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第1章
第5話 敵を前に……
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◇◇◇第二層ボス部屋◇◇◇
俺とルグアの二人で部屋の中に入ると、巨大な狼が待ち構えていた。色は新緑の色。ルグアはまたメニュー画面を開き、何かを見つめる。
後ろから覗くと何やらパーセンテージが表示されているが、質問する前に画面が消えてルグアも姿を消した。
ゴブリンと戦っていた時は見ていなかったけど、ルグアの動きは常人にはありえない速さだった。
敵の攻撃を避け斬撃を加える。ヒットアンドアウェイスタイル。何とか視認できるルグアの表情は、とても引きつっている。
よく見ると、数秒の差で狼の攻撃を掠めていた。しばらくしてバトルがイマイチだったのか、入り口に戻ってくる。
「やっぱ思った通りだ……。リアルのやつは別として完全に鈍ってる……」
「えっ⁈ で、でもさっきまで道に迷わずに来れたじゃないっすか⁉」
順調に辿り着いたのは全てルグアのおかげ。ルグアが居たからここまで来れた。とは言っても、全てルグア任せなのだが……。
暗い通路を迷いなく移動し。迫る敵はルグアが即座に倒していく。こんなにもスムーズなのも、彼(?)のおかげで、俺の出番はなし。
俺だって活躍したい。したいけどレベルが上がるにつれて弱くなるのがキツい。とか言ってると、全部ルグアが終わらせてしまいそうで。
勘に頼るのもいいけど、勘の使い方を間違ってる気もするが、今回はどうやら少し違うらしく……。
「ああ、あれか……。私は、"サーチ"と"バトル"で、勘を使い分けているんだ……。"ドクターストップ"が無けりゃな……」
ドクターストップ? どゆこと?
「さっき私が画面を操作していただろ? あれは私専用で開発したヘッドギアの、リミッター設定なんだ。一応、通常の0.6ヘルツを基準に、5000兆倍まで解除ができるんだが……。三年前に負荷のかけ過ぎで意識が全部吹っ飛んで、入院してさ。それ以降主治医がVRゲームを禁止にしたんだ」
ふむふむ。付け加えよう。
〈ルグアは激弱の超強で、脳がドM〉。
なんか、説明が合っているのかわからないけど、今はやめることにして話の続きを聴くために軽く頷く。
「昨日やっと許可がおりてさ。けど、50段階までって制限が、気に入らない。本音は三桁以上にしたいけど、3年やってなかったし、負荷の禁止期間長いし。心配なのは、脳が耐えられるか……」
どこまで負荷が好きなんだよ⁉ ってか、普通は5000兆倍になんかなるわけない。痛めつけることに何の意味がある? 最悪なことしか出てこないじゃないか‼
「自主解禁するか……。せっかくのデスゲームなんだし……」
「それやめた方が……」
俺はルグアを説得する。けれども、
「そうだな……。ざっと300段階に……」
話聞いてない‼ マジで解禁すんの⁉ 怖いもの知らずじゃん‼ あとで何かあったら……。
ってか、『せっかくのデスゲーム』って嬉しいのかよ⁉ こんなゲームは嫌いだぞ‼
「これでよし‼ 再戦してくるから見ていてくれ‼」
「マジかよ……。団長……」
解禁の阻止に失敗した。俺はじっとルグアを見届ける。でも、最初とは大きく違うことを見つけてしまった。
ルグアの残像が見えない……。目で追えないレベルの速さで、剣閃の尾だけが残っては消えてを繰り返す。
空間を緊迫させる激しい風。さっきよりもスピードが格段に上がっていた。
俺とルグアの二人で部屋の中に入ると、巨大な狼が待ち構えていた。色は新緑の色。ルグアはまたメニュー画面を開き、何かを見つめる。
後ろから覗くと何やらパーセンテージが表示されているが、質問する前に画面が消えてルグアも姿を消した。
ゴブリンと戦っていた時は見ていなかったけど、ルグアの動きは常人にはありえない速さだった。
敵の攻撃を避け斬撃を加える。ヒットアンドアウェイスタイル。何とか視認できるルグアの表情は、とても引きつっている。
よく見ると、数秒の差で狼の攻撃を掠めていた。しばらくしてバトルがイマイチだったのか、入り口に戻ってくる。
「やっぱ思った通りだ……。リアルのやつは別として完全に鈍ってる……」
「えっ⁈ で、でもさっきまで道に迷わずに来れたじゃないっすか⁉」
順調に辿り着いたのは全てルグアのおかげ。ルグアが居たからここまで来れた。とは言っても、全てルグア任せなのだが……。
暗い通路を迷いなく移動し。迫る敵はルグアが即座に倒していく。こんなにもスムーズなのも、彼(?)のおかげで、俺の出番はなし。
俺だって活躍したい。したいけどレベルが上がるにつれて弱くなるのがキツい。とか言ってると、全部ルグアが終わらせてしまいそうで。
勘に頼るのもいいけど、勘の使い方を間違ってる気もするが、今回はどうやら少し違うらしく……。
「ああ、あれか……。私は、"サーチ"と"バトル"で、勘を使い分けているんだ……。"ドクターストップ"が無けりゃな……」
ドクターストップ? どゆこと?
「さっき私が画面を操作していただろ? あれは私専用で開発したヘッドギアの、リミッター設定なんだ。一応、通常の0.6ヘルツを基準に、5000兆倍まで解除ができるんだが……。三年前に負荷のかけ過ぎで意識が全部吹っ飛んで、入院してさ。それ以降主治医がVRゲームを禁止にしたんだ」
ふむふむ。付け加えよう。
〈ルグアは激弱の超強で、脳がドM〉。
なんか、説明が合っているのかわからないけど、今はやめることにして話の続きを聴くために軽く頷く。
「昨日やっと許可がおりてさ。けど、50段階までって制限が、気に入らない。本音は三桁以上にしたいけど、3年やってなかったし、負荷の禁止期間長いし。心配なのは、脳が耐えられるか……」
どこまで負荷が好きなんだよ⁉ ってか、普通は5000兆倍になんかなるわけない。痛めつけることに何の意味がある? 最悪なことしか出てこないじゃないか‼
「自主解禁するか……。せっかくのデスゲームなんだし……」
「それやめた方が……」
俺はルグアを説得する。けれども、
「そうだな……。ざっと300段階に……」
話聞いてない‼ マジで解禁すんの⁉ 怖いもの知らずじゃん‼ あとで何かあったら……。
ってか、『せっかくのデスゲーム』って嬉しいのかよ⁉ こんなゲームは嫌いだぞ‼
「これでよし‼ 再戦してくるから見ていてくれ‼」
「マジかよ……。団長……」
解禁の阻止に失敗した。俺はじっとルグアを見届ける。でも、最初とは大きく違うことを見つけてしまった。
ルグアの残像が見えない……。目で追えないレベルの速さで、剣閃の尾だけが残っては消えてを繰り返す。
空間を緊迫させる激しい風。さっきよりもスピードが格段に上がっていた。
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