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2章 宝石の並ぶ村
第46話 地下に潜む宝石たち!
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「やはりいたか……クリスタリアン」
スプリングが嬉しそうにボソッと呟いた。
「クリスタリアン?」
「宝石族と呼ばれているヤツらだ。体の外も中も全てが宝石でできている。ここら辺にいるって噂は聞いていたんだが……やっぱり本当だったんだ」
ずっとポーカーフェイスだったのが、目に見えて分かるほどに喜んでいる。それほどまで嬉しいのだろう。
「とりあえずあの人たちに話を聞けば地上に出られますかね?」
「さぁな。でも聞いてみる価値はありそうだ」
意見の一致。2人はクリスタリアンたちの村へと歩いていった。
第1村人発見。村の入口付近にいた1人の少女。無愛想なスプリングの前にヘキオンが立つ。感情が顔に出るヘキオンの方がここは無難だろう。
「こんにちはお嬢ちゃん。ちょっとお話聞かせてくれない?」
優しく微笑みかけるヘキオン。まるで聖母……身長と見た目とオーラは、母というのには似つかないが。
少女がヘキオンをじっと見つめている。じっと。
「……」
「……あの?」
手を振る。目の前の自分が見えているかを確認している。
「……」
「……き、聞こえてるかな~?」
「――に、人間だァァァァァァ!!」
「「!?」」
突如少女が叫んだ。ドームの空間に反響しまくる子供の高い声。キーンと耳鳴りがするほど。思わず耳を塞ぐ2人。
「え?え?ど、どうしたの?」
「人間だァ!!人間が来たぞーー!!」
「え?ちょっと――」
村の奥へと走り去る少女。ヘキオンが止める暇もなかった。
キョトンとするヘキオン。突然のことすぎて固まっていた。
「……な、なんなんだろう?」
「――動くな!!」
ゾロゾロとクリスタリアンが出てくる。手に持つは槍。向けられた刃はヘキオンとスプリング。刃も透明感のある宝石でできていた。
「ちょ、ちょっと待って!」
「何をしに来た人間!!いや、それよりもどこでここの情報を手に入れた!!」
前に並ぶクリスタリアンのうちの1人が問いかける。後ろにも配置されており、逃げることはできなさそうだ。
「話を聞いてください!私たちは遭難しちゃって――」
「人間の言うことなど信じられるか!!」
ヘキオンの言葉を遮るように叫ぶ。
「……ならなんで聞いたの」
不満そうにボソッと呟いたのだった。
「下がっていろ」
後ろにヘキオンを押しのける。前に乗り出すスプリング。
「大丈夫なんですか?」
「まぁ待っていろ。――おい!人間はしんじられないんだろう!?」
前と後ろに並ぶクリスタリアンに叫ぶ。
「……どういう意味だ」
「俺をちゃんと見てみろ」
フードを脱いだ。髪。肌。まつ毛に眉毛。唇。口の中までも真っ白。瞳は真っ赤だが、周りの白でそれが目立つ。
袖をまくる。顔と同じように真っ白で筋肉質な腕がさらけ出された。真っ白の肌。爪もその中身まで真っ白だ。
「なっっ――」
「俺が何者かわかったか?」
「――アルビアーナか」
恐る恐る呟くクリスタリアン。こくりと頷くスプリング。
「アルビアーナ……あ!あのアルビアーナ!」
ヘキオンも理解したようで、手をポンと叩いた。
アルビアーナ。クリスタリンと同じく、輪郭や形は人間と一緒。食べるものも一緒。髪は普通に映えてるし、肌の質感も一緒。
しかし色が違う。違うと言うとなんだか語弊を産むかもしれないが、まぁとにかく違う。
真っ白。ほとんど全てが真っ白。爪も真っ白。腕も真っ白。脚も髪も真っ白。瞳以外は全てが真っ白。それも完全な白。
内蔵も白だ。心臓も血液も赤色なんかでは無い。真っ白。絵の具のように白い。
その白さ。幻想的なほど美しい白さ。それこそその肌を欲しいと思えるほど。
アルビアーナは昔から肌や髪の毛を狙われてきた。その髪は服に、その肌は家具に、その血液は薬にされると言われている。
昔から人々の間で『アルビアーナの内蔵を食べた者は不老不死になる』と言われている。
そんな噂が流れても普通なら『アホくさ』となって終わりだろう。だが、それでも信じるアホはいる。その結果がどうなるのか。想像するのは簡単であろう。
「まだ絶滅していなかったのか、アルビアーナ……」
「お前らを襲ったところで俺にメリットはない。……お前らも同じ境遇ならわかるだろ?」
優しく声をかける。クリスタリアンもその体から人間に狙われ続けてきた。同じく狙われ続けてきた者同士。
「……なぜ人間と?」
「成り行きだ。こいつも悪いやつじゃない……だよな?ヘキオン?」
「え?……ま、まぁそりゃあ。自分で言うのもなんか恥ずかしいですが……私はいい人です!」
胸を叩いて自分を示す。
「……いいだろう。殺すのは止めてやる」
槍を下ろす。とりあえず敵対するのはやめてくれたようだ。安心して肩を下ろすヘキオン。
「感謝する」
「ただ念の為だ。自由に動かせることはできないぞ」
「いい。それでいい。ヘキオンもそれでいいだろう」
「はい!」
フードを直すスプリング。
「まずは村長に会ってもらうぞ。構わないな」
頷くヘキオン。歩くクリスタリアンに2人はついて行った。
スプリングが嬉しそうにボソッと呟いた。
「クリスタリアン?」
「宝石族と呼ばれているヤツらだ。体の外も中も全てが宝石でできている。ここら辺にいるって噂は聞いていたんだが……やっぱり本当だったんだ」
ずっとポーカーフェイスだったのが、目に見えて分かるほどに喜んでいる。それほどまで嬉しいのだろう。
「とりあえずあの人たちに話を聞けば地上に出られますかね?」
「さぁな。でも聞いてみる価値はありそうだ」
意見の一致。2人はクリスタリアンたちの村へと歩いていった。
第1村人発見。村の入口付近にいた1人の少女。無愛想なスプリングの前にヘキオンが立つ。感情が顔に出るヘキオンの方がここは無難だろう。
「こんにちはお嬢ちゃん。ちょっとお話聞かせてくれない?」
優しく微笑みかけるヘキオン。まるで聖母……身長と見た目とオーラは、母というのには似つかないが。
少女がヘキオンをじっと見つめている。じっと。
「……」
「……あの?」
手を振る。目の前の自分が見えているかを確認している。
「……」
「……き、聞こえてるかな~?」
「――に、人間だァァァァァァ!!」
「「!?」」
突如少女が叫んだ。ドームの空間に反響しまくる子供の高い声。キーンと耳鳴りがするほど。思わず耳を塞ぐ2人。
「え?え?ど、どうしたの?」
「人間だァ!!人間が来たぞーー!!」
「え?ちょっと――」
村の奥へと走り去る少女。ヘキオンが止める暇もなかった。
キョトンとするヘキオン。突然のことすぎて固まっていた。
「……な、なんなんだろう?」
「――動くな!!」
ゾロゾロとクリスタリアンが出てくる。手に持つは槍。向けられた刃はヘキオンとスプリング。刃も透明感のある宝石でできていた。
「ちょ、ちょっと待って!」
「何をしに来た人間!!いや、それよりもどこでここの情報を手に入れた!!」
前に並ぶクリスタリアンのうちの1人が問いかける。後ろにも配置されており、逃げることはできなさそうだ。
「話を聞いてください!私たちは遭難しちゃって――」
「人間の言うことなど信じられるか!!」
ヘキオンの言葉を遮るように叫ぶ。
「……ならなんで聞いたの」
不満そうにボソッと呟いたのだった。
「下がっていろ」
後ろにヘキオンを押しのける。前に乗り出すスプリング。
「大丈夫なんですか?」
「まぁ待っていろ。――おい!人間はしんじられないんだろう!?」
前と後ろに並ぶクリスタリアンに叫ぶ。
「……どういう意味だ」
「俺をちゃんと見てみろ」
フードを脱いだ。髪。肌。まつ毛に眉毛。唇。口の中までも真っ白。瞳は真っ赤だが、周りの白でそれが目立つ。
袖をまくる。顔と同じように真っ白で筋肉質な腕がさらけ出された。真っ白の肌。爪もその中身まで真っ白だ。
「なっっ――」
「俺が何者かわかったか?」
「――アルビアーナか」
恐る恐る呟くクリスタリアン。こくりと頷くスプリング。
「アルビアーナ……あ!あのアルビアーナ!」
ヘキオンも理解したようで、手をポンと叩いた。
アルビアーナ。クリスタリンと同じく、輪郭や形は人間と一緒。食べるものも一緒。髪は普通に映えてるし、肌の質感も一緒。
しかし色が違う。違うと言うとなんだか語弊を産むかもしれないが、まぁとにかく違う。
真っ白。ほとんど全てが真っ白。爪も真っ白。腕も真っ白。脚も髪も真っ白。瞳以外は全てが真っ白。それも完全な白。
内蔵も白だ。心臓も血液も赤色なんかでは無い。真っ白。絵の具のように白い。
その白さ。幻想的なほど美しい白さ。それこそその肌を欲しいと思えるほど。
アルビアーナは昔から肌や髪の毛を狙われてきた。その髪は服に、その肌は家具に、その血液は薬にされると言われている。
昔から人々の間で『アルビアーナの内蔵を食べた者は不老不死になる』と言われている。
そんな噂が流れても普通なら『アホくさ』となって終わりだろう。だが、それでも信じるアホはいる。その結果がどうなるのか。想像するのは簡単であろう。
「まだ絶滅していなかったのか、アルビアーナ……」
「お前らを襲ったところで俺にメリットはない。……お前らも同じ境遇ならわかるだろ?」
優しく声をかける。クリスタリアンもその体から人間に狙われ続けてきた。同じく狙われ続けてきた者同士。
「……なぜ人間と?」
「成り行きだ。こいつも悪いやつじゃない……だよな?ヘキオン?」
「え?……ま、まぁそりゃあ。自分で言うのもなんか恥ずかしいですが……私はいい人です!」
胸を叩いて自分を示す。
「……いいだろう。殺すのは止めてやる」
槍を下ろす。とりあえず敵対するのはやめてくれたようだ。安心して肩を下ろすヘキオン。
「感謝する」
「ただ念の為だ。自由に動かせることはできないぞ」
「いい。それでいい。ヘキオンもそれでいいだろう」
「はい!」
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