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Execution of Justiceルート(山ノ井花音編)
3話「運命の始まり」
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家の前にあるスーパーに着いた。私の家は一軒家じゃなくてマンションだ。エスカレーターはあるが、なんか分からないけど不気味な感じがするから使ってない。
自動ドアを通り抜けて店の中に入る。スーパーとかっていつ行ってもちょうどいい気温だと私は思う。匂いも無機質なちょうどいいスーパーの匂いだ。
夜とはいえ、やはり人は結構いる。家族連れの人や髭の生えている中年の男の人、高校生くらいと男子とかいる。
このザワザワしている感じがザ・スーパーって思う。流行りの音楽を鳴らしているのもなかなかいい。
地面はツルツルしている大理石みたいなやつだ。当たり前だが転けると痛い。
緑色のカゴを持って野菜売り場に行く。さつまいもとかじゃがいもって、海外だと主食になっているのに日本だと野菜として分類されてるのは不思議だと思う。
「あの」
「はい?」
野菜売り場にてじゃがいもとさつまいもを取ろうとした時、ちょうど横にいたおばさんに話しかけられた。
白髪で顔にはシワが何本もある。どこにでもいる優しそうなおばあちゃんみたいな人だ。
「豆腐ってここにありますか?」
「豆腐ですか?ここじゃないですね。あっちの冷凍食品売り場の横にあると思います」
指をさしておばあちゃんに教える。おばあちゃんは「ありがとうね」と言ってカゴを持って歩いていこうとしていた。
私は特に気にすることなく、じゃがいもとさつまいもをカゴに入れた――。
――その瞬間だった。
辺りの電気が消えた。一瞬にして周りが薄黒色に包まれる。
「わひゃあ!?」
突然のことで体がビクッと跳ねた。人間は暗いところが怖いっていうのが本能だからね。仕方ない。
「え?え?……え?」
困惑する。すっごく困惑する。停電だろうか。
「……あれ?」
1つ不思議なことに気がついた。静かだ。さっきまでザワザワしていた声が無くなった。
こういう時にこそもっとザワザワするはずだ。子供とかは泣いたりしそうだが。
辺りを見渡してみる。薄暗いのであんまりよく見えないが、普通に人が立っている。
ただ、棒のように真っ直ぐ立っている。指1本動いている気配がない。なんなら呼吸している音も聞こえない。
「……あ、あの。おばあちゃん?」
まだ隣にいたおばあちゃんに話しかけてみる。おばあちゃんもまったく動かない。動いていない。
「お、おばあちゃん!大丈夫?」
肩を強めに揺らしてみる。ただ音が欲しかった。音が無さすぎて不気味だった。この不気味な感覚がひたすらに嫌だった。
このおばあちゃんは誰かも分からないし、どんな人かも知らない。だけどこの人の声さえ聞ければ安心できるはずだ。
おばあちゃんの体がガタガタと小刻みに震え始めた。びっくりして肩から手を離す。
まるで機械のように一定の間隔で震えている。怖い。ただただ怖い。
周りを見てみる。さっきまで柱のように動かなかった人達がまるで地震が起きているかのように震えていた。
「あ……あ、え、……や、やだっ……」
声が震える。もうダメだ。耐えられない。恐怖に感情を支配されそうだ。
カゴを地面に落とした。同時に入口に向かって走る。全力で走る。つい一時間前までクタクタになって走っていたのを忘れたかのように走った。
入ってくる景色はどこも恐怖を煽ってくる。子供、中年男性、女子高生。目に入る全ての人間が小刻みに震えている。嫌だ。嫌だ。
入口の自動ドアを蹴飛ばして外に出た。外に出れた安心で地面に倒れてしまう。
水溜まりの冷たさと、辺りの音で頭が整った。そのせいで今までのことが現実であることも理解してしまう。
フラフラしながら立ち上がる。スーパーの外がどうなっているのかが気になる。辺りからは音が聞こえるから普通なんだろうか。
心臓の鼓動が大きくなった。汗が頬を流れる。呼吸が乱れる。
水溜まり?水溜まりってなんだ。雨なんて降ってなかった。1粒も降ってなかった。そうだ。満月だ。今日は満月がよく見えた。
月明かりを使って、自分の手を見てみる。
そこには、真っ赤な血とドロっとした肉塊が手にべっとりとくっついていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
びっくりして後ずさりする。手を自分の服でゴシゴシ吹く。気持ち悪い。今更匂いが鼻を突き刺してきた。
腐臭だ。ゴミ捨て場みたいな腐臭。気持ち悪い匂いだ。吐き気がしてくる。ドロドロした感覚が手のひらにまとわりつく。
「な、なんなのこれ!?なんで……な、なんで……」
肉塊はビーフシチューの肉をもっとドロドロにした感じだ。嫌だ。本当に嫌だ。気持ち悪すぎる。
「う、うぁ……」
泣きそうになる。怖い。とても怖い。何が起こっているのかも分からない。
ゆっくりと立ち上がる。色んな所で音が鳴っている。車と車がぶつかるような音、女の人の悲鳴、犬の悲惨な鳴き声。まるで世紀末のような音が耳に入ってくる。
爆音がなったと同時、目の前から熱い風が向かってきた。肺をレンジのように熱くする。呼吸する度に喉が焼けそうだ。
目を開けて前を向く。車と車が衝突していた。青いボディの車が真っ赤に燃えている。
情報量が多すぎる。脳がショートしそうだ。新しいことが考えられない。声が出てこない。立ち上がるのもままらない。
「な、なんなの……これ……」
頭の中がぐちゃぐちゃになった私の目の前には、まさに終末世界という言葉が合うような光景が広がっていたのだった。
続く
自動ドアを通り抜けて店の中に入る。スーパーとかっていつ行ってもちょうどいい気温だと私は思う。匂いも無機質なちょうどいいスーパーの匂いだ。
夜とはいえ、やはり人は結構いる。家族連れの人や髭の生えている中年の男の人、高校生くらいと男子とかいる。
このザワザワしている感じがザ・スーパーって思う。流行りの音楽を鳴らしているのもなかなかいい。
地面はツルツルしている大理石みたいなやつだ。当たり前だが転けると痛い。
緑色のカゴを持って野菜売り場に行く。さつまいもとかじゃがいもって、海外だと主食になっているのに日本だと野菜として分類されてるのは不思議だと思う。
「あの」
「はい?」
野菜売り場にてじゃがいもとさつまいもを取ろうとした時、ちょうど横にいたおばさんに話しかけられた。
白髪で顔にはシワが何本もある。どこにでもいる優しそうなおばあちゃんみたいな人だ。
「豆腐ってここにありますか?」
「豆腐ですか?ここじゃないですね。あっちの冷凍食品売り場の横にあると思います」
指をさしておばあちゃんに教える。おばあちゃんは「ありがとうね」と言ってカゴを持って歩いていこうとしていた。
私は特に気にすることなく、じゃがいもとさつまいもをカゴに入れた――。
――その瞬間だった。
辺りの電気が消えた。一瞬にして周りが薄黒色に包まれる。
「わひゃあ!?」
突然のことで体がビクッと跳ねた。人間は暗いところが怖いっていうのが本能だからね。仕方ない。
「え?え?……え?」
困惑する。すっごく困惑する。停電だろうか。
「……あれ?」
1つ不思議なことに気がついた。静かだ。さっきまでザワザワしていた声が無くなった。
こういう時にこそもっとザワザワするはずだ。子供とかは泣いたりしそうだが。
辺りを見渡してみる。薄暗いのであんまりよく見えないが、普通に人が立っている。
ただ、棒のように真っ直ぐ立っている。指1本動いている気配がない。なんなら呼吸している音も聞こえない。
「……あ、あの。おばあちゃん?」
まだ隣にいたおばあちゃんに話しかけてみる。おばあちゃんもまったく動かない。動いていない。
「お、おばあちゃん!大丈夫?」
肩を強めに揺らしてみる。ただ音が欲しかった。音が無さすぎて不気味だった。この不気味な感覚がひたすらに嫌だった。
このおばあちゃんは誰かも分からないし、どんな人かも知らない。だけどこの人の声さえ聞ければ安心できるはずだ。
おばあちゃんの体がガタガタと小刻みに震え始めた。びっくりして肩から手を離す。
まるで機械のように一定の間隔で震えている。怖い。ただただ怖い。
周りを見てみる。さっきまで柱のように動かなかった人達がまるで地震が起きているかのように震えていた。
「あ……あ、え、……や、やだっ……」
声が震える。もうダメだ。耐えられない。恐怖に感情を支配されそうだ。
カゴを地面に落とした。同時に入口に向かって走る。全力で走る。つい一時間前までクタクタになって走っていたのを忘れたかのように走った。
入ってくる景色はどこも恐怖を煽ってくる。子供、中年男性、女子高生。目に入る全ての人間が小刻みに震えている。嫌だ。嫌だ。
入口の自動ドアを蹴飛ばして外に出た。外に出れた安心で地面に倒れてしまう。
水溜まりの冷たさと、辺りの音で頭が整った。そのせいで今までのことが現実であることも理解してしまう。
フラフラしながら立ち上がる。スーパーの外がどうなっているのかが気になる。辺りからは音が聞こえるから普通なんだろうか。
心臓の鼓動が大きくなった。汗が頬を流れる。呼吸が乱れる。
水溜まり?水溜まりってなんだ。雨なんて降ってなかった。1粒も降ってなかった。そうだ。満月だ。今日は満月がよく見えた。
月明かりを使って、自分の手を見てみる。
そこには、真っ赤な血とドロっとした肉塊が手にべっとりとくっついていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
びっくりして後ずさりする。手を自分の服でゴシゴシ吹く。気持ち悪い。今更匂いが鼻を突き刺してきた。
腐臭だ。ゴミ捨て場みたいな腐臭。気持ち悪い匂いだ。吐き気がしてくる。ドロドロした感覚が手のひらにまとわりつく。
「な、なんなのこれ!?なんで……な、なんで……」
肉塊はビーフシチューの肉をもっとドロドロにした感じだ。嫌だ。本当に嫌だ。気持ち悪すぎる。
「う、うぁ……」
泣きそうになる。怖い。とても怖い。何が起こっているのかも分からない。
ゆっくりと立ち上がる。色んな所で音が鳴っている。車と車がぶつかるような音、女の人の悲鳴、犬の悲惨な鳴き声。まるで世紀末のような音が耳に入ってくる。
爆音がなったと同時、目の前から熱い風が向かってきた。肺をレンジのように熱くする。呼吸する度に喉が焼けそうだ。
目を開けて前を向く。車と車が衝突していた。青いボディの車が真っ赤に燃えている。
情報量が多すぎる。脳がショートしそうだ。新しいことが考えられない。声が出てこない。立ち上がるのもままらない。
「な、なんなの……これ……」
頭の中がぐちゃぐちゃになった私の目の前には、まさに終末世界という言葉が合うような光景が広がっていたのだった。
続く
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