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第2章後編
第71話 アレン脱出作戦 その1
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「ルグア団長‼ 近くにあるものでいいんすよね?」
――『ああ。できれば外にある建物がいいんだが……。その様子じゃあ難易度が高すぎるだろうからさ』
「そうっすね。考えて見ればそんな感じです。上手く行くかどうか……」
――『上手く行くかどうかじゃない。うまく行くように行動するんだ。声を聞いた感じじゃ、相当接続に苦労したんだろ?』
「は、はい……。10回以上はやったっすね……」
――『脱出は次回に回すとして……。建物内にいるのは合ってるよな? そうじゃないとそっちの空気感は安定しない。
どの建物かは知らないが……、私は一度この世界に来たことがあるんだ。もしかしたら類似点が多く残ってんじゃないか?
ってさ』
「なら頼らせてもらうっすよ‼ えーと。今のところわかっているのはっすね……」
俺はルグアにこれまで見て回った城内部の情報を伝える。まだ不明なことが多いが、玉座の間や書斎。展望台の場所も報告。
位置も方角もイマイチだけど、さすがはルグア団長で、あっという間に大部分のマップが完成した。
――『ってことはやっぱり旧ライナス城か……。本家の方の城……(風魔。旧ライナス城の現在の名称は?)』
「ルグア?」
――『いやなんでもない。風魔に確認取ったがアレン。今お前がいるのは、旧ライナス城。
現在はアレストロ城って言うそうだが……。もっと簡単に言えばリゲルの家だった場所だ』
「リゲルさんのっすか?」
――『もしかしたら内部の構造がそのままなはずだ。完成したマップと私が覚えている情報を照らし合わせる。終わるまで待てるか?』
「もちろんっすよ‼ 俺はいつでも大丈夫なんで、ゆっくり待ってます‼」
――『ありがとな。もうすでに現在地のマークは終わったし、こっちから連絡する』
「了解っす‼」
久しぶりにルグアとやり取りできて良かった。結果はどうであれ〝やってみないとわからない〟。そしてチャレンジ。
俺はジルグが用意してくれた部屋へ戻る。一人で活動するには広い子供部屋だ。
「ルグア団長……。元気そうで良かった……。俺も頑張らないと‼」
『そのご様子。相当張り切っているようですね』
「あ、リゲルさん今起きた感じっすか?」
『ええ。少々深く眠りすぎてしまいましたが……。ここは……懐かし。僕の妹がはしゃぎ回っていた子供部屋ですね……』
「え?」
『この前僕の下に妹が三人いると言ってましたよね。その妹達が遊んでいた場所です。当時のまま残っていたとは……』
「ほぇーーーー。もしかしてやっぱりここ、リゲルさんの家だったりします?」
――『おーい‼ 聞こえるか?』
「ルグアさん‼」
――『おいおい。さっきから〝団長〟やら〝さん〟やら〝呼び捨て〟やら、呼称がめちゃくちゃだぞアレン‼』
それ俺の癖なんです‼ 実際どう呼べばいいんだろ? やっぱ歳上だから『さん』かな? でも団長だし? 彼女だし?
――『ま、今はどうでもいいか。アレン照らし合わせの結果だが……』
「どうだったんすか?」
――『そうだな。細かい部分は手付かずのまま残っているようだが……。目立ちやすい広間には、はっきりとした違いがわかった』
「ふむふむ」
『目立つ箇所となりますと。ルグアも仰っていた広間含め。中庭。表門。城の前にある金庫でしょうか? 書斎や応接間もですね』
「城の前に金庫あるんすか?」
『そうです。解錠方法は2種類ございまして。一つは王族のみが可能。もう一つは極秘方法なのでお伝えできません』
――『私とリゲルの秘密だもんな』
『フォルテさんも。ですけどね』
――『そうだったな』
極秘解錠方法。聞きたいけど聞かないでおこう。絶対ジルグさんに聞かれたら危ないやつだ。でもやっぱり知りたい。
きっとかっこいいのかな? どんな感じなんだろ? 開けゴマは古すぎるよね。もっと近代風かも‼
それより、今外どうなっているんだろう?
――『外か? そろそろ夜なんじゃねぇかなぁ?』
「今がチャンスじゃん‼」
『声が大きいですよ』
「すんません。けど、新しいの使える機会なんで」
――『なら、金庫までのルートを教えてやるよ。飛び込んだら解錠する。リゲル頼めるか?』
「リゲルさんお願いしやす‼」
『おまかせください。行きましょう』
――Z+魔法‼ エレメンタル・シャドーハイド‼
詠唱と同時に迫り来る激痛。ただこの状況で呻いてはダメ。完全に自身の姿が消えたことを確認すると、ルグアの案内に従う。
影を意味するシャドー。隠蔽や隠れることを意味するハイド。壁はすり抜けられないけど、人はすり抜けることができる。
声も消せるから万能かもしれない。ってことは、俺勝ち組? 絶対そうだよね? あとはこの城から抜け出せば‼
――『アレン次の突き当たりを左。子供部屋なら、場所は表門から見て東側だから。左に曲がれば中庭への入口があるはずだ』
「了解しやした。左っすね」
――『おう‼ んで中庭に出たらまた左。そこからリゲルの部屋に行ける。リゲルの部屋には前庭と抜け道、両方行ける通路がある。
どうやら抜け道に向かう隠し通路は埋め立てられているようだが、前庭には出られる可能性が高い』
『ルグアさん絶好調のようで』
――『まあな』
この調子で抜け出せば、ルグア団長に会える。俺は魔法に集中しながら案内通りに進む。中庭に出ると、闇夜に月が輝いていた。
空は快晴。現実世界では見ることのできない神々しい月明かりは、みんなの空を見下ろしている。
きっとルグアも同じ空の下。俺はその月明かりに短い別れを告げて、左の通路へと曲がった。
――『ああ。できれば外にある建物がいいんだが……。その様子じゃあ難易度が高すぎるだろうからさ』
「そうっすね。考えて見ればそんな感じです。上手く行くかどうか……」
――『上手く行くかどうかじゃない。うまく行くように行動するんだ。声を聞いた感じじゃ、相当接続に苦労したんだろ?』
「は、はい……。10回以上はやったっすね……」
――『脱出は次回に回すとして……。建物内にいるのは合ってるよな? そうじゃないとそっちの空気感は安定しない。
どの建物かは知らないが……、私は一度この世界に来たことがあるんだ。もしかしたら類似点が多く残ってんじゃないか?
ってさ』
「なら頼らせてもらうっすよ‼ えーと。今のところわかっているのはっすね……」
俺はルグアにこれまで見て回った城内部の情報を伝える。まだ不明なことが多いが、玉座の間や書斎。展望台の場所も報告。
位置も方角もイマイチだけど、さすがはルグア団長で、あっという間に大部分のマップが完成した。
――『ってことはやっぱり旧ライナス城か……。本家の方の城……(風魔。旧ライナス城の現在の名称は?)』
「ルグア?」
――『いやなんでもない。風魔に確認取ったがアレン。今お前がいるのは、旧ライナス城。
現在はアレストロ城って言うそうだが……。もっと簡単に言えばリゲルの家だった場所だ』
「リゲルさんのっすか?」
――『もしかしたら内部の構造がそのままなはずだ。完成したマップと私が覚えている情報を照らし合わせる。終わるまで待てるか?』
「もちろんっすよ‼ 俺はいつでも大丈夫なんで、ゆっくり待ってます‼」
――『ありがとな。もうすでに現在地のマークは終わったし、こっちから連絡する』
「了解っす‼」
久しぶりにルグアとやり取りできて良かった。結果はどうであれ〝やってみないとわからない〟。そしてチャレンジ。
俺はジルグが用意してくれた部屋へ戻る。一人で活動するには広い子供部屋だ。
「ルグア団長……。元気そうで良かった……。俺も頑張らないと‼」
『そのご様子。相当張り切っているようですね』
「あ、リゲルさん今起きた感じっすか?」
『ええ。少々深く眠りすぎてしまいましたが……。ここは……懐かし。僕の妹がはしゃぎ回っていた子供部屋ですね……』
「え?」
『この前僕の下に妹が三人いると言ってましたよね。その妹達が遊んでいた場所です。当時のまま残っていたとは……』
「ほぇーーーー。もしかしてやっぱりここ、リゲルさんの家だったりします?」
――『おーい‼ 聞こえるか?』
「ルグアさん‼」
――『おいおい。さっきから〝団長〟やら〝さん〟やら〝呼び捨て〟やら、呼称がめちゃくちゃだぞアレン‼』
それ俺の癖なんです‼ 実際どう呼べばいいんだろ? やっぱ歳上だから『さん』かな? でも団長だし? 彼女だし?
――『ま、今はどうでもいいか。アレン照らし合わせの結果だが……』
「どうだったんすか?」
――『そうだな。細かい部分は手付かずのまま残っているようだが……。目立ちやすい広間には、はっきりとした違いがわかった』
「ふむふむ」
『目立つ箇所となりますと。ルグアも仰っていた広間含め。中庭。表門。城の前にある金庫でしょうか? 書斎や応接間もですね』
「城の前に金庫あるんすか?」
『そうです。解錠方法は2種類ございまして。一つは王族のみが可能。もう一つは極秘方法なのでお伝えできません』
――『私とリゲルの秘密だもんな』
『フォルテさんも。ですけどね』
――『そうだったな』
極秘解錠方法。聞きたいけど聞かないでおこう。絶対ジルグさんに聞かれたら危ないやつだ。でもやっぱり知りたい。
きっとかっこいいのかな? どんな感じなんだろ? 開けゴマは古すぎるよね。もっと近代風かも‼
それより、今外どうなっているんだろう?
――『外か? そろそろ夜なんじゃねぇかなぁ?』
「今がチャンスじゃん‼」
『声が大きいですよ』
「すんません。けど、新しいの使える機会なんで」
――『なら、金庫までのルートを教えてやるよ。飛び込んだら解錠する。リゲル頼めるか?』
「リゲルさんお願いしやす‼」
『おまかせください。行きましょう』
――Z+魔法‼ エレメンタル・シャドーハイド‼
詠唱と同時に迫り来る激痛。ただこの状況で呻いてはダメ。完全に自身の姿が消えたことを確認すると、ルグアの案内に従う。
影を意味するシャドー。隠蔽や隠れることを意味するハイド。壁はすり抜けられないけど、人はすり抜けることができる。
声も消せるから万能かもしれない。ってことは、俺勝ち組? 絶対そうだよね? あとはこの城から抜け出せば‼
――『アレン次の突き当たりを左。子供部屋なら、場所は表門から見て東側だから。左に曲がれば中庭への入口があるはずだ』
「了解しやした。左っすね」
――『おう‼ んで中庭に出たらまた左。そこからリゲルの部屋に行ける。リゲルの部屋には前庭と抜け道、両方行ける通路がある。
どうやら抜け道に向かう隠し通路は埋め立てられているようだが、前庭には出られる可能性が高い』
『ルグアさん絶好調のようで』
――『まあな』
この調子で抜け出せば、ルグア団長に会える。俺は魔法に集中しながら案内通りに進む。中庭に出ると、闇夜に月が輝いていた。
空は快晴。現実世界では見ることのできない神々しい月明かりは、みんなの空を見下ろしている。
きっとルグアも同じ空の下。俺はその月明かりに短い別れを告げて、左の通路へと曲がった。
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