星が降りそうな港町

Yonekoto8484

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いよいよ,私も人の奥さんに

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そして,結婚することになった。奏と歌子に報告すると,喜んでくれた。

挙式は,町に小さなカトリック教会があったので,そこにお世話になれないか,問い合わせてみた。

仕事後に,彼氏と牧師さんと三人で会って,話すことになった。

ところが,教会に行って,牧師に出会ってみると,私たちとの約束を忘れている感じがした。しまった!という顔をしてから,私と彼氏を教会の中の長いテーブルの置いてある部屋まで案内してから,
「すみません。名刺を探してきます。」と言って,私たちを二人にして,出て行った。

そして,とても長い時間戻ってこなかった。

やっと戻って来たと思ったら,
「すみません。名刺が見つかりません。」と頭を下げて謝った。

そこで,打ち合わせが始まった。
「信者さんですか?」

「いいえ。」

「ご両親は?信者さんですか?」

「いいえ。」

「じゃ,どうしてここで?」

海外から私の親戚を呼んで挙式をあげるので,ここがいいと思ったと話してみると,
「ここは,誰でもどうぞじゃない。信者さんではないので,結婚講座を受講していただく必要もありますし,式をここであげられるかどうかも,この教会の信仰者に投票をし決めてもらうことになるんですが,それでもここでしたいですか?」

信者でも何でもない私たちにとっては,そこまでして,カトリック教会にこだわる理由はないので,断り,和式の結婚式に変更した。

八月の真夏の猛暑の中,エアコンの設置されていない神社で挙式をあげることになった。当日は,汗だくになるのは間違いないなので,前撮りもすることになった。

前撮りをすることは,一応奏にも,歌子にも伝えたが,奏がいつどこでやるかなど詳細を聞いて,見に行きたいと言ってくれたのに対し,歌子は,「あっ,そう?」と相槌を打っただけだ。

ところが,前撮り予定日の前日の夜に,いきなり歌子からメールが来た。奏から明日前撮りをすると聞いたけど,見に行ってもいいか?という内容だった。断る理由はないので,「どうぞ。」と返事した。

ということで,前撮り撮影は,カメラマンと旦那さん(先に入籍したので,前撮りの時は,すでに夫婦になっていた。)のご両親と奏と歌子というメンバーですることになった。

奏は,自分の三脚とカメラを持って来ていて,カメラマンと一緒に,地面にうずくまったりしながら,写真を撮っていた。

歌子も,カメラを持って来ていたが,撮影の準備をしたら悪いと,珍しく遠慮していた。

すると,奏が言った。
「遠慮せんと,自分の娘を撮ればいい。」

歌子が「娘!?」と,自分でいつも言っていることながら,とぼけてみせた。

暑すぎて,汗をひたすら拭いながらの長い長い撮影だったが,何とか倒れずに最後まで過ごせた。親戚が入る記念撮影には,奏と歌子も一緒に写った。私の親役?

今も,結婚記念アルバムに,奏と歌子が一緒に写った記念写真が収められている。旦那さんの横に,旦那さんのお父さんとお母さんが座り,私の横に,奏と歌子というふうに。
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