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7年前 Ⅿ工場(回想)
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クード・カスタムはカフェ『猫の眼』を営んでいる。
7年前に脱サラしてたった一人で始めたが、それ以前の彼は独身で会社員だった。
**
今では銀髪だが、当時はまだ黒髪で、Ⅿという工場で働いていた。
機械部品の製造メーカーで加工を担当していたが、とんでもないブラック企業だった。
人間関係も荒れていた。朝から朝まで24時間ぶっとおしで働かせることもしばしばで、人間が辞めれば次を募集して補充するという、人を使い捨てのようにしか考えていない会社だった。
そのせいで、週末ごとに新聞に折り込まれる求人広告には毎回募集が載った。
それほど募集ばかり出していれば、見る者には明らかに怪しく見える。「この会社はいつも人が辞めていくんだな、きつい会社なんだな」と。
やがて、求人広告を出しても誰も応募してこなくなった。
すでに街にはⅯ工場の退職者が溢れていた。クードが入社してから数年間で、会社が各従業員に与える社員番号は200番台から1000番台へと突入していた。従業員数が約200名だったので、800名が辞めていったことになる。
この数字がⅯの悪名を更なる高みへと押し上げていった。
そんな中でクードは仲間たちと必死で働いた。
独身なので、それほどお金が欲しい訳ではなかったが、その当時の製造課に所属していた上司フーマンがとても面倒見のいい人物で、全ての仕事をクードに教え、長い時間をかけて一人前にしてくれた。
仕事の飲み込みの遅いクードはたくさん失敗した。しかし、フーマンはそれを攻め立てたりせず「正しいやり方を覚えて気をつけること。次は失敗しないように、落ち着いていこう…な。」とだけ注意し見守ってくれたのだ。それはこの忙しい状況下でどれ程大変なことだっただろうか。
そのおかげでクードは少しずつ仕事を覚えていくことができた。
クードは一度にたくさん物事を言われると、混乱して心が乱れてしまい失敗することがあったので、ゆっくり丁寧に教えてくれたこの上司フーマンにとても感謝していた。
この人と仕事をしたい。この人の為に頑張りたい。そう思えるようになっていった。
仕事に慣れた今では、他の従業員と同じか、それ以上のスピードと正確さで仕事をこなせるようになっていた。
全てフーマンのおかげだった。このフーマンにならばどれだけ苦しくてもついていこう、そう思っていた。
一方、会社側は新しい人間が来ないのならば今いる者をさらにこき使おうとした。36時間連続で勤務させることもあった。倒れる者や怪我をするものが続出した。
元々、労働組合などない会社だった。
会社は、倒れるのは意思が弱いから、怪我をするのは気が緩んでいるから、などととんでもない精神論を振りかざし、発生した労災全てを隠蔽した。
追い詰められた社員たちの心は潰されていき人間関係はさらに荒れた。他の部所ではいじめやパワハラが横行した。まともに仕事が出来ないほど悪化しているところもあった。
幸いクードが所属する製造課はまだ仕事が出来る環境ではあったが上司フーマンをはじめ全ての従業員は極限まで追い込まれていった。
そしてついに事件は起きた。
上司フーマンとクードが所属する製造課から不良品が流出したのだ。
設計図を読み間違えるという初歩的なミスだった。
一番若手の後輩が担当しクードが面倒を見ていた。
製品の加工を始める前に、後輩が作成した加工プログラムを先輩であるクードが確認するのが、決められた流れだった。尋常ではない忙しさだったがそれでも時間をかけてクードは確認した。
そして発見した。製品の重要な箇所に不明瞭な部分がある。二通りの解釈が成り立ってしまう。
AかBか…
この判断を誤れば製品は全く別物となり不良品となる。それは、ユーザーがAタイプかBタイプかを図面上で指定する必要があり、今回はそれがなされていないのだった。これでは加工する現場は判断できない。クードは上司フーマンのもとへ走った。
納入期日から逆算するとギリギリの時間だった。一刻も早く問い合わせて返答をもらい仕事を進める必要があった。
フーマンは即答した。「これはAだ。」と。
すぐさまクードは後輩に伝え、生産を開始した。48時間ぶっ通しで生産し出荷時間に間に合わせることが出来た。
一週間後、Ⅿ工場に一本の電話がかかってきた。取引先からだった。納入された製品がおかしい。組み立てて起動させた時の強度が足りない。すぐに破損してしまうのだという。
材料に硬度の違う異材を使用してしまったのか、それとも熱処理による焼き入れの不良か…。すぐに調査が行われた。その結果、原因が判明した。
加工の不良による強度不足だった。
製品の中には、隅部に小さな(半径0.2~0.3mmの)の曲面(R)を描いて角を無くし強度を上げる加工を行うものがある。隅から亀裂が入ることを防ぐためだ。
今回の製品にはこのR加工が行われていなかった。ほんの小さなものだがその効果は大きい。
担当したのはクードの後輩だ。納入数は1500個、損害額は材料費だけで4000万を超えている。そして加工プログラムを確認したのはクードだった。
「これは、あの時の…!」
AタイプかBタイプか、R加工の有無を、クードが上司フーマンに確認した。フーマンは即答した。「Aだ(R加工無しだ)。」と。
元々図面に加工の指示が記載されていなかったのが原因だが、上司であるフーマンは事務所を通じてでも取引先に確認すべきだった。
たとえ一般的にはAだったとしてもBである可能性も十分あるのだ。忙しすぎるとはいえ、その確認を怠ってしまったフーマンのミスだ。
フーマンは当時35歳。妻子があり新築の一戸建ての住宅も購入したばかりだった。
この責任をどうやってとるというのか。クードは何とかして上司フーマンを救ってやりたかったがなすすべが無かった。
緊急のQC(品質管理)会議が開かれた。
各部署の組織を預かる役職者が集まる会議で、クードの上司フーマンは集中的に非難され、クードと一緒に今回の不祥事は何故起きたのか、その原因は何なのか説明を求められた。
平社員のクードは通常、役職者の会議になど出席しないのだが、今回は不祥事のあった現場の当事者として出席させられていた。
フーマンを救うチャンスがあるとすれば今だけだ。
発言の機会が訪れれば、会社の体制を糾弾すると決めていた。人間をここまで働かせていい訳がない。
時間外労働が月に200時間。
狂っている。
このような状況下でミスせず業務を行える者はいない。と。
しかし、先に発言した上司フーマンが大勢の役職者を前に語った言葉は耳を疑うものだった。
「私の部下のクード・カスタムはパニックに陥りやすく、特に咄嗟の対応を迫られた時にミスを犯すことがあります。あの日も非常に忙しい中、彼は頑張ってくれていました。その中で後輩の指導も行い、更に図面の不明瞭な点の確認まで行ったのです。その中で彼はかん違いをしてしまいました。後輩にAタイプと伝えてしまったのです。私は『Bタイプだ。』と伝えたのですが…」
何だって!?「これはAだ。」と即答したじゃないか!!
あまりのショックに言葉が出ない…。クードの心は激しく乱れる。
スケープゴート(身替わり)にする気なのか?!。あなただけは信じていたのに…。心の中が真っ黒な墨汁をまき散らされたように黒い闇に染まっていく。
どんなに辛くても、あなたがいたから頑張ってこれた。大変な中でも皆で協力して乗り越えてきた。あなたは俺の憧れ、そして目標。あなたが俺に与えてくれた物は限りなく大きく、それを後輩たちへと伝えていくことが俺の使命。あなたが記した足跡を追って仲間や後輩と共に歩いていこう…。
ずっとそう思っていたのに。なぜ、裏切った?
しかし、人にはそれぞれ守らなければならない物があって、フーマンにとって一番大切だったもは妻であり子供であり家庭だったのだ。どんな事をしても、どれほど汚い手を使ってでも守らなければならない物があったというだけの話なのだ。たとえクードの人生を踏みにじる結果になったとしても。
しかし、納得などできるわけがない。
発言の最後に上司フーマンはクードに向き直り「次は失敗しないように、落ち着いていこう…な。」そう言った。
ブチン!
クードの頭の中で何かが切れた。この裏切りが百歩譲ってフーマンの家族を守るためのものだったとしても、この期に及んで、まだお前だけ善人になるつもりなのか!
「(このクズ野郎ォ!!!!!!!!!!)」
フーマンの顔面に渾身の右ストレートを叩き込んでいた。
**
Ⅿ工場を出ていくクードは振り返らなかった。
会議室の長机の上に仰向けに転がったフーマンはまるでカエルの死骸のようだった。会議室内は騒然となったが、クードに対して誰も何も言わなかった。
そんな事もすぐに忘れてしまうだろう。こんな会社、こんな仕事にはもう未練など無かった。
新しいことを始めようと決めていた。
自宅を改装してカフェを始めようと思っていた。
7年前に脱サラしてたった一人で始めたが、それ以前の彼は独身で会社員だった。
**
今では銀髪だが、当時はまだ黒髪で、Ⅿという工場で働いていた。
機械部品の製造メーカーで加工を担当していたが、とんでもないブラック企業だった。
人間関係も荒れていた。朝から朝まで24時間ぶっとおしで働かせることもしばしばで、人間が辞めれば次を募集して補充するという、人を使い捨てのようにしか考えていない会社だった。
そのせいで、週末ごとに新聞に折り込まれる求人広告には毎回募集が載った。
それほど募集ばかり出していれば、見る者には明らかに怪しく見える。「この会社はいつも人が辞めていくんだな、きつい会社なんだな」と。
やがて、求人広告を出しても誰も応募してこなくなった。
すでに街にはⅯ工場の退職者が溢れていた。クードが入社してから数年間で、会社が各従業員に与える社員番号は200番台から1000番台へと突入していた。従業員数が約200名だったので、800名が辞めていったことになる。
この数字がⅯの悪名を更なる高みへと押し上げていった。
そんな中でクードは仲間たちと必死で働いた。
独身なので、それほどお金が欲しい訳ではなかったが、その当時の製造課に所属していた上司フーマンがとても面倒見のいい人物で、全ての仕事をクードに教え、長い時間をかけて一人前にしてくれた。
仕事の飲み込みの遅いクードはたくさん失敗した。しかし、フーマンはそれを攻め立てたりせず「正しいやり方を覚えて気をつけること。次は失敗しないように、落ち着いていこう…な。」とだけ注意し見守ってくれたのだ。それはこの忙しい状況下でどれ程大変なことだっただろうか。
そのおかげでクードは少しずつ仕事を覚えていくことができた。
クードは一度にたくさん物事を言われると、混乱して心が乱れてしまい失敗することがあったので、ゆっくり丁寧に教えてくれたこの上司フーマンにとても感謝していた。
この人と仕事をしたい。この人の為に頑張りたい。そう思えるようになっていった。
仕事に慣れた今では、他の従業員と同じか、それ以上のスピードと正確さで仕事をこなせるようになっていた。
全てフーマンのおかげだった。このフーマンにならばどれだけ苦しくてもついていこう、そう思っていた。
一方、会社側は新しい人間が来ないのならば今いる者をさらにこき使おうとした。36時間連続で勤務させることもあった。倒れる者や怪我をするものが続出した。
元々、労働組合などない会社だった。
会社は、倒れるのは意思が弱いから、怪我をするのは気が緩んでいるから、などととんでもない精神論を振りかざし、発生した労災全てを隠蔽した。
追い詰められた社員たちの心は潰されていき人間関係はさらに荒れた。他の部所ではいじめやパワハラが横行した。まともに仕事が出来ないほど悪化しているところもあった。
幸いクードが所属する製造課はまだ仕事が出来る環境ではあったが上司フーマンをはじめ全ての従業員は極限まで追い込まれていった。
そしてついに事件は起きた。
上司フーマンとクードが所属する製造課から不良品が流出したのだ。
設計図を読み間違えるという初歩的なミスだった。
一番若手の後輩が担当しクードが面倒を見ていた。
製品の加工を始める前に、後輩が作成した加工プログラムを先輩であるクードが確認するのが、決められた流れだった。尋常ではない忙しさだったがそれでも時間をかけてクードは確認した。
そして発見した。製品の重要な箇所に不明瞭な部分がある。二通りの解釈が成り立ってしまう。
AかBか…
この判断を誤れば製品は全く別物となり不良品となる。それは、ユーザーがAタイプかBタイプかを図面上で指定する必要があり、今回はそれがなされていないのだった。これでは加工する現場は判断できない。クードは上司フーマンのもとへ走った。
納入期日から逆算するとギリギリの時間だった。一刻も早く問い合わせて返答をもらい仕事を進める必要があった。
フーマンは即答した。「これはAだ。」と。
すぐさまクードは後輩に伝え、生産を開始した。48時間ぶっ通しで生産し出荷時間に間に合わせることが出来た。
一週間後、Ⅿ工場に一本の電話がかかってきた。取引先からだった。納入された製品がおかしい。組み立てて起動させた時の強度が足りない。すぐに破損してしまうのだという。
材料に硬度の違う異材を使用してしまったのか、それとも熱処理による焼き入れの不良か…。すぐに調査が行われた。その結果、原因が判明した。
加工の不良による強度不足だった。
製品の中には、隅部に小さな(半径0.2~0.3mmの)の曲面(R)を描いて角を無くし強度を上げる加工を行うものがある。隅から亀裂が入ることを防ぐためだ。
今回の製品にはこのR加工が行われていなかった。ほんの小さなものだがその効果は大きい。
担当したのはクードの後輩だ。納入数は1500個、損害額は材料費だけで4000万を超えている。そして加工プログラムを確認したのはクードだった。
「これは、あの時の…!」
AタイプかBタイプか、R加工の有無を、クードが上司フーマンに確認した。フーマンは即答した。「Aだ(R加工無しだ)。」と。
元々図面に加工の指示が記載されていなかったのが原因だが、上司であるフーマンは事務所を通じてでも取引先に確認すべきだった。
たとえ一般的にはAだったとしてもBである可能性も十分あるのだ。忙しすぎるとはいえ、その確認を怠ってしまったフーマンのミスだ。
フーマンは当時35歳。妻子があり新築の一戸建ての住宅も購入したばかりだった。
この責任をどうやってとるというのか。クードは何とかして上司フーマンを救ってやりたかったがなすすべが無かった。
緊急のQC(品質管理)会議が開かれた。
各部署の組織を預かる役職者が集まる会議で、クードの上司フーマンは集中的に非難され、クードと一緒に今回の不祥事は何故起きたのか、その原因は何なのか説明を求められた。
平社員のクードは通常、役職者の会議になど出席しないのだが、今回は不祥事のあった現場の当事者として出席させられていた。
フーマンを救うチャンスがあるとすれば今だけだ。
発言の機会が訪れれば、会社の体制を糾弾すると決めていた。人間をここまで働かせていい訳がない。
時間外労働が月に200時間。
狂っている。
このような状況下でミスせず業務を行える者はいない。と。
しかし、先に発言した上司フーマンが大勢の役職者を前に語った言葉は耳を疑うものだった。
「私の部下のクード・カスタムはパニックに陥りやすく、特に咄嗟の対応を迫られた時にミスを犯すことがあります。あの日も非常に忙しい中、彼は頑張ってくれていました。その中で後輩の指導も行い、更に図面の不明瞭な点の確認まで行ったのです。その中で彼はかん違いをしてしまいました。後輩にAタイプと伝えてしまったのです。私は『Bタイプだ。』と伝えたのですが…」
何だって!?「これはAだ。」と即答したじゃないか!!
あまりのショックに言葉が出ない…。クードの心は激しく乱れる。
スケープゴート(身替わり)にする気なのか?!。あなただけは信じていたのに…。心の中が真っ黒な墨汁をまき散らされたように黒い闇に染まっていく。
どんなに辛くても、あなたがいたから頑張ってこれた。大変な中でも皆で協力して乗り越えてきた。あなたは俺の憧れ、そして目標。あなたが俺に与えてくれた物は限りなく大きく、それを後輩たちへと伝えていくことが俺の使命。あなたが記した足跡を追って仲間や後輩と共に歩いていこう…。
ずっとそう思っていたのに。なぜ、裏切った?
しかし、人にはそれぞれ守らなければならない物があって、フーマンにとって一番大切だったもは妻であり子供であり家庭だったのだ。どんな事をしても、どれほど汚い手を使ってでも守らなければならない物があったというだけの話なのだ。たとえクードの人生を踏みにじる結果になったとしても。
しかし、納得などできるわけがない。
発言の最後に上司フーマンはクードに向き直り「次は失敗しないように、落ち着いていこう…な。」そう言った。
ブチン!
クードの頭の中で何かが切れた。この裏切りが百歩譲ってフーマンの家族を守るためのものだったとしても、この期に及んで、まだお前だけ善人になるつもりなのか!
「(このクズ野郎ォ!!!!!!!!!!)」
フーマンの顔面に渾身の右ストレートを叩き込んでいた。
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Ⅿ工場を出ていくクードは振り返らなかった。
会議室の長机の上に仰向けに転がったフーマンはまるでカエルの死骸のようだった。会議室内は騒然となったが、クードに対して誰も何も言わなかった。
そんな事もすぐに忘れてしまうだろう。こんな会社、こんな仕事にはもう未練など無かった。
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