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第3章 ダークファンタジー編
第39話 フォルテの後悔
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「もう少し行けば、始まりと終わりのナンバー・ストーンが」
「始まりと終わりって、ゼウスとハデスだよね?」
「そうだ。その場所でレイグスは、ハデスに飲まれた……」
***昔のアルヴェリア フォルテ目線***
『フォルテ……。僕なんか怖いよ……』
『レイグス急にどうした?』
『わからない。ただ。身体が勝手に……』
何者かに引き寄せられるように、レイグスが歩き始める。オレはレイグスの手を掴み、歩みを止めようとする。
しかし、その行動は無意味だった。レイグスはオレの手を払い飛ばし、黒のクリスタルに近づく。
『ダメ‼ 嫌だよ……。○○なんてしたくない‼ 僕は、僕は……。みんなを○したくないよ。お願い止まって‼ お兄ちゃん止めて‼』
『レイグス‼ できないんだ‼ レイグスの手を掴んでも……』
『……そんな。僕は、もう……。僕を裏切るの‼ 裏切らないでよお兄ちゃん‼』
『すまんレイグス……。もっとこの世界を知っていれば……。もっとオレが強ければ……』
『兄ちゃん‼ お兄ちゃん‼ お兄ちゃん‼』
――『ごめん……。もう戻れないみたい……。裏切った人はみんな……○○する……』
『レイグスッ⁉』
***現在 明理目線***
「オレのせい。だったのか……。レイグス……」
「フォルテ。顔が真っ青だよ?」
「うわっ⁉ あ、明理……。ちょっとな……」
「もしかして、また思い出したの?」
「ああ。それもレイグスとのさ……」
とても悔しそうに。そして悲しそうな表情を見せるフォルテ。彼にとって、レイグスはとても大切な人だったのだろう。
大切な人ほど、忘れるのは難しい。ウェンドラとの戦いで失った記憶。それは、彼が思い出したくない悲劇の連続。
こんな暗い表情なんて、見たくない。だけど、私も人のことを言えない。私だって、アレンを失いたくない。レイグスのように無で終わらせたくなかった。
「フォルテ。ハデスのクリスタルは?」
「黒い方だが……。何をする気だ?」
「ちょっと、ハデスと話して来ようかな? って。触ればやり取りできるんだよね?」
「な、何言っているんだよ‼ 触るのはやめてくれ‼ お前もハデスに……」
私は、自分から黒いクリスタルに近づく。触れた時の危険性も。予想できるし、破壊する理由も聞きたい。なぜ、アレンを選んだのかも。
私にはハデスの声が聞こえないけど、干渉さえすれば、会話できるんじゃないか? 自分が飲まれるという恐怖もあるが、それ以上に質問が多かった。
一種の好奇心。時に自分を痛めつけるが、それも楽しみの一つ。黒いクリスタルが近づいてくる。負のイメージは濃度を増す。
「明理やめておけ‼」
「あ、ごめん、もう触っちゃった」
「ささ、触ったって……」
「大丈夫」
精神を侵食し始める負の感情。恐怖や、苦悩。暗い情報が頭の中に忍び込む。ハデスは、とても悲しんでいる。悔やんでいる。そして、未練の山。
だけど、破壊しかできないという。行動範囲の狭さも、クリスタルを通して伝わってきた。過去に遊んだ、〝宵闇のゲーム〟。
なぜ、そのゲームが出てきたのか? それを模索する時間はなさそうだ。私はハデスに語りかける。深い闇の精霊に……。
◇◇◇明理が触れて数分後◇◇◇
『明理大丈夫なのか?』
「うん。まだ中心核にリンクできてないけど……」
『中心核?』
「そう。そこに辿り着ければハデスと……」
異世界ではあるけれど、分離した現実と異空間。その両方に意識を集中させて、ひたすら問いかける。ハデスの狙いは私なのか。
その答えはYESだった。ハデスは私の存在を嫌っている。私を消そうとしている。大切なアレンの身体を使って。
「‼」
『明理?』
「繋がったみたい。ちょっと現実から離席するね……」
『……。わかった。オレはここで見守ってやるよ』
「ありがとう。フォルテ」
***異空間 終焉の舞台***
「ハデスさん」
――さっきからうるさいと思えば、少女か……。名は……。
「巣籠明理です。ハデスさんは私の命を狙っているんですよね?」
――なぜそれに気づく。そして、なぜ執拗に干渉してきた。少女と話すことなどない。
「もしかして、ハデスさん照れてる? そんなわけないか。別に私を生贄扱いにしても良いですよ」(私は不死身だもんね)
――自ら命を捨てるとは……。面白い。
「精神面とかにも攻撃して良いし」(こういうのは慣れてる。ホラゲもたくさん遊んでたし)
――ふむ。ならば……。
「それに、破壊したいなら好きに破壊して大丈夫だし。私がアレンの代わりに負荷受けるから……」
(ハデスの魔法はヤバそうだし。アレンには戻ってきて欲しいから。今は経過観察。経過観察。本人が気づくまで耐久戦ドンと来い‼)
「魔法たくさん使ってください。今働き過ぎでめちゃくちゃ疲れてるから。狙うなら今ですよ。弱ってる方が排除しやすいでしょ?」
――そこまで死を望むのか。よかろう。少女の提案に乗せてもらう。これから始まるのは、死へのカウントダウン。破棄をすることはない。死ぬ覚悟はできているか?
「ここに来た時点でできてます‼ そうじゃないと、こんなこと言わないよ」
(やっと休憩できる……。助かったぁ……)
――少女に永久に続く死の呪縛を……。
「あ、これからハデスのところへ向かいます。私のことは自由に利用してください。では失礼します」
***ルナジェイン地下***
「……」
『明理‼』
「お話終わったよ」
『の前にただいまだろ』
「あ、そうだった。ただいま‼」
『おかえり』
長いようで短かった、ハデスとのやり取り。私は黒のクリスタルから離れ、フォルテの近くへ歩く。
身体の内側が痛い。すでにハデスが行動したようだ。私は自分の命を売った。不死身だからこその無限の命を。
私は永遠に苦しみを味わうことになる。しかし、私にとっては裏返しの意味。ハデスの呪縛を逆に利用して、自身を回復させる。
ハデスはまだ気づいていない。私が放った言葉が、〝交換条件〟ということに……。
「フォルテもゼウスに挨拶してきたら?」
「そうだな。契約が切れてないか心配だしよ。顔出すのも悪くない」
「私ことも話してね」
「話さないやつがどこにいるんだよ。闇に飲まれてないのは不思議だが、いつもの明理で安心したぜ……」
「もう、フォルテったら。私を甘く見ないでよね」
「甘ッ⁉ んな。そんなことねぇって……。行ってくる」
「了解‼」
「始まりと終わりって、ゼウスとハデスだよね?」
「そうだ。その場所でレイグスは、ハデスに飲まれた……」
***昔のアルヴェリア フォルテ目線***
『フォルテ……。僕なんか怖いよ……』
『レイグス急にどうした?』
『わからない。ただ。身体が勝手に……』
何者かに引き寄せられるように、レイグスが歩き始める。オレはレイグスの手を掴み、歩みを止めようとする。
しかし、その行動は無意味だった。レイグスはオレの手を払い飛ばし、黒のクリスタルに近づく。
『ダメ‼ 嫌だよ……。○○なんてしたくない‼ 僕は、僕は……。みんなを○したくないよ。お願い止まって‼ お兄ちゃん止めて‼』
『レイグス‼ できないんだ‼ レイグスの手を掴んでも……』
『……そんな。僕は、もう……。僕を裏切るの‼ 裏切らないでよお兄ちゃん‼』
『すまんレイグス……。もっとこの世界を知っていれば……。もっとオレが強ければ……』
『兄ちゃん‼ お兄ちゃん‼ お兄ちゃん‼』
――『ごめん……。もう戻れないみたい……。裏切った人はみんな……○○する……』
『レイグスッ⁉』
***現在 明理目線***
「オレのせい。だったのか……。レイグス……」
「フォルテ。顔が真っ青だよ?」
「うわっ⁉ あ、明理……。ちょっとな……」
「もしかして、また思い出したの?」
「ああ。それもレイグスとのさ……」
とても悔しそうに。そして悲しそうな表情を見せるフォルテ。彼にとって、レイグスはとても大切な人だったのだろう。
大切な人ほど、忘れるのは難しい。ウェンドラとの戦いで失った記憶。それは、彼が思い出したくない悲劇の連続。
こんな暗い表情なんて、見たくない。だけど、私も人のことを言えない。私だって、アレンを失いたくない。レイグスのように無で終わらせたくなかった。
「フォルテ。ハデスのクリスタルは?」
「黒い方だが……。何をする気だ?」
「ちょっと、ハデスと話して来ようかな? って。触ればやり取りできるんだよね?」
「な、何言っているんだよ‼ 触るのはやめてくれ‼ お前もハデスに……」
私は、自分から黒いクリスタルに近づく。触れた時の危険性も。予想できるし、破壊する理由も聞きたい。なぜ、アレンを選んだのかも。
私にはハデスの声が聞こえないけど、干渉さえすれば、会話できるんじゃないか? 自分が飲まれるという恐怖もあるが、それ以上に質問が多かった。
一種の好奇心。時に自分を痛めつけるが、それも楽しみの一つ。黒いクリスタルが近づいてくる。負のイメージは濃度を増す。
「明理やめておけ‼」
「あ、ごめん、もう触っちゃった」
「ささ、触ったって……」
「大丈夫」
精神を侵食し始める負の感情。恐怖や、苦悩。暗い情報が頭の中に忍び込む。ハデスは、とても悲しんでいる。悔やんでいる。そして、未練の山。
だけど、破壊しかできないという。行動範囲の狭さも、クリスタルを通して伝わってきた。過去に遊んだ、〝宵闇のゲーム〟。
なぜ、そのゲームが出てきたのか? それを模索する時間はなさそうだ。私はハデスに語りかける。深い闇の精霊に……。
◇◇◇明理が触れて数分後◇◇◇
『明理大丈夫なのか?』
「うん。まだ中心核にリンクできてないけど……」
『中心核?』
「そう。そこに辿り着ければハデスと……」
異世界ではあるけれど、分離した現実と異空間。その両方に意識を集中させて、ひたすら問いかける。ハデスの狙いは私なのか。
その答えはYESだった。ハデスは私の存在を嫌っている。私を消そうとしている。大切なアレンの身体を使って。
「‼」
『明理?』
「繋がったみたい。ちょっと現実から離席するね……」
『……。わかった。オレはここで見守ってやるよ』
「ありがとう。フォルテ」
***異空間 終焉の舞台***
「ハデスさん」
――さっきからうるさいと思えば、少女か……。名は……。
「巣籠明理です。ハデスさんは私の命を狙っているんですよね?」
――なぜそれに気づく。そして、なぜ執拗に干渉してきた。少女と話すことなどない。
「もしかして、ハデスさん照れてる? そんなわけないか。別に私を生贄扱いにしても良いですよ」(私は不死身だもんね)
――自ら命を捨てるとは……。面白い。
「精神面とかにも攻撃して良いし」(こういうのは慣れてる。ホラゲもたくさん遊んでたし)
――ふむ。ならば……。
「それに、破壊したいなら好きに破壊して大丈夫だし。私がアレンの代わりに負荷受けるから……」
(ハデスの魔法はヤバそうだし。アレンには戻ってきて欲しいから。今は経過観察。経過観察。本人が気づくまで耐久戦ドンと来い‼)
「魔法たくさん使ってください。今働き過ぎでめちゃくちゃ疲れてるから。狙うなら今ですよ。弱ってる方が排除しやすいでしょ?」
――そこまで死を望むのか。よかろう。少女の提案に乗せてもらう。これから始まるのは、死へのカウントダウン。破棄をすることはない。死ぬ覚悟はできているか?
「ここに来た時点でできてます‼ そうじゃないと、こんなこと言わないよ」
(やっと休憩できる……。助かったぁ……)
――少女に永久に続く死の呪縛を……。
「あ、これからハデスのところへ向かいます。私のことは自由に利用してください。では失礼します」
***ルナジェイン地下***
「……」
『明理‼』
「お話終わったよ」
『の前にただいまだろ』
「あ、そうだった。ただいま‼」
『おかえり』
長いようで短かった、ハデスとのやり取り。私は黒のクリスタルから離れ、フォルテの近くへ歩く。
身体の内側が痛い。すでにハデスが行動したようだ。私は自分の命を売った。不死身だからこその無限の命を。
私は永遠に苦しみを味わうことになる。しかし、私にとっては裏返しの意味。ハデスの呪縛を逆に利用して、自身を回復させる。
ハデスはまだ気づいていない。私が放った言葉が、〝交換条件〟ということに……。
「フォルテもゼウスに挨拶してきたら?」
「そうだな。契約が切れてないか心配だしよ。顔出すのも悪くない」
「私ことも話してね」
「話さないやつがどこにいるんだよ。闇に飲まれてないのは不思議だが、いつもの明理で安心したぜ……」
「もう、フォルテったら。私を甘く見ないでよね」
「甘ッ⁉ んな。そんなことねぇって……。行ってくる」
「了解‼」
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