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第2章後編

第64話 アレン思考回路大暴走

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「もしかしてあなたは、第十八層にいたダレネスさん?」
「お分かり頂けたようですね。お久しぶりです。あの時はお声しか聞けませんでしたが、こうして見ると、とてもお可愛いのですね」
「えへへ、そ、そうかな?」
「明理ちゃんが壊れてしまったわ……」
「早死に決定してぇ笑みだ。よくそんなんで喜べる……。んな顔見たくもねぇよ」

 これが価値観の違いなのだろうか? 私に共感を抱くロムとメルフィナ。対照的にバレンは拒絶感を抱いている。
 バレンは褒められたことがないのだろう。褒められたことがないから、否定するのかもしれない。
 私だって褒められたことは少ない。けど感謝されたことは、両手の指では足りないくらい、山のようにある。
 感謝も褒められたのと同じ。感謝の数だけ優しくなれる。バレンはその経験が少ないから、喜びを分かち合いを知らない。
 私はバレンを褒める機会を増やしたい。そうすれば、彼の能力を最大限引き出せる。彼に足りないのは〝優しさ〟だから。

「ここはバレンさんを主軸にして動くように……」
「おいちっこいの‼ 俺は反対だからな‼」
「ダレネスさん。何か手伝えることは?」
「そうでしたね。わたくしに着いてきてもらえますか?」
「わかりました」

 バレンには無理させたくないけど、正しい活躍を教えてあげたい。私は前を行くダレネスに同行して、遊園地の奥地へ。
 この遊園地では結婚式場もあり。過去に来た時は披露宴で賑わっていた。そんな活性化地域が今は廃墟になっている。
 もうあの賑わいは見ることができないと思うと、どこか寂しくなってくる。よくリゲルと来ていたからその分まで……。

「それで、要件って?」
「忘れてました。実は、あの後ここに来てようやく、彼氏と再会できたのですが……」
「ですが……」
「その彼氏は監禁されている状態なんです」
「『か、監禁⁉』」
「はい……。わたくしも可能な限り園内をまわって、牢の鍵を探していたのです。だけど、行動虚しく、胃つけることは叶いませんでした」

 聞けば聞くほど悲しくなる。それだけ彼氏のことを愛しているのだろう。
 考えるほどアレンの顔が浮かび上がり、小さなしずくを地面に落とす。彼のことが、ものすごく心配だから。
 きっとアレンも心配している。寂しがっているに違いない。早く情報を集め見つけださなければ。
 どうして私は、こんなにもアレンを好きになったのだろう? まるで引き寄せられるような、不思議な感覚。

「旅の冒険者様。この先にわたくしの彼氏がいます。どうぞ中へ」


 ◇◇◇アレストロ城 アレン目線◇◇◇


「ねねジルグちゃ~ん。アレンちゃんて子。このあとどーするのぉ?」
「まずは、古代魔法の確認をしたい。話はそれから。ルーア。ナンバー・・・・ストーン・・・・状況・・は?」
「それのことなら。もーんだーいナッシーング。作戦・・は順調よぉ~」
「そうか……」

 んもさっきからなんなんすか? 〝古代魔法〟? 〝ナンバー・ストーン〟? わけわかめなんすけどぉー。
 味噌汁飲みたい……。んじゃなくて、俺捕まっているんだよね? まだ状況把握しきれてなくて、頭混戦状態の思考大乱闘中なんだけどぉ‼
 ってか、頭の中で戦いあってるって、一人芝居かよ俺の馬鹿‼ 馬鹿馬鹿馬鹿‼ もう子供じゃないんだよ‼ 子供だけど……。
 矛盾してんじゃん‼

「また被害妄想か……。汗の量が異常すぎて笑わせてくれるな」
「とても愉快なのかしらぁ~?」
「さあ、どうだかな……。精神的に不愉快なのかもしれん。早速、古代魔法とやらを披露して欲しいだが……」
「その……。古代魔法ってなんすか?」
「知らないのか?」
「え、あ、はい。マッタクシリマセン……。ハツミミデス……。ジトーー……」

 もう完全に頭の中真っ白なんだけど‼ というより棒読みじゃん。俺棒読みしてるよ‼ 感情消失してんだけど‼
 絶対ガデルさんに怒られるから、これくらいにしとこ……。高確率で叩かれる……。
 場所の説明無しに、感情爆発を起こした俺。今いるのは書斎なのだろうか? 四方八方に本が並び、見える扉は一つだけ。
 まだ部屋の間取りを暗記できてない。それもあってか迷子になりそうだった。
 俺と身体を共有しているリゲルは、ずっと眠ったまま。どうやら疲れたそうで、気持ちよさそうな寝息を立てる。

「コダイマホウッテナンデスカ?」
「なんですか……? と聞かれても古代魔法は古代魔法。それしか情報が存在しない。父上が持っていると思われるが、縁は切った」
「縁を切ったって……。酷すぎっすよ‼」
「全ては弟が悪い。王位継承候補はこの私。けれども、王の血は私よりも弟が濃かった。
 次期王となるはずだった私ではなく、弟が継承権を握ってしまった。弟がとてつもなく醜かった」
「それで、イタズラを……ってことっすか?」
あれは・・・イタズラではない」

 このジルグという男性。どこか怪しい。思考回路底辺の俺でもわかる。それくらいの恐怖を覚えてしまう。
 そんなことよりも……。

「コダイマホウってナンデスカ? ジルグサン……」
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