Catastrophe

アタラクシア

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Hero of the Shadowルート (如月楓夜 編)

56話「影の英雄」

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周りの時間が停止する。重力に従って落ちていた瓦礫たちは空中に固定された。

視覚を除いた五感が機能を停止する。耳は聞こえなくなり、鼻は匂いを感じなくなり、舌は味を感じなくなり、皮膚は触れている感覚が無くなった。

生命活動に必要な機能が段々と機能を停止させていった。

肝臓による温度調節はなくなり、中の毒物の分解もしなくなった。今の体温を測れば、死体と大差はないだろう。

血液中の赤血球は酸素を運ぶことがなくなり、白血球は動くことが無くなった。

心臓の動きは徐々に止まっていき、全身に血液が回らなくなり始めた。

体がほとんど死体になったためか、死後硬直が始まった。腕は固定され、全くと言っていいほど動かない。弓を撃つうえではこれはかなり嬉しいとも言える。

足は地面に接着剤をつけたかのように固まっている。ハンマーで地面を壊しでもしないかぎり、足は動くことはないだろう。

神経の働きがほとんど無くなった。唯一あるのは指を離すという司令を送る神経のみだ。

視界が真っ黒に染まった。見えるのは固定されて動けなくなっているプロパンガスだけだ。

呼吸はずっと前に停止している。だから体がブレる心配もない。安心してプロパンガスを狙うことができる。

ありとあらゆる動きがなくなり、残っているのは頭だけ。その頭も暗闇に支配されそうになっていた。



桃。桃のおかげで戻ってこれた。桃には感謝してもしきれない。

桃だけじゃない。ここまで来れたのは皆のおかげだ。皆が俺を支えてくれたからここまで来れたんだ。

神蔵さんに花蓮ちゃん、グラミスさんに龍之介さんと金地、透くんやヒル、ログとハンガー、バジルと笠松、マギーとワイトとマヤ。あのチビと彩さんにもお世話になったな。

ここまで来れたのは俺の力だけじゃない。皆がいてくれたからここまでこれた。世界を助けるのは俺だけじゃない。英雄になるのは俺だけじゃない。

皆だ。皆が英雄だ。ゆとり世代みたいだが、それでいい。

俺はホープを倒す。今までに会ってきた全員に恩返しをするために――。












指から弦が抜けた。矢はプロパンガスに向かって高速で移動する。単純な矢の速度に加えて、重力によってさらに加速した。

まるでさっきまでホープが撃っていたレーザーのような光の線のように、矢は周りの空気を切り裂きながら、大量の瓦礫の隙間をすり抜け、ただ1つのゴールに向かって進み続ける。

プロパンガスは超高速で回転し続けている。もちろんそのことも計算して撃っている。

炎を撒き散らしながら、矢は高速回転するプロパンガスに突き刺さった。

「なに――」

刺さった。刺さってくれた。プロパンガスは可燃性ガスだ。なら、どうなるかは分かるよな。

「きっっ――」

ホープと目が合った。破裂した肉体の方の目だ。さっきまでとは違って、冷静に見てみると小さい目だ。

「……じゃあな。ある意味お前のおかげで俺は成長できた」
「―――如月楓夜ァァァァァ!!!!」

大爆発が起こった。さっきまでの風よりもでかい風圧に吹き飛ばられた。そこで俺の意識は消え落ちた――。























暗闇が段々と晴れていく。なにかに体を押し上げられている感覚がする。誰かに肩を組まれている。この感じは……なんだろう。懐かしいような、懐かしくないような……。

「……あ、気がついた?」

桃がいる。俺の肩を組んで、階段を上がっている。指も手も無いはずなのに、必死に腕を組んで汗を流しながら俺を持ち上げてくれている。

「……何してんだ」
「はは……やっぱり、私には楓夜を見捨てるなんてできなかったよ」

周りを見渡す。上から瓦礫が何個も降っている。そこら辺で炎が上がっており、熱で体が焼けそうだ。まぁ、マグマのところに比べたらマシなんだけどな。

「……楓夜言ったでしょ?」
「……」
「私が幸せと思える世界を作るって」
「まぁな……」
「だったら楓夜がいないとダメだよ。楓夜がいなかったら私は幸せに思えない」
「……」
「……嬉しかったよ。私のことを命に替えても守ってくれるって言ってくれて」

……聞いてたのかよ。なんか目の前で聞かされるとすんごい恥ずかしいな。

「ふふ、赤くなってるね」
「……炎のせいだよ」
「前は『自分のことが1番だし』とか言ってた気がするんだけどな~」
「……き、気のせいだよ」

なんか弄ばれてる……ちきしょー。あの時にカッコつけてれば、もっとかっこいいことになってたのに。

「……ありがとう。楓夜のおかげで何度も救われた」

桃が優しい声で言ってくれた。……やっぱりこの子のことを俺は愛してるんだろうな。

「ハハ……俺も救われたよ」

この子と会えて本当によかった。俺は幸せなやつだ。




ドゴォッッ!!

前にでかい瓦礫が怒号を立てながら落ちてきた。細かい瓦礫が顔に降りかかる。

「……ここまでか」

桃が壁にもたれかかるように俺を座らせてくれた。桃は俺の前に座る。

「……言わないの?私だけでも逃げろって」
「……俺が死にかけた時、思ってしまったんだ。『桃に会いたい』ってな」
「……へぇ」
「やっぱり……桃と死にたいよ」

桃の顔が赤くなっている。やっぱり可愛いな。

「どうした?顔が赤くなってるぞ?」
「……炎のせいだよ」

少し笑った。笑ったのは久しぶりだな。実にいい気分だ。

「……楓夜」

桃が俺に近づいてくる。俺と桃の、おでことおでこをくっつけた。

「私のこと……愛してる?」
「あぁ……愛してる」

目を瞑った。どうやら、ここが人生のゴールらしい。……悪くない人生だったな。


桃を抱きしめる。桃も抱き締め返してきた。桃の体温と心臓の音を感じる。心地いい感じだ。こんな幸せに死んでも良いのか不安になるほどだ。

ちょっと眠くなってきた。さっきまで気絶してたのに、まだ眠い。疲れが出てきたんだろう。

もう休もう。桃の腕の中で寝れるんならいい。……疲れたからな。……ほんのちょっとだけ……寝よう……5分くらい……寝よう。























「ワン!」

目を覚ます。横を見ると、そこにはヒルが座っていた。

「――ヒルか。逃げてなかったんかい」

ヒルが近づいてきた。ヒルの頭を撫でる。

「……お前は……逃げないのか?」
「ワン!!」
「……そうか。お前もここにいたいか」
「ワン!ワン!!」
「はは……お前も家族だからな。一緒に寝よう」

ヒルを抱き寄せる。ヒルは少しカサカサしてて、それでいて獣臭かった。……死ぬ前に匂うのがこの匂いとはな。まぁいいか。

俺に抱きついて眠る桃の頭とヒルの頭を撫でる。……これで……いいな。












「―――いたぞ!!」

何か声が聞こえた。男の人たちの声だ。敵だろうか。いや、この期に及んでわざわざ俺を殺しにくる奴がいるとは思えない。

なら、なんだろう。なんの声だろう。



「――君!!大丈夫か!?」
「んえ?」

階段を駆け上がってくる音が聞こえる。駆け上がってきたのは何か黒い服を着た男の人達だった。5人くらいはいる。

「だ、誰?」
「君を助けに来た!とにかくここを出よう!その子は無事かい?」
「あぁ。一応無事。今は寝ているだけだ」
「なら良かった!歩けなさそうだね。おい、おぶっていくぞ!」

桃を黒い服の1人に渡して、俺もおんぶをしてもらう。

「よし、いくぞ!まだ起きてろよ!」












白い壁を黒い服の男の人が蹴り飛ばした。俺も何回も通ってたと思うところにこんな隠し扉があるとは思わなかった。

「……こんな所に隠し扉があったとはな……」
「あぁ、俺達もビックリしたさ」

部屋の中に入る。中は暗く、周りの白い風景とは対称的になっていた。つまり、ここはホープが作ったところじゃない。他の人が人工的に作ったところというわけだ。

「……こんな都合よくあんのかよ」
「君たちは本当に運がいいよ。ここまで都合よく抜け道があるなんてね」
「ここで運を使うんだったら、宝くじでも当たってくれたらよかったんだがな」
「今の状況で当たってたとしても意味はないだろ」
「違いないな」

上を見てみる。とんでもなく長いロープが上から垂らされていた。……もしかしてここを登るのか?

「こ、ここ登るのか?」
「あぁ。もちろん、そこのワンちゃんも連れていくさ。安心してくれ」
「……なんか悪いな」
「俺らは陸上自衛隊だぜ?この程度朝飯前だ」

この人たち陸上自衛隊だったのか。……いや、陸上自衛隊の人でもいけるのかな。俺ならまず無理だな。












「――よし!登れたぞ!」

登れちゃったよ。陸上自衛隊ってすげぇな。俺って結構体重が重かったと思うんだけどな。

桃をおんぶした人やヒルをおぶっていた人も登ってきた。……陸上自衛隊のことを見直しちゃったな。


下の方で何かが崩れる音が聞こえた。建物が完全に崩れたんだろう。ちょうど皆が出た時に崩れてくれたな。

「……やっぱり君たちは持ってるもんを持ってるね」
「……あはは」






ストレッチャーの上から外を見る。下にある都市は至る所で火事が起きており、廃墟にも見える建物がある。

「……こんなになってたんだね」
「そうだな」

下から見るのと、地上から見るのとではかなり違うもんなんだな。ちょっと悲しくなってくる。

でも、桃と見ると少しだけロマンチックに見えるな。不謹慎ではあるが、まぁ許してくれたまえ。




「生きてたんだね。……なんでその体で生きてんのよ」

……このチビがいなかったらもうちょいロマンチックになってたんだけどなー。

「お前こそ生きてたのかよ。怖くて泣かなかったか?」
「そこまで私は小さくないよ」

チビの体も結構ボロボロになっていた。片腕が肘の先から無くなっている。見てて痛々しい。まぁ俺の方が痛々しいがな。


「――やぁ、君が如月楓夜君だね」

横から男の人に話しかけられた。すごく偉そうな役職の人だ。そういうオーラをなんか感じる。

「あんたはなんだ?」
「陸上自衛隊の陸将……と言っても分からないな」
「すまないな。自衛隊のことに関してはあんまりよく知らないんだ」
「なら、そこにいる子の父親と言えば分かりやすいかな?」

男の人が指を指した方向にはあのチビがいた。……なるほど。チビの父親が陸上自衛隊だから、先に呼び出すことができたのか。

「私の名前は山ノ井瑛二やまのいえいじ。娘の手助けをしてもらって感謝するよ」
「それほどでも」
「何やら、花音と互角の強さらしいじゃないか。私が鍛えた花音と互角とはな……君は何か格闘技でも習ってたのかい?」
「別に何もしてないですよ――」

……ん?互角?

チビの方を見る。チビが俺から顔ごと逸らした。

「へー互角ね~。俺と君が互角ね~」
「……ど、ドウカシタンデスカ」
「俺に不意打ちをかまして?すでにボロボロの俺を何発も殴って?それでいて弱っている俺に2発攻撃されて気絶したのに?」
「ちょっ、言わないで――」
「ん?花音?言ってたことが違うぞ?」
「あ、あの、これは違うくて――」
「んー?何が違うのかな?俺に腹殴られてダウンしてたのは誰かなー?彩さんいなかったら死んでたのは誰かなー?」

桃に頭をこ突かれた。結構痛い。

「ダメだよ!花音ちゃんまた泣いちゃうでしょ?」
「も、桃ちゃん……そ、そのこと言わないで……」

桃が1番ダメージを与えてる気がするのは俺だけだろうか。桃って天然なところがあるよな。

「……こ、コホン。花音には後で話を聞くとして……本題に移ろう」

チビがビクッとはねた。親に怒られるというのはどこの家庭でも怖いのだろう。

「本題?」
「……本来は私たちが倒すべきだった全ての元凶、ホープ・マックイーンを君が倒してくれた。そんな英雄に何も与えないというのは私たちの威厳にも関わる」
「なるほど」
「そこでだ。君の要求をいくつか聞きたい。できることならなんでもしよう」
「いいのか?そんなこと言っても」
「これは私たちのプライドの問題でもあるんだ。なんでも言ってくれ」

太っ腹だな。それじゃあお言葉に甘えさせてもらうとしようかな。

何を要求するか……金か。いやそれとも土地をもらおうかな……肉も食べたいな。でも待てよ――。



――英雄……か。

「桃がいいなら……でいいんだけどな」
「決まったのか?」
「ああ。……ホープを倒したって事実を書き換えてくれ。普通に陸上自衛隊の部隊が倒したっていうのもいいし、そこのチビが倒したって言うのでもいい」

桃とチビが吹き出した。どうやら水を飲ませてもらってたらしい。桃の飲んでいた水が顔にかかった。

「……それはどういう魂胆だ?」
「陸軍基地で生存者は匿ってるはずだろ?」
「まぁな。それがどうした?」
「もし俺がホープを倒したって事を生存者達に流したらどうなると思う?」
「……」
「生存者達はこう思うだろうな。『なんでただのガキが陸上自衛隊より先にホープを倒してるんだ』ってね。そうなったら陸上自衛隊に不信感が出てきてしまう」
「……そうだな」
「だからだ。暴動でも起きたらめんどくさくなるだろ?」

俺が英雄という肩書きを外すだけで、今後の復興とかが楽になるんだ。……ただ、桃が許してくれるかなんだけどね。

「……私は別にいいよ。英雄のお嫁さんっていうのは憧れるけどね」
「ごめんな、桃」
「謝る必要は無いよ。私は楓夜といられるだけで幸せなんだから」

桃が俺の左手の上に自分の手を置いた。暖かい手だ。

「プライドが許さないんなら花音に手柄をあげるのもいいぞ。陸上自衛隊の陸将の娘が倒したって言うのなら、俺よりかは納得するだろ」

瑛二さんが涙を流した。目を抑えて涙を止めている。

「……ありがとう。君には頭が上がらないよ」
「別に要求がこんだけってわけじゃないぞ。欲しいものはまだまだある」
「君のならなんでも聞こう。聞かせてくれ」



というわけで俺はあと2つのことを頼んでみた。

まずは土地。全部が終わったら広い土地をもらう約束をした。ついでに家と皆の墓を建ててもらうことにもなった

次に金。少なくとも俺と桃が死ぬまでは毎月50万ほどの金をくれる約束をした。これは嬉しい。


「……それだけでいいのか?」
「もう充分だ。なぁ桃」
「うん……むしろお礼を言わないと」
「よし。承諾した。……君には心の底から感謝してるよ」
「言わなくても、手柄を横取りしてたんじゃないか?」
「ハハッ。もしかしたらしてたかもな」

3人で笑う。チビとは似ても似つかない性格をしてるなこの人は。あのチビはお母さん似かな。

「……あんたの手柄を取るのは、不服なんだけど」
「まぁ貰っとけ。俺からのプレゼントだ。せいぜい俺に手柄を渡されたっていう事実を抱えながら生きていくんだな」
「私だってワクチンを壊されそうになったのを阻止したんだからね!割と重大な仕事やってるもん」
「ソウダネーエライネー」
「ふーん。また殴られたいのー?」
「いいよ~殴っても。また2発でやられたいのかな~」

チビが桃の肩に顔を押し付けた。プルプルと震えている。……やっぱり精神年齢は見た目通りだな――。

「痛!」
「泣かせたらダメでしょ!まったく。花音ちゃんだって女の子なんだよ!」

チビが女とはな。中身絶対ゴリラかなんかが入ってるぞ。


「ふふっ」

瑛二さんが少し笑った。見た目はヤクザっぽい感じだが、中身は普通の人なんだな。

「あ、見えてきたよ」

チビが指を指した。外を見る。外には陸軍基地が堂々と置かれてあった。周りは柵に囲まれていて、ゾンビが入ってくる隙もない。

「……終わったんだね」
「そうだな」

こうして見てみると、本当に全てが終わったんだと感じる。

思い出してみると短かったな。……ちゃんとした状況で皆と会えていたらな。もっと楽しく暮らせたんだろう。

だけど今は桃がいる。桃がいるだけで退屈した暮らしは無さそうだ。

桃と見つめ合った後、少しだけ笑った。今までのことは序章だ。俺と桃の物語はここから始まる。言うのならば「始まりの終わり」という感じかな。

空を見上げた。月は沈み、太陽がその顔を覗かせていた。まさに美しい夜明けの姿だった。












続く
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