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第3章 ダークファンタジー編
第40話 呪われた兵士
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◇◇◇避難所 バレン目線◇◇◇
――ザワザワザワザワザワザワ
(んあ? やけに騒がしい……)
――ザワザワザワザワザワザワザワ……。
(もうちっと、静かにしてくれよ……)
――ガヤガヤガヤガヤ……。
(ぬあ。もう‼)
「さっきっから、ぅるっせぇんだよ‼ 気持ちよく寝れねぇじゃねぇか‼」
『あ‼ バレンおはよう‼』
「おはようで済ませ……。ロムいたんかよ……」
調子馬鹿が持ってきた、ゼレネスの花で眠らされ。満足しきれずに起こされた。まだ眠い。今どうなってんだ? 静かな部屋にいたはずが、人だかりで騒々しい。
誰かの独り言。俺は一人で外に出る。残りの睡眠は野外でやるしかない。見えた空は真っ赤に染まり。視界全体が血塗られたよう。
この状況は俺にとって好都合。寝る場所は火の中、水の中。どこでもできる。アルヴェリア全体が俺の寝床。野宿は俺の楽しみだ。
「ロム。チビ見ねぇけど……」
「それが、身近な人が終わりの精霊に……。外も地獄絵図だった」
「ふーん。最高のベッドだらけってことか……」
「もしかして、ここから出るの?」
「出なけりゃ寝に行けねっつーの‼」
「寝る場所なんてどこにもないんだよ?」
「んなもんわかってるよ‼ けど、俺には関係ねぇ。ふぁーーう……。眠ぃ……。いい加減行く……」
「仕方ないなぁ~。わかった。気をつけてね。バレン」
「心配なんかいらねっての‼ うるせぇなぁ……」
どうやらここはリフェリアのようだ。一度来たことがあるから、森の外へ行く方法は知っている。俺は決まった曲がり角を通って、焼け野原へ。
できるだけ火力の強いところに。その方がよく眠れる。しかし、誰が燃やしたのだろうか? いや違う。犯人がわかる証拠は、目の前にあった。
『……』
――バゴーーン……。
「調子馬鹿の野郎‼ 止まりやがれ‼」
『……』
――バヒューーン。ドガーーン……。
「調子馬鹿‼ 聞いてねぇ……。待て……この波長は……」
耳を貸すことなく破壊を続けるアレン。今の彼の波長は、俺の波長とかなり似ていた。
王族の兄弟は、始まりと終わりの精霊のどちらかと契約する。俺も経験した事だ。兄のジルグは始まりの精霊ゼウスと。
俺は終わりの精霊ハデスと契約した。そして、今のアレンと俺の同じ波長。ハデスに乗っ取られた可能性が高い。
「ったく。チビが泣くぞ‼」
『……』
「耳ねぇんかよ……。ふわぁーう……。しゃーねぇ……。ここで寝るか……。すぐに燃やして……くれるだろうし……」
◇◇◇明理目線◇◇◇
「フォルテ終わった?」
「おう」
――ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴぉぉぉぉぉぉ……。
「なんだか外が激しくなってる……。ここが崩れるのもそう遠くないかも……」
「だな。出口はこっちだ‼」
「了解‼」
私はフォルテの案内に任せる。彼のカバンには、大量の魔石。そして、父が使っていたという、特殊カプセル付きの拳銃とスナイパーライフル。
フォルテがガンナー武器を持つのは、私も初めて。使い方を知っているならそれでいい。なんせ、私は使ったことがないから。
教えることはできない。できないものはできない。だからこそできることをやる。城内に続く螺旋階段。そこを上れば、ルナジェイン城のエントランス。
見回りの兵士はいない。この隙に裏口から出れば、敷地外に行ける。構造は離れの時と同じ。部屋の配置も、記憶の引き出しから引っ張り出す。
「裏口に着いたぞ‼」
「フォルテお願い‼」
「おう‼」
――ガタガタガタガタ……。
裏口の扉を揺らすフォルテ。鍵がかかっているのか、開かない。鍵の場所はさすがにわからないため、行き止まりになっていた。
真上のステンドグラスから差し込む。赤い月の光。異様さは格段に上がっていて、とてもおぞましい。
(待って。ステンドグラス⁉)
「フォルテ。魔導銃で上のステンドグラス割って‼」
「なんでオレが。明理の魔法でいいんじゃ」
「私の魔法だと派手すぎるの‼」
「なるほどな。んじゃ、使ってみるか……」
フォルテは、カバンから拳銃と雷の魔石を取り出す。拳銃のカプセルに魔石をはめ込むと、自動で魔石が爆発した。
弾倉に込められた雷の弾。ステンドグラスに銃口を向け。狙いを定める。
「発射‼」
――ビュシューーン……。パリーン……。
「明理。これでいいんだな」
「うん。そしたら私に掴まって」
「ラジャ‼」
『みんな侵入者だ‼ さっきの二人がいるぞ‼』
『総員かかれ‼』
「ちょ。マジかよ……」
兵士に見つかってしまった。ステンドグラスを割ったことで、防犯ベルが鳴ったようだ。二階の廊下にも、矢を番える兵士が並んでいる。
逃げようと思えば逃げられる。だけど、今飛べば矢の餌食。私は大丈夫でもフォルテが危険……。
「まだ弾は残っている。気にせず行け‼ 明理‼ 連射でオレがやってやんよ‼」
「‼」
「オレのこと気にしてたら、なんもできずに終わっちまうぜ?」
(私。心配しすぎてた? そのつもりはなかったのに……。アレンも私の心配を心配して……)
「さっさと行け‼ 石の魔力切れる前に行け明理‼」
「わ、わかった。飛ぶよフォルテ‼」
「兵士はオレが相手だ‼ 連弾発射‼」
――ザワザワザワザワザワザワ
(んあ? やけに騒がしい……)
――ザワザワザワザワザワザワザワ……。
(もうちっと、静かにしてくれよ……)
――ガヤガヤガヤガヤ……。
(ぬあ。もう‼)
「さっきっから、ぅるっせぇんだよ‼ 気持ちよく寝れねぇじゃねぇか‼」
『あ‼ バレンおはよう‼』
「おはようで済ませ……。ロムいたんかよ……」
調子馬鹿が持ってきた、ゼレネスの花で眠らされ。満足しきれずに起こされた。まだ眠い。今どうなってんだ? 静かな部屋にいたはずが、人だかりで騒々しい。
誰かの独り言。俺は一人で外に出る。残りの睡眠は野外でやるしかない。見えた空は真っ赤に染まり。視界全体が血塗られたよう。
この状況は俺にとって好都合。寝る場所は火の中、水の中。どこでもできる。アルヴェリア全体が俺の寝床。野宿は俺の楽しみだ。
「ロム。チビ見ねぇけど……」
「それが、身近な人が終わりの精霊に……。外も地獄絵図だった」
「ふーん。最高のベッドだらけってことか……」
「もしかして、ここから出るの?」
「出なけりゃ寝に行けねっつーの‼」
「寝る場所なんてどこにもないんだよ?」
「んなもんわかってるよ‼ けど、俺には関係ねぇ。ふぁーーう……。眠ぃ……。いい加減行く……」
「仕方ないなぁ~。わかった。気をつけてね。バレン」
「心配なんかいらねっての‼ うるせぇなぁ……」
どうやらここはリフェリアのようだ。一度来たことがあるから、森の外へ行く方法は知っている。俺は決まった曲がり角を通って、焼け野原へ。
できるだけ火力の強いところに。その方がよく眠れる。しかし、誰が燃やしたのだろうか? いや違う。犯人がわかる証拠は、目の前にあった。
『……』
――バゴーーン……。
「調子馬鹿の野郎‼ 止まりやがれ‼」
『……』
――バヒューーン。ドガーーン……。
「調子馬鹿‼ 聞いてねぇ……。待て……この波長は……」
耳を貸すことなく破壊を続けるアレン。今の彼の波長は、俺の波長とかなり似ていた。
王族の兄弟は、始まりと終わりの精霊のどちらかと契約する。俺も経験した事だ。兄のジルグは始まりの精霊ゼウスと。
俺は終わりの精霊ハデスと契約した。そして、今のアレンと俺の同じ波長。ハデスに乗っ取られた可能性が高い。
「ったく。チビが泣くぞ‼」
『……』
「耳ねぇんかよ……。ふわぁーう……。しゃーねぇ……。ここで寝るか……。すぐに燃やして……くれるだろうし……」
◇◇◇明理目線◇◇◇
「フォルテ終わった?」
「おう」
――ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴぉぉぉぉぉぉ……。
「なんだか外が激しくなってる……。ここが崩れるのもそう遠くないかも……」
「だな。出口はこっちだ‼」
「了解‼」
私はフォルテの案内に任せる。彼のカバンには、大量の魔石。そして、父が使っていたという、特殊カプセル付きの拳銃とスナイパーライフル。
フォルテがガンナー武器を持つのは、私も初めて。使い方を知っているならそれでいい。なんせ、私は使ったことがないから。
教えることはできない。できないものはできない。だからこそできることをやる。城内に続く螺旋階段。そこを上れば、ルナジェイン城のエントランス。
見回りの兵士はいない。この隙に裏口から出れば、敷地外に行ける。構造は離れの時と同じ。部屋の配置も、記憶の引き出しから引っ張り出す。
「裏口に着いたぞ‼」
「フォルテお願い‼」
「おう‼」
――ガタガタガタガタ……。
裏口の扉を揺らすフォルテ。鍵がかかっているのか、開かない。鍵の場所はさすがにわからないため、行き止まりになっていた。
真上のステンドグラスから差し込む。赤い月の光。異様さは格段に上がっていて、とてもおぞましい。
(待って。ステンドグラス⁉)
「フォルテ。魔導銃で上のステンドグラス割って‼」
「なんでオレが。明理の魔法でいいんじゃ」
「私の魔法だと派手すぎるの‼」
「なるほどな。んじゃ、使ってみるか……」
フォルテは、カバンから拳銃と雷の魔石を取り出す。拳銃のカプセルに魔石をはめ込むと、自動で魔石が爆発した。
弾倉に込められた雷の弾。ステンドグラスに銃口を向け。狙いを定める。
「発射‼」
――ビュシューーン……。パリーン……。
「明理。これでいいんだな」
「うん。そしたら私に掴まって」
「ラジャ‼」
『みんな侵入者だ‼ さっきの二人がいるぞ‼』
『総員かかれ‼』
「ちょ。マジかよ……」
兵士に見つかってしまった。ステンドグラスを割ったことで、防犯ベルが鳴ったようだ。二階の廊下にも、矢を番える兵士が並んでいる。
逃げようと思えば逃げられる。だけど、今飛べば矢の餌食。私は大丈夫でもフォルテが危険……。
「まだ弾は残っている。気にせず行け‼ 明理‼ 連射でオレがやってやんよ‼」
「‼」
「オレのこと気にしてたら、なんもできずに終わっちまうぜ?」
(私。心配しすぎてた? そのつもりはなかったのに……。アレンも私の心配を心配して……)
「さっさと行け‼ 石の魔力切れる前に行け明理‼」
「わ、わかった。飛ぶよフォルテ‼」
「兵士はオレが相手だ‼ 連弾発射‼」
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