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第3章 ダークファンタジー編

第93話 フォルテ全力疾走

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 ◇◇◇フォルテ目線◇◇◇


「魔力全開放! オラオラオラ! オレの弾丸で吹っ飛べぇぇぇぇぇぇ!」

 ――ズババババババ!

 今日のオレは絶好調。明理が作ってくれたこの身体にも慣れてきたし、魔力全開放しても問題ないくらいに意識が馴染んだ。
 もう明理のところへ戻る必要はない。オレはオレのやり方で自由にできる。高鳴る鼓動、溢れ出す魔力。その力を合体させたブラウディアに流し込む。
 弾丸に変化する魔力。この魔力弾は特別で、雷属性が付与されている。雷属性は風水土属性から生成される複合属性。
 それを練らなくても同属性を流し込める。なぜなら、オレ自身の属性が雷属性だからだ。これは、轟雷の神域精霊レジェンダーラムウが関係している。らしい。

「フォルテ! 後方から敵の援軍が……」
「ロムサンキュ! ダブルランチャーセット! 全方位一斉発射!」
「それやったら、必要魔力が尋常じゃなくなっ……」
「あのなぁ明理……。これでもオレ魔力抑えてんだぞ? 本調子はまだまだこれからだ」
「だけど全開放って…………」
「それは第2段階。オレの魔力は全部で50段階あるからな」
「50段階!? それも記憶の一部?」
「ああ」

 なんでオレの親は隠していたのだろうか? オレが賢者であることを、そもそもなぜオレなんかが? オレは世界から引き剥がされていた存在だ。
 音も聞こえない。視界に色もない。ウェンドラとレイグスの声しか聞こえない。そんな世界を生きてきた。
 何度も身体を変えて様々な人と話し、本当の自由を求めてきた。オレが賢者であることがわかっていたならば、ウェンドラを倒せたかもしれないのに……。

「なぜなんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「フォルテが暴走を……。ロム、これって大丈夫なの?」
「問題ないよ。明理さんと出会う前、僕の前世がいた時はいつもこうだったから」
「いつもこう?」
「うん。こっちの話全く届かなくなるくらい魔力を暴走させるから、今のフォルテは無敵だよ」
「む、無敵って……」
「魔力最上位段階全開放! かかって来れるならかかって来やがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 ◇◇◇明理目線◇◇◇


「フォルテの魔力暴走が始まった……」
「こうなるとフォルテは止まらないよ。明理さん」
「うんうん! フォルテはチームルミエールで一番強いからね!」
「一番強いのは僕だよディガル……」
「あ、そうだった。てへへ」
「オラオラオラァ!!」

 フォルテが暴れてる。私は魔力量も確認できるけど、今のフォルテは素体に対する魔力量が比例してない。
 このままだと身体にヒビが入ってしまう。しかし、フォルテはお構い無しに銃を乱射。一度に10万人を相手にしても、余裕の表情。

「魔力量限界突破!! オールリミッター解除!!」

 ――ビキ……。

 フォルテの身体にヒビが入る。いくら自分の物にしたとはいえ、これ以上魔力量を増加させたら器が持たない。

「フォルテ! それ以上やったら本当に壊れちゃうよ!!」
「だから、大丈夫なんだっつーーの」
「大丈夫じゃないよ!」
「大丈夫なんだ!」
「けど、身体にヒビが……」
「んなもん関係ねぇよチビ……」

 突然のバレンの声。このままフォルテを失えって言うの? そんなの許せるはずがない。許したくない。
 けれども、フォルテは魔力量を落ち着かせようしない。そして、ヒビはどんどん広がり、ついに全身へと行き渡った。

(フォルテが……。いなくなっちゃう……。フォルテが……)

 ――パリーーーン……。

「オラオラオラァ! これでトドメだァーー!」
「え!?」

 何かが弾ける音がしたのに、フォルテの声が聞こえてくる。私の瞑った目を開くと、そこには見た事のない姿のフォルテがいた。
 金色の衣が全身を包み。瞳も黒から金色へ。髪も色が変化して、肌以外全身金色になっている。これが、フォルテの本来の姿なんだと思った。

 ――神域精霊レジェンダー憑依エンチャント! 轟雷の支配者エレキマジシャン ラムウ!

精霊連弾発射ソウルラピッドバースト! フルファイア!」
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