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第1章 

第65話 海中の遊歩道

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◇◇◇第6層 7層に続く階段前◇◇◇


「ちょっと、なんで止まるのよ?」

「…………そ、その」


 簡単に泳げるようになったけど、カナヅチは変わらないもんなぁ~。真剣に泳ぐのは無理。

 なぜなら、第7層が海中ということを知ってるから。犬かきができるだけなので、海中での推進力は低い。

 加えて、全損でルグアに何度も助けられていた。

 これは一度離れるとして、第6層に辿り着くまでを振り返る。


◇◇◇第4層 樹海◇◇◇


「ジャングルとまでは言わないけど、ここも歩きづらいわね…………」


 下手な演技でつぶやくチェリス。スムーズに進めるため、黒いオーラを探して上を目指す。

 仲間にしたボスエネミーは、ボスとして出現しないから移動が楽。第3層は違ったので戦ったが、ここの層は突っ切れる。


「もう少しで第5層っすね。迷路は苦手…………」

「男なんだから弱気はやめてちょうだい!!」

「は、はい…………」


 ほとんどチェリスに任せっきりの俺。情けない……。申し訳ない…………。自分の頼りなさに失望した。


◇◇◇現在◇◇◇


「チェリス。ほんとごめん!! 俺がエスコートしないといけなかったのに…………」

「エスコート? あんたがそれをすんなり言えるなら、アタシを護ってるんじゃないかしら?」


 かっこつけようにもしづらい。なんかわからないけど、女性に助けられてばかりだ…………。

 しかも、ルグアは勘が炸裂しまくり。チェリスはベータテスターで、第20層まで攻略経験あり。

 勘が鈍くて、テスターでもない俺は、為す術もなくLAラストアタックを奪うだけ……。


「俺って、超約立たずじゃん!! オーラとLAしかできないアリンコじゃん!!」

「アレン。アリは年中無休で働いてるわよ? 例えるならキリギリスにしなさい」


 アリとキリギリスねぇ~。どういう話だったのか忘れたよ。それより、第7層はどうすんの?


「そこは任せなさい。全部アタシに丸投げされてるけど……」


 次の階層に向かうチェリス。なにか秘策でもあるのだろうか? 第7層は海底都市。訪れるのはこれで2回目。

 滝にチェリスが手を当てて、半円を行ったり来たり。


「ここだわ」

「えっ?!」

「だから……。わかるわけなわよね……。ここだけ水が無いのよ。普通に歩けるわ」


 ほんと!? 言われた通りに触れると、滝が当たるだけで、酸素ゲージは表示されない。


「アレン。さっさと行くわよ。迷路より難しいんだから。はぐれないように!!」

「よろしくお願いします…………」


 とぼとぼと着いていく俺。道を作る水族館には、いろんな魚が踊っていた。


「第7層、こっちの方が楽じゃん……」

「べちゃくちゃ言わないで、キビキビ歩く!! 置いてかれても知らないわよ?」

「すんません…………」
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