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第2章 WWM 〜世界魔法大戦〜
第17話 城攻略
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暗い空間、薄紫の壁、赤と金の長い絨毯。2人は警戒しながら歩く。
時々現れるスケルトン、稀に攻撃してくるゴーレム。努が、自信満々に剣を振り盾で跳ね返す。
最初はよかったが、難易度は上がっていき、少しずつ押され始めるが、努が制して前に立つ。
(なんだ? この感覚……、初めてだ……。危険な気配が……)
私は、最後に残った大部屋に、意識を集中させる。それは、私たちが、向かっている部屋。階段を登り、扉を開ける。
――ギギギギギィィ……
甲高い、蝶番の軋む音。再び入り口の前に行き、中を見ると、ざっと40体のスケルトン。
真ん中には、明理の身長の50倍はある大きな2体のゴーレムが、待ち構えている。ちなみに、明理の身長はい148cm。
私の鼓動に混じる、仲間の恐怖の叫び。隣の努は手足を縮めて、ひっくり返った。
(動けるのは私だけ……。クリアしなければ、ダンジョンに閉じ込められる)
私は、魔剣を取り出すと、しまっていた羽根を生やし、ホバリングしてから、群れに突っ込む。
1対42、無謀といえば無謀。だが、ルグアには通用しない。宙に舞う、スケルトンの骨棍棒40本を左の魔剣で弾き、ついでに近くの敵を攻撃。
平均で5回当たれば、倒せる。それを確認したあと、ルグアの動きは加速していく。入り口で観戦中の努は、その強さと俊敏さに絶句した。光景を言葉にできないほどの、熱量に。
ものの数10分で、スケルトンが全滅。残るは巨大なゴーレム2体。叩きつけられる大きい岩石を、スレスレで回避すると、すかさず無防備な関節に刃を入れる。
避けては切りつけの攻防が、大迫力のエフェクトで彩られ、私は、集中力をさらに高めた。
もちろん、加速も止まらない。目で追えない空気の波紋が、うっすら見つけるのが限界だ。
そして、突然ルグアの動きが止まり、実物が出現した。1分後。ゴーレムの胴体が崩れる。
つまり、自分達が勝利した。努は緊迫感から解放され、眠りについてしまった。そんな努を担いで、城に別れを告げる、ルグアだった。
◇◇◇◇◇◇
「努ー!! 大丈夫かー!!」
私は、暗闇の城から5kmほど離れた砂漠地帯で、仲間の身体を揺すっていた。
彼は、私の戦いぶりと、恐怖のどん底から解放されたことで、失神したまま目を覚まさない。
努がログインしたとみられる場所は、大体予想がついていた。群馬県太田市、細かい住所まではいかないが、もしかしたらと思いログアウトの項目を探す。
だが、ログアウトの文字が見当たらない。その時、頭の中によぎったのは『デスゲーム』。
あるある設定の1つで、ログアウトできなくなると、死と隣り合わせのバトルが始まるというもの。
次に、浮かんだのは、『鳥籠』。または、『ヒューマンバードハウス』。
最初は、広い世界だったのに、日が経つと狭くなっていく。人口密度が原因で、強制退場がオチ。
最後は『エンドレスバトル』。その名の通り、エンディングが終わるまで、延々と闘いが続く。
私の予想は、3つ目。大戦系のゲームに多いと思うし、リスタート機能で死ぬことはない。
安全性の高いゲームは、激しい戦闘でも、プレイヤーは遊び続ける。これらは確かではないので、私の見解でしかない。
「う、うぅぅぅ…………」
失神状態の努が唸った。どうやら、無事回復したようだ。ゆっくり目を開いて、上体を起こし、
「ルグアさん、ここは、砂漠?」
つぶやく。私は、
「ああ。ボス倒してここまで運んだ私に礼を忘れるなよ? と言いたいが、今回はおまけしてやる」
ブレのない口調で、簡単に説明した。もちろん、敵が0というわけではない。
見張って、敵が出現したら攻撃。努へ危害のないように守っていた。
「ログアウトができなくなった。こっから先も、2人でやっていかないか?」
「喜んで!!」
大きく首を振って頷いた。歩くしか手段のない努を抱き上げ、再びルグアは空を飛ぶ。
次の目的地は、誰も踏み入れたことのない、黄金城。景色は、砂漠からサバンナに変化した。
◇◇◇◇◇◇
日差しが強いサバンナ地帯の上空を、私は努を抱えて移動中。
画面右上のデジタル時計は、お昼の12時で止まっている。エンドレスバトルの特徴の1つだ。
現実世界の時間が止まり、ゲーム世界の時間だけが進むということ。
ちなみに、『デスゲーム』は並行時間。『鳥籠』は倍速時間となっていて、違和感は少ない。
時の流れは変わらず、ただ、現実と差が生まれるだけ。慣れれば、普通の生活に戻れる。
「ルグアさんは、何歳ですか?」
「16。逆におまえは、いくつだ?」
「18歳です。ルグアさんの方が、僕より年下ですね」
そうこうしてる間に、見えてきたのは、全体的に神々しい、黄金城ダンジョン。
広大な敷地に建物が3つ重なり、跳ね返す眩い日の光に目を細める。周辺には、ガーディアン。
それを掻い潜り、城内に潜入すると、本日2度目のダンジョン攻略開始。
(厄介なやつが、ごった返していそうだな)
思考で感じとる自身の不安感に、目を背けながら剣舞を披露すると、努が後ろで援護を行う。
剣と魔法の世界は悪くない。戦いに終わりはなくなった。これから始まる。ログアウトするための攻略は、山あり谷あり谷底ありの深淵。
私のプレイにリスタートは必要ない。その分努力すればいい。ガーディアンは増えていく。私はそれに立ち向かう。
時々現れるスケルトン、稀に攻撃してくるゴーレム。努が、自信満々に剣を振り盾で跳ね返す。
最初はよかったが、難易度は上がっていき、少しずつ押され始めるが、努が制して前に立つ。
(なんだ? この感覚……、初めてだ……。危険な気配が……)
私は、最後に残った大部屋に、意識を集中させる。それは、私たちが、向かっている部屋。階段を登り、扉を開ける。
――ギギギギギィィ……
甲高い、蝶番の軋む音。再び入り口の前に行き、中を見ると、ざっと40体のスケルトン。
真ん中には、明理の身長の50倍はある大きな2体のゴーレムが、待ち構えている。ちなみに、明理の身長はい148cm。
私の鼓動に混じる、仲間の恐怖の叫び。隣の努は手足を縮めて、ひっくり返った。
(動けるのは私だけ……。クリアしなければ、ダンジョンに閉じ込められる)
私は、魔剣を取り出すと、しまっていた羽根を生やし、ホバリングしてから、群れに突っ込む。
1対42、無謀といえば無謀。だが、ルグアには通用しない。宙に舞う、スケルトンの骨棍棒40本を左の魔剣で弾き、ついでに近くの敵を攻撃。
平均で5回当たれば、倒せる。それを確認したあと、ルグアの動きは加速していく。入り口で観戦中の努は、その強さと俊敏さに絶句した。光景を言葉にできないほどの、熱量に。
ものの数10分で、スケルトンが全滅。残るは巨大なゴーレム2体。叩きつけられる大きい岩石を、スレスレで回避すると、すかさず無防備な関節に刃を入れる。
避けては切りつけの攻防が、大迫力のエフェクトで彩られ、私は、集中力をさらに高めた。
もちろん、加速も止まらない。目で追えない空気の波紋が、うっすら見つけるのが限界だ。
そして、突然ルグアの動きが止まり、実物が出現した。1分後。ゴーレムの胴体が崩れる。
つまり、自分達が勝利した。努は緊迫感から解放され、眠りについてしまった。そんな努を担いで、城に別れを告げる、ルグアだった。
◇◇◇◇◇◇
「努ー!! 大丈夫かー!!」
私は、暗闇の城から5kmほど離れた砂漠地帯で、仲間の身体を揺すっていた。
彼は、私の戦いぶりと、恐怖のどん底から解放されたことで、失神したまま目を覚まさない。
努がログインしたとみられる場所は、大体予想がついていた。群馬県太田市、細かい住所まではいかないが、もしかしたらと思いログアウトの項目を探す。
だが、ログアウトの文字が見当たらない。その時、頭の中によぎったのは『デスゲーム』。
あるある設定の1つで、ログアウトできなくなると、死と隣り合わせのバトルが始まるというもの。
次に、浮かんだのは、『鳥籠』。または、『ヒューマンバードハウス』。
最初は、広い世界だったのに、日が経つと狭くなっていく。人口密度が原因で、強制退場がオチ。
最後は『エンドレスバトル』。その名の通り、エンディングが終わるまで、延々と闘いが続く。
私の予想は、3つ目。大戦系のゲームに多いと思うし、リスタート機能で死ぬことはない。
安全性の高いゲームは、激しい戦闘でも、プレイヤーは遊び続ける。これらは確かではないので、私の見解でしかない。
「う、うぅぅぅ…………」
失神状態の努が唸った。どうやら、無事回復したようだ。ゆっくり目を開いて、上体を起こし、
「ルグアさん、ここは、砂漠?」
つぶやく。私は、
「ああ。ボス倒してここまで運んだ私に礼を忘れるなよ? と言いたいが、今回はおまけしてやる」
ブレのない口調で、簡単に説明した。もちろん、敵が0というわけではない。
見張って、敵が出現したら攻撃。努へ危害のないように守っていた。
「ログアウトができなくなった。こっから先も、2人でやっていかないか?」
「喜んで!!」
大きく首を振って頷いた。歩くしか手段のない努を抱き上げ、再びルグアは空を飛ぶ。
次の目的地は、誰も踏み入れたことのない、黄金城。景色は、砂漠からサバンナに変化した。
◇◇◇◇◇◇
日差しが強いサバンナ地帯の上空を、私は努を抱えて移動中。
画面右上のデジタル時計は、お昼の12時で止まっている。エンドレスバトルの特徴の1つだ。
現実世界の時間が止まり、ゲーム世界の時間だけが進むということ。
ちなみに、『デスゲーム』は並行時間。『鳥籠』は倍速時間となっていて、違和感は少ない。
時の流れは変わらず、ただ、現実と差が生まれるだけ。慣れれば、普通の生活に戻れる。
「ルグアさんは、何歳ですか?」
「16。逆におまえは、いくつだ?」
「18歳です。ルグアさんの方が、僕より年下ですね」
そうこうしてる間に、見えてきたのは、全体的に神々しい、黄金城ダンジョン。
広大な敷地に建物が3つ重なり、跳ね返す眩い日の光に目を細める。周辺には、ガーディアン。
それを掻い潜り、城内に潜入すると、本日2度目のダンジョン攻略開始。
(厄介なやつが、ごった返していそうだな)
思考で感じとる自身の不安感に、目を背けながら剣舞を披露すると、努が後ろで援護を行う。
剣と魔法の世界は悪くない。戦いに終わりはなくなった。これから始まる。ログアウトするための攻略は、山あり谷あり谷底ありの深淵。
私のプレイにリスタートは必要ない。その分努力すればいい。ガーディアンは増えていく。私はそれに立ち向かう。
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