AIリンク・ステーション 〜電脳世界に放り込まれた俺は、AIの妹と旅に出る

八ッ坂千鶴

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第1話 帰宅途中で…………

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――ガタンゴトン……ガタンゴトン…………。


『まもなく○○駅~。○○駅に…………』


 学校が終わり俺は電車に乗って、目的地まで車窓を覗いていた。いつもの見慣れた風景に、少し眠くなりながら、親に学校での出来事を伝えるの楽しみにして、振動に身を任せる。

 だが、車掌の声が途切れたまま、聞こえない。スピーカーに耳を傾けて、小さな音を探る。すると、


『おい!! このままだと危ないんだぞ!! もし言うこと聞かなかったら、爆発させるからな!!』

『で、ですが、時間は厳守…………』

『そんなの知ったこっちゃない。もういい、爆発だ!! でも、爆発させるのはこの車両だけにしてやる!!』


 状況がわからない。優しい女性車掌の声と、太い男性の声。テロなのではないかと、心配になってしまう。そして、


――ドゴンッ!!


 前方車両の爆発音が聞こえた。男性が、一番前の車両だけにすると言っていたので、俺はこれで終わると思っていた。しかし、そうはならなかった。

 同じような爆発音が、どんどん俺の方へ近づいてくる。車窓の覗くと、後ろの方へ向かって、車両が破壊されていた。そして、


「えっ!?」


――ドガーンッ!!


 俺が乗っていた車両も爆発してしまい、意識が途切れた。


◇◇◇◇◇◇


『お兄ちゃん!! ねぇお兄ちゃん!!』


 意識が戻り、聞こえてきたのは幼い女の子の声。彼女は、俺のことを『お兄ちゃん』と呼んでいる。


『お兄ちゃん!! 起きて!!』


 彼女は、俺の身体に体重を乗せて揺さぶってくる。でも、俺には妹がいない。俺は3人暮らしの一人っ子だ。

 ゆっくり目を開ける。そこには大きな木と、可愛いらしい少女の顔。俺は少女の名前を知っていた。少女の名前は、清木きよぎ桃葉。とあるゲームの名付けイベントで、俺が命名したボトムアップ型AI。


「やっと気付いてくれた。源磨お兄ちゃんったら、ゲーム内の時もどんな時でも、死んだように寝ているんだから!!」

「勝手に殺すな!!」


 真っ先にツッコミを入れてしまった。それよりもこの場所はどこなのだろうか? 病院でも俺の自宅でもなく、丘の大きな木の下。

 こんな時は、桃葉に聞いた方が手っ取り早い!! と思ったものの、本人も良く知らないようで、困り果てる。けれども、電脳世界であることは教えてくれた。まずまず、電脳世界じゃないと、AIの桃葉に会えるわけがない。


「そういえば、お兄ちゃん!! 私の名前の由来って何?」


 唐突な質問。もちろん、名付け親は俺なので、由来を知っているのも俺だけだ。


「由来か…………。俺も母さんに良く聞いたよ」

「へぇ~。そうなんだぁ~。ねね!! 早く教えてよ!! お兄ちゃん!!」

「わかった。桃葉の名前の由来は、桃のように優しくて、大きな葉でみんなの思いを受け止めてほしいって、付けたんだけど? わかったかな?」

「な~るほど~。ありがと!! お兄ちゃん!! そろそろ暗くなるから、私の家に案内するね」


 独特な返答に苦笑してしまうが、家? ここにも家があるの? 俺は、桃葉に言われるがままに後を追う。

 そうしているうちに、外は黄金色に、少し経つと今度は淡い橙色になっていった。
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