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第3章
第25話 アレストロ家は下水道のヘドロだ‼
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「あ、もう終わってます」
「だな。サンキュー明理‼ あとは、ルナジェイン……だったか? オレに用があるっていうのは」
「そうだよ。ルナジェインさん‼」
ほんと、ルグアって仕事早いなぁ……。羨ましすぎる。俺大好きだから、ルグアのことが‼ ってか。なんでフォルテが?
「貴殿が。かの〝ルグア・レミリス・フォルテ〟と……」
「ん? そうだが……。ま、記憶喪失な分ほとんど覚えてねぇけどな‼ けど、なーんかどっかで見たことある顔立ちなんだよなぁ……」
「フォルテ? 言われてみれば……」
ジロジロとシーフさんの顔を覗く、ルグアとフォルテ。バレンやジルグの父親だけあって、その風貌は偉大だった。
「おや、気付いたのかね」
「『え?』」
ルグアとフォルテの声が重なる。
「我の先祖は、フォルテ。貴殿の両親の次男と深い関わりがあってな。先に、こう伝えた方が良いか。フォルテ。お主には弟がおる」
「オレに弟⁉」
「そうだ。その弟こそ。我の曾祖父にあたる」
「オレの弟……。すまん。思い出せねぇ……」
「そう無理に思いだそうとするでない」
「ルナジェインさんの言う通りだよ。その方のお名前って、教えてもらってもいいですか?」
「うむ。フォルテの弟の名前。それは」
会議会場がしんと静寂に包まれる。誰も声を出す人はいない。みんな口を閉じ、黙り込む。
「オレの弟の名前は……」
「レイグス・レミリス。彼は、名前を変えてリフェリアへ逃亡していたそうだ」
「レイグス・レミリス……。レイグス・リフェリア・ノウン……‼」
「フォルテ。なにかわかったの?」
「そういうことだったのか‼ どうりでリフェリアの歴代名簿に名前がないわけだ」
レイグスって……。フォルテの弟のことだったんだ……。じゃ、なんでバレンが、生まれ変わりって言ってるんだろう?
この謎だけ、まだわかっていない。俺もイマイチピンと来ない。というか、会議の議題ってなんなん? まずそこでしょ‼
「そうじゃの。妾もはよ本題に入りたい。ルナジェイン帝よ。懐かしむのは、こと済んでからでもできるじゃろうて」
「申し訳ございません。ラノグロア卿」
「よいよい。では、本題に参ろうぞ‼ 自己紹介も途切れてしもうたからの。発言は自己紹介と共にしてもらうとしよう」
会議進行のラノグロアが、議題の資料を回す。用紙は王族だけでなく、俺の手元にも配られた。その紙は和紙でできたコピー用紙だ。
異世界の言葉なのだろうか? 日本語と、ローマ字系統の特殊な文字列。普通にローマ字読みしてしまうと、変換できない単語が出てくる。
日本語が添えられてることは、現実世界から来た俺達のための配慮だろう。理解できない言葉も理解できるようになっている。
「では、本日の議題じゃが……。ルナジェイン帝」
「はい。本日の議題を発表する。近頃この世界では、ナンバー・ストーンの汚染。ナンバー・ストーンの消滅。環境汚染。魔物の増加他。
天災とも呼べる現象が、連日起こっている。一番手の議題として、ナンバー・ストーンから進めるとしよう。この件に関して、心当たりのある者は?」
ナンバー・ストーンの消失? そういえば、俺がまだアレストロ城に捕まってた時……。
******
『ジルグ様。失礼致します』
『執事か、なにか用事でも』
『左様。手始めに汚染し陥落を目指しておりました。水の都の侵攻に失敗しました。干ばつしていた水路は何者かによって、元の姿に戻り始めています』
『ふむ』
『そして、もう一つ不可解な事件が』
『不可解?』
『はい。水のナンバー・ストーンが、消滅したとのことです』
『なん……だと……』
******
「シーフさん‼」
「なんだね。アレン君」
「俺、この前盗み聞きしたことがあるんすけど」
「盗み聞きとな。はて……」
「水のナンバー・ストーンが消滅したらしいんす」
「そうか。アレン君情報をくれたこと、ありがたい」
シーフさんに褒められた‼ しっかり覚えてて良かった。俺もやればできるんじゃん‼ 俺、世界の王に褒められたんだよ‼ ワールドキング‼
「ルナジェイン。私からも話していいか?」
「ラーウェイン。ぜひ聞かせて貰いたい」
「ありがとうございます。発言失礼します。私は水の都シュトラウトの頭首。ラーウェイン・シュトラウト。アレン達には私の娘が世話になっている」
ルグアほどではないけど、数十センチ低い中年男性。少し小太りだが、髪はライトブルーの優しい色だった。
「先程のことで、疑問点があった。この事態を引き起こした、元凶がいるのでは? と」
「『元凶?』」
会場全員が疑問符を浮かべる。声を揃えたメンバーには、俺の仲間も含まれていた。ただ、声を出さなかった人も。
それは、ジルグとルーアの二人。この二人が怪しいことは、満場一致で確定した。彼らは、味方に迎えるべき人物ではないと。
「ジルグ・アレストロ。ルーア・エルフィレンナ。全て話してもらおうか」
「却下」
「アタシもよん‼」
「なーに。やってんだか……。俺の幼少期から虐待してきた次は。環境汚染ってなうぜェ事態起こしやがって」
「そういうバレンも。まさか生きてるとはな」
「んだから。俺は王族じゃねぇっての。アレストロ家の名前は、下水道のヘドロなんだよ‼」
「だな。サンキュー明理‼ あとは、ルナジェイン……だったか? オレに用があるっていうのは」
「そうだよ。ルナジェインさん‼」
ほんと、ルグアって仕事早いなぁ……。羨ましすぎる。俺大好きだから、ルグアのことが‼ ってか。なんでフォルテが?
「貴殿が。かの〝ルグア・レミリス・フォルテ〟と……」
「ん? そうだが……。ま、記憶喪失な分ほとんど覚えてねぇけどな‼ けど、なーんかどっかで見たことある顔立ちなんだよなぁ……」
「フォルテ? 言われてみれば……」
ジロジロとシーフさんの顔を覗く、ルグアとフォルテ。バレンやジルグの父親だけあって、その風貌は偉大だった。
「おや、気付いたのかね」
「『え?』」
ルグアとフォルテの声が重なる。
「我の先祖は、フォルテ。貴殿の両親の次男と深い関わりがあってな。先に、こう伝えた方が良いか。フォルテ。お主には弟がおる」
「オレに弟⁉」
「そうだ。その弟こそ。我の曾祖父にあたる」
「オレの弟……。すまん。思い出せねぇ……」
「そう無理に思いだそうとするでない」
「ルナジェインさんの言う通りだよ。その方のお名前って、教えてもらってもいいですか?」
「うむ。フォルテの弟の名前。それは」
会議会場がしんと静寂に包まれる。誰も声を出す人はいない。みんな口を閉じ、黙り込む。
「オレの弟の名前は……」
「レイグス・レミリス。彼は、名前を変えてリフェリアへ逃亡していたそうだ」
「レイグス・レミリス……。レイグス・リフェリア・ノウン……‼」
「フォルテ。なにかわかったの?」
「そういうことだったのか‼ どうりでリフェリアの歴代名簿に名前がないわけだ」
レイグスって……。フォルテの弟のことだったんだ……。じゃ、なんでバレンが、生まれ変わりって言ってるんだろう?
この謎だけ、まだわかっていない。俺もイマイチピンと来ない。というか、会議の議題ってなんなん? まずそこでしょ‼
「そうじゃの。妾もはよ本題に入りたい。ルナジェイン帝よ。懐かしむのは、こと済んでからでもできるじゃろうて」
「申し訳ございません。ラノグロア卿」
「よいよい。では、本題に参ろうぞ‼ 自己紹介も途切れてしもうたからの。発言は自己紹介と共にしてもらうとしよう」
会議進行のラノグロアが、議題の資料を回す。用紙は王族だけでなく、俺の手元にも配られた。その紙は和紙でできたコピー用紙だ。
異世界の言葉なのだろうか? 日本語と、ローマ字系統の特殊な文字列。普通にローマ字読みしてしまうと、変換できない単語が出てくる。
日本語が添えられてることは、現実世界から来た俺達のための配慮だろう。理解できない言葉も理解できるようになっている。
「では、本日の議題じゃが……。ルナジェイン帝」
「はい。本日の議題を発表する。近頃この世界では、ナンバー・ストーンの汚染。ナンバー・ストーンの消滅。環境汚染。魔物の増加他。
天災とも呼べる現象が、連日起こっている。一番手の議題として、ナンバー・ストーンから進めるとしよう。この件に関して、心当たりのある者は?」
ナンバー・ストーンの消失? そういえば、俺がまだアレストロ城に捕まってた時……。
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『ジルグ様。失礼致します』
『執事か、なにか用事でも』
『左様。手始めに汚染し陥落を目指しておりました。水の都の侵攻に失敗しました。干ばつしていた水路は何者かによって、元の姿に戻り始めています』
『ふむ』
『そして、もう一つ不可解な事件が』
『不可解?』
『はい。水のナンバー・ストーンが、消滅したとのことです』
『なん……だと……』
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「シーフさん‼」
「なんだね。アレン君」
「俺、この前盗み聞きしたことがあるんすけど」
「盗み聞きとな。はて……」
「水のナンバー・ストーンが消滅したらしいんす」
「そうか。アレン君情報をくれたこと、ありがたい」
シーフさんに褒められた‼ しっかり覚えてて良かった。俺もやればできるんじゃん‼ 俺、世界の王に褒められたんだよ‼ ワールドキング‼
「ルナジェイン。私からも話していいか?」
「ラーウェイン。ぜひ聞かせて貰いたい」
「ありがとうございます。発言失礼します。私は水の都シュトラウトの頭首。ラーウェイン・シュトラウト。アレン達には私の娘が世話になっている」
ルグアほどではないけど、数十センチ低い中年男性。少し小太りだが、髪はライトブルーの優しい色だった。
「先程のことで、疑問点があった。この事態を引き起こした、元凶がいるのでは? と」
「『元凶?』」
会場全員が疑問符を浮かべる。声を揃えたメンバーには、俺の仲間も含まれていた。ただ、声を出さなかった人も。
それは、ジルグとルーアの二人。この二人が怪しいことは、満場一致で確定した。彼らは、味方に迎えるべき人物ではないと。
「ジルグ・アレストロ。ルーア・エルフィレンナ。全て話してもらおうか」
「却下」
「アタシもよん‼」
「なーに。やってんだか……。俺の幼少期から虐待してきた次は。環境汚染ってなうぜェ事態起こしやがって」
「そういうバレンも。まさか生きてるとはな」
「んだから。俺は王族じゃねぇっての。アレストロ家の名前は、下水道のヘドロなんだよ‼」
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