リアゼノン・オンライン ~プレイ中のゲームから異世界に連行された俺は、多くの人に学ぶ中で最強を目指す。現在地球は大変だそうです

第1章

第1-3-2話 サクヤとアヤメ

「サクヤさんって、ベータテスターだったんすか？」
「アヤメもだお」
「うげ。アヤメさんもなんすね……」

　『だお』はちょっとやりすぎだけど、とても可愛い。髪型は両側に三つ編みをぶら下げて、瞳もくりくりだ。
　対してルグアは可愛さ0。かっこいいが勝りすぎている。性別どっちなんだろう？　後で聞いてみよ。

「それで……」
「まずは君たちのステータスを確認させてくれないか？」
「いいですけど」

　ルグア団長はサクヤとアヤメのステータスを確認する。そして軽く頷くと、ルグア団長はこう呟いた。

「このゲームはベータテストと違って、ステータスが下がる仕組みになっている。だから、弱い人はレベルを上げない選択をする人が多いが、君たち腕前はどれくらいだ？」
「おれもアヤメもそこまで上手くは……」
「そうか。ならここからはアレンが引っ張って行ってくれ」
「お、俺っすか？！」
「そうだ。私を監督だと思ってくれ」

　ルグアが監督……。どうして戦わないの？　わからん。マジでわからないんだけど……。まさか、戦えない！？

「そんなことはないけど。今はちょっとな」
「ちょっとって」
「アレンが戦ってるところが見たいだけだ」
「なるほどっす」

　俺が戦ってるところをルグア団長に見せるのか……。少し緊張する。だけど、どこに敵がいるんだろう？　

「敵か？　それなら少し先にキラービーの気配がしているが……」
「キラービーの気配？」
「そうだ。今のうちに戦い慣れしておいた方がいいかもな。キラービーは至近距離攻撃もしてくるし。毒噴射の中距離攻撃もしてくるから」
「そうなんすね」
「やっぱりルグアさんすごいですね」
「それほどでもないよサクヤ」

　照れくさそうに顔を赤らめるルグア。この人もいずれは戦うんだろうけど。そもそも、全ステータスが最低値固定ということは、敵にダメージが入らないということだから。
　楽に戦えないはず。なのに、こんなにも余裕そうな表情で立っているのがおかしすぎる。だって、デスゲームだよ？
　最初軽く受け取ってたけど。俺も今じゃ足がガクガクいってる。けど、戦わないといけない。死にたくはない。
　どうしてそう思ったかと言うと、さっき、PKがサクヤさんとアヤメさんを狙ってた時に、二人がいなくなるんじゃないか？　と思ったからだ。

「大丈夫だ。もしなんかあったら私が助ける」
「ほんとっすか？」
「ああ」

　そう言ってルグアがキラービーのいる場所へと向かう。そこには、50匹くらいの小さなキラービーが群がっていた。