多民族から成る複合社会マレーシアとその歪み

Yoshinari F/Route-17

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第1章 複合社会マレーシア(1)

1-(3) マレーシアの旅

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 マレーシアの都市は民族特有のセグリゲィションという区画の集合体であり、それらはチャイナタウン、またインド人街(リトル・インディア、リトル・ボンベイ)などと呼ばれている。セグリゲィションごとにそこに居住する民族の個性や特徴がよく現れていのである。チャイナタウンへ行けば、そこは華人特有の世界である。あちこちの看板に漢字が多いことに気づく(写真1、写真2)。
またインド人街へ行けば人々の服装はインド風になり、商店にもターバンやサリーが売られている(写真3)。
セグリゲィションはまさに、そこに住む民族の「国」そのものである。
 
 マレーシアの都市内部には、このような全く異国の顔を持つセグリゲィションが混在しているが、驚くべきことに、これらは道路を一本挟んで隣接することもあるほど近い(図3)。
チャイナタウンを徒歩で進んでゆくと風景が突然インド風に変わる。そこがチャイナタウンとインド人街の境界である。歩いているうちに景色はどんどん変化してゆき、いつの間にか異国間を徒歩で移動しているような感覚にとらわれる。それが複合社会マレーシアの魅力の一つでありこの国を訪れる観光客は、あちらからこちら、またこちらからあちらへと、目まぐるしく移動していく。しかし、現地に住む人々にとって、そんなことは関係ない。華人がインド人街へ行けばもう、そこには華人の文化や生活習慣は存在しない。その逆も同じことで、タミル人がチャイナタウンへ行ったとしても、もうそこは彼の住む世界ではないのである。

 都市(都会)から農村(田舎)という広い範囲で見ても「住み分け」は存在している。都市部では商業やサービス業を営む華人やタミル人の人口比率が高い。一方、農村部では、農業を営むマレー人の人口比率が高いのである。マレーシアの農村部を旅する途中で偶然にもマレー人の住むカンポンハウス(注3)を見学することが出来た。綺麗に片づけられた、観光用の家らしいが、非常にエキゾチックでマレー人の生活習慣や文化が見て取れた(写真4、写真5)。
家の奥に井戸があり水汲みを体験した(写真6)。カンポンハウスの井戸にはポンプが設置されておらず、ロープの先に結びつけられたバケツで水を汲む。井戸は随分深く、もしも子供が誤って落ちたらと思うとぞっとする。


 写真7はマレーシアの国教であるイスラム教寺院、マスメット・ジャメである。イスラム寺院は戒律が厳しく肌を露出した服装では入場できない。一年中真夏で非常に暑いのだが黒い上着で肌を覆わなければならなかった(写真8)。観光客という立場からでもイスラムの戒律の厳しさが伺えたのである。




注3 マレー人の居住する高床式の小屋。農村部で多数見かける。都市部では見られない。
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