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2章 宝石の並ぶ村
第45話 全てを覆う神々しい光!
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――ヘキオンたち。
「あの!スプリングさんって冒険者なんですよね?暗殺者ってことはレベルが100以上なんですか?」
「まぁ……な」
「だいたいどれくらいなんですか?」
「……216だ」
「――す、すごいです!熟練の冒険者なんですね!」
目をキラキラさせながらスプリングを見続ける。少し照れくさそうにヘキオンから顔を逸らした。
「……お前……ヘキオンはどうなんだ?」
「私ですか?私は……」
指を頭につけて魔力を込める。
「……39!前よりすごい上がってる!」
「39……か。ウォーカーよりかは高いな」
「ウォーカー?」
「妹だ。俺らと一緒で地割れに巻き込まれた」
「へぇ、何歳ですか?」
「14だ」
「あ、年下なんだ。スプリングさんは?」
「俺は19」
「カエデさんよりも年上……」
布を纏っているため顔や体のラインなどは確認できない。だがなんとなくヘキオンは「カエデさんより年下かな」と思っていた。
「カエデ……あの男のことか」
「どこに行ったんでしょうね」
「イグラディンに巻き込まれたんだ。下手すればかなりの深層にいる」
「……イグラディン?なんですかそれ?」
ハテナ顔で首を傾げる。
「イグラディン。アレクロイドの地下には様々な生物が住んでる。そいつらが深層の地盤を削りまくってるから表層に異常が起こるんだ。今回俺らが地下に落ちたのもその影響だ」
「ほへぇ」
情けない声だ。しかし納得はした。
「――疲れましたね」
壁に手をつけて休む。分かれ道を適当に進んでいるせいで自分たちがどこにいるのか分かっていない。変わらない景色。永遠の牢獄にでも閉じ込められているようだ。
「ただ闇雲に歩いてるだけだとダメだ。せめて自分がどこにいるのかは知って置かないとな……」
「それなら任せてください!」
手に収束する水。膨張しようとする水をなんとか圧縮していく。
「水のさざめき、反流となり――ウォーターサーチ!!」
圧縮された水を解放した。肉眼では見えないほど小さな水が洞窟の中へと散布される。
「――そうか。お前は魔法使いだったな」
「こんなの朝飯前です!」
「ならなんで最初から使わなかった?」
「……わ、忘れてました」
「……色々と心配なやつだな。お前は」
頭の中に入ってくる洞窟内の地図。全てが見える訳では無いが、ある程度はわかる。
「……ん?」
2人がいる近く。近くに大きな広い空間。家のようなものに人もいる。頭の中に流れ込んでくる情報にそう書かれてあった。
「……村?」
ヘキオンの感覚ではそう見えた。散布された水が送ってくれる情報。
なぜ地下に村があるのか。ヘキオンには分からない。しかし送られてくる水の情報に間違いはない。頭に入ってくるのは村としか思えない内容であった。
「近くに村があります」
「村だと?こんな地下にか?まぁどれぐらい深いかは分からないが……」
「でも家もいますし人も……あれ?人かな?形は人だけど……」
不思議そうに頭を傾げるヘキオン。
「――なるほどね。ここに住んでいたのか……」
「え?」
「場所はどこだ?」
「す、すぐそこですが……」
「連れてってくれ。すぐに!」
「分かり……ました」
スプリングの気迫に押されたヘキオン。なぜ急に興味を出したのか。ヘキオンにはまだ分かることは無かった。
「「――」」
驚きのあまり、声の出ていない2人。それも当たり前。目の前の景色は今まで見たことの無いほど美しかったからだ。
目を見張るほどの広大なドームの空間。荒野と真逆の潤った空気。冷たい光が上から差し込む。
上から流れる滝。そこから流れる川に沿うようにその村はあった。青白いレンガ出てきた家が立ち並び、白いガラスからは生活感のある内装が見える。
ただでさえ幻想的で美しい世界。しかしその中でも目を引くものがあった。
人。形。造形。輪郭は人と酷似している。見た目だ。違うのは見た目だけ。その見た目こそ目を引く要因となっていた。
美しく輝きを放つ体。体の中心まで見えるほどの透明。優しくも暖かい反射した光が視界へと入る。
その目。その鼻。その口。その歯。その爪。全てが宝石でできていた。まさに人間宝石。余すとこなく宝石でできている体。
宝石の種類も様々。ダイヤモンド、トパーズ、ルビー、ガーネット、サファイア、オパール、エメラルド……。思い浮かべる宝石が全て揃っている。
価値にして数億……いや、数兆はくだらないだろう。金好き、宝石好きにとってはまさに天国のように最高の空間であろう。
「――こんな……ところが……」
瞳に入ってくる輝いた景色。涙が出てきそうなほど美しい。
目を擦って目の前の景色が夢でないかと確認する。それほどまでに美しい。現実とは思えないほどの美しさであった。
「あの!スプリングさんって冒険者なんですよね?暗殺者ってことはレベルが100以上なんですか?」
「まぁ……な」
「だいたいどれくらいなんですか?」
「……216だ」
「――す、すごいです!熟練の冒険者なんですね!」
目をキラキラさせながらスプリングを見続ける。少し照れくさそうにヘキオンから顔を逸らした。
「……お前……ヘキオンはどうなんだ?」
「私ですか?私は……」
指を頭につけて魔力を込める。
「……39!前よりすごい上がってる!」
「39……か。ウォーカーよりかは高いな」
「ウォーカー?」
「妹だ。俺らと一緒で地割れに巻き込まれた」
「へぇ、何歳ですか?」
「14だ」
「あ、年下なんだ。スプリングさんは?」
「俺は19」
「カエデさんよりも年上……」
布を纏っているため顔や体のラインなどは確認できない。だがなんとなくヘキオンは「カエデさんより年下かな」と思っていた。
「カエデ……あの男のことか」
「どこに行ったんでしょうね」
「イグラディンに巻き込まれたんだ。下手すればかなりの深層にいる」
「……イグラディン?なんですかそれ?」
ハテナ顔で首を傾げる。
「イグラディン。アレクロイドの地下には様々な生物が住んでる。そいつらが深層の地盤を削りまくってるから表層に異常が起こるんだ。今回俺らが地下に落ちたのもその影響だ」
「ほへぇ」
情けない声だ。しかし納得はした。
「――疲れましたね」
壁に手をつけて休む。分かれ道を適当に進んでいるせいで自分たちがどこにいるのか分かっていない。変わらない景色。永遠の牢獄にでも閉じ込められているようだ。
「ただ闇雲に歩いてるだけだとダメだ。せめて自分がどこにいるのかは知って置かないとな……」
「それなら任せてください!」
手に収束する水。膨張しようとする水をなんとか圧縮していく。
「水のさざめき、反流となり――ウォーターサーチ!!」
圧縮された水を解放した。肉眼では見えないほど小さな水が洞窟の中へと散布される。
「――そうか。お前は魔法使いだったな」
「こんなの朝飯前です!」
「ならなんで最初から使わなかった?」
「……わ、忘れてました」
「……色々と心配なやつだな。お前は」
頭の中に入ってくる洞窟内の地図。全てが見える訳では無いが、ある程度はわかる。
「……ん?」
2人がいる近く。近くに大きな広い空間。家のようなものに人もいる。頭の中に流れ込んでくる情報にそう書かれてあった。
「……村?」
ヘキオンの感覚ではそう見えた。散布された水が送ってくれる情報。
なぜ地下に村があるのか。ヘキオンには分からない。しかし送られてくる水の情報に間違いはない。頭に入ってくるのは村としか思えない内容であった。
「近くに村があります」
「村だと?こんな地下にか?まぁどれぐらい深いかは分からないが……」
「でも家もいますし人も……あれ?人かな?形は人だけど……」
不思議そうに頭を傾げるヘキオン。
「――なるほどね。ここに住んでいたのか……」
「え?」
「場所はどこだ?」
「す、すぐそこですが……」
「連れてってくれ。すぐに!」
「分かり……ました」
スプリングの気迫に押されたヘキオン。なぜ急に興味を出したのか。ヘキオンにはまだ分かることは無かった。
「「――」」
驚きのあまり、声の出ていない2人。それも当たり前。目の前の景色は今まで見たことの無いほど美しかったからだ。
目を見張るほどの広大なドームの空間。荒野と真逆の潤った空気。冷たい光が上から差し込む。
上から流れる滝。そこから流れる川に沿うようにその村はあった。青白いレンガ出てきた家が立ち並び、白いガラスからは生活感のある内装が見える。
ただでさえ幻想的で美しい世界。しかしその中でも目を引くものがあった。
人。形。造形。輪郭は人と酷似している。見た目だ。違うのは見た目だけ。その見た目こそ目を引く要因となっていた。
美しく輝きを放つ体。体の中心まで見えるほどの透明。優しくも暖かい反射した光が視界へと入る。
その目。その鼻。その口。その歯。その爪。全てが宝石でできていた。まさに人間宝石。余すとこなく宝石でできている体。
宝石の種類も様々。ダイヤモンド、トパーズ、ルビー、ガーネット、サファイア、オパール、エメラルド……。思い浮かべる宝石が全て揃っている。
価値にして数億……いや、数兆はくだらないだろう。金好き、宝石好きにとってはまさに天国のように最高の空間であろう。
「――こんな……ところが……」
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