13 / 117
序章
13話 ここから始める冒険譚!
しおりを挟む
「――ん」
ここは街の病院。白いベッドの上でヘキオンの目が覚めた。個室でヘキオンのベッド以外には小さい机と椅子しか見当たらない。
「あ……れ?」
ノソッと起き上がる。下半身はまだ動いていない。
「――おぉ。起きたの」
初老のおばあさんが扉を開けて入ってきた。真っ白のナース服を着ている。
「私はここのナースよ。あなたは2日間眠っていたの」
「え、えっと……」
「――うん。傷は治りかけてるわね。ヒールをかけてあるから、あと1日くらい安静にしてたら退院できるわ」
ナースのおばさんは優しい口調でヘキオン話す。
「あ、あの」
「ん?どうかしたの?」
「私って……どうやってここに……」
おばさんが少しニヤニヤしながら答えた。
「カエデ君よ。あなたを抱えて来た時はびっくりしたわ。――あなた、カエデ君の彼女だったりするの?」
「な!?ななな!?そ、そんなことないですよ!!」
顔を真っ赤にして食い気味に応える。その応え方もおばさんのニヤニヤを強めることになった。
「ふふふ。恥ずかしがらなくてもいいのよ」
「だから違いますってーー!」
――2日後。
「――ヘキオン!!」
退院したヘキオンはギルドに顔を出していた。傷もすっかり治り、前のような元気も戻っている。
ギルドに入った瞬間、お姉さんがヘキオンに飛びついてきた。お姉さんの胸に顔が埋まっている。息はできてるのだろうか。
「ヘキオンじゃねぇか!!」
「元気になったのか!?」
中にいた冒険者たちがヘキオンの方に駆け寄ってくる。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!危険な目に2回も合わせちゃって……ごめんなさい!!」
大粒の涙をポロポロ流しながらひたすら謝り続ける。ヘキオンはやっぱり苦しいのか、手足をジタバタとさせている。
「私は……私は本当にダメ……あなたを危険な目に合わせてばっかり……」
「――ぶはっ」
ようやく息が吸えたようで、過呼吸になりながらも肩を動かしている。
「はぁはぁ……でも……私は生きてるよ。危険な目に2回も合ったのに生きてる。ここにいるよ」
「うう……うぅ……」
「――ただいま」
「――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
お姉さんの泣き声と冒険者たちの騒ぎ声がギルド内にこだまするのだった。
机に袋が置かれた。ドシャッという金属が擦れあう音がヘキオンの耳に入っていく。
「はい。今回の報酬よ」
「――こ、これって幾らあるんですか?」
「ふふ……聞いて驚かないでね――なんと5万円よ!!」
「――えぇえええ!?!?」
ヘキオンが眼を丸くして驚いた。ウルフィーロードに会った時よりもビクビクと震えている。
「な、なんかの間違いじゃ……」
「極秘でやってくれたし、殺さないでいてくれた。ちゃんと条件通りにしてくれたからこれくらいはあってもおかしくないよ」
ゆっくりとお金の入った袋を持ってみる。なんか麻薬中毒者の腕くらいに震えている。どんだけ信じられないんだろう。
コソッと袋の中を覗く。
「コヒュ」
変な声を出して椅子にふわっと落ちた。携帯のマナーモードみたいに椅子の上で震えている。
「どれだけ驚いてるのよ……」
驚きすぎてお姉さんもさすがに引いていた。
ヘキオンがキョロキョロと周りを見渡している。
「――そういえばカエデさんは?」
「えっ!?あ、あーーー。な、なんか依頼あるってどっか行ってたっけなぁ……」
明らかに怪しい。目線があっちらこっちらに行ってるし、落ち着きがなくなっている。誰が見ても怪しいだろう。
「――えーー。そうなのーー。お礼言いたかったのになぁ……」
ヘキオンは思ったよりも鈍感だった。見たら分かるくらいに怪しいのにスルーした。もはやわざとだろうか。
「とりあえず荷造りしてくる!」
「え?もう出ていくの?」
「だって先延ばししたらここから離れたくなくなりそうだし……」
ちょっと悲しそうな顔をしながらそう話した。
「……出て行く時はここに来てね。みんなで『いってらっしゃい』って言ってあげるから」
「――うん!!」
ヘキオンは慌ただしくギルドから走り去っていった。そんなヘキオンの姿を冒険者たちは少し寂しそうな顔で見ていた。
「――それで?どうするのカエデ」
カウンターの下。ちょうどお客さん側から見えない所。そこからソロッとカエデは出てきた。
「どうするって……」
「ヘキオンちゃん助けたのカエデでしょ?なんで助けたの?」
「そりゃあ心配で着いて行ったらたまたま――」
「本当に?」
カエデがたじろぐ。あんなに強かったカエデが追い詰められている。
「本当に心配だっただけなの?」
「そ、それは……」
「好きなんだよね?」
顔を真っ赤にする。頭から湯気のようなものが放出された。
「そ、それは………………そぅだけどぉ……」
「はっきり言って!」
カウンターをバン!!と叩いた。騒いでいた冒険者たちが一瞬で静かになる。
「――好きだよ!!一目惚れです!!初めて見た時から好きでした!!今回も心配2割、好き8割くらいで追いかけてました!!」
「「「ぉぉおおおお!!!」」」
周りが大きくはやし立てた。カエデは顔を真っ赤にして下を向いている。
「好きなんだよね!?いいの!!ヘキオンちゃん行っちゃうよ!?もしかしたらもう二度と会えないかもしれないんだよ!?それでいいの!?」
「――嫌だ!!」
「ならとっとと支度してきなさい!!」
「は、はい!!」
肩を強く叩いた。その叩く強さはクレインやウルフィーロードに比べれば弱いのだろう。だがカエデにとってはその2匹よりも圧倒的に痛そうだ。
「とりあえず髭を沿って、身だしなみを整えてきなさい!マッハで!」
「え?髭を生やしてる方がかっこいいって――」
「そんなのおじさんだけでしょ!あなた17歳なんだから清潔にしてた方が好かれるわ!!」
「なっっ――お前ら騙したなぁァァ!!」
冒険者たちは腹を抱えて笑っている。顔を真っ赤にしながら冒険者たちを睨むカエデ。それを叩くお姉さん。
「早く整えてきなさい!時間はないんだよ!」
お姉さんには頭が上がらないようで、カエデは冒険者たちを睨みながらギルドを出ていったのだった。
「――今までありがとうございました」
ヘキオンが深々と頭を下げる。冒険者たちとお姉さんは恥ずかしそうにしていた。
「よ、よせやい。恥ずかしいだろ」
「そうだよ。仲間なら当然だぜ」
「また来たら出迎えてやるよ!」
その励ましにヘキオンは泣きそうな顔になっていた。
お姉さんがヘキオンの頭をサラッと撫でた。顔をほのかに紅くする。
「――また戻ってきてね。その時は一緒に甘いものでも食べに行こ」
「……うん……うん……」
耐えられなくなり、目に溜まっていた涙がポロポロと頬を伝っていった。まるでダムが決壊したかのように。まるで雪崩が起きたかのように。
声を上げて泣いた。冒険者たちの中にも涙ぐんでいる人もいる。お姉さんも涙をポロッと流していた。
「――最後に……カエデさんに……会いたかったな」
ヘキオンがポロッと言葉を出した。冒険者たちは悲しみムードが消え、焦りのムードが漂い始めた。
カエデが来ている様子はない。お姉さんも涙よりも冷や汗が出てきていた。
「――じゃあ。もう行きます」
「え!?あ、う、うん。げ、元気でね」
焦りが全面的に出てきてしまっている。ヘキオンは鈍感なので気がついていないが、冒険者たちも「まずいぞ、まずいぞ」と口に出していた。
「――みんな、ありがとう」
ヘキオンがギルドの扉に手をかけた。
「――――」
そこには汗だくで息を大きく切らしているカエデが立っていた。立っているというよりかはダウンしているのだが。
ヘキオンはそんなカエデを不思議そうに見ていた。驚きの表情も混ざっている。
「え?え?か、カエデさん?な、なんでいるんですか?」
カエデの髭は完全になくなり、髪もちょっと整えてある。服も綺麗で肌もなんか綺麗に見える。
ヘキオンは特にそこには触れてなかった。
「――い、いやぁぁぁね。ぼ、僕も今日旅立とうっかなぁぁぁっっってね?」
ヘキオンの後ろで全員が頭を抱えていた。恐らくヘキオンがいなかったら全員に言葉でボコボコにされていただろう。
「そうなんですか?奇遇ですね。私もです!」
「……え、えーーっと……」
下を向きながらチラチラとヘキオンを見る。
後ろでは「いけ!!」って言ってるかのようなジェスチャーを全員が同時にしている。一体感がすごい。
「あ、あの!俺と……一緒に旅をしてくれませんか!!」
言った。言えた。さっきまで躊躇っていた男がちゃんと好きな人を目の前にして言った。
後ろでは「好きっていえよぉ!」と言っているジェスチャーをしていた。
「――え?いいですよ。むしろ頼もしいです!」
「――あ、え、た、な、た、ま、さ、か、ま、や、わ、な?」
声が出てない。それになんか震えてる。声が繋がってもない。
「?どうしたんですか?」
ポケーっとしているカエデに頭を傾げていた。
後ろでは宝くじが当たったかと思われるくらいに喜んでいた。フィーバーしている。なんだかんだ言ってやはりカエデとヘキオンのことを大事に思っていたようだ。
「――えっと、えっと、こ、これからもよろしくお願いします……」
「よろしくお願いします!」
真っ赤な顔のカエデと、紅い顔のヘキオン。なんかたどたどしいカエデ。特に何も知らないヘキオン。最強の無職と魔法使い。この2人が出会ったのは運命か宿命か。
この2人が後に伝説となることを、この時はまだ誰も知らない。
続く
ここは街の病院。白いベッドの上でヘキオンの目が覚めた。個室でヘキオンのベッド以外には小さい机と椅子しか見当たらない。
「あ……れ?」
ノソッと起き上がる。下半身はまだ動いていない。
「――おぉ。起きたの」
初老のおばあさんが扉を開けて入ってきた。真っ白のナース服を着ている。
「私はここのナースよ。あなたは2日間眠っていたの」
「え、えっと……」
「――うん。傷は治りかけてるわね。ヒールをかけてあるから、あと1日くらい安静にしてたら退院できるわ」
ナースのおばさんは優しい口調でヘキオン話す。
「あ、あの」
「ん?どうかしたの?」
「私って……どうやってここに……」
おばさんが少しニヤニヤしながら答えた。
「カエデ君よ。あなたを抱えて来た時はびっくりしたわ。――あなた、カエデ君の彼女だったりするの?」
「な!?ななな!?そ、そんなことないですよ!!」
顔を真っ赤にして食い気味に応える。その応え方もおばさんのニヤニヤを強めることになった。
「ふふふ。恥ずかしがらなくてもいいのよ」
「だから違いますってーー!」
――2日後。
「――ヘキオン!!」
退院したヘキオンはギルドに顔を出していた。傷もすっかり治り、前のような元気も戻っている。
ギルドに入った瞬間、お姉さんがヘキオンに飛びついてきた。お姉さんの胸に顔が埋まっている。息はできてるのだろうか。
「ヘキオンじゃねぇか!!」
「元気になったのか!?」
中にいた冒険者たちがヘキオンの方に駆け寄ってくる。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!危険な目に2回も合わせちゃって……ごめんなさい!!」
大粒の涙をポロポロ流しながらひたすら謝り続ける。ヘキオンはやっぱり苦しいのか、手足をジタバタとさせている。
「私は……私は本当にダメ……あなたを危険な目に合わせてばっかり……」
「――ぶはっ」
ようやく息が吸えたようで、過呼吸になりながらも肩を動かしている。
「はぁはぁ……でも……私は生きてるよ。危険な目に2回も合ったのに生きてる。ここにいるよ」
「うう……うぅ……」
「――ただいま」
「――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
お姉さんの泣き声と冒険者たちの騒ぎ声がギルド内にこだまするのだった。
机に袋が置かれた。ドシャッという金属が擦れあう音がヘキオンの耳に入っていく。
「はい。今回の報酬よ」
「――こ、これって幾らあるんですか?」
「ふふ……聞いて驚かないでね――なんと5万円よ!!」
「――えぇえええ!?!?」
ヘキオンが眼を丸くして驚いた。ウルフィーロードに会った時よりもビクビクと震えている。
「な、なんかの間違いじゃ……」
「極秘でやってくれたし、殺さないでいてくれた。ちゃんと条件通りにしてくれたからこれくらいはあってもおかしくないよ」
ゆっくりとお金の入った袋を持ってみる。なんか麻薬中毒者の腕くらいに震えている。どんだけ信じられないんだろう。
コソッと袋の中を覗く。
「コヒュ」
変な声を出して椅子にふわっと落ちた。携帯のマナーモードみたいに椅子の上で震えている。
「どれだけ驚いてるのよ……」
驚きすぎてお姉さんもさすがに引いていた。
ヘキオンがキョロキョロと周りを見渡している。
「――そういえばカエデさんは?」
「えっ!?あ、あーーー。な、なんか依頼あるってどっか行ってたっけなぁ……」
明らかに怪しい。目線があっちらこっちらに行ってるし、落ち着きがなくなっている。誰が見ても怪しいだろう。
「――えーー。そうなのーー。お礼言いたかったのになぁ……」
ヘキオンは思ったよりも鈍感だった。見たら分かるくらいに怪しいのにスルーした。もはやわざとだろうか。
「とりあえず荷造りしてくる!」
「え?もう出ていくの?」
「だって先延ばししたらここから離れたくなくなりそうだし……」
ちょっと悲しそうな顔をしながらそう話した。
「……出て行く時はここに来てね。みんなで『いってらっしゃい』って言ってあげるから」
「――うん!!」
ヘキオンは慌ただしくギルドから走り去っていった。そんなヘキオンの姿を冒険者たちは少し寂しそうな顔で見ていた。
「――それで?どうするのカエデ」
カウンターの下。ちょうどお客さん側から見えない所。そこからソロッとカエデは出てきた。
「どうするって……」
「ヘキオンちゃん助けたのカエデでしょ?なんで助けたの?」
「そりゃあ心配で着いて行ったらたまたま――」
「本当に?」
カエデがたじろぐ。あんなに強かったカエデが追い詰められている。
「本当に心配だっただけなの?」
「そ、それは……」
「好きなんだよね?」
顔を真っ赤にする。頭から湯気のようなものが放出された。
「そ、それは………………そぅだけどぉ……」
「はっきり言って!」
カウンターをバン!!と叩いた。騒いでいた冒険者たちが一瞬で静かになる。
「――好きだよ!!一目惚れです!!初めて見た時から好きでした!!今回も心配2割、好き8割くらいで追いかけてました!!」
「「「ぉぉおおおお!!!」」」
周りが大きくはやし立てた。カエデは顔を真っ赤にして下を向いている。
「好きなんだよね!?いいの!!ヘキオンちゃん行っちゃうよ!?もしかしたらもう二度と会えないかもしれないんだよ!?それでいいの!?」
「――嫌だ!!」
「ならとっとと支度してきなさい!!」
「は、はい!!」
肩を強く叩いた。その叩く強さはクレインやウルフィーロードに比べれば弱いのだろう。だがカエデにとってはその2匹よりも圧倒的に痛そうだ。
「とりあえず髭を沿って、身だしなみを整えてきなさい!マッハで!」
「え?髭を生やしてる方がかっこいいって――」
「そんなのおじさんだけでしょ!あなた17歳なんだから清潔にしてた方が好かれるわ!!」
「なっっ――お前ら騙したなぁァァ!!」
冒険者たちは腹を抱えて笑っている。顔を真っ赤にしながら冒険者たちを睨むカエデ。それを叩くお姉さん。
「早く整えてきなさい!時間はないんだよ!」
お姉さんには頭が上がらないようで、カエデは冒険者たちを睨みながらギルドを出ていったのだった。
「――今までありがとうございました」
ヘキオンが深々と頭を下げる。冒険者たちとお姉さんは恥ずかしそうにしていた。
「よ、よせやい。恥ずかしいだろ」
「そうだよ。仲間なら当然だぜ」
「また来たら出迎えてやるよ!」
その励ましにヘキオンは泣きそうな顔になっていた。
お姉さんがヘキオンの頭をサラッと撫でた。顔をほのかに紅くする。
「――また戻ってきてね。その時は一緒に甘いものでも食べに行こ」
「……うん……うん……」
耐えられなくなり、目に溜まっていた涙がポロポロと頬を伝っていった。まるでダムが決壊したかのように。まるで雪崩が起きたかのように。
声を上げて泣いた。冒険者たちの中にも涙ぐんでいる人もいる。お姉さんも涙をポロッと流していた。
「――最後に……カエデさんに……会いたかったな」
ヘキオンがポロッと言葉を出した。冒険者たちは悲しみムードが消え、焦りのムードが漂い始めた。
カエデが来ている様子はない。お姉さんも涙よりも冷や汗が出てきていた。
「――じゃあ。もう行きます」
「え!?あ、う、うん。げ、元気でね」
焦りが全面的に出てきてしまっている。ヘキオンは鈍感なので気がついていないが、冒険者たちも「まずいぞ、まずいぞ」と口に出していた。
「――みんな、ありがとう」
ヘキオンがギルドの扉に手をかけた。
「――――」
そこには汗だくで息を大きく切らしているカエデが立っていた。立っているというよりかはダウンしているのだが。
ヘキオンはそんなカエデを不思議そうに見ていた。驚きの表情も混ざっている。
「え?え?か、カエデさん?な、なんでいるんですか?」
カエデの髭は完全になくなり、髪もちょっと整えてある。服も綺麗で肌もなんか綺麗に見える。
ヘキオンは特にそこには触れてなかった。
「――い、いやぁぁぁね。ぼ、僕も今日旅立とうっかなぁぁぁっっってね?」
ヘキオンの後ろで全員が頭を抱えていた。恐らくヘキオンがいなかったら全員に言葉でボコボコにされていただろう。
「そうなんですか?奇遇ですね。私もです!」
「……え、えーーっと……」
下を向きながらチラチラとヘキオンを見る。
後ろでは「いけ!!」って言ってるかのようなジェスチャーを全員が同時にしている。一体感がすごい。
「あ、あの!俺と……一緒に旅をしてくれませんか!!」
言った。言えた。さっきまで躊躇っていた男がちゃんと好きな人を目の前にして言った。
後ろでは「好きっていえよぉ!」と言っているジェスチャーをしていた。
「――え?いいですよ。むしろ頼もしいです!」
「――あ、え、た、な、た、ま、さ、か、ま、や、わ、な?」
声が出てない。それになんか震えてる。声が繋がってもない。
「?どうしたんですか?」
ポケーっとしているカエデに頭を傾げていた。
後ろでは宝くじが当たったかと思われるくらいに喜んでいた。フィーバーしている。なんだかんだ言ってやはりカエデとヘキオンのことを大事に思っていたようだ。
「――えっと、えっと、こ、これからもよろしくお願いします……」
「よろしくお願いします!」
真っ赤な顔のカエデと、紅い顔のヘキオン。なんかたどたどしいカエデ。特に何も知らないヘキオン。最強の無職と魔法使い。この2人が出会ったのは運命か宿命か。
この2人が後に伝説となることを、この時はまだ誰も知らない。
続く
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜
カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。
その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。
落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

魔術師セナリアンの憂いごと
野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。
偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。
シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。
現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。
ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。
公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。
魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。
厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

無能と蔑まれた七男、前世は史上最強の魔法使いだった!?
青空一夏
ファンタジー
ケアニー辺境伯爵家の七男カイルは、生まれつき魔法を使えず、家族から蔑まれて育った。しかし、ある日彼の前世の記憶が蘇る――その正体は、かつて世界を支配した史上最強の大魔法使いアーサー。戸惑いながらも、カイルはアーサーの知識と力を身につけていき、次第に自らの道を切り拓く。
魔法を操れぬはずの少年が最強の魔法を駆使し、自分を信じてくれる商店街の仲間のために立ち上げる。やがてそれは貴族社会すら揺るがす存在へと成長していくのだった。こちらは無自覚モテモテの最強青年になっていく、ケアニー辺境伯爵家の七男カイルの物語。
※こちらは「異世界ファンタジー × ラブコメ」要素を兼ね備えた作品です。メインは「異世界ファンタジー」ですが、恋愛要素やコメディ要素も兼ねた「ラブコメ寄りの異世界ファンタジー」になっています。カイルは複数の女性にもてますが、主人公が最終的には選ぶのは一人の女性です。一夫多妻のようなハーレム系の結末ではありませんので、女性の方にも共感できる内容になっています。異世界ファンタジーで男性主人公なので男性向けとしましたが、男女関係なく楽しめる内容を心がけて書いていきたいです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる