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Hero of the Shadowルート (如月楓夜 編)
46話「緩やかに崩れ壊れてゆく」
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高い。何メートル落ちてるんだ。体感20m以上は落ちてる――。
「ゾッッ!!」
腰から地面に落ちた。痛い。なんか変な声が出た。
ここはどこだ。いつも通り白い場所だが、様々な色がついているコンテナが無数に置いてある。
かく言う俺もコンテナの上に腰から落ちたのだがな。恥ずかしい話なのだが。
辺りを見渡してみる。かなり広いところだ。縦横共に100mはあるだろう。高さは低く見積っても50mはある。
ホープは俺と10mほど離れたコンテナの上に着地した。なかなか人間離れしているようだ。今更か。
すぐさま立ち上がった。矢を弓につがえる。中距離戦ならこっちにも分がある。そもそもあんな腕を持っている以上、近接戦に持ち込むのはかなりきついだろう。
ある程度距離を保ちながら、隙が出来たら矢を放つ。それなら俺にも正気があるだろう。既にあいつとは2回も戦っている。形態は違うが戦い方はほとんど同じでいいだろう。
「この高さから落ちても無傷とは。やはりお前はいいな……私が求めていた本当の強者だ。山ノ井花音の前哨戦にするには惜しい……」
花音……あのチビか。あいつとホープに何があったんだ。チビは俺より弱いだけで、そこまで雑魚でもないからな。ホープに認められたんだろう。
「あのチビのことか。俺はあのチビよりも強いぞ」
「ほぅ、戦いでもしたのか。なるほど、お前が言うのなら信用できるぞ。なら相手にとって不足はないな……」
「あんまり信用するなよ、お前に信用されても気持ち悪いからなッッ――」
矢をホープに向かって放った。ちょうどホープの脳天。暗くもないから狙いやすい。ほとんど不意打ちだが、これでおあいこだろう。
矢はホープの目の前まで到達した。矢の時速はだいたい200キロほど。ましてや不意打ち。避けられるはずもない。
しかしホープは避けた。顔を少しずらすという小さな行動で避けた。時速200キロで進む細い矢を何事も無かったかのように避けた。
見た目に反してなかなかに速いようだ。こりゃあ倒すのに骨が折れそうだ。
ホープが右腕の触手2本を高速で動かした。触手の攻撃範囲はよく分からない。だからできるだけ慎重に、大胆に避けなければ当たる可能性がある。
俺は隣のコンテナに飛び写った。同時に隣のコンテナが切れる音がする。コンテナに目を向けてみる。
俺がいたコンテナは横から斜めに斬られており、上の部分が滑り落ちて地面に落下している。とんでもなく重苦しい音が大音量で耳に殴りかかってきた。
よく見てみると、俺のいたところから縦に真っ二つに割れていた。つまりあのままその場にいたら、さけるチーズみたいに真ん中から2つに分かれていたということか。
もう一度弓に矢をつがえる。今度こそ当てる。次に撃つのは胴体。頭よりかは当たる可能性があるだろう。
弦を引いて、ホープを狙う。ホープは上半身を右に捻っている。何をしようとしているんだ?まぁとにかくチャンスだ。
俺は指の力を緩めた。矢はホープの元に向かって飛んでいく。それと同時にホープが体を左回りに捻ってきた。
まさか溜めていたのか。これはまずい――。
体を下におろした。髪に少し違和感を感じたと同時間。隣にあったコンテナが横一閃。綺麗に切れた。コンテナの色が黄色なので間にクリームでも入れたらモナカに見えるだろう。
そんなこと思ってる場合じゃねぇよ。何考えてんだ俺。
矢は狙い通りホープの胴体に当たった。しかし、矢は貫通することなくホープの背中に穴を開けて停止した。
アーチェリーの矢は場所によるが、厚さ5ミリの鉄板を射抜くことが出来る程の貫通力を持つ。そんな矢が男の体で止まる。ホープの体内には滑り止めでもしているのだろうか。
ホープがまた溜め始めた。今度は両腕を後ろにしている。
さっきはたまたま避けられただけだ。今度あんなことをしたら、次はやられる。だから今回は攻撃を見送りにする。
後ろを向く。後ろにはクレーンで吊るされたコンテナが宙に浮いてプラプラと小刻みに揺れていた。
「しめたっっ――」
俺は後ろのコンテナに飛び乗った。その瞬間、俺がいたコンテナは爆破されたビルのようにボロボロと崩れ去っていった。
「どんな切れ味してんだよ……」
あいつの刃を包丁にしたら、飛ぶように売れるだろうな。切れすぎてまな板ごとやりそうだが。
矢をつがえる。ホープは左腕を後ろに下げた。しかし今回は浅い。すぐにくる。ならその場に立っているだけだったらまずいな。
コンテナに引っ掛けてあった太いワイヤーを足場にして、空中に高く飛び上がった。もちろん弦は引いたままだ。
ホープの左腕が振られる。新幹線が急停止するような高い音が出たと思うと、ワイヤーが切れてコンテナが地面へと落下した。
体は空中。立って狙いを定めたいが、今は無理だ。だが、俺ならバランスの取れない空中でも正確に撃つことができる。
体が逆さまになっている状態で矢を発射した。割と同じような起動を描きながら、矢はホープの首に突き刺さった。
「よしっ!」
まさか当たるとは思っていなかったので嬉しい。俺は落下しながらそんなことを考えていた。
続く
「ゾッッ!!」
腰から地面に落ちた。痛い。なんか変な声が出た。
ここはどこだ。いつも通り白い場所だが、様々な色がついているコンテナが無数に置いてある。
かく言う俺もコンテナの上に腰から落ちたのだがな。恥ずかしい話なのだが。
辺りを見渡してみる。かなり広いところだ。縦横共に100mはあるだろう。高さは低く見積っても50mはある。
ホープは俺と10mほど離れたコンテナの上に着地した。なかなか人間離れしているようだ。今更か。
すぐさま立ち上がった。矢を弓につがえる。中距離戦ならこっちにも分がある。そもそもあんな腕を持っている以上、近接戦に持ち込むのはかなりきついだろう。
ある程度距離を保ちながら、隙が出来たら矢を放つ。それなら俺にも正気があるだろう。既にあいつとは2回も戦っている。形態は違うが戦い方はほとんど同じでいいだろう。
「この高さから落ちても無傷とは。やはりお前はいいな……私が求めていた本当の強者だ。山ノ井花音の前哨戦にするには惜しい……」
花音……あのチビか。あいつとホープに何があったんだ。チビは俺より弱いだけで、そこまで雑魚でもないからな。ホープに認められたんだろう。
「あのチビのことか。俺はあのチビよりも強いぞ」
「ほぅ、戦いでもしたのか。なるほど、お前が言うのなら信用できるぞ。なら相手にとって不足はないな……」
「あんまり信用するなよ、お前に信用されても気持ち悪いからなッッ――」
矢をホープに向かって放った。ちょうどホープの脳天。暗くもないから狙いやすい。ほとんど不意打ちだが、これでおあいこだろう。
矢はホープの目の前まで到達した。矢の時速はだいたい200キロほど。ましてや不意打ち。避けられるはずもない。
しかしホープは避けた。顔を少しずらすという小さな行動で避けた。時速200キロで進む細い矢を何事も無かったかのように避けた。
見た目に反してなかなかに速いようだ。こりゃあ倒すのに骨が折れそうだ。
ホープが右腕の触手2本を高速で動かした。触手の攻撃範囲はよく分からない。だからできるだけ慎重に、大胆に避けなければ当たる可能性がある。
俺は隣のコンテナに飛び写った。同時に隣のコンテナが切れる音がする。コンテナに目を向けてみる。
俺がいたコンテナは横から斜めに斬られており、上の部分が滑り落ちて地面に落下している。とんでもなく重苦しい音が大音量で耳に殴りかかってきた。
よく見てみると、俺のいたところから縦に真っ二つに割れていた。つまりあのままその場にいたら、さけるチーズみたいに真ん中から2つに分かれていたということか。
もう一度弓に矢をつがえる。今度こそ当てる。次に撃つのは胴体。頭よりかは当たる可能性があるだろう。
弦を引いて、ホープを狙う。ホープは上半身を右に捻っている。何をしようとしているんだ?まぁとにかくチャンスだ。
俺は指の力を緩めた。矢はホープの元に向かって飛んでいく。それと同時にホープが体を左回りに捻ってきた。
まさか溜めていたのか。これはまずい――。
体を下におろした。髪に少し違和感を感じたと同時間。隣にあったコンテナが横一閃。綺麗に切れた。コンテナの色が黄色なので間にクリームでも入れたらモナカに見えるだろう。
そんなこと思ってる場合じゃねぇよ。何考えてんだ俺。
矢は狙い通りホープの胴体に当たった。しかし、矢は貫通することなくホープの背中に穴を開けて停止した。
アーチェリーの矢は場所によるが、厚さ5ミリの鉄板を射抜くことが出来る程の貫通力を持つ。そんな矢が男の体で止まる。ホープの体内には滑り止めでもしているのだろうか。
ホープがまた溜め始めた。今度は両腕を後ろにしている。
さっきはたまたま避けられただけだ。今度あんなことをしたら、次はやられる。だから今回は攻撃を見送りにする。
後ろを向く。後ろにはクレーンで吊るされたコンテナが宙に浮いてプラプラと小刻みに揺れていた。
「しめたっっ――」
俺は後ろのコンテナに飛び乗った。その瞬間、俺がいたコンテナは爆破されたビルのようにボロボロと崩れ去っていった。
「どんな切れ味してんだよ……」
あいつの刃を包丁にしたら、飛ぶように売れるだろうな。切れすぎてまな板ごとやりそうだが。
矢をつがえる。ホープは左腕を後ろに下げた。しかし今回は浅い。すぐにくる。ならその場に立っているだけだったらまずいな。
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体は空中。立って狙いを定めたいが、今は無理だ。だが、俺ならバランスの取れない空中でも正確に撃つことができる。
体が逆さまになっている状態で矢を発射した。割と同じような起動を描きながら、矢はホープの首に突き刺さった。
「よしっ!」
まさか当たるとは思っていなかったので嬉しい。俺は落下しながらそんなことを考えていた。
続く
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