34 / 82
Hero of the Shadowルート (如月楓夜 編)
34話「本当の再開」
しおりを挟む
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!バーカ!!私の手の内で踊らされてやーーーーんの!!!」
桃が大笑いしている。だけど桃の声じゃない。誰なんだ。
桃?を蹴り飛ばした。こいつは桃じゃない。なんだ。誰だ。なんで……誰だこいつは。
桃?の顔が段々と崩れていった。まるで氷が解けるかのように体を覆っていた何かが溶けていった。
溶けた何かの中から白髪の少女が現れた。おそらく小学生1年生ほどの大きさだ。なんとなく外国人っぽい。
「ケホッ……ハァハァ……残念だったねぇ……あんたの理想の人じゃなくて」
「……」
「そこで倒れてるやつはパパから何故か気に入られてたからね。ちょっと意地悪しちゃったの。ちょうどあんたが倒してくれて……もうほんとに……アハハハハハハハ!!!……ハァハァ」
……あぁ。そうか。そうか。こいつは偽物だったのか。俺を利用しただけだったのか。もういいさ。
「……」
「あっ怒ってるね。私に怒ってるね。自分から騙されておいて……バッカみたい!そんなんだから、彼女を連れ去られちゃうんだよ~」
頭の中で何かが切れた。弓を持つ手に力が宿る。
「キャハハハハハハハ!!私を殺したくなった!?そんな体で私を殺せるって思ってんの!?馬鹿すぎてお腹いったぁい!!」
地面を鳴らしながらクソガキに近づく。呼吸が途切れ途切れになっている。
「ハハハ!!!なーにー?もしかしてあたしと戦いたいのー?頭悪いのー?キャハハハ!!」
クソガキが右足を大きく踏み込んだ。すると地面から鋭く尖った氷柱が飛び出てきた。いや、生成されたと言った方がいいか。
その氷柱は5mは離れていた俺の右胸を貫いた。心臓にダメージはない。ならば別に動ける。
「キャHAHAHAHAHAHAHA!!!!どうしたの!?今の攻撃も避けられないの~!?その程度でよくここまで来たねぇ! !撫でてあげるからこっちに来てみて……って来れないよね?キャハハハ!!」
クソガキの甲高い声が廊下に響き渡る。耳鳴りがしてきた。うるさい。気持ち悪い。
俺は刺さっていた氷柱を握りつぶした。氷の粉が顔に少しついた。またクソガキに向かって歩き出した。弓を地面に置く。
「……え?……はは、思っていたより強いね」
クソガキの首を掴んだ。細い首だ。ちょっと太い鉄棒を掴んでいる気分だ。クソガキを地面に叩きつける。
「かハッ―――」
クソガキの顔面に拳を叩きつけた。思いっきりだ。辺りに血が飛び散った。思っていたより人間の顔は柔らかいな。まるでバスケットボールを叩いている感じだ。
拳を引き上げた。クソガキのドロっとした血が手に着いている。
「ぶ……ぶ……」
また拳を叩きつけた。さらに顔が凹んだ。頭蓋骨が皿のように割れている。既に血の匂いが漂っていたおかげで、このクソガキの血の匂いを嗅がなくて済んだ。
もう一度拳を叩きつけた。さらにもう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
「……ク……ゥゥゥン」
ヒルの声で意識が戻った。既にクソガキの顔面は原型を留めてなどいなかった。ほとんど無い方がマシだろう。
フラフラと立ち上がる。もう拳の感覚がない。自分の拳の血とクソガキの血が混ざっている。自分の拳が傷ついているのかどうなっているのかが分からない。
ヒルの近くに座った。傷は着いているが、致命傷と言うほどでもない。ヒルもちゃんと生きている。
「これで……よしと」
ヒルの応急処置をした。とりあえずヒルが無事でよかった。
「ワン!」
「……元気か……よかった」
ヒルの頭を撫でる。もしヒルが死んでたら俺はどうなっていただろう……考えたくもない。
立ち上がる。胸の傷はもういい。どうせ自然治癒するだろう。
「……」
精神がすり減った。もう何もしたくない。疲れた。
「……もう……寝たいな……」
もう痛いとか、そういうのは感じなくなった。体も限界だ。眠たいし。……桃に……もう一度だけ……会いたいな……。
「ワン!」
突然ヒルが走り出した。……もしかして……桃か……!
ヒルの後ろに着いていく。フラフラしていた足が整った。走った。ひたすら走った。ヒルは俺に合わせてくれているのか、同じぐらいのスピードで走ってくれている。
ヒルが止まった。そこには死体が沢山あった。ここに桃がいるとは思えないほどに死体があった。
「……桃……」
……桃は……もう……。膝から地面に落ちた。頭の中が空っぽになった。……ここまで頑張ってきた結果がこれか……。
「ここまで……来たのに……………その結果が……これかよ……」
目から何か冷たいものが流れ落ちた。頭の中がもう無くなった。思考が無くなった。全て終わった。もう……何も……。
「ふ……う、や……?」
体がはねた。思考が元に戻った。涙のせいで視界がぼんやりとしていた。涙をふいて、死体の海を見る。
そこにはボロボロになっていた桃がいた。
続く
桃が大笑いしている。だけど桃の声じゃない。誰なんだ。
桃?を蹴り飛ばした。こいつは桃じゃない。なんだ。誰だ。なんで……誰だこいつは。
桃?の顔が段々と崩れていった。まるで氷が解けるかのように体を覆っていた何かが溶けていった。
溶けた何かの中から白髪の少女が現れた。おそらく小学生1年生ほどの大きさだ。なんとなく外国人っぽい。
「ケホッ……ハァハァ……残念だったねぇ……あんたの理想の人じゃなくて」
「……」
「そこで倒れてるやつはパパから何故か気に入られてたからね。ちょっと意地悪しちゃったの。ちょうどあんたが倒してくれて……もうほんとに……アハハハハハハハ!!!……ハァハァ」
……あぁ。そうか。そうか。こいつは偽物だったのか。俺を利用しただけだったのか。もういいさ。
「……」
「あっ怒ってるね。私に怒ってるね。自分から騙されておいて……バッカみたい!そんなんだから、彼女を連れ去られちゃうんだよ~」
頭の中で何かが切れた。弓を持つ手に力が宿る。
「キャハハハハハハハ!!私を殺したくなった!?そんな体で私を殺せるって思ってんの!?馬鹿すぎてお腹いったぁい!!」
地面を鳴らしながらクソガキに近づく。呼吸が途切れ途切れになっている。
「ハハハ!!!なーにー?もしかしてあたしと戦いたいのー?頭悪いのー?キャハハハ!!」
クソガキが右足を大きく踏み込んだ。すると地面から鋭く尖った氷柱が飛び出てきた。いや、生成されたと言った方がいいか。
その氷柱は5mは離れていた俺の右胸を貫いた。心臓にダメージはない。ならば別に動ける。
「キャHAHAHAHAHAHAHA!!!!どうしたの!?今の攻撃も避けられないの~!?その程度でよくここまで来たねぇ! !撫でてあげるからこっちに来てみて……って来れないよね?キャハハハ!!」
クソガキの甲高い声が廊下に響き渡る。耳鳴りがしてきた。うるさい。気持ち悪い。
俺は刺さっていた氷柱を握りつぶした。氷の粉が顔に少しついた。またクソガキに向かって歩き出した。弓を地面に置く。
「……え?……はは、思っていたより強いね」
クソガキの首を掴んだ。細い首だ。ちょっと太い鉄棒を掴んでいる気分だ。クソガキを地面に叩きつける。
「かハッ―――」
クソガキの顔面に拳を叩きつけた。思いっきりだ。辺りに血が飛び散った。思っていたより人間の顔は柔らかいな。まるでバスケットボールを叩いている感じだ。
拳を引き上げた。クソガキのドロっとした血が手に着いている。
「ぶ……ぶ……」
また拳を叩きつけた。さらに顔が凹んだ。頭蓋骨が皿のように割れている。既に血の匂いが漂っていたおかげで、このクソガキの血の匂いを嗅がなくて済んだ。
もう一度拳を叩きつけた。さらにもう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
「……ク……ゥゥゥン」
ヒルの声で意識が戻った。既にクソガキの顔面は原型を留めてなどいなかった。ほとんど無い方がマシだろう。
フラフラと立ち上がる。もう拳の感覚がない。自分の拳の血とクソガキの血が混ざっている。自分の拳が傷ついているのかどうなっているのかが分からない。
ヒルの近くに座った。傷は着いているが、致命傷と言うほどでもない。ヒルもちゃんと生きている。
「これで……よしと」
ヒルの応急処置をした。とりあえずヒルが無事でよかった。
「ワン!」
「……元気か……よかった」
ヒルの頭を撫でる。もしヒルが死んでたら俺はどうなっていただろう……考えたくもない。
立ち上がる。胸の傷はもういい。どうせ自然治癒するだろう。
「……」
精神がすり減った。もう何もしたくない。疲れた。
「……もう……寝たいな……」
もう痛いとか、そういうのは感じなくなった。体も限界だ。眠たいし。……桃に……もう一度だけ……会いたいな……。
「ワン!」
突然ヒルが走り出した。……もしかして……桃か……!
ヒルの後ろに着いていく。フラフラしていた足が整った。走った。ひたすら走った。ヒルは俺に合わせてくれているのか、同じぐらいのスピードで走ってくれている。
ヒルが止まった。そこには死体が沢山あった。ここに桃がいるとは思えないほどに死体があった。
「……桃……」
……桃は……もう……。膝から地面に落ちた。頭の中が空っぽになった。……ここまで頑張ってきた結果がこれか……。
「ここまで……来たのに……………その結果が……これかよ……」
目から何か冷たいものが流れ落ちた。頭の中がもう無くなった。思考が無くなった。全て終わった。もう……何も……。
「ふ……う、や……?」
体がはねた。思考が元に戻った。涙のせいで視界がぼんやりとしていた。涙をふいて、死体の海を見る。
そこにはボロボロになっていた桃がいた。
続く
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

特別。
月芝
ホラー
正義のヒーローに変身して悪と戦う。
一流のスポーツ選手となって活躍する。
ゲームのような異世界で勇者となって魔王と闘う。
すごい発明をして大金持ちになる。
歴史に名を刻むほどの偉人となる。
現実という物語の中で、主人公になる。
自分はみんなとはちがう。
この世に生まれたからには、何かを成し遂げたい。
自分が生きた証が欲しい。
特別な存在になりたい。
特別な存在でありたい。
特別な存在だったらいいな。
そんな願望、誰だって少しは持っているだろう?
でも、もしも本当に自分が世界にとっての「特別」だとしたら……
自宅の地下であるモノを見つけてしまったことを境にして、日常が変貌していく。まるでオセロのように白が黒に、黒が白へと裏返る。
次々と明らかになっていく真実。
特別なボクの心はいつまで耐えられるのだろうか……
伝奇ホラー作品。
お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。
鞠目
ホラー
さくら急便のある営業所に、奇妙な配達員にいたずらをされたという不可思議な問い合わせが届く。
最初はいたずら電話と思われていたこの案件だが、同じような問い合わせが複数人から発生し、どうやらいたずら電話ではないことがわかる。
迷惑行為をしているのは運送会社の人間なのか、それとも部外者か? 詳細がわからない状況の中、消息を断つ者が増えていく……
3月24日完結予定
毎日16時ごろに更新します
お越しをお待ちしております

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
ゾンビだらけの世界で俺はゾンビのふりをし続ける
気ままに
ホラー
家で寝て起きたらまさかの世界がゾンビパンデミックとなってしまっていた!
しかもセーラー服の可愛い女子高生のゾンビに噛まれてしまう!
もう終わりかと思ったら俺はゾンビになる事はなかった。しかもゾンビに狙われない体質へとなってしまう……これは映画で見た展開と同じじゃないか!
てことで俺は人間に利用されるのは御免被るのでゾンビのフリをして人間の安息の地が完成するまでのんびりと生活させて頂きます。
ネタバレ注意!↓↓
黒藤冬夜は自分を噛んだ知性ある女子高生のゾンビ、特殊体を探すためまず総合病院に向かう。
そこでゾンビとは思えない程の、異常なまでの力を持つ別の特殊体に出会う。
そこの総合病院の地下ではある研究が行われていた……
"P-tB"
人を救う研究のはずがそれは大きな厄災をもたらす事になる……
何故ゾンビが生まれたか……
何故知性あるゾンビが居るのか……
そして何故自分はゾンビにならず、ゾンビに狙われない孤独な存在となってしまったのか……


どうやら世界が滅亡したようだけれど、想定の範囲内です。
化茶ぬき
ホラー
十月十四日
地球へと降り注いだ流星群によって人類は滅亡したかと思われた――
しかし、翌日にベッドから起き上がった戎崎零士の目に映ったのは流星群が落ちたとは思えないいつも通りの光景だった。
だが、それ以外の何もかもが違っていた。
獣のように襲い掛かってくる人間
なぜ自分が生き残ったのか
ゾンビ化した原因はなんなのか
世界がゾンビに侵されることを望んでいた戎崎零士が
世界に起きた原因を探るために動き出す――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる