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Hero of the Shadowルート (如月楓夜 編)
18話「超集中領域」
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見間違いだと思った。幻覚だと思った。夢かと思った。目がイカれたかと思った。しかし何度見ても桃だった。あの桃だった。可愛い桃だった。俺が好きだったあの桃だった。俺にとっての天使のようなあの桃だった。俺がこの手で殺してしまったはずのあの桃だった。
なんでいるんだ。なんでこんな所にいるんだ。再会できた嬉しさよりも疑問が頭を包んだ。あの子は俺の手で殺してしまったはずだ。なのに……なんで……。
「――ぉぃ!――おい!!」
肩を揺さぶられた。意識が元に戻ってきた。
「なんだ!?何かあったのか!?」
「……なんで桃がいるんだ……」
「桃?あんた、桃ちゃんの知り合いなのか?」
「お、俺の彼女だ……」
「ならさっさと弦を引けよ!!大事な彼女なんだろ!?」
……そうだ。あの子が本当に桃なら守らなくては。前は救えなかったんだ。今度は俺の手できちんと守るんだ。もう二度とあんな思いをする気は無いぞ……。
弓に矢をつがえた。化け物との距離は約100m。俺がいつもやっているのは70mだ。アーチェリーの大会でも最大は90mしかない。つまりここは未知数の世界だ。矢は大量にあるが何本も外せない。それに外せば外すだけ桃が死んでしまう可能性が高くなる。1発だ。1発でヤツを殺す。もう今度は助けるんだ。俺は……俺は……
――あの子の為になら死んでやる
――高校2年生 春
「なぁ、お前らってさ極限まで集中したことはあるか?」
俺とアーチェリー部の2年の皆はある日、顧問の先生の坂口 芦に呼び出された。全員何か怒られるかと思っていたので先生からそんな質問をされた時は皆、目を丸くしていた。
「……したことない気がします」
江口が答えた。俺もそうだ。そんなのよく分からない。他のみんなも同調する。
「そうか……はっきり言おう。お前らは優秀だ。俺よりも優秀だ。だから、そんな優秀なお前らに教えることがある」
若干皆が照れた。俺は照れることはなかったが内心結構喜んでた。ただそれよりも、何を教えてくれるのかが疑問だった。
「勉強に運動……それらのパフォーマンスを高い精度で行うには集中力が必要なのは分かるな?」
皆が頷く。
「勉強にやる気がなかったら集中しないし、運動をやる気になったらそれに集中するだろう。こんな感じで集中にも高い集中と低い集中というのがあるんだ。もちろん集中力が高ければパフォーマンスの精度は上がるし、集中力が低ければパフォーマンスの精度も下がるんだ」
先生が手話をしているかのように手を動かしながら話している。
「何か物事に熱中すれば段々とその集中力も上がってくる。しかし大体はその集中力が上限にまで届かずに低くなってくるんだ。人間が深い集中を保てる時間は大体15分くらいとも言われているしな」
全員が先生の話に集中していた。何を話してくれるのかがとても気になったのだ。
「しかしだ。自分の集中力の上限に到達した時。人間は超集中領域に入ることができる」
「超集中領域?」
「そう。超集中領域に入ると周りの情報が消えて、自分の感覚だけが研ぎ澄まされる。その集中力と言ったらこの世界に自分1人しかいないと錯覚してしまうほどだ」
「……そんなのできるんですか?」
「まぁ普通の人ではできないさ。ただお前らならできる気がするんだ。もし超集中領域が意識下で自由に使えたら、全国1位になることなんて簡単になる」
す、すごいな……。名前もかっこいいし。できるようになったら桃にも自慢できそうだ。
「現に楓。お前はできてるしな」
「は?」
ついタメ口で言ってしまった。俺にはそんなすごいことになった覚えがなかった。
「まぁ正確に言うと超集中領域ではないが……ほら、あの時だよ。高校1年の時――」
「あーね。ほら楓、あの時だよ」
思い出した。
――高校1年生 冬
あれはポイント練習の時だ。俺がまだ50mを撃っていた時のこと。
先生に70mを撃たせて貰うには俺にとってかなりの点数を取らなくてはならなかった。だけど頑張って残り10点で合格というところまで取ることができた。
制限時間は残り4分だった。矢はまだ撃っていないので残り6本。普通にしてれば余裕だ。しかし俺はとんでもなく集中していた。ここ一番の所で俺は失敗してしまうことがある。失敗したら皆から遅れてしまう。そんなのは嫌だった。
俺は弓に矢をつがえて、弦を引いた。失敗できない。失敗したくない。皆から遅れたくない。桃ちゃんにいいところを見せたい。皆から憧れられたい。様々な気持ちが心の中を駆け回った。
──その時だった。俺の世界は真っ暗になったのだ。しかし意識が消える瞬間に俺は2つだけ見えた物がある。それは自分の弓と的の中心だった。
その後のことはあまり覚えていない。気がついたら病院のベットにいたのだ。後から聞いた話だと俺は矢を放った瞬間に倒れてしまったらしい。どうやら心臓も脳も止まっていて完全に死んだかと思ったそうだ。
それと、放った矢は的のど真ん中を射抜いていたそうだ。全く自覚がなかったからあんまり達成感は得られなかったが。
「あ~あの時ね。俺ってあの時超集中領域に入ってたんだ……確かにとんでもなかったけど……」
「えぇ!?ということは超集中領域に入るには毎回あんなことにならないといけないのか!?」
「いや、そういうわけではない。あれは楓が特別なんだ。そのことについても話そう」
先生が座りなおした。
「楓。お前はかなり特別な存在だ。普通の人間じゃない」
「えっ……そこまで言います……」
「別に罵ってるわけじゃねぇよ。 超集中領域っていうのはいわば人間の限界だ。これ以上は上がらない所まで来ていると言うこと。ただな、稀にいるんだ。人間の限界を超えるような集中力を持っているヤツが」
先生が俺の目を見て力強く話している。周りの皆も固唾を呑んで先生の話を聞いている。
「お前が使えるのは超集中領域の更に上。人間を超えた領域だ。その名前は──」
「──臨界集中領域 」
なにそれかっこよ。名前かっこよ。
「この領域に入れる人間は歴史上で見ても両手で数えられるくらいしかいないだろう。お前はかなり特別なやつだ」
皆から背中を叩かれた。
「お前すげぇな!?そんなやつだったんかよ!?」
「な、なんかお前が遠くに行ったような気分なんだけど」
「凄いね楓君!!」
皆から褒められていい気分になった。けど俺がそんなに特別なのはあんまり実感が沸かない。
「確かに褒めるべきなんだがお前の領域は色々と危険だ」
「え?なんでですか?」
「お前の領域は確かに人間を超えた集中力を出すことができるんだ。それこそ生命活動を忘れるくらいに」
「……えっ」
「倒れたのはそのせいだ。お前が領域に入ったら、心臓の鼓動、筋肉の動き、呼吸、五感の活動などの生命活動に必要なこと全てを忘れてただ一つのことに集中するんだ。確かに超集中領域と比べてもパフォーマンスはあがるだろう。しかし、それと同時に使えば死が隣に来てしまう。無闇に使えば死ぬ可能性があるんだよ」
「……」
色々と怖くなった。俺もしかしたら死んでたかもしれないんだ……あの時って結構やばい状況だったんだな……。
「……まぁお前のは例外として、他の皆は自由に超集中領域を使えるように練習するぞ。まずは超集中領域に入ることからだが……楓も一応自分の意思で使えるように練習するぞ。無意識に使ってしまったら危ないからな」
「……」
なんか一気に地獄に叩き落とされた気分だった。こういうのは自由に使えて周りの皆を無双、皆からキャーキャー言われて、俺TUEEEEするのかと思ってた。無闇に使えない上に使ったら死ぬかもしれないとかまじで怖いんだけど。
「……」
「そ、そう悲観することないよ。……ほ、ほら!お前が特別な存在なのには変わりないし!」
「そ、そうだよ~」
皆の励ましが逆に痛かった。
その日から俺も意識下でできるようにトレーニングしたが、結局できることはなかった。とゆうか、1年生の時以来、領域に入れることはなかった。相当集中した状態じゃないとそもそも入れないらしい。
俺はちょっと昔のことを思い出していた。今更思い出すことでは無いだろう。でも、もしかしたら死ぬかもしれないからな。走馬灯と言うやつかもしれない。
――その日、俺は臨界集中領域に突入した。
続く
なんでいるんだ。なんでこんな所にいるんだ。再会できた嬉しさよりも疑問が頭を包んだ。あの子は俺の手で殺してしまったはずだ。なのに……なんで……。
「――ぉぃ!――おい!!」
肩を揺さぶられた。意識が元に戻ってきた。
「なんだ!?何かあったのか!?」
「……なんで桃がいるんだ……」
「桃?あんた、桃ちゃんの知り合いなのか?」
「お、俺の彼女だ……」
「ならさっさと弦を引けよ!!大事な彼女なんだろ!?」
……そうだ。あの子が本当に桃なら守らなくては。前は救えなかったんだ。今度は俺の手できちんと守るんだ。もう二度とあんな思いをする気は無いぞ……。
弓に矢をつがえた。化け物との距離は約100m。俺がいつもやっているのは70mだ。アーチェリーの大会でも最大は90mしかない。つまりここは未知数の世界だ。矢は大量にあるが何本も外せない。それに外せば外すだけ桃が死んでしまう可能性が高くなる。1発だ。1発でヤツを殺す。もう今度は助けるんだ。俺は……俺は……
――あの子の為になら死んでやる
――高校2年生 春
「なぁ、お前らってさ極限まで集中したことはあるか?」
俺とアーチェリー部の2年の皆はある日、顧問の先生の坂口 芦に呼び出された。全員何か怒られるかと思っていたので先生からそんな質問をされた時は皆、目を丸くしていた。
「……したことない気がします」
江口が答えた。俺もそうだ。そんなのよく分からない。他のみんなも同調する。
「そうか……はっきり言おう。お前らは優秀だ。俺よりも優秀だ。だから、そんな優秀なお前らに教えることがある」
若干皆が照れた。俺は照れることはなかったが内心結構喜んでた。ただそれよりも、何を教えてくれるのかが疑問だった。
「勉強に運動……それらのパフォーマンスを高い精度で行うには集中力が必要なのは分かるな?」
皆が頷く。
「勉強にやる気がなかったら集中しないし、運動をやる気になったらそれに集中するだろう。こんな感じで集中にも高い集中と低い集中というのがあるんだ。もちろん集中力が高ければパフォーマンスの精度は上がるし、集中力が低ければパフォーマンスの精度も下がるんだ」
先生が手話をしているかのように手を動かしながら話している。
「何か物事に熱中すれば段々とその集中力も上がってくる。しかし大体はその集中力が上限にまで届かずに低くなってくるんだ。人間が深い集中を保てる時間は大体15分くらいとも言われているしな」
全員が先生の話に集中していた。何を話してくれるのかがとても気になったのだ。
「しかしだ。自分の集中力の上限に到達した時。人間は超集中領域に入ることができる」
「超集中領域?」
「そう。超集中領域に入ると周りの情報が消えて、自分の感覚だけが研ぎ澄まされる。その集中力と言ったらこの世界に自分1人しかいないと錯覚してしまうほどだ」
「……そんなのできるんですか?」
「まぁ普通の人ではできないさ。ただお前らならできる気がするんだ。もし超集中領域が意識下で自由に使えたら、全国1位になることなんて簡単になる」
す、すごいな……。名前もかっこいいし。できるようになったら桃にも自慢できそうだ。
「現に楓。お前はできてるしな」
「は?」
ついタメ口で言ってしまった。俺にはそんなすごいことになった覚えがなかった。
「まぁ正確に言うと超集中領域ではないが……ほら、あの時だよ。高校1年の時――」
「あーね。ほら楓、あの時だよ」
思い出した。
――高校1年生 冬
あれはポイント練習の時だ。俺がまだ50mを撃っていた時のこと。
先生に70mを撃たせて貰うには俺にとってかなりの点数を取らなくてはならなかった。だけど頑張って残り10点で合格というところまで取ることができた。
制限時間は残り4分だった。矢はまだ撃っていないので残り6本。普通にしてれば余裕だ。しかし俺はとんでもなく集中していた。ここ一番の所で俺は失敗してしまうことがある。失敗したら皆から遅れてしまう。そんなのは嫌だった。
俺は弓に矢をつがえて、弦を引いた。失敗できない。失敗したくない。皆から遅れたくない。桃ちゃんにいいところを見せたい。皆から憧れられたい。様々な気持ちが心の中を駆け回った。
──その時だった。俺の世界は真っ暗になったのだ。しかし意識が消える瞬間に俺は2つだけ見えた物がある。それは自分の弓と的の中心だった。
その後のことはあまり覚えていない。気がついたら病院のベットにいたのだ。後から聞いた話だと俺は矢を放った瞬間に倒れてしまったらしい。どうやら心臓も脳も止まっていて完全に死んだかと思ったそうだ。
それと、放った矢は的のど真ん中を射抜いていたそうだ。全く自覚がなかったからあんまり達成感は得られなかったが。
「あ~あの時ね。俺ってあの時超集中領域に入ってたんだ……確かにとんでもなかったけど……」
「えぇ!?ということは超集中領域に入るには毎回あんなことにならないといけないのか!?」
「いや、そういうわけではない。あれは楓が特別なんだ。そのことについても話そう」
先生が座りなおした。
「楓。お前はかなり特別な存在だ。普通の人間じゃない」
「えっ……そこまで言います……」
「別に罵ってるわけじゃねぇよ。 超集中領域っていうのはいわば人間の限界だ。これ以上は上がらない所まで来ていると言うこと。ただな、稀にいるんだ。人間の限界を超えるような集中力を持っているヤツが」
先生が俺の目を見て力強く話している。周りの皆も固唾を呑んで先生の話を聞いている。
「お前が使えるのは超集中領域の更に上。人間を超えた領域だ。その名前は──」
「──臨界集中領域 」
なにそれかっこよ。名前かっこよ。
「この領域に入れる人間は歴史上で見ても両手で数えられるくらいしかいないだろう。お前はかなり特別なやつだ」
皆から背中を叩かれた。
「お前すげぇな!?そんなやつだったんかよ!?」
「な、なんかお前が遠くに行ったような気分なんだけど」
「凄いね楓君!!」
皆から褒められていい気分になった。けど俺がそんなに特別なのはあんまり実感が沸かない。
「確かに褒めるべきなんだがお前の領域は色々と危険だ」
「え?なんでですか?」
「お前の領域は確かに人間を超えた集中力を出すことができるんだ。それこそ生命活動を忘れるくらいに」
「……えっ」
「倒れたのはそのせいだ。お前が領域に入ったら、心臓の鼓動、筋肉の動き、呼吸、五感の活動などの生命活動に必要なこと全てを忘れてただ一つのことに集中するんだ。確かに超集中領域と比べてもパフォーマンスはあがるだろう。しかし、それと同時に使えば死が隣に来てしまう。無闇に使えば死ぬ可能性があるんだよ」
「……」
色々と怖くなった。俺もしかしたら死んでたかもしれないんだ……あの時って結構やばい状況だったんだな……。
「……まぁお前のは例外として、他の皆は自由に超集中領域を使えるように練習するぞ。まずは超集中領域に入ることからだが……楓も一応自分の意思で使えるように練習するぞ。無意識に使ってしまったら危ないからな」
「……」
なんか一気に地獄に叩き落とされた気分だった。こういうのは自由に使えて周りの皆を無双、皆からキャーキャー言われて、俺TUEEEEするのかと思ってた。無闇に使えない上に使ったら死ぬかもしれないとかまじで怖いんだけど。
「……」
「そ、そう悲観することないよ。……ほ、ほら!お前が特別な存在なのには変わりないし!」
「そ、そうだよ~」
皆の励ましが逆に痛かった。
その日から俺も意識下でできるようにトレーニングしたが、結局できることはなかった。とゆうか、1年生の時以来、領域に入れることはなかった。相当集中した状態じゃないとそもそも入れないらしい。
俺はちょっと昔のことを思い出していた。今更思い出すことでは無いだろう。でも、もしかしたら死ぬかもしれないからな。走馬灯と言うやつかもしれない。
――その日、俺は臨界集中領域に突入した。
続く
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