度も重ね、あっという間に数100体。
「なぁ努。このダンジョン、ソロでやってもいいか?」
私のわがまま……ではなく犠牲者削減の判断。努は、メニューからステータスを表示して、
「レベリングのお零れを頂けるなら」
EXPオーブのことだろう。前のダンジョンでもオーブが落ちていた。
「わかった、けど無理すんなよ? えーとステータスは…………」
プレイヤー名:須田 努
Lv.75
性別:Man 種族:人族
ジョブ:勇者
国民番号:000001177
HP:34,275 ATK:15,375
DEF:11,850 MAT:14,775
MDE:12,000
まあ、問題ないだろう。私は敵陣の中心に立つように指示。
距離が離れたところで、加速させる。2倍、5倍、10倍。これでもまだ序の口。
20倍、50倍、100倍、巧妙に作り上げられた疑似痛覚に、皮膚をえぐられる。
それは、やがて光の速さを超え、暗闇の城より激しくなった。しっかり攻撃できているのかな? そう思う人が多いかもしれない。
確かにこの速度では、剣閃を見ることすら不可能。だが、
――ウォーン……
次々とガーディアンが、オオカミのような悲鳴を残し、ズサズサと横倒しになる。
ダメージは与えていることがわかったが、不思議なことに中心を一度も通ってない。通らないように、移動する。
努のところに接近しても、直角に曲り、次の敵へ。
私は、減る気配のない大群を1人で相手し、約3時間でガーディアンを全滅させた。
◇◇◇◇◇◇
「はぁ~、疲れた……………」
「ルグアさんは、一体何者なんですか?」
光のダンジョン、黄金城でのバトルから2時間後。戦いを終え、とある場所の芝生で休んでいた。
獲得した大量の物資を空輸した私は、努の活動拠点である村にお邪魔しているのだ。
澄み切った空、生き生きとした植物、目の前は賑やかな声がする。
「努さん、お疲れ様です。あれ? 入村希望者ですか?」
努と変わらない背丈の男子が、食材の入ったバスケットを両手で持ち、走ってくる。
「違うよ、彰。この方は僕の仕事を手伝ってくれたんだ。で、休憩のために案内したから」
彰という少年には、プレイヤーカーソルがない。NPC? けど、名前が漢字だ。
ファンタジー系のゲームNPCのほとんどはカタカナか英語表記。
漢字は、戦国系で多い――織田信長とか、豊臣秀吉とか――ので、気にしてしまう。
「ゲーム界で有名なルグアさんです」
努が私の代わりに紹介してくれた。次に、彰の方を指し、
「ルグアさん、井出彰さんです。双子の別宇宙? ……から、召喚された人で、扱いはNPCと同じです」
やっぱりそうか。消えたパズルピースがはまり解決する。
その後、努と彰は村の隅々まで、説明してくれた。広い住宅街、たくさんの住民。
産まれたばかりの赤子NPC。開拓途中の地下拠点。敷地の大きさに、1人で行けば迷子になりそうだ。
私は、エンディングを見るまでの間、この村で生活することにした。
◇◇◇◇◇◇
努の村に来てから2週間。現実世界の時は止まったまま、ゲーム内の日付が変わっていた。
私たちは、多くの依頼を攻略。報酬をもらって、村のみんなに分け与える。拠点本部に集まると、
「今日も働きましたね。お疲れ様です。もうすぐ、モンスターレベル調整が始まるので、寝ましょうか」
彰がそう言って、自宅に向かう。私も2人に「おやすみ」と伝えると外に出た。
現在、明理の家は建築している真っ最中。男の家に泊まるのは嫌なので、野宿をしている。
よく、昼休憩で使っている、丘の芝生に設置した簡易テント。ここでの生活は慣れていた。
前にも、ソロで遊んでいる時、ダンジョン内にテントを張り、敵と一緒に寝たことがあるからだ。
もちろん、起床後はバトルになり、ウォーミングアップの日課になっていた。
「今夜も、星が綺麗だな……」
丘の頂上で見上げた空は、光り輝く小さな宝石たちで溢れている。まるで、会話をしているように、光っては消えまた顔を出す宝石。
その時、空の星々は光度が増して、私のところへ降り注ぎ、魔剣に吸収され形状が変化。
閃光とともに姿を現したのは、歪ではなく、まっすぐな大剣。
色は、赤紫。ステータスは、ATK:50000と表示されている。きっとこれは進化演出だ。魔剣は、強くなっている。武器は、一生の相棒。
剣を持ちテントの中に入ると、枕元に立てかける。
(私も、レベリング頑張らないとだな)
私はまだレベル1。先を越された魔剣に、微かな嫉妬を抱いた。
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