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第1章
第1-3-4話 アヤメの悲鳴
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キラービークイーンとエンペラー。キラービークイーンはわかるけど、エンペラーって何? ○ケモンに出てくるようなやつかな?
「そんな感じのやつかな。まあ、コブラの方がイメージ付きやすいが……。両方とも猛毒を持っているから、気をつけてくれ」
「「はいっ」」
っていうか、ルグアさんフルダイブ復帰勢って言ってたけど、正式サービス開始したこのゲームの復帰勢なのかな?
もしかしてルグアもベータテスター? それならこの知識量は納得できるけど。マッピングもしてたり?
「マッピングはしてたが、私はベータテスターじゃない。逆にこのゲームのスポンサー的立ち位置だな。ただし、このゲームで遊ぶのはこれが初めてに近い」
「「じゃあなんで敵の種類と危険度がわかるんですか?/すか?」」(サクヤ/アレン)
「勘と経験値だな。まあ勘の方が大半を占めているが……」
詳しいことを聞くのはやめておこう。後で説明してくれるはず。そんなことよりも猛毒のエンペラーとキラービークイーン……。
「来たぞ!」
「え!?」
そこには、大きな女王蜂とコブラが接近してくるのが見えた。俺とサクヤだけでは対処が難しそうなくらいに大きなエネミー。
もしかして、フィールドボス? レア素材ゲットの予感。ここは、俺が一人で……。
「この敵はものすごく強力だから、弱体化させといてやる」
「え!?」
――ジャッジメント・フロル!
「えーーーーーー!」
ルグアが簡単に詠唱すると、辺り一面に強風が吹き荒れた。木の葉を巻き上げ、キラービークイーンとエンペラーを攻撃していく。
「これは一体?」
「詳しいことは内緒。ほら、敵のHPも残りわずかだ」
「そう言われても……」
「クイーンが襲ってきた!」
「○ケモンじゃないっすよ!」
ルグアがボケてる。どう反応すればいいのやら。っていうか、クイーンとエンペラーってどう戦えばいいの?
俺よりも図体でかいし、いかついし、降参です。ってそう言っても襲ってくるのは確定だし、サクヤさんの鉄槌は見た感じ重そうで、行動制限多そうだし。
ということは、基本的に戦えるのは俺だけ? アヤメさんは今完全に腰抜かしてるし。つまりは戦闘不能状態。だから、俺が戦わないと無理そうだ。
ルグアはこれ以上戦う気なさそうだし。やっぱり俺が戦うしかないのか……。手持ちは初期装備の剣だけ。動かせるようなギミック関係の障害物もない。真っ向勝負しかない。戦わねば!
「考えてないで動け!」
「ふぇ?」
「目の前に来てるぞ!」
ルグアがそう言った時には、クイーンが俺のすぐ近くにいた。しかも相当怒ってる。つまり、今まで戦ってたキラービーはクイーンの子供? 申し訳ないことしちゃったなぁ。
でもレベルアップするためには戦わないといけないから仕方ないこと。けど、弱くなるなら俺的にも戦いたくない。ルグアは何を求めているのだろうか?
俺の戦闘能力が知りたいのかな? 俺そこまでバトル上手くないし。フルダイブは少し遊んだことあるけど、身のこなしまでは得意じゃなかったから。
感覚もあまり掴めてないというか、ここまで細かい動きをするゲームは初めてかもしれないというか、今日始めたばかりだし。
これでは舞彩に嘘をついたことになる。俺はゲーム通ではあるけれど、フルダイブゲームはゲーム機を持っていてもスカッシュゲームくらいで、本格的なゲームはやったことがないのだから。
舞彩に怒られる。絶対怒られる。けど、舞彩は俺のプレイヤー名知らないだろうし。いやリアルそのままだからわかるか。どうしよう。
このゲーム、課金すれば容姿変えられるみたいだけど、課金するだけのお金ないし、クレジットカードを登録してないから課金もできないし。
そもそも、このゲームの基本課金価格わからないし。どうすればいいのやら。見た目変えられるなら早く言ってよ……。時すでに遅しだよぉ……。
「地の文をバカな思考回路で埋めるなアレン」
「すんません……」
「それよりも……。敵が固まってるな」
「俺の思考回路がバカだったからっすかね?」
「「それは関係ないと思う」」
「そうっすか」
俺の思考回路最強説浮上すると思ったのに……。まいっか。俺は剣を握り直し、軽くすぶりをする。第一層で戦ったゴブリンよりも、攻撃できる範囲が広いけど。
尻尾の毒には気を付けよう。絶対即死する。とにかく尻尾には気を付けて。俺はゆっくりとクイーンに近づく。そして、破壊できるであろう尻尾の針めがけて剣を振る。
すると、クリティカルが出たのか一発で針が折れた。ラッキーじゃん。今のうちに肉薄を!
「サクヤさん! 今っす!」
「了解です。アレンさん!」
俺はサクヤさんに指示を出す。クイーンは針を破壊されたことで動きは鈍くなっているので、サクヤさんの移動速度でも間に合う。
そして、サクヤさんは鉄槌を大きく振りかぶり、クイーンの残りHPを削り切った。アイテムは思ったよりもショボかったが……。
「そろそろ暗くなってきたな。エンペラーは私が倒してやる」
ってルグアが言ってるけど。まさか無詠唱ファイヤーボールでじゃないよね? そう思ったら火の玉が大量に飛んできたぁーーーー。俺が実況者なってるじゃん。
おおっと。今度はエンペラーが氷結弾で反撃だぁ。ルグアの火の玉にクリーンヒット! ルグアに氷結弾が迫りくる。それを、完璧な回避で攻略していくルグア。
勝敗は如何に!? って次回に続くじゃないんだよ! 今めちゃくちゃいいところなんだけど! っと思ったら、ルグアがウィンドカッターを乱用してきた。
氷結弾がどんどんかき消されていく。そして、ウィンドカッターが! ウィンドカッターが! エンペラーにヒットしたぁーー。そして、急所に当たったぁーー。
エンペラーいっぱつKO! 勝者ルグア! って、いっぱつKO? ルグアレベル1で全ステ最低値だったよね? どうしていっぱつKOできたん? マジあり得ないんだけど!
ルグア最強すぎ。魔法強すぎ。性別も年齢もわからないけど。どこまでプレイ続ければここまで強くなれるの? っていうか、このゲームの攻撃判定バグってない?
最低値でもいっぱつKOできるのやっぱりおかしいよ。
「だから、バカ思考で埋めるなってアレン」
「ほんとすんませんでした!」
「まあいい。今日は遅いから野宿だ」
◇◇◇◇◇◇
「急いで洞窟を目指したものの、さすがに三人は重すぎたな。まあ、余裕だったけど」
「ルグア団長矛盾してるっすよ!」
「それよりも、ルグアさん。おれ達ほんとにお世話になってもいいんですか?」
「ああ」
「わたし達三人を背負って移動しても重くないのかだお?」
「もちろんだ」
ルグア怪力? いや、ダンベル持ち経験者? じゃないバーベルだ。体重もリアルのを採用しているから変に軽くなく動きやすいけど。三人分ってかなり重いよね?
それを一人でって。
「ただ単に重さなどの処理能力と対応力が上手いだけだ。きみ達もそのうちできるようになるさ」
「「無理無理無理」」
「あはは、冗談だって。私だからこそできることだ」
そう言って、俺達を洞窟に残したルグアは超高速で外と行き来し、木の枝を大量に集めてくると、ファイヤーボールで火をつけた。
火力の調節も上手すぎる。プレイヤーへのダメージ0。さらには、キャンプファイヤーにちょうどいい、松明まで用意されてる。
準備万端すぎるんだけど! 俺達やることないじゃん。ルグア最高すぎ! なんか少し好きになったかも。
「ここで一泊するけど、私は寝ないから」
「え?」
「だって、夜中敵が襲ってきたら危ないだろ?」
「たしかにそうっすけど。睡眠不足にならないんすか?」
「大丈夫だ問題ない」
「ならいいっすけど……」
ルグアが大丈夫って言ってるなら大丈夫なんだろうけど。やっぱり心配だ。
「遠くで声がするんだお」
「アヤメさん?」
「行ってくる。おーーーーーーー!」
アヤメさんが飛び出していってしまった。誰の声がしたんだろう? わからないけどいいや。それより、なんでルグアがは普通にしているんだろう?
「ん? ああ、あいつなら強いから大丈夫だなってさ」
「あいつ? アヤメさんのことっすか?」
「違う。私のギルドメンバーの声が聞こえたからだ」
「ルグア団長のギルドメンバーってそんなに強いんすか?」
「まあな。あの声は……。ガデルか……。どうやら剣を奪われたらしい」
ガデルって誰? 知らないんだけど! っていうか。どのくらい先にいるの?
「ここから5キロメートル離れたところだな。けど、アヤメのやつよく聞き取れたなぁ……」
「そうっすね」
「多分、おれの妹が聴覚感度に極振りしたからだと思います」
「聴覚感度っすか?」
またわからない言葉出てきたよ。まあ、だいたい予想付くけど。きっとあれでしょ、システム外スキルでしょ。
「その通り……」
『きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
「この声はアヤメ!? 二人はここで待っていてくれ!」
「どうして?」
「この悲の鳴大きさを考えるとPKの可能性が高いからだ。この洞窟は私が一人で見つけた場所だから、他プレイヤーに見つかる危険性は……」
「エネミーが現れたらどうするんすか!?」
「う、ううーーん」
「ルグア団長?」
「なら、こうする。私が両方を守る。それでいいか?」
◇◇◇ルグア目線◇◇◇
アレン達を洞窟に置いて、私はガデルとアヤメのところに向かっていた。辺りは真っ暗だが、暗視を使えばなんとか見えるレベル。
「ガデル! アヤメ!」
「ルグアさん! さっきの女性って……」
「アヤメだ、くそ! 一足遅かったか……」」
しかし、私が到着したころにはアヤメの姿はなかった。代わりに魂のエフェクトが一つ。きっとこれがアヤメなのだろう。
「ガデル。アヤメが全損してどれくらい経つ?」
「約3分ですね」
「3分か……。蘇生は無理そうだな。とりあえずウェンドラに頼んでみるか……。ウェンドラ聞こえるか?」
――『聞こえてます。なにかありましたか?』
「プレイヤーID21570。死亡エフェクトが出てる。HP全損から約3分経過。蘇生魔法使用不可。あと7分でリアルの方も死亡する」
――「つまりは、死亡時負荷をルグアに変更すればいいのですね」
「ああ、頼む」
「そんな感じのやつかな。まあ、コブラの方がイメージ付きやすいが……。両方とも猛毒を持っているから、気をつけてくれ」
「「はいっ」」
っていうか、ルグアさんフルダイブ復帰勢って言ってたけど、正式サービス開始したこのゲームの復帰勢なのかな?
もしかしてルグアもベータテスター? それならこの知識量は納得できるけど。マッピングもしてたり?
「マッピングはしてたが、私はベータテスターじゃない。逆にこのゲームのスポンサー的立ち位置だな。ただし、このゲームで遊ぶのはこれが初めてに近い」
「「じゃあなんで敵の種類と危険度がわかるんですか?/すか?」」(サクヤ/アレン)
「勘と経験値だな。まあ勘の方が大半を占めているが……」
詳しいことを聞くのはやめておこう。後で説明してくれるはず。そんなことよりも猛毒のエンペラーとキラービークイーン……。
「来たぞ!」
「え!?」
そこには、大きな女王蜂とコブラが接近してくるのが見えた。俺とサクヤだけでは対処が難しそうなくらいに大きなエネミー。
もしかして、フィールドボス? レア素材ゲットの予感。ここは、俺が一人で……。
「この敵はものすごく強力だから、弱体化させといてやる」
「え!?」
――ジャッジメント・フロル!
「えーーーーーー!」
ルグアが簡単に詠唱すると、辺り一面に強風が吹き荒れた。木の葉を巻き上げ、キラービークイーンとエンペラーを攻撃していく。
「これは一体?」
「詳しいことは内緒。ほら、敵のHPも残りわずかだ」
「そう言われても……」
「クイーンが襲ってきた!」
「○ケモンじゃないっすよ!」
ルグアがボケてる。どう反応すればいいのやら。っていうか、クイーンとエンペラーってどう戦えばいいの?
俺よりも図体でかいし、いかついし、降参です。ってそう言っても襲ってくるのは確定だし、サクヤさんの鉄槌は見た感じ重そうで、行動制限多そうだし。
ということは、基本的に戦えるのは俺だけ? アヤメさんは今完全に腰抜かしてるし。つまりは戦闘不能状態。だから、俺が戦わないと無理そうだ。
ルグアはこれ以上戦う気なさそうだし。やっぱり俺が戦うしかないのか……。手持ちは初期装備の剣だけ。動かせるようなギミック関係の障害物もない。真っ向勝負しかない。戦わねば!
「考えてないで動け!」
「ふぇ?」
「目の前に来てるぞ!」
ルグアがそう言った時には、クイーンが俺のすぐ近くにいた。しかも相当怒ってる。つまり、今まで戦ってたキラービーはクイーンの子供? 申し訳ないことしちゃったなぁ。
でもレベルアップするためには戦わないといけないから仕方ないこと。けど、弱くなるなら俺的にも戦いたくない。ルグアは何を求めているのだろうか?
俺の戦闘能力が知りたいのかな? 俺そこまでバトル上手くないし。フルダイブは少し遊んだことあるけど、身のこなしまでは得意じゃなかったから。
感覚もあまり掴めてないというか、ここまで細かい動きをするゲームは初めてかもしれないというか、今日始めたばかりだし。
これでは舞彩に嘘をついたことになる。俺はゲーム通ではあるけれど、フルダイブゲームはゲーム機を持っていてもスカッシュゲームくらいで、本格的なゲームはやったことがないのだから。
舞彩に怒られる。絶対怒られる。けど、舞彩は俺のプレイヤー名知らないだろうし。いやリアルそのままだからわかるか。どうしよう。
このゲーム、課金すれば容姿変えられるみたいだけど、課金するだけのお金ないし、クレジットカードを登録してないから課金もできないし。
そもそも、このゲームの基本課金価格わからないし。どうすればいいのやら。見た目変えられるなら早く言ってよ……。時すでに遅しだよぉ……。
「地の文をバカな思考回路で埋めるなアレン」
「すんません……」
「それよりも……。敵が固まってるな」
「俺の思考回路がバカだったからっすかね?」
「「それは関係ないと思う」」
「そうっすか」
俺の思考回路最強説浮上すると思ったのに……。まいっか。俺は剣を握り直し、軽くすぶりをする。第一層で戦ったゴブリンよりも、攻撃できる範囲が広いけど。
尻尾の毒には気を付けよう。絶対即死する。とにかく尻尾には気を付けて。俺はゆっくりとクイーンに近づく。そして、破壊できるであろう尻尾の針めがけて剣を振る。
すると、クリティカルが出たのか一発で針が折れた。ラッキーじゃん。今のうちに肉薄を!
「サクヤさん! 今っす!」
「了解です。アレンさん!」
俺はサクヤさんに指示を出す。クイーンは針を破壊されたことで動きは鈍くなっているので、サクヤさんの移動速度でも間に合う。
そして、サクヤさんは鉄槌を大きく振りかぶり、クイーンの残りHPを削り切った。アイテムは思ったよりもショボかったが……。
「そろそろ暗くなってきたな。エンペラーは私が倒してやる」
ってルグアが言ってるけど。まさか無詠唱ファイヤーボールでじゃないよね? そう思ったら火の玉が大量に飛んできたぁーーーー。俺が実況者なってるじゃん。
おおっと。今度はエンペラーが氷結弾で反撃だぁ。ルグアの火の玉にクリーンヒット! ルグアに氷結弾が迫りくる。それを、完璧な回避で攻略していくルグア。
勝敗は如何に!? って次回に続くじゃないんだよ! 今めちゃくちゃいいところなんだけど! っと思ったら、ルグアがウィンドカッターを乱用してきた。
氷結弾がどんどんかき消されていく。そして、ウィンドカッターが! ウィンドカッターが! エンペラーにヒットしたぁーー。そして、急所に当たったぁーー。
エンペラーいっぱつKO! 勝者ルグア! って、いっぱつKO? ルグアレベル1で全ステ最低値だったよね? どうしていっぱつKOできたん? マジあり得ないんだけど!
ルグア最強すぎ。魔法強すぎ。性別も年齢もわからないけど。どこまでプレイ続ければここまで強くなれるの? っていうか、このゲームの攻撃判定バグってない?
最低値でもいっぱつKOできるのやっぱりおかしいよ。
「だから、バカ思考で埋めるなってアレン」
「ほんとすんませんでした!」
「まあいい。今日は遅いから野宿だ」
◇◇◇◇◇◇
「急いで洞窟を目指したものの、さすがに三人は重すぎたな。まあ、余裕だったけど」
「ルグア団長矛盾してるっすよ!」
「それよりも、ルグアさん。おれ達ほんとにお世話になってもいいんですか?」
「ああ」
「わたし達三人を背負って移動しても重くないのかだお?」
「もちろんだ」
ルグア怪力? いや、ダンベル持ち経験者? じゃないバーベルだ。体重もリアルのを採用しているから変に軽くなく動きやすいけど。三人分ってかなり重いよね?
それを一人でって。
「ただ単に重さなどの処理能力と対応力が上手いだけだ。きみ達もそのうちできるようになるさ」
「「無理無理無理」」
「あはは、冗談だって。私だからこそできることだ」
そう言って、俺達を洞窟に残したルグアは超高速で外と行き来し、木の枝を大量に集めてくると、ファイヤーボールで火をつけた。
火力の調節も上手すぎる。プレイヤーへのダメージ0。さらには、キャンプファイヤーにちょうどいい、松明まで用意されてる。
準備万端すぎるんだけど! 俺達やることないじゃん。ルグア最高すぎ! なんか少し好きになったかも。
「ここで一泊するけど、私は寝ないから」
「え?」
「だって、夜中敵が襲ってきたら危ないだろ?」
「たしかにそうっすけど。睡眠不足にならないんすか?」
「大丈夫だ問題ない」
「ならいいっすけど……」
ルグアが大丈夫って言ってるなら大丈夫なんだろうけど。やっぱり心配だ。
「遠くで声がするんだお」
「アヤメさん?」
「行ってくる。おーーーーーーー!」
アヤメさんが飛び出していってしまった。誰の声がしたんだろう? わからないけどいいや。それより、なんでルグアがは普通にしているんだろう?
「ん? ああ、あいつなら強いから大丈夫だなってさ」
「あいつ? アヤメさんのことっすか?」
「違う。私のギルドメンバーの声が聞こえたからだ」
「ルグア団長のギルドメンバーってそんなに強いんすか?」
「まあな。あの声は……。ガデルか……。どうやら剣を奪われたらしい」
ガデルって誰? 知らないんだけど! っていうか。どのくらい先にいるの?
「ここから5キロメートル離れたところだな。けど、アヤメのやつよく聞き取れたなぁ……」
「そうっすね」
「多分、おれの妹が聴覚感度に極振りしたからだと思います」
「聴覚感度っすか?」
またわからない言葉出てきたよ。まあ、だいたい予想付くけど。きっとあれでしょ、システム外スキルでしょ。
「その通り……」
『きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
「この声はアヤメ!? 二人はここで待っていてくれ!」
「どうして?」
「この悲の鳴大きさを考えるとPKの可能性が高いからだ。この洞窟は私が一人で見つけた場所だから、他プレイヤーに見つかる危険性は……」
「エネミーが現れたらどうするんすか!?」
「う、ううーーん」
「ルグア団長?」
「なら、こうする。私が両方を守る。それでいいか?」
◇◇◇ルグア目線◇◇◇
アレン達を洞窟に置いて、私はガデルとアヤメのところに向かっていた。辺りは真っ暗だが、暗視を使えばなんとか見えるレベル。
「ガデル! アヤメ!」
「ルグアさん! さっきの女性って……」
「アヤメだ、くそ! 一足遅かったか……」」
しかし、私が到着したころにはアヤメの姿はなかった。代わりに魂のエフェクトが一つ。きっとこれがアヤメなのだろう。
「ガデル。アヤメが全損してどれくらい経つ?」
「約3分ですね」
「3分か……。蘇生は無理そうだな。とりあえずウェンドラに頼んでみるか……。ウェンドラ聞こえるか?」
――『聞こえてます。なにかありましたか?』
「プレイヤーID21570。死亡エフェクトが出てる。HP全損から約3分経過。蘇生魔法使用不可。あと7分でリアルの方も死亡する」
――「つまりは、死亡時負荷をルグアに変更すればいいのですね」
「ああ、頼む」
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