記憶のかけら

Yonekoto8484

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第16話

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祖父の肉の味付けは、ずば抜けて上手だった。一緒に食事をする時によく焼いてくれたのだが,毎度舌鼓を打つような満足感で食事を終えるのだった。

牛肉は,よくミンチを買ってハンバーガーの形にして焼いていた。味付けはバジルと塩胡椒だけだというが,真似して作ってみても味は微妙に違う。やっぱり敵わない。

鶏の胸肉は,イタリアンドレッシングにしばらく漬けて置いてから焼いていた。これもまたほっぺたが落ちるくらい美味しかった。

祖母も料理が得意だったが,私が物心がつく頃には病気のせいでもうすでに出来なくなっていたので,味はほとんど覚えていない。

剥いたオレンジと生クリームとゼラチンを混ぜたオレンジサラダ,マカロニにチーズを乗せオーブンで焼いたマッケンチーズ,ピッツェルという八角の入ったイタリアンクッキーを作っていたことだけは,朧げながら微かに覚えている。
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