41 / 48
仲直りしかけてはまた破局
しおりを挟む
少し時間を置いても,気になったので,言ってみた。
「中国語の勉強を手伝うから,(これまでにもたくさん,たくさん手伝ったけどねって言いたいのを我慢して)また一から自然体でやり直してみない?」
歌子は,これに対して,
「どうせなら,納得して付き合いたいから,その前に,ちゃんと話そう。」
話そうとしたのに…人のメールを読まずに削除するくせに…と思いながら,
「はい,私も,メールではなく,ちゃんと面と向かって話した方がいいと思う。」
と返事した。
しかし,これはちょうどウイルスが流行り始めた時期と重なってしまったので,将来の約束をしたまま,半年ほど過ぎてしまった。
私は,その半年の間に,処世術の本を参考にしながら,歌子との関係を諦めるべきか,じっくり考えた。育児の合間なので,ずっと考えていた訳ではないが…。
これまでの歌子との経緯を考えると,直接でも話し合うことで分かり合うのは,多分難しいと結論した。そして,歌子の私に対する気持ちは,暖かいものではなく,道具扱いのような冷たいものであるとほぼ確信できていた。
歌子とは,いい思い出もたくさんあるから悲しいが,いい思い出の半分ぐらいは嘘のようだし,ケジメをつけた方がいいと思った。宙ぶらりんのままにするより,はっきりと縁を切った方が気持ち的にも割り切れると思った。
しかし,歌子のことがどうしても嫌いになれなくて,憎めなくて,傷つけたくないから,ためらった。さらに時間が経過してしまった。
ある日,ようやく決意を固めて,歌子に,最後のつもりで,メールを送った。
「また話そう~とか言っていたけど…
話して何とかなるとは,思えない。
日本人が中国語を覚え,それを武器にして活躍するのは,素晴らしいけど,中国人が日本語を学び,それを活かす仕事に就きたいと思うのは,我儘?
互いには,悪気はないと思うから,残念だけど,もう互いには身を削るような思いはしたくないから,諦めた方がいいと思う。
でも,お世話になったことに対しては,感謝しているし,息子に会ってもらえてよかった。
では,お元気で。」
これに対する返事は,なかった。これでいいと思った。ずっと指摘したかった歌子の考え方の矛盾したところを指摘できたし,感謝の気持ちも伝えられたから。
「中国語の勉強を手伝うから,(これまでにもたくさん,たくさん手伝ったけどねって言いたいのを我慢して)また一から自然体でやり直してみない?」
歌子は,これに対して,
「どうせなら,納得して付き合いたいから,その前に,ちゃんと話そう。」
話そうとしたのに…人のメールを読まずに削除するくせに…と思いながら,
「はい,私も,メールではなく,ちゃんと面と向かって話した方がいいと思う。」
と返事した。
しかし,これはちょうどウイルスが流行り始めた時期と重なってしまったので,将来の約束をしたまま,半年ほど過ぎてしまった。
私は,その半年の間に,処世術の本を参考にしながら,歌子との関係を諦めるべきか,じっくり考えた。育児の合間なので,ずっと考えていた訳ではないが…。
これまでの歌子との経緯を考えると,直接でも話し合うことで分かり合うのは,多分難しいと結論した。そして,歌子の私に対する気持ちは,暖かいものではなく,道具扱いのような冷たいものであるとほぼ確信できていた。
歌子とは,いい思い出もたくさんあるから悲しいが,いい思い出の半分ぐらいは嘘のようだし,ケジメをつけた方がいいと思った。宙ぶらりんのままにするより,はっきりと縁を切った方が気持ち的にも割り切れると思った。
しかし,歌子のことがどうしても嫌いになれなくて,憎めなくて,傷つけたくないから,ためらった。さらに時間が経過してしまった。
ある日,ようやく決意を固めて,歌子に,最後のつもりで,メールを送った。
「また話そう~とか言っていたけど…
話して何とかなるとは,思えない。
日本人が中国語を覚え,それを武器にして活躍するのは,素晴らしいけど,中国人が日本語を学び,それを活かす仕事に就きたいと思うのは,我儘?
互いには,悪気はないと思うから,残念だけど,もう互いには身を削るような思いはしたくないから,諦めた方がいいと思う。
でも,お世話になったことに対しては,感謝しているし,息子に会ってもらえてよかった。
では,お元気で。」
これに対する返事は,なかった。これでいいと思った。ずっと指摘したかった歌子の考え方の矛盾したところを指摘できたし,感謝の気持ちも伝えられたから。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

おじょうさまとごえい
ハフリド
キャラ文芸
「月の姫」であるために妖魔たちに狙われるお嬢様の由貴子。
傘を武器として扱う能力を持つために、ひそかに彼女を護衛する庶民の那由。
同級生であるという以外に接点がなかった二人だが、由貴子がふとした気まぐれで那由に話しかけたこと。
そして気に入ったことにより関係は変化し、二人の距離は急速に接近していく。
月の姫とは?
由紀子はなぜ妖魔たちに狙われるのか?
どうして那由はなぜ傘を武器とすることができるのか?
……などという部分は脇においた、二人の少女の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる